27 / 32
異世界初の人類
異世界人間発見、戦っているけど
しおりを挟む
その声とともに近づいてくる足音は数体。
もしかしたらもう少し多いかもしれない。
一体だけであれだけ苦労したのにさすがに多すぎでないかい?
私はリークヴァメタロを半透明にしてみた。盾越しに視界が広がる。
相変わらず便利だなあ、これ。
私は愛刀を構えると同時に頭上にファイヤーボールを数個出す。
気を失わずに出せるのは4個……、光源まで入れてここまでかな。
これがどこまで効くか分からないけれど、足止めと目くらましになれば良いかな?
そう思い魔法を展開したまま声の方に目を凝らす。
光の最大範囲から飛び出してくる数体のゴブリン。
あれ?
なんか小さい。
目は獲物を見る目だ。
とりあえず殺意はあるようだ。
うん。殺ろう。
私は展開して停止しているファイヤーボールをゴブリンの方へ発動する。
熱風と共に向かってゆく。
轟音。
……
…………
焦げた。
というか炭化した。
またやり過ぎた。
その瞬間、光源の先、さらに先が見えた。
一瞬だったがかなり奥の方に通路らしきもの。
私は脱出路が見つかったことに心底安堵した。
私は炭化したゴブリンを漁る。
とは言っても本当に炭化しているので胸元の魔晶石しか回収できない。
しかし、弱かったのか火力が強すぎたのか……。
それとも前のゴブリンの子供だったのか……。
まあ分からないことは仕方がないので先を探索することにする。
私は腕輪から松明を取り出すと、盾を元に戻し愛刀を抜き身で持ちながら奥へと進む。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
結論から言うと通路はそこまで複雑ではなかった。
何度か曲道はあったがほぼ一本道。
そしていくつかの部屋があった。
ゴブリンたちの生活空間だったのか。原始的な生活の痕跡がいくつかあった。
そして錆びたナイフとそこそこの魔晶石を手に入れることが出来た。
魔晶石は動物らしきもののそばに転がっていたので、どうやら生物すべてに魔晶石があるようだ。
そう言えばあの神も私に魔晶石を埋め込んだとかどうとか言っていたな。もしかして人間も同じ事が起こるのかな。
試したいとは思わないけどね。
今私は洞窟というか遺跡の入り口らしきところに立っている。
洞窟から出たらそこは森の中だった。
どっかの有名小説かっ。
正確には目の前には森が広がり、洞窟の出口は山の壁面にあった。
それほど深い森ではなさそうなので少し山を登れば周囲を見渡せそうだ。もっとも山はそこそこの高さがありそうなので、登らない。
とりあえず足場を気にしながら上へと上がる。15m程上がると森が一望できた。
森が切れている場所が見える。
大体2kmくらいか。
その向こうは平原が広がっていそうだ。
そうであってほしい。
私はゆっくりと元の遺跡の入り口まで降りると森を歩きだした。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
そこまで深くない森を歩く。
今は鑑定は使わずに歩いている。
正直森を抜けるまでは使わない。
キノコらしきものや木の実らしきものもあるが取りあえず手は付けない。
まずは安全を確保する。
これは基本だ。
採取したら街に出たときに換金することが出来るかもしれないが、何しろ鑑定の使い勝手が悪すぎる。
拠点を構えじっくりと鑑定しないと命にかかわるからなぁ。
敵対生物もいることが分かったし。
そう思っていると森の奥から叫び声が聞こえてきた。
「スプリットボアだっ。やばい!」
うん? 分裂猪?
なんか面白そうなのがいるみたいだ。
私はつい好奇心に負けて見に行ってしまった。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
そこには数名の男女が猪と戦っていた。
そこそこ巨大な猪が一頭。
大体2mくらいか。
すでに二人の人間が倒れている。
よかった、ファーストコンタクトが人間で。
しかも言葉が分かる。
猪は前足で土を蹴り、今にも前に飛び出しそうな気配だ。
それを守るのはカイトシールドを構えた重武装の人間。
そして軽装の剣士。
後ろにはローブを来た人間が二人いる。
重装備の人間は突進を受け止めるつもりのようだ。
いや、無理だろ。
あっ、吹っ飛んだ。
シールドはへしゃげ、車に跳ね飛ばされたように宙を舞う。そしてそのまま木に叩きつけられた。残りのローブの人間は杖のようなものを振りかざしている。
炎が杖の上に出る。
火炎が杖から迸り、背を向けた猪の背を焼いた。
ただなぁ、火力が弱いなぁ。
当然怒ったであろう猪が振り返る。
私は仕方なしに声をかけた。
「助け、いる?」
もしかしたらもう少し多いかもしれない。
一体だけであれだけ苦労したのにさすがに多すぎでないかい?
私はリークヴァメタロを半透明にしてみた。盾越しに視界が広がる。
相変わらず便利だなあ、これ。
私は愛刀を構えると同時に頭上にファイヤーボールを数個出す。
気を失わずに出せるのは4個……、光源まで入れてここまでかな。
これがどこまで効くか分からないけれど、足止めと目くらましになれば良いかな?
そう思い魔法を展開したまま声の方に目を凝らす。
光の最大範囲から飛び出してくる数体のゴブリン。
あれ?
なんか小さい。
目は獲物を見る目だ。
とりあえず殺意はあるようだ。
うん。殺ろう。
私は展開して停止しているファイヤーボールをゴブリンの方へ発動する。
熱風と共に向かってゆく。
轟音。
……
…………
焦げた。
というか炭化した。
またやり過ぎた。
その瞬間、光源の先、さらに先が見えた。
一瞬だったがかなり奥の方に通路らしきもの。
私は脱出路が見つかったことに心底安堵した。
私は炭化したゴブリンを漁る。
とは言っても本当に炭化しているので胸元の魔晶石しか回収できない。
しかし、弱かったのか火力が強すぎたのか……。
それとも前のゴブリンの子供だったのか……。
まあ分からないことは仕方がないので先を探索することにする。
私は腕輪から松明を取り出すと、盾を元に戻し愛刀を抜き身で持ちながら奥へと進む。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
結論から言うと通路はそこまで複雑ではなかった。
何度か曲道はあったがほぼ一本道。
そしていくつかの部屋があった。
ゴブリンたちの生活空間だったのか。原始的な生活の痕跡がいくつかあった。
そして錆びたナイフとそこそこの魔晶石を手に入れることが出来た。
魔晶石は動物らしきもののそばに転がっていたので、どうやら生物すべてに魔晶石があるようだ。
そう言えばあの神も私に魔晶石を埋め込んだとかどうとか言っていたな。もしかして人間も同じ事が起こるのかな。
試したいとは思わないけどね。
今私は洞窟というか遺跡の入り口らしきところに立っている。
洞窟から出たらそこは森の中だった。
どっかの有名小説かっ。
正確には目の前には森が広がり、洞窟の出口は山の壁面にあった。
それほど深い森ではなさそうなので少し山を登れば周囲を見渡せそうだ。もっとも山はそこそこの高さがありそうなので、登らない。
とりあえず足場を気にしながら上へと上がる。15m程上がると森が一望できた。
森が切れている場所が見える。
大体2kmくらいか。
その向こうは平原が広がっていそうだ。
そうであってほしい。
私はゆっくりと元の遺跡の入り口まで降りると森を歩きだした。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
そこまで深くない森を歩く。
今は鑑定は使わずに歩いている。
正直森を抜けるまでは使わない。
キノコらしきものや木の実らしきものもあるが取りあえず手は付けない。
まずは安全を確保する。
これは基本だ。
採取したら街に出たときに換金することが出来るかもしれないが、何しろ鑑定の使い勝手が悪すぎる。
拠点を構えじっくりと鑑定しないと命にかかわるからなぁ。
敵対生物もいることが分かったし。
そう思っていると森の奥から叫び声が聞こえてきた。
「スプリットボアだっ。やばい!」
うん? 分裂猪?
なんか面白そうなのがいるみたいだ。
私はつい好奇心に負けて見に行ってしまった。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
そこには数名の男女が猪と戦っていた。
そこそこ巨大な猪が一頭。
大体2mくらいか。
すでに二人の人間が倒れている。
よかった、ファーストコンタクトが人間で。
しかも言葉が分かる。
猪は前足で土を蹴り、今にも前に飛び出しそうな気配だ。
それを守るのはカイトシールドを構えた重武装の人間。
そして軽装の剣士。
後ろにはローブを来た人間が二人いる。
重装備の人間は突進を受け止めるつもりのようだ。
いや、無理だろ。
あっ、吹っ飛んだ。
シールドはへしゃげ、車に跳ね飛ばされたように宙を舞う。そしてそのまま木に叩きつけられた。残りのローブの人間は杖のようなものを振りかざしている。
炎が杖の上に出る。
火炎が杖から迸り、背を向けた猪の背を焼いた。
ただなぁ、火力が弱いなぁ。
当然怒ったであろう猪が振り返る。
私は仕方なしに声をかけた。
「助け、いる?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる