堕ちた令嬢と冥界の契約

第50話 暗黒物質の力

クロエ・ハートフィリアは、冥界との契約を上書きし、ファントムナイトという強力なアンデッドを召喚する能力を得たことで、これまでにない強大な力を手にしていた。だが、それだけではなかった。彼女の闇の力もさらに強化され、彼女の内に宿る闇は新たな能力をもたらしていた。

クロエの体から溢れる魔力は、ただの魔術を超え、今や実体化した物質へと変わり始めていた。それは「暗黒物質」と呼ばれる、闇の物質だった。この物質はクロエの意思に応じて形を変え、物理的な物質を模倣してコピーすることができる、非常に強力な力だった。

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クロエは、占領したドワーフの貿易船の甲板に立ち、静かに手を掲げた。闇が彼女の手の中に集まり、渦を巻くようにして形を変え始めた。闇が次第に凝縮され、クロエの意思によって具現化していく。

「暗黒物質……これが私の新たな力……」

彼女の手の中に、真っ黒な物体が形作られた。それは、まるで影のように黒く、不気味な輝きを放っていた。クロエはそれを手に取り、さらに集中することで、その物質がマスケット銃へと変わっていくのを感じた。

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クロエは、以前ドワーフの船で見つけたマスケット銃を思い浮かべた。その形状、重さ、機能――すべてを詳細に思い出しながら、暗黒物質に命令を与えた。そして、その瞬間、彼女の手の中に、完璧に模倣されたマスケット銃が現れた。

「この力……私は闇から何でも作り出せる……」

クロエは微笑み、手にした黒いマスケット銃を確かめた。これは単なる見た目だけではなく、実際に火薬を装填し、撃つことのできる完全な武器だった。クロエの暗黒物質は、実体を持つだけでなく、機能まで完璧にコピーする能力を持っていた。

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「次は……火薬ね」

クロエは再び暗黒物質を操り、今度は火薬を創り出すことに挑戦した。彼女の意識が再び闇の物質を変形させ、マスケット銃に必要な火薬や弾丸が次々と具現化していく。彼女はその力を使い、スケルトンたちに大量のマスケット銃と火薬を作り出し、武装させた。

これにより、クロエは限りなく強力な軍勢を作り出すことができるようになっていた。スケルトンたちが持つ黒いマスケット銃は、彼女の力によって無限に生成され、何度でも使用できる武器となった。

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その間にも、貴族たちの増援が次々と港に到着していた。彼らはクロエの力を恐れ、さらなる軍勢を送り込んでいたが、クロエはもはや恐れることはなかった。

「スケルトンたちよ、暗黒物質で創り出された武器で、私に従う者を打ち倒せ！」

クロエはスケルトンたちに命令を下し、彼らが次々と暗黒物質で作られたマスケット銃を構えて発砲し始めた。暗黒物質でできた銃と火薬は、通常の銃よりもさらに強力で、兵士たちは次々と撃ち倒されていった。

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戦場は再び混乱に包まれ、貴族たちの兵士たちはクロエの圧倒的な力の前に、次々と敗れていった。彼女はただの逃亡者ではなく、今や強大な闇の力を持つ者として、その場を支配していた。

クロエは自らが生み出した暗黒物質で、無限に近い武器を生み出すことができるという力に歓喜し、さらにその力を極めようと決意した。

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「誰も……もう私を止めることはできない」

クロエは戦場を見渡しながら、そう呟いた。彼女の復讐はまだ終わっていない。彼女を追い詰めた者たち、彼女を侮辱し、支配しようとした者たち――すべてを打ち倒すために、クロエは闇の力をさらに使いこなしていくことを誓った。

これから先、クロエの力はますます強大になり、誰も彼女に立ち向かうことはできなくなるだろう。そして、その暗黒の力は、彼女自身の心の闇を映し出すように、どこまでも深く、そして冷酷に広がっていくのだった。