15 / 22
鉱脈発見編
15.ガリウスの報告
しおりを挟む俺が執務室で退屈な書類と格闘していると、ソラリが飲み物を給仕しに来た。
ソラリの顔面は地肌が見えないくらいきっちりと包帯が巻かれており、薄暗い場所で急に対面すれば大抵の人間が驚くだろう。シャリリーゼの気まぐれで先の遊戯で壊されたソラリの容貌は直されなかった。包帯を解けばその下は二目と見られない醜貌だ。トトノトリアなぞは突然ソラリが包帯を巻きだしていぶかしんでいたが、調理中に大怪我をしてしまったのだと俺がそれらしいことをのたまうと一応の納得をみせた。
俺はカップを受け取ってからソラリの手の甲に思い切りペンを突き立てた。インキの黒と血の赤が混じり赤黒い傷ができあがる。
全く仕事とはつまらぬものだ。俺はソラリの手に穴を一つ空けてやった。
「ローレンス様。ご報告したいことが」
ガリウスが書面を携えて現れる。俺はソラリを部屋の隅に下がらせて報告を聞いた。
「まず、ダードン山脈のことです」
「ダードン山脈?」
「はい」
ダードン山脈は我が領の北に位置している。その峰は険しくこれを踏破した者はいないとされているほどだ。幾つかの部族が居を構えているらしいがほとんど没交渉となっている。
ダードン山脈は険しいだけではない。荒地で作物はろくに育たぬくせに凶暴な魔物はやけに多く生息している。せめて鉱山資源があればよいのだが今のところめぼしいものは発見されていない。冒険者の狩場にはなっているもののそれだけでは旨みの少ない場所だ。
「最近ダードン山脈で魔物の活動が盛んになっていたそうで、リートヒンド冒険者ギルドが大きいパーティーを組んで討伐させたそうです」
「それがどうした?」
魔物も生きている以上、活動が盛んになることがままある。それを冒険者が徒党を組んで討伐することもさして珍しいことではない。
「はい。どうやらその際に魔石の鉱脈らしきものを見つけたそうです」
「魔石、ねえ」
魔石とは魔力を帯びた鉱物の総称であり、一口に魔石と言ってもその価値や用途は様々だ。たとえば俺の儀礼剣の柄に嵌めこまれている魔石は黒瑪瑙であり、不気味なほどの暗黒を湛えている。この黒瑪瑙は俺が得手とする影魔法と相性がよく、発動速度と効力を底上げしてくれる。また、ほとんど使うことがないが刃の一部に用いられている魔銀は魔力を通すと切れ味が増すようになっている。
これらの魔石は重宝され相応の値が付くものだが、微弱な魔力を帯びているだけでこれを抽出することさえできない石ころも魔石に含まれる。というかそういう屑石のほうが多いくらいだ。
「それは使い物になるのか? 簡単に見つかるような場所にあるなら今になって見つかりはしないだろうし、山奥にあるなら採掘が困難だ」
「詳しくはまだ報告にありませんがフレイムリザードの巣になっていた洞窟のようです。そして採れるのは焔紅石と」
焔紅石は火を利用する魔法具を作るのによく使われる。また、炎のような激しい赤は装飾品にも好まれる。上手く採掘できるならよい収入になる。
「わかった。コヨミハルカに詳細な報告書を急がせろ。事と次第によっては俺が直接見に行くこともあるだろうからな」
「かしこまりました」
ガリウスは恭しく了承した。
俺とガリウスが一仕事終えたところで、シャリリーゼが執務室を訪れた。
「お兄様、それとガリウス。お仕事は終わりましたか?」
「ちょうどな。どうしたんだ?」
「フェルベリカと遊ぼうと思いまして。お兄様方もどうですか?」
「付き合うとも」
「是非に」
俺達が肯定すると、シャリリーゼは満足そうに頷いた。
こうして俺達が地下の大部屋に向かうと、そこではフェルベリカが既に事を始めていた。少年に跨(またが)り豊満な双乳を揺らしている。
シャリリーゼは悪戯めいた微笑を浮かべた。
「あら、フェルベリカ。屋敷の主人がいない間に自分だけお愉しみなんて無礼ではないかしら」
「いやいや。来ないかもしれないから先に始めていてくれと言ったのはシャリリーゼ様ではないですか」
フェルベリカは慌てて弁解する。シャリリーゼがわざとそう言って始めさせたのだろう。だからもちろんその正当な反論に納得するつもりはなかった。
ガリウスが灰色の瞳でフェルベリカを侮蔑する。
