まがりかど、ひとつ

ぷにぷに

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真珠の彼女(2)

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「何歳にみえる?
正直に」

温かみのあるオレンジの光に包まれた、小さな居酒屋で、僕たちは質問ごっこをしていた。この遊びをはじめたのは彼女で、僕が、これを世間一般では"会話"と言うのではないでしょうか?とつっこむと、彼女は頬をふくらませた。そのあと、無邪気に笑った。

「25、いや、3くらいですか?」
本当は30くらい。
「そんな若く見えてるの!
嬉しいなあ、これでも結構くってるよ?」
「くってる?ですか?」
「あ、君、ピュアだね」
「よく言われます」
「あはは。もう今年で30よ。あなたみたいな若い男の子といると、少し若返るのかしら。」
「いいえ。こちらこそ、綺麗な先輩がいてくださったおかけで、先日は助かりました」
ありがとうございました、と、ぺこりと頭を下げる。上げた瞬間に、爽やかを意識して笑う。上出来。
今日も、彼女の真珠は白く光っている。
酒を飲んだ彼女は、住宅展示場で母親に説明をしていた時の声より大きく、態度も大胆だった。
「実は、君にお願いがあってこの場を設けたの」
「…お願い?」
彼女が、うつむいた。
彼女の動きに従って、真珠も揺れた。
こころなしか、もう白く光ってはいない。
彼女がかばんから、一枚の写真を取り出すと、僕の方に向けて見せた。
写真には、可愛らしい少女が写っていた。
「これは私の姪」
「はあ。」
「鬱を患っているの。原因は分からない。一日中ずっと部屋にいるわ」
「…」
だからなんだと言うのだ。まさか、コレを俺が部屋から引きずり出せとでも言わないだろうな…。そんなの、ごめんだ。
「そばにいてあげてほしいの」
は…?
「僕、この子のこと何も知らないのに、そばにいてほしいって…話が飲み込めないンですケド…」
「あなたがいいの」
「いや…僕忙しいですし…。アルバイトがありますし…。どうして僕なのかよく分からないっていうか…。」
「質問ごっこをしたからよ。質問ごっこで、そばにいてあげてほしいって、直感的に思ったの。アルバイト代は出すから、心配要らないわ。弾むわよ」
「え…僕なんか言いましたっけ?」
「直感的に、よ」
「いや…だから、それはどうして僕が…」
「直感的は、直感的だからよ。それ以外ないわよ」






こうして僕は、写真で見ただけの、関係にもならない真珠の彼女の姪に、会いに行くことになった。







曲がり角を曲がると、僕の家はすぐそこにある。
今夜は月が丸くて、光が強い。

色々と疲れたせいか、涙なんか無しに、眠りにつくことができた。
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みんなの感想(1件)

2021.08.24 ユーザー名の登録がありません

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2021.08.24 ぷにぷに

ありがとうございます。
とても嬉しいです。

解除

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