こちら付与魔術師でございます

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こちら付与魔術師でございます 戦争と商売拡大編

こちら付与魔術師でございます  Ⅵ 後始末とメイス作成

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やぁ~、やり過ぎてしまいましたね。

公爵には怒られるわ、街の人達には白い目で見られるわ。

 仕方が無いので溜めておいた鉄でアイアンゴーレムを10体創り街の復興に当てるようにしました。

最初は怖がられましたけどねぇ。

 ユーリカをミルトと交代で土地から呼び戻しゴーレムの指揮に当てたらなんか上手くいっています。

あとはフォルミードの修理ですね。

新型のたたら炉の性能が凄まじいので修理してあげました。

まぁ、お互い罵り合いながらの作業になりましたが。

 その時に何をやったのか聞き出したのですが、ただ最大速度で飛んだだけって言っていました。

やれやれですね。

さて創造信仰された神アトンですか。なかなか面倒な能力を持っているようですね。

簡単に言えばゾンビ作成?

ただのゾンビなら良いのですがね~。アングールやガストなんかだと面倒ですね。

先行した1軍団丸ごとなんて想像しただけでも頭が痛い・・・・・・。

とりあえず、木炭の大量生産とメイスの作成を優先かな?

あ~、ついでに多分混乱させてしまったので精霊の関係をご紹介します。

        下位       上位
 契約精霊 風 シルフ      ウェントゥス  
      火 サラマンダー   イーグニス   
      地 ソルゥム     テッラ
      水 ウィンディーネ  アクア
      氷 フラウ      グラキエース
      森 アルボル     シルワ 
      雷 トニトゥルス   フルグル
      光 ミコ       
      闇 オプスクーリタース
      戦 プーグナ     
      生 ウィータ
      死 モルス
      無 ニヒルウンダ
      全 オムニス
                
 無のニヒルウンダというのは虚無の精霊?という珍しいものです。
  全のオムニスは強力な精霊というわけではないですが、全ての能力をある程度のレベルで使える精霊です。
  話の中にちょいちょい出てくるのでご紹介しておきます。
  ちなみに上位精霊と下位精霊の差は力ではなく[知能や知識の差]、[出来ること出来ないことの差]です。
精霊魔法の破壊力は術者の方に依存します。
  
  プチ解説でした。
  
  でわ!
  
-----メイス作成-----   
  私は家?(半壊中)の工房へ籠もり、作業を続けていた。
 フォルミードの身体の修復は大変だった。やはり鋼では限界値が見えている。それを補強するにはアダマンタイトかヒヒイロカネ、ミスリルを使う必要があるのだが、正直あの量は確保できない。
 あのとき何が起きたのかを、理解不能な魔道具[リッタイホログラフ]で確認してみたら、どうやら[ソニックブーム]という現象が起きたらしい。更に調べると[オンソク]という状態になるとそれは起きるということだった。
 正直その段階で頭が破裂しそうになったので、今はメイス作成に没頭している。
 ちなみにフォルミードの身体はきちんと修復した。内部にも傷が無いかを確認する作業は大変で、数刻を要した。その間に玉鋼はどんどん溜まっていくので、3体の竜型ゴーレムに素材置き場に運ばせている。フォルミードも修理を終わらせるとすぐに砂鉄採掘場へ帰ってもらった。
  バスティには先日行った木こりのところへ行き、炭を焼くための火の調整と大型の伏せ焼き釜を作成してもらっている。炭を作るための木材はフェルナンデスがルイス領の良質な木材を最優先で回してくれていた。ルールウは私の護衛としてすぐ近くにいる。
  
  「ミュール、今どれくらい出来た?」
  
  私は肌が真っ赤になっているミュールに声をかけた。今回の作業は熱さを伴う。メイスは鍛えて作る物ではなく鋳型を創ってそこに溶かした玉鋼を流し込むという作業にしている。
  
  「ン~50クライカナ」
  
  刀と違い鍛練を繰り返し、薄くする訳ではないので作成が難しい。半分ずつを鋳型で創り一度水で一気に冷やす。それを鍛練した鋼の延べ棒でくっつけるという無茶な方法を使っている。正直耐久力がどれくらい持つのかは分からない。
  