「貴女は一商人の分際でローレンス様を蔑ろにしたのですよ。責められこそすれ許されるいわれなどありません。恥を知りなさい」
「まあ、そこまで言わなくてもいいだろう」
俺はガリウスのよくできた茶番に乗る。
「だがしかし俺をフェルベリカがそこまで淫蕩を好むとはどうやら君を侮っていたようだ。しかしそれだと少年だけじゃあ満足できないだろう」
「まあまあ」
シャリリーゼが我が意を得たりとばかりに手を合わせる。
「それならば申し分ない子がいますわ。エミリカ」
シャリリーゼの命に従い、エミリカが連れてきたのは人ほどの大きさもあろう黒犬であった。なるほどこれならフェルベリカの獣欲にも適うだろう。
黒犬を見た瞬間、フェルベリカは顔面を蒼白にしたがすぐに蕩けた笑みを浮かべる。そして自身も獣のように四つ足になり、黒犬のものに口で奉仕した。
黒犬が十分に固くなったので、フェルベリカは女を開いて黒犬を誘う。俺は黒犬に命じてフェルベリカを犯させた。黒犬は四つん這いになったフェルベリカを背後から貫く。フェルベリカは悦んでそれを迎えた。黒犬の前脚がフェルベリカの肩に食いこみ血が流れるがそんなことお構いなしに腰を振りたくる。フェルベリカの口から漏れるのも苦痛の悲鳴ではなく悦楽の嬌声であった。
獣の激しい交尾は続く。めいめいそれを見物しながら適当な奴隷を犯して殺す。ガリウスは性交の途中で少女の首を刎ね、鮮血零れるやわらかな唇にうっとりと接吻した。それから少女を貫いていた自分のものを突っこみ吐精する。
一方、俺は少年を扼殺してから交尾しているフェルベリカの前に自分のものを差し出した。フェルベリカは犬のように俺のものを美味しそうにしゃぶる。すると黒犬は一層強く腰を振りたくった。
フェルベリカが黒犬の猛りに耐えきれず俺のものを離すと、すかさずシャリリーゼが咥える。シャリリーゼは喉奥まで俺を迎え入れ、えずきながらも熱烈に奉仕する。その快楽に長くこらえきれそうにない。俺はシャリリーゼのやわらかな金髪を乱暴に掴み、さらに奥まで挿入してから射精する。
シャリリーゼは懸命にそれを受け止めていたがすぐに低いうめき声を上げる。そして彼女の喉と頬が膨らんだかと思うと唇の隙間から吐瀉物が零れる。しかしそれでもシャリリーゼは咥えた俺を離そうとはしなかった。行き場をなくした吐瀉物がシャリリーゼの鼻から漏れ、その美貌を台無しにする。
俺が射精を終えると、シャリリーゼは苦しそうに咳きこみ喉につかえた汚物を吐き出す。シャリリーゼから吐瀉物特有の饐えた悪臭がする。
俺は優しくシャリリーゼに微笑み、彼女の吐瀉物で汚れた俺のもの自らを用いて清めさせた。
ソラリとエミリカが遊びで殺した奴隷の肉をパンに挟んで軽食を用意したので、俺達はそれをつまむことにした。
俺は生傷にまみれたフェルベリカに尋ねる。
「親子二人の売り先としてとびきり酷いところはないか?」
「最近は値が上がるのは戦闘用ばかりだからね。ちょっと難しいさね」フェルベリカが言う。「それに一番酷いったらここ以外に私は知らないよ。持て余す奴隷でもいるのかい? 珍しい」
フェルベリカはエミリカの左乳房を無造作に咥え、母乳が出ないとわかるや躊躇なく噛みちぎり、その鮮血でのどを潤した。エミリカは左乳房の頂を失ったまま給仕を続ける。
「いや、持て余しているわけではない。ただ、面白い引き取り先があるならと思ってね。たまには趣向を変えた遊びがしたいだけさ。何か面白い考えはないかい?」
「……うーん、私なら奴隷と家畜を交尾させて仲良く家畜小屋に繋いでみるよ。そうして自分が四つ足の家畜よりも下位の存在だと魂の芯にまで刻んでやるのさ」
「でもせっかく畜生と交尾させるなら奴隷より貴族とかの方が面白いでしょう」
ガリウスが口を挿む。
「だって奴隷と家畜なんて所詮同じようなものじゃないですか。貴族として鼻高々な人間を獣に突き落として身の程をわからせる方が余程愉快です。さらにそれで畜生の仔を孕んだりすればなおよいですね」
「それは確かに面白そうです。血筋やら伝統やらと喚く貴族の令嬢が畜生を産むなんてぞくぞくしますわ。今度試してみましょう」
シャリリーゼは恍惚とした微笑を浮かべた。
俺も奴隷の肉を咀嚼しながら次の遊びについて思いを巡らせた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる