雨の日の待ち合わせ

雨の日の待ち合わせ

彼女との待ち合わせ場所は、いつもの公園のベンチだった。しかし、今日は予報通りの雨で、彼女は遅れてしまった。

僕は傘をさして待っていた。時計を見ると、もう30分以上過ぎている。心配になってきたが、彼女からの連絡もない。

その時、近くの喫茶店から彼女の姿が見えた。走ってくる彼女は、濡れた髪が顔にまとわりついていた。

「ごめん、遅れてしまって。電車が止まったから」

彼女の顔は少し疲れた表情だったが、それでも笑顔を向けてくれた。僕はハンカチで彼女の髪を拭き、暖かいコーヒーを注文した。

しばらく話をしていると、雨が強くなってきた。彼女は窓の外を見つめて言った。

「この雨、どうかしたの？」

「何かって……？」

「別に。ただ、なんだか懐かしい気がするんだ」

そう言って、彼女は遠い昔の思い出を語り始めた。小学生の時、友達と雨の日に遊びに行ったことを思い出したという。

それを聞いているうちに、僕たちは時間を忘れてしまった。雨宿りをしながら、過去の思い出や、将来の夢などを語り合った。

いつしか、雨もあがり、外の景色が明るくなっていた。僕たちは公園に向かい、手をつなぎながら歩いた。

「今日はありがとう。楽しかったよ」

彼女がそう言うと、僕は思わず彼女の手を握りしめた。彼女は僕の手を強く握り返してくれた。

「また、こんな風に雨宿りしたいな」

そう言って、彼女は微笑んだ。

僕は彼女を抱きしめ、キスをした。その時の感触は、忘れられないものとなった。

彼女との待ち合わせは、いつもの場所だった。しかし、今日は違った。雨の日に、彼女と過ごした時間は、特別なものになったのだった。