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こちら付与魔術師でございます 戦争と商売拡大編
こちら付与魔術師でございます Ⅸ 中央平原攻防戦 Ⅶ
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「どうやらたどり着いたみたいですね。
と、移動も開始しましたか」
私の言葉にマルキ・ロワは唖然とした表情を浮かべる。
どう考えても絶望的だった救出をあっという間にやってのけたのだ。
「さて、フォルミード。 道を作ってやってくれ。」
「ヒトヅカイノアライゴシュジンダナ」
金属の擦れるような声で金属でできた小竜フォルミードが城壁の下へと降りてゆく。
「元帥、少し城壁が削れてもいいですか?」
私の言葉にマルキ・ロワは頷く。
「まあ、削れるものならなぁ。これは花崗岩を魔法で強化してあるからな、遠慮なくやれ」
「了解」
私が返事をすると同時に私の頭上に影が差す。
どうやら師匠が降りてきたようだ。
城塞都市の各所から悲鳴が上がる。
それはそうだ、視認できる距離に竜が降りてきているのだ。
亜竜や幼竜ではない。
年季の入った成龍だ。
おっと年季なんて本人の前で言ったら何をされるか分からない。
「元帥、あれ、私の知り合いなので攻撃しないように伝達をお願いします」
私の言葉にマルキ・ロワはあきれた表情を浮かべる。
「あんなのまで知り合いなのか……。カサンドラ公爵もまた……」
首を横に振りながらマルキ・ロワは近くにいた将軍に全軍へ攻撃不可の伝達を出す。
また市中にも伝令を出した。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
ドッツンンンンンン!!
鈍い音が城壁を揺らす。
どうやらフォルミードが音速突撃をかけたらしい。
私は若干不安になって城壁の下を覗く。
フォルミードも少しは頭を使ったらしく城壁から離れたところが抉れていた。
しかし衝撃波はやはり城壁を少なからず抉っていた。
ガラガラと崩れる城壁の表面。
それをみた魔術師たちが真っ青になり修復を試みてる。
ちなみに城壁近くに生き残っていたモンスターや亡者たちは、そのほとんどが壁に叩きつけられたり逆側に吹き飛ばされていた。
「本当に削りよったわ」
マルキ・ロワが城壁の下を覗きこみながらあきれたように呟いた。
「カサンドラ公爵の配下の方たちはこれで大丈夫として、問題はですね」
私は亡者たちが向かってくる奥の霧を見つめる。
そこには巨大な人影がある。
問題はその後ろ。
霧よりも更に濃い何かがあるのだ。
どうもそこから亡者たちが発生しているような気がする。
「ん? あの黒いところか?
巨人は最初から気づいていたがあれはいつ発生した?」
マルキ・ロワは近くにいた魔術師に問いかける。
「いえ、あれはいつの間に……?」
魔術師も首をかしげる。
その濃い何かを見つめているとその中から巨大な存在が飛び出した。
それも一体ではなく数十、数百という数が次々と飛び出してくる。
ワイバーンゾンビ、飛竜ゾンビ、グリフォンゾンビ、ペガサスゾンビ、ありとあらゆる飛行生物のゾンビが体液や肉片をまき散らしながら飛び立ってきた。
その情景に攻撃をしていた城壁の上の兵や魔術師たちが浮足立つ。
「飛行系ゾンビだと……」
慌てて空中へと向かい弓を構える兵達。
どう考えてもまだ届かない距離なのだが動揺した兵たちは気にも留めない。
次々と無駄な矢が空を飛んでゆく。
「ええぃ、やめんか! 敵はまだ遠くだ、まずは近づいてくる地上を叩けっ!」
地上はというと更に霧の中から出て城壁に近づいてくる亡者たちは増えている。
それも最初の数万という単位ではない、川から河口、海へという風に列を作り、広がり押し寄せてきていた。
「なんですか、これは!」
突然横から響く声。
そこには下から戻ったバスティ達の姿があった。
「無事に戻れたようだね」
私の言葉にバスティは「えぇ」とだけ小さく答えた。
「で、あれは何? 下からだとここまで多いとは分からなかったわ」
そう、それほどの数の亡者達が押し寄せてきているのだ。
そしてそれは空も同様だった。
「うん、なんとなく予想は付いているんだけれども……」
私は確信がなかったため言葉を濁す。
「こんなのどうしようもないじゃない」
バスティは亡者の海を見ながら呟いた。
「ちょっとまずいかなぁ。一掃しようにもまだなぁ」
向こうで今だに眠っているミュールを横目に私は空を見上げた。
空から降りてくる竜の影はかなり巨大なものになっている。
「あれに頼るしか無いかなぁ」