  「あの進軍速度で移動されれば間に合わないなぁ・・・・・・」
  
  あの日の次の日、公爵は手勢の騎馬隊を率いて王都へと再出陣していった。その時に今度の相手アトンについて少しだけ話し合った。
  

 「なぁ、カーソン。アトンとこのままぶつかることをどう思う?」
  
  [リッタイホログラフ]の情報を夜のうちに精査したのだろう。正直、正面からぶつかる気が失せたようだ。それは私も同意見だった。
  
  「はっきり言いますが、連絡のつかない地域と住民は洗脳、もしくはアンデット化していると思われます。当然先発の軍団もです」
  
  私の答えに溜息をつき【やはりか~】という表情を浮かべる。
 味方がアンデットと化している。それと真正面からぶつからないといけない。相手が出来るのは夕方のみ、もしくは明け方のみになるだろう。それに、統率されたというモンスターの軍団の件もある。
  
  「ネクロマンサーの存在の可能性もありますね。それと、もしアトンを制御しているとしたら暗黒魔法を使う神官がついている可能性も・・・・・・」
  
 公爵は大きな溜息をついた。軍編成を変えることを考えているのだろう。
 正直、軍の手に負えるかどうか分からない状況だ。軍は生身の人間やモンスターならば十分に効果を発揮するが、魔法が絡んでくるとそうはいかない。慣れというものがないのだ。
 ゾンビなどに騎士団は後れを取ることはない。しかし騎士団の数はたかがしれている。しかも装備に問題がある。弓や槍はアンデットには不向きな武器だ。かといって打撃武器を長槍兵に全支給するほどの物量もない。それは最初の軍団が出陣する前に王国が鉄鉱石を買い集めたことが物語っている。
  
 「魔術師と神官を集めるしかないか・・・・・・な?」
  
 公爵の考えも正しい。しかし今回のルイスの街の戦いで魔術師ギルドは信用度ががた落ちしている。騎士と魔術師の混成部隊にして背後から狙われたらたまったものではない。
 結局のところ公爵との話はつかず、とりあえず出発し、王都で軍議を開き私のメイスが届くのを待つということになった。300程度の鋼のメイスが届いたところでどうなるのかという話だが、それでも戦力、戦術の幅が変わるそうだ。
  公爵は納品日を延ばし、私の溜め込んでいる鉄鉱石を買い上げて全てをメイスに作り替えてくれという恐ろしいことを言ってルイスを旅立った。何故か私に責任者を擦り付けて・・・・・・。

  私としては納品の日付が伸びたことは大変有り難い。今は街中の鍛冶屋がメイスを作成している。それは鋼ではなく鉄製のメイスだ。ここに溜まっていた鉄鉱石を分配して作業をしている。その商品はできあがり次第街の倉庫街に集められている。私の付与魔術を施すためだ。今回は領内に残った部隊の半数がルイスの街に戻ってきている。そのうちの一部が倉庫の護衛にあたっていた。
  
 「あ~、まったくあの公爵も人使いが荒い・・・・・・。儲けは出ているんだけどなぁ」
  
  思わず愚痴が漏れてしまった。最も商人としてではなく、製造業として成功しつつある自分がおかしくなり始めている。製造販売業も商人と言えば成功の範囲に入るのだろう。でも私の目指している商人像とは何かが違うのだ。
  
  
-----全てにキレてしまうカーソン-----
  
 そうこう考えながらメイスを作成しているとバスティが戻ってきた。美しい顔が真っ黒になっている。バスティは私の顔を見つけると小走りで近づいてきた。
  
 「主様! 木こり達が頑固すぎます、どうにかしてください!」
  
 烈火のごとく怒鳴り散らすバスティに私は新しい布を黙って差し出した。バスティは話を聞いて欲しいと息巻いている。その大声を聞きつけたのかミュールが近づいてきて・・・・・・笑った。
腹を抱えて。
 バスティは何故?という顔をして近くにあった水桶を覗き込んで、慌てて私の差し出した布を取り、顔を拭きだした。なんか拡げているような気もするが気にしないでおこう。
  
 「で、木こり達が頑固というのは大型の伏せ焼きに納得していないということなのか?」
  
 私の問いにバスティは顔を擦りながら[その通りです]と返してきた。顔を拭き終わったバスティは私の横に腰を下ろし話し始めた。
 木こり達がいうには魔法で木炭を作るのが邪道だといっているようだ。それに本来の釜の大きさを拡げるとまともな炭にならないと言っているらしい。本音は自分たちの仕事が減る事への危惧のなのだろうが・・・・・・。
  
 「ふむ。私が行くしかないかな・・・・・・。商工会のフェルナンデスも連れて行った方が良いか」
  
 私はミュールに工房を任せバスティと一緒に商工会を目指した。途中で破壊した街並みを見ながらの移動だ。
つい、こそこそと隠れてしまう。破壊された街並みは瓦礫があちらこちらに散らばっていた。片付けるのも大変だろう。私は廃棄場所などを考えながらふと思いついた。
  
 (そーか、使えない廃材を木炭にすれば良いのか! フェルナンデスに話をしてみよう)
  
 私が商工会に着いたとき、商工会はごった返していた。街並みごと破壊してしまったので新区画のデザインや建設関係の入札に関する人の出入りのようだ。皆、昨日の今日で仕事が早い。儲けるためにはこうでなくてはならないのだろう。
 私は少しうつむき加減で急いでフェルナンデスのいるところへ行く。ここも例外ではなくたくさんの人が押し寄せていた。主に山の所有者と木材の所有者だろう。私は対応している係員にフェルナンデスがいないのを確認して近くの職員に小声で声をかけた。
  
 「すみません、カーソンと申します。フェルナンデスさんをお願い出来ますか? 復興に関して早急に離したいことがあります」
  
 私の様子を少し訝しげな目で見つめた職員はいぶかしがりながら奥へと入っていく。復興の件もあるのだが公爵に頼まれた仕事もある。
暫くして呼びに行った職員が戻ってきて私を奥へと案内する。カウンターの前に並ぶ人々の視線がチラチラとこちらを意識していた。
  
 「どうも・・・・・・カーソンさん」
  
 そこには資料を目の前に山積みし、疲れた表情を浮かべたフェルナンデスと数人の職員がいた。フェルナンデスがソファーを勧める。私とバスティは勧められるまでに腰を下ろした。
  
 「・・・・・・もしかして、これですか? あなたが言っていた近いうちに必要になるという木炭の件は? どう考えてみても木炭ではなく木材自体が大量に・・・必要になっているんですがねぇ」
  
 フェルナンデスの一言に資料を眺めていた数人の視線が一気に集まった。目には殺気が籠もっている。
  
 「あ、いや、それとはまた別件です。これは、その、不可抗力という奴です」
  
 私は笑って誤魔化そうとしたが室内の雰囲気がそれを許さなかった。バスティだけは剣の柄に手を置いて当りを威嚇している。私はそのバスティを手で制してフェルナンデスに話しかけた。
  
 「あー、今回は木炭を作成する件でトラブルが起こったので、その仲裁をお願いしようと思って来たのですが・・・・・・」
  
 職員達の白い視線が突き刺さる。
  
 「・・・・・・見ての通り今は手が離せないのですよ。あなたにも会わないといけないと思っていたところです」
  
 フェルナンデスが言うには前回約束した木材の引き渡しが不可能になったと言うことだった。理由は簡単で破壊された地区の再開発のために木材を回さないといけないということだった。他にも破壊された家屋の撤去やそれをどう処分するかなどが話し合われているという。
  
 「その件でお伺いしたのですが・・・・・・」
  
 私はこの商工会に着くまでに思いついたことをフェルナンデスに話した。部屋にいた職員も作業を止めて耳を傾けている。
  
 「なるほど・・・・・・ね。よくそんなこと思いつきますね。確かに家屋に使われていた木材は良質の物が多いですがそれを利用するとは思いませんでした。それでしたら人手を撤去に集中させて木材の処理をお頼みするのも良さそうですね」
  
 私はついでにもうひとつの提案をした。この街の建物は基本的に木材と石で出来ている。木材と同時に石を撤去する必要もある。私はその石を労働力として提供することを提案した。
 簡単に言えば今稼働しているアイアンゴーレムに石を集める作業を集中してやらせ、使えない石を一カ所に集めストーンゴーレムを作成する。その間手の空いた人間を木材の撤去に当たらせる。廃材をそのまま私が木炭を作る予定の土地まで運搬するという計画だ。
 それを聞いた職員が各方面の担当者を大急ぎで呼びに行った。フェルナンデスもそれならば作業の効率化が進み、仮の家を建てられると言っている。
  
 「で、見返りは?」
  
 フェルナンデスはどれくらいの料金でゴーレムを提供し、どれくらいの価格で廃材を引き取るのかと聞いてきた。私はこの作業で儲けることは考えていなかったので当初の件だけを述べた。
  
 「木こりの説得? それで相殺すると?」
  
 腕組みをして天井を見つめるフェルナンデスは暫く口を開かなかった。フェルナンデスが考え込んでいる間に他の職員を呼びに行った者達が次々と担当責任者を連れて帰ってきて部屋の中は一杯になった。
  
 「場所を移しましょう」
  
 フェルナンデスが立ち上がり、各担当責任者が会議室へと向かう。フェルナンデスも私たちに着いてくるように促した。
  


 「・・・・・・という提案があったが、何か問題がある部署はあるかな?」
  
 フェルナンデスはもう一人の担当、先日殺害された担当者の後任で木材の責任者に昇格していた。各責任者達が周りの責任者達とひそひそと話している。暫くしてその中の一人が手を上げた。どうやら街の議会の代表者らしい。
  
 「カーソンさんと言ったか。結果的にあなたが破壊した街並みだ。ゴーレムの無償提供は当然の義務。それに廃材は買い取ってあなたが始末するのも義務ではないかな? まだカサンドラ公爵様が戻られていないのでそこから先は公爵様が決めることだが、賠償金の負担も欲しいものだ」
  
 議会の代表者は当然だろうという顔で私の方を睨み付けている。街の財政は分からないが今回のルイスの街の被害は莫大な金額になるそうだ。公爵の城の修理に縦に数キロの町の破壊。これだけを元に戻すのに正直どれくらいの金額と年月がかかるのかは私にも想像がつかない。
 私もそれを指摘されると頭が痛い。結果的に隣国からの侵攻を阻止したとしてもそれは王国の為であり、市民の利益には直結していないからだ。
 その指摘にバスティは剣の柄に手をかけながら震えていた。私はバスティの握りしめた手にそっと手を置いた。若干力が籠もっていたのには気がつかなかったが。
  
 「そうですか、分かりました。では、廃材の売値を算出できますか? ただし半日以内にお願いいたします。木炭が無いとなると私も商品の作成が出来ませんのですぐに依頼主(公爵)に報告して契約を解除しないといけませんので」
  
 私の言葉に議会の代表はそんな簡単には出せないと返事を返した。議会で会議を開き、公爵の承認を貰ってから返事をすると言う。まあ当然の話なのだが。
 私は頭が沸騰していたので、その言葉に半ば切れ気味に返答をしてしまった。
  
 「わかりました。では今稼働しているゴーレムは街にお譲りいたします。魔術師ギルドの方を数名呼んでください。それと追加でもう10体作成いたします。あと瓦礫は結構です、値段と賠償額が決まったら自宅へお知らせください」
  
  私はそれだけ言うと立ち上がった。バスティも慌てて立ち上がる。議会の代表者は儲けてやったという顔をしている。隣にいるフェルナンデスの目に不安そうな感情が浮かんでいた。
  
 「それとフェルナンデスさん。先日話していた木材の件ですがこちらも結構です。どうぞ街の復興に使ってください」
  
 会議室にいる全員がざわざわと騒ぎ出す。フェルナンデスも思わず立ち上がっていた。私はもうひとつの考えがあるので単純にそれを実行して穴埋めをするつもりだった。
 とりあえず依頼主との契約を破棄するという建前は言ってみたがそのような気はない。商人としてはそれだけは譲れないのだ。受けた依頼はこなさなければいけない。
私はそのまま会議室を後にした。フェルナンデスが慌てて後を追ってくる。
  
 「カーソンさん、あの、お気持ちは分かります。他国から救っていただいたことも。お願いですからもう一度戻って話し合いをして貰えませんか?」
  
 フェルナンデスは泣きそうな顔をして話しかけてきた。しかし私は折れる気はなかった。確かに街は破壊した。その代わり街を救った。もっともそれはついでだったが。ただなんかこう・・・・・・言葉に表現できない感情が沸き上がってきていた。
 廃材も言い値で買い取るつもりだったが、まともに話そうとしない(まともな話なのかもしれないが・・・・・・ねぇ)議会の代表の態度に我慢できず、これ以上話し合いをするつもりはなかった。
  
  「申し訳ないね、フェルナンデスさん。木炭もこちらで何とかするから必要ないですよ。私は今度の納品が終わったらこの街を去るつもりです。ここまでです」
  
 正直今後の当ては無いが、色々と限界だった。
 手付け金の金貨5000はまだそっくり残っている。これをカサンドラ公爵へ返却し、二つの街の中の土地を売り払い、ミルトとバスティとルールウに渡してもまだ蓄えはある。ミュールとユーリカを連れて郊外の土地へ移住しても暮らしていけるだろう。最悪別の土地に移住することも考えていた。
 石切場で働いているゴーレム達やオアシスのアラクネ達の事も考えなくてはならない。
 とりあえず入り口まで追いかけてきたフェルナンデスにお礼を述べて私は商工会を後にした。


-----玉鋼とメイス作成-----

 「主様、これからどうするおつもりですか?」
  
 バスティが早足で歩く私に声をかけてきた。私は商工会を出たその足でユーリカのいる工事現場に向かっている。
バスティの問いには答えずに全く別の話題を振った。
  
 「なぁ、バスティ。炎の精霊イーグニスに長時間たたら炉と同じ火力は起こせるかな?」
  
 私の突然の問いにバスティは首をかしげた。しばらく待って可能だと返事か来る。私は今考えていた事をバスティに伝える。
  
 「それは可能ですが、従来のやり方以外で出来る物なのですか?」
  
 私は正直やってみないと分からないと答えた。本当に分からないのだ。ただ今まで鋼を作成してきた行程を見ている限り、木に拘る必要は無いと思っている。実際に必要なのは純粋な熱を長時間同一な温度で与え続けることだろう。本当にそれで完成すれば良いのだが。
 それだけ聞くとあとは何を聞かれても話さなかった。とりあえずユーリカを回収して家で話すとだけ伝える。バスティは納得はしていなかったがとりあえずついてきてくれた。
 しばらく歩くとユーリカがゴーレム10体を使い瓦礫の撤去をしていた。住民達と協力し上手くやっているようだ。私はユーリカの近くに行って声をかけた。
  
 「ユーリカ、帰るぞ。作業は中止だ」
  
 私の一言にユーリカが全てのゴーレムの作業を止めた。住民達も何事かと集まってくる。
  
 「ご主人様、まだ日は高いですけど良いのですか?」
  
 ユーリカが問いかけてくる。私は別に構わないと言ってユーリカとバスティを連れてその場を離れる。その時住民の一人が話しかけてきた。周りに多くの住民が集まってくる。
  
 「どうして作業を中止なさるのですか?」
  
 私は住民達の問いに簡潔に答えた。
  
 「街を破壊した賠償金と瓦礫の撤去費用を請求するそうだ。瓦礫は言い値で買い取るつもりだったがね。そういう訳でゴーレムは全て街に譲った。追加で10体のゴーレムを後で届ける。あとは街の担当者と話し合ってくれ」
  
 それだけ言って集まった住民を睨み付けて歩き出す。住民達は複雑そうな顔をして道を空ける。
道が空いたので私は住民達を残し半壊した家へと戻っていった。
  
  
 私は家に帰るとメイスの作成作業をヒートゴーレムとヘカトンゴーレムだけに任せ、バスティにルールウを呼びにやった。
 同時に竜型ゴーレムにフォルミードと共にミルトを大至急連れてくるように伝え送り出す。
 ミュールとユーリカに食事を作るように伝えて私は素材置き場に来ていた。側にはサンダーゴーレムが控えている。サンダーゴーレムにゴーレム1体分の鉄を10個作るように指示を出す。サンダーゴーレムが分けている間に、出来上がっているメイスに依頼されていた付与魔術をかけていく。

 (さて、残りのメイス分の木炭があればいいのだがなぁ・・・・・・)

 私は鉄をより分けてゆくサンダーゴーレムを眺めながら今後、どうするかを必死に考えていた。
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