俺と妹の悪徳が栄えまくる

笹谷爽香

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鉱脈発見編

15.ガリウスの報告

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 俺が執務室で退屈な書類と格闘していると、ソラリが飲み物を給仕しに来た。

 ソラリの顔面は地肌が見えないくらいきっちりと包帯が巻かれており、薄暗い場所で急に対面すれば大抵の人間が驚くだろう。シャリリーゼの気まぐれで先の遊戯で壊されたソラリの容貌は直されなかった。包帯を解けばその下は二目と見られない醜貌だ。トトノトリアなぞは突然ソラリが包帯を巻きだしていぶかしんでいたが、調理中に大怪我をしてしまったのだと俺がそれらしいことをのたまうと一応の納得をみせた。

 俺はカップを受け取ってからソラリの手の甲に思い切りペンを突き立てた。インキの黒と血の赤が混じり赤黒い傷ができあがる。
 全く仕事とはつまらぬものだ。俺はソラリの手に穴を一つ空けてやった。

「ローレンス様。ご報告したいことが」

 ガリウスが書面を携えて現れる。俺はソラリを部屋の隅に下がらせて報告を聞いた。

「まず、ダードン山脈のことです」
「ダードン山脈?」
「はい」

 ダードン山脈は我が領の北に位置している。その峰は険しくこれを踏破した者はいないとされているほどだ。幾つかの部族が居を構えているらしいがほとんど没交渉となっている。
 ダードン山脈は険しいだけではない。荒地で作物はろくに育たぬくせに凶暴な魔物はやけに多く生息している。せめて鉱山資源があればよいのだが今のところめぼしいものは発見されていない。冒険者の狩場にはなっているもののそれだけでは旨みの少ない場所だ。

「最近ダードン山脈で魔物の活動が盛んになっていたそうで、リートヒンド冒険者ギルドが大きいパーティーを組んで討伐させたそうです」
「それがどうした?」

 魔物も生きている以上、活動が盛んになることがままある。それを冒険者が徒党を組んで討伐することもさして珍しいことではない。

「はい。どうやらその際に魔石の鉱脈らしきものを見つけたそうです」
「魔石、ねえ」

 魔石とは魔力を帯びた鉱物の総称であり、一口に魔石と言ってもその価値や用途は様々だ。たとえば俺の儀礼剣の柄に嵌めこまれている魔石は黒瑪瑙くろめのうであり、不気味なほどの暗黒を湛えている。この黒瑪瑙は俺が得手とする影魔法と相性がよく、発動速度と効力を底上げしてくれる。また、ほとんど使うことがないが刃の一部に用いられている魔銀は魔力を通すと切れ味が増すようになっている。

 これらの魔石は重宝され相応の値が付くものだが、微弱な魔力を帯びているだけでこれを抽出することさえできない石ころも魔石に含まれる。というかそういう屑石のほうが多いくらいだ。

「それは使い物になるのか? 簡単に見つかるような場所にあるなら今になって見つかりはしないだろうし、山奥にあるなら採掘が困難だ」
「詳しくはまだ報告にありませんがフレイムリザードの巣になっていた洞窟のようです。そして採れるのは焔紅石えんこうせきと」

 焔紅石は火を利用する魔法具を作るのによく使われる。また、炎のような激しい赤は装飾品にも好まれる。上手く採掘できるならよい収入になる。

「わかった。コヨミハルカに詳細な報告書を急がせろ。事と次第によっては俺が直接見に行くこともあるだろうからな」
「かしこまりました」

 ガリウスは恭しく了承した。



 俺とガリウスが一仕事終えたところで、シャリリーゼが執務室を訪れた。

「お兄様、それとガリウス。お仕事は終わりましたか?」
「ちょうどな。どうしたんだ?」
「フェルベリカと遊ぼうと思いまして。お兄様方もどうですか?」
「付き合うとも」
「是非に」

 俺達が肯定すると、シャリリーゼは満足そうに頷いた。

 こうして俺達が地下の大部屋に向かうと、そこではフェルベリカが既に事を始めていた。少年に跨(またが)り豊満な双乳を揺らしている。

 シャリリーゼは悪戯めいた微笑を浮かべた。

「あら、フェルベリカ。屋敷の主人がいない間に自分だけお愉しみなんて無礼ではないかしら」
「いやいや。来ないかもしれないから先に始めていてくれと言ったのはシャリリーゼ様ではないですか」

 フェルベリカは慌てて弁解する。シャリリーゼがわざとそう言って始めさせたのだろう。だからもちろんその正当な反論に納得するつもりはなかった。

 ガリウスが灰色の瞳でフェルベリカを侮蔑する。

「貴女は一商人の分際でローレンス様を蔑ろにしたのですよ。責められこそすれ許されるいわれなどありません。恥を知りなさい」
「まあ、そこまで言わなくてもいいだろう」

 俺はガリウスのよくできた茶番に乗る。

「だがしかし俺をフェルベリカがそこまで淫蕩を好むとはどうやら君を侮っていたようだ。しかしそれだと少年だけじゃあ満足できないだろう」
「まあまあ」

 シャリリーゼが我が意を得たりとばかりに手を合わせる。

「それならば申し分ない子がいますわ。エミリカ」

 シャリリーゼの命に従い、エミリカが連れてきたのは人ほどの大きさもあろう黒犬であった。なるほどこれならフェルベリカの獣欲にも適うだろう。
 黒犬を見た瞬間、フェルベリカは顔面を蒼白にしたがすぐに蕩けた笑みを浮かべる。そして自身も獣のように四つ足になり、黒犬のものに口で奉仕した。

 黒犬が十分に固くなったので、フェルベリカは女を開いて黒犬を誘う。俺は黒犬に命じてフェルベリカを犯させた。黒犬は四つん這いになったフェルベリカを背後から貫く。フェルベリカは悦んでそれを迎えた。黒犬の前脚がフェルベリカの肩に食いこみ血が流れるがそんなことお構いなしに腰を振りたくる。フェルベリカの口から漏れるのも苦痛の悲鳴ではなく悦楽の嬌声であった。

 けだものの激しい交尾は続く。めいめいそれを見物しながら適当な奴隷を犯して殺す。ガリウスは性交の途中で少女の首を刎ね、鮮血零れるやわらかな唇にうっとりと接吻した。それから少女を貫いていた自分のものを突っこみ吐精する。

 一方、俺は少年を扼殺してから交尾しているフェルベリカの前に自分のものを差し出した。フェルベリカは犬のように俺のものを美味しそうにしゃぶる。すると黒犬は一層強く腰を振りたくった。

 フェルベリカが黒犬の猛りに耐えきれず俺のものを離すと、すかさずシャリリーゼが咥える。シャリリーゼは喉奥まで俺を迎え入れ、えずきながらも熱烈に奉仕する。その快楽に長くこらえきれそうにない。俺はシャリリーゼのやわらかな金髪を乱暴に掴み、さらに奥まで挿入してから射精する。

 シャリリーゼは懸命にそれを受け止めていたがすぐに低いうめき声を上げる。そして彼女の喉と頬が膨らんだかと思うと唇の隙間から吐瀉物が零れる。しかしそれでもシャリリーゼは咥えた俺を離そうとはしなかった。行き場をなくした吐瀉物がシャリリーゼの鼻から漏れ、その美貌を台無しにする。

 俺が射精を終えると、シャリリーゼは苦しそうに咳きこみ喉につかえた汚物を吐き出す。シャリリーゼから吐瀉物特有のえた悪臭がする。

 俺は優しくシャリリーゼに微笑み、彼女の吐瀉物で汚れた俺のもの自らを用いて清めさせた。



 ソラリとエミリカが遊びで殺した奴隷の肉をパンに挟んで軽食を用意したので、俺達はそれをつまむことにした。

 俺は生傷にまみれたフェルベリカに尋ねる。

「親子二人の売り先としてとびきり酷いところはないか?」
「最近は値が上がるのは戦闘用ばかりだからね。ちょっと難しいさね」フェルベリカが言う。「それに一番酷いったらここ以外に私は知らないよ。持て余す奴隷でもいるのかい? 珍しい」

 フェルベリカはエミリカの左乳房を無造作に咥え、母乳が出ないとわかるや躊躇なく噛みちぎり、その鮮血でのどを潤した。エミリカは左乳房のいただきを失ったまま給仕を続ける。

「いや、持て余しているわけではない。ただ、面白い引き取り先があるならと思ってね。たまには趣向を変えた遊びがしたいだけさ。何か面白い考えはないかい?」
「……うーん、私なら奴隷と家畜を交尾させて仲良く家畜小屋に繋いでみるよ。そうして自分が四つ足の家畜よりも下位の存在だと魂の芯にまで刻んでやるのさ」
「でもせっかく畜生と交尾させるなら奴隷より貴族とかの方が面白いでしょう」

 ガリウスが口を挿む。

「だって奴隷と家畜なんて所詮同じようなものじゃないですか。貴族として鼻高々な人間を獣に突き落として身の程をわからせる方が余程愉快です。さらにそれで畜生の仔を孕んだりすればなおよいですね」
「それは確かに面白そうです。血筋やら伝統やらと喚く貴族の令嬢が畜生を産むなんてぞくぞくしますわ。今度試してみましょう」

 シャリリーゼは恍惚とした微笑を浮かべた。

 俺も奴隷の肉を咀嚼しながら次の遊びについて思いを巡らせた。


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