私とバスティの会話にマルキ・ロワも黙って空を見つめていた。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「やあ、カーソン。 元気だったかね」
城壁から百メートル以上上空で突然竜は上昇した。
その竜の背中から一つの球体が城壁の上へ降り立つ。
私は何故か直立不動になっていた。
かつかつと踵を鳴らしながら近づいてくる師匠。
私と師匠の間に立ちふさがるバスティ。
そして……。
「ゴチッ」
いつの間にか目の前にいた師匠からの拳骨。
「あんたねぇ。あれ程あの魔法は使うなと言ったでしょう」
目の前に立ちふさがっていたバスティも唖然として振り返っていた。
当然マルキ・ロワも。
「どうも。
わたくしの不詳の弟子がご迷惑をおかけしておりませんか」
私に拳骨を落とした師匠は横にいたマルキ・ロワへと挨拶をする。
マルキ・ロワも丁寧に挨拶を返していた。
なんて自由なひとだ。
「で、師匠。 どうしてここに?」
私は拳骨を喰らった頭を押さえながら師匠に話しかける。
師匠は私を睨みつけ、そして視線をあの霧の中の濃いところに向けた。
「あれよあれ。 なんであれが開いているのよ」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
黄泉比良坂
現世とあの世の境界線。
死の国への入り口。
「ああ、やっぱり。 あれがそうなのですね」
私は師匠の言葉にうなずいた。
確信がなかったので言葉には出さなかったが……。
私と師匠以外は何のことだかわからないという表情を浮かべている。
「ちょっと、私たちにもわかるように説明してくれない?」
バスティが私と所使用の間に割り込んでくる。
マルキ・ロワも同じく頷いていた。
「ああ、あれは死の国と現世を結ぶ回廊です。
これでどんどん亡者の数が増えている理由が分かりました」
私の言葉に二人とも何が起こっているかはっきりとしない表情だ。
「まあ、簡単に言えばこの世界で死んだすべての生き物が溢れ出しているといえば……」
そう言った途端、バスティが私の首に掴みかかってくる。
「この世界で死んだすべての生き物ですって?
それってどれだけの数だと……」
「さぁ?
数億で足りるかなぁ……」
私の言葉に私たちの会話が聞こえていたすべての者達の顔色が土気色に変化する。
「阿保。
聞こえるように言うやつがあるか。 士気を下げてどうする」
本日二度目の拳骨を受ける私であった。
と、移動も開始しましたか」
私の言葉にマルキ・ロワは唖然とした表情を浮かべる。
どう考えても絶望的だった救出をあっという間にやってのけたのだ。
「さて、フォルミード。 道を作ってやってくれ。」
「ヒトヅカイノアライゴシュジンダナ」
金属の擦れるような声で金属でできた小竜フォルミードが城壁の下へと降りてゆく。
「元帥、少し城壁が削れてもいいですか?」
私の言葉にマルキ・ロワは頷く。
「まあ、削れるものならなぁ。これは花崗岩を魔法で強化してあるからな、遠慮なくやれ」
「了解」
私が返事をすると同時に私の頭上に影が差す。
どうやら師匠が降りてきたようだ。
城塞都市の各所から悲鳴が上がる。
それはそうだ、視認できる距離に竜が降りてきているのだ。
亜竜や幼竜ではない。
年季の入った成龍だ。
おっと年季なんて本人の前で言ったら何をされるか分からない。
「元帥、あれ、私の知り合いなので攻撃しないように伝達をお願いします」
私の言葉にマルキ・ロワはあきれた表情を浮かべる。
「あんなのまで知り合いなのか……。カサンドラ公爵もまた……」
首を横に振りながらマルキ・ロワは近くにいた将軍に全軍へ攻撃不可の伝達を出す。
また市中にも伝令を出した。
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ドッツンンンンンン!!
鈍い音が城壁を揺らす。
どうやらフォルミードが音速突撃をかけたらしい。
私は若干不安になって城壁の下を覗く。
フォルミードも少しは頭を使ったらしく城壁から離れたところが抉れていた。
しかし衝撃波はやはり城壁を少なからず抉っていた。
ガラガラと崩れる城壁の表面。
それをみた魔術師たちが真っ青になり修復を試みてる。
ちなみに城壁近くに生き残っていたモンスターや亡者たちは、そのほとんどが壁に叩きつけられたり逆側に吹き飛ばされていた。
「本当に削りよったわ」
マルキ・ロワが城壁の下を覗きこみながらあきれたように呟いた。
「カサンドラ公爵の配下の方たちはこれで大丈夫として、問題はですね」
私は亡者たちが向かってくる奥の霧を見つめる。
そこには巨大な人影がある。
問題はその後ろ。
霧よりも更に濃い何かがあるのだ。
どうもそこから亡者たちが発生しているような気がする。
「ん? あの黒いところか?
巨人は最初から気づいていたがあれはいつ発生した?」
マルキ・ロワは近くにいた魔術師に問いかける。
「いえ、あれはいつの間に……?」
魔術師も首をかしげる。
その濃い何かを見つめているとその中から巨大な存在が飛び出した。
それも一体ではなく数十、数百という数が次々と飛び出してくる。
ワイバーンゾンビ、飛竜ゾンビ、グリフォンゾンビ、ペガサスゾンビ、ありとあらゆる飛行生物のゾンビが体液や肉片をまき散らしながら飛び立ってきた。
その情景に攻撃をしていた城壁の上の兵や魔術師たちが浮足立つ。
「飛行系ゾンビだと……」
慌てて空中へと向かい弓を構える兵達。
どう考えてもまだ届かない距離なのだが動揺した兵たちは気にも留めない。
次々と無駄な矢が空を飛んでゆく。
「ええぃ、やめんか! 敵はまだ遠くだ、まずは近づいてくる地上を叩けっ!」
地上はというと更に霧の中から出て城壁に近づいてくる亡者たちは増えている。
それも最初の数万という単位ではない、川から河口、海へという風に列を作り、広がり押し寄せてきていた。
「なんですか、これは!」
突然横から響く声。
そこには下から戻ったバスティ達の姿があった。
「無事に戻れたようだね」
私の言葉にバスティは「えぇ」とだけ小さく答えた。
「で、あれは何? 下からだとここまで多いとは分からなかったわ」
そう、それほどの数の亡者達が押し寄せてきているのだ。
そしてそれは空も同様だった。
「うん、なんとなく予想は付いているんだけれども……」
私は確信がなかったため言葉を濁す。
「こんなのどうしようもないじゃない」
バスティは亡者の海を見ながら呟いた。
「ちょっとまずいかなぁ。一掃しようにもまだなぁ」
向こうで今だに眠っているミュールを横目に私は空を見上げた。
空から降りてくる竜の影はかなり巨大なものになっている。
「あれに頼るしか無いかなぁ」
私とバスティの会話にマルキ・ロワも黙って空を見つめていた。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「やあ、カーソン。 元気だったかね」
城壁から百メートル以上上空で突然竜は上昇した。
その竜の背中から一つの球体が城壁の上へ降り立つ。
私は何故か直立不動になっていた。
かつかつと踵を鳴らしながら近づいてくる師匠。
私と師匠の間に立ちふさがるバスティ。
そして……。
「ゴチッ」
いつの間にか目の前にいた師匠からの拳骨。
「あんたねぇ。あれ程あの魔法は使うなと言ったでしょう」
目の前に立ちふさがっていたバスティも唖然として振り返っていた。
当然マルキ・ロワも。
「どうも。
わたくしの不詳の弟子がご迷惑をおかけしておりませんか」
私に拳骨を落とした師匠は横にいたマルキ・ロワへと挨拶をする。
マルキ・ロワも丁寧に挨拶を返していた。
なんて自由なひとだ。
「で、師匠。 どうしてここに?」
私は拳骨を喰らった頭を押さえながら師匠に話しかける。
師匠は私を睨みつけ、そして視線をあの霧の中の濃いところに向けた。
「あれよあれ。 なんであれが開いているのよ」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
黄泉比良坂
現世とあの世の境界線。
死の国への入り口。
「ああ、やっぱり。 あれがそうなのですね」
私は師匠の言葉にうなずいた。
確信がなかったので言葉には出さなかったが……。
私と師匠以外は何のことだかわからないという表情を浮かべている。
「ちょっと、私たちにもわかるように説明してくれない?」
バスティが私と所使用の間に割り込んでくる。
マルキ・ロワも同じく頷いていた。
「ああ、あれは死の国と現世を結ぶ回廊です。
これでどんどん亡者の数が増えている理由が分かりました」
私の言葉に二人とも何が起こっているかはっきりとしない表情だ。
「まあ、簡単に言えばこの世界で死んだすべての生き物が溢れ出しているといえば……」
そう言った途端、バスティが私の首に掴みかかってくる。
「この世界で死んだすべての生き物ですって?
それってどれだけの数だと……」
「さぁ?
数億で足りるかなぁ……」
私の言葉に私たちの会話が聞こえていたすべての者達の顔色が土気色に変化する。
「阿保。
聞こえるように言うやつがあるか。 士気を下げてどうする」
本日二度目の拳骨を受ける私であった。
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