お客様の言いなり!?

みちる

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☆デート??☆

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 振り向くとそこには素敵な彼の姿が。

ん?今さっきはジーパンにパーカー姿だった彼。

何故? 今ここに居る彼は高そうなスーツをビシッと着ている。何? どうしたの?

『服着替えられたんですか?』

不思議そうな顔の私に彼は爽やかに笑う。

『ちょっとね。まぁー・・着いて来れば分かるよ。』

え?着いて来ればって何処へ行くの?

不安そうな私に『大丈夫、大丈夫!』と苦笑いの彼。

着いた先はお洒落なカフェ。私がいつも来るようなカフェじゃなく、品の有るオシャレなカフェ。

『うわぁ。オシャレなカフェですね。』

『そうだろ? 気に入ってもらえて良かったよ。』

と、安心した様に言い、席に着く。ココのカフェはとても広々としていて、椅子はソファのようにフカフカで、とても居心地が良い。

『何頼む? あっ!仕事上がりだし、お腹空いてるんじゃないの?』

確かにお腹空いてる。けど、言えないよ。それに、緊張して食べれないよ。どうしよう。私が困っていると、じゃあ、勝手に頼んじゃっていい?と聞き、メニューをピラピラめくる彼。

『奈々ちゃんは甘いの好き? コーヒーは砂糖入り?』

と聞いてきた。

『あっ。コーヒーはいつもお砂糖なしです。でも、甘い物は好きです。』

『おー。意外だな。可愛い顔してるから、甘いコーヒーが好きなのかなと思っていたよ。』

『いえ・・そんな可愛い顔だなんて、全然ですよ。よく童顔だからか苦いコーヒーダメでしょとか言われます。』

そういうと、『可愛いイメージでいいじゃんか。』

と笑う彼。あーかっこいいな。大人の男の人。それにとても一緒にいて安心するよ。  

お腹が空いているのを雰囲気で気付いてくれた中川さんは、サンドウィッチとコーヒーを頼んでくれた。そして、1人じゃ食べにくいだろ? と一緒に食べてくれた。

本当に優しい。けど、なんか話したい事って言ってたよね。何なんだろう?

食べ終わり、落ち着いた頃。彼は私に一枚の名刺を渡した。何だろうと見ると、それは彼の名刺。

『中川コーポレーション  代表取締役社長 中川 仁  』

『あ?中川さんって・・・テレビで見た事ある! あの有名な会社の社長さんだったんですか?』

私は驚き、興奮気味に言った。

『あはは。奈々ちゃんは素直で可愛いね。そうそう。そんな有名な・・なんて恐縮だけどね。』

『私、ずっと何処かで見た事がある気がしていたの。』

中川コーポレーションは赤ちゃんの離乳食や幼児食、飲料などの食品。哺乳瓶や抱っこ紐などなど・・赤ちゃん用品を扱う大手の会社。そこの社長さんだったなんて。

『それでね、奈々ちゃんに話があるんだ。 実はこんな年の離れた奴に言われると、困ると思うけど、人目見て奈々ちゃんの事気に入ってしまってね。 俺の専属の秘書になってくれないかな。』

『え?ひ・・秘書? 私資格も何も無いですし、何も出来ないですよ。』

『資格も経験も何も要らないよ。ただ俺の側に居てくれたらそれだけで良い。』

『で・・でも、私実は下に3人弟と妹がいまして、家の為にも働かないといけないんです。少しでも両親の負担を減らしたくて、お弁当屋さんで働いてるんです。』

『奈々ちゃんは本当にいい子だ。ただ働きなんて、誰も言ってないよ。秘書として、ちゃんと給料は払うよ。ただ、俺の側に居て欲しい。後は、奈々ちゃんが働く姿を見て、この子は本当に面倒見が良いんだなと思った。うちは、赤ちゃん用品を扱っているだけでなく、専門の講師を招き、子育ての講習会もよく開いている。その間は赤ちゃんだけ預かり、母親達は講習会に参加する。無理の無い程度で良いから、赤ちゃんの世話だけはお願いしないといけない。』

私は下の兄弟のお世話をして来たので、赤ちゃんのお世話も出来ない事は無い。けど、毎日こんな素敵な人といると私心臓が持たないな。どーしたら良いの?

『奈々ちゃんの素直な気持ちが知りたいんだ。俺は奈々ちゃんに本気で惚れてしまったみたいだよ。だから、奈々ちゃんの気持ちも、奈々ちゃん自身の事も大切にしたい。奈々ちゃんの気持ちを知りたい。』

私の素直な気持ち・・・溢れ出す私の気持ち。もう隠さなくてもいいよね。

『私は初めて見た時に、本当に素敵な人だなと思いました。お客様として来て下さり、あなたがとても優しい人だと感じ、いつ間にか中川さんが来るのを待っていました。ドキドキして、緊張して、どうすれば良いのか分からないですが、私な中川さんが好き・・みたいです。』

中川さんは目を見開いて固まっていた。そして、

『マジかぁー。マジですっげぇ嬉しい。こんなおっさん、相手にしてくれないと思ってたよ。』

『私もこんなガキを相手にしてくれないと思ってました。』

2人で顔を見合わせフフッと笑う。そして、しばし沈黙の後、中川さんは真剣な顔で言った。

『奈々ちゃん。俺たち、付き合うか?まぁー、拒否権はねぇけどな。』

え?口調変わった?しかも、突然俺様キャラになったよね。何?二重人格者!?ブツブツ言いながら、百面相中の私に彼は笑い言った。

『こっちが本当の俺。一応社長だからよ、口調とか使い分けてんの。彼女の前位はリラックスしてぇだろ。素の俺で居たいんだ。』

『そ・・そうなんですか。びっくりしました。私は紳士的な中川さんも好きですけど、俺様な中川さんはもっと好きです。』

言った後に恥ずかしくなり、真っ赤になってしまった。

『あれ?奈々ちゃん積極的ー!えらいストレートに言ってくれたね。』

とあははと笑う中川さん。砕けた喋り方になり、かなり喋りやすくなった。

『顔真っ赤だけど、大丈夫?見てやろうか?』

と顔を近付けて来る・・・

『ひゃ・・ひゃひゃ・ひゃひゃ・・』

意味不明な言葉を発する私。爆笑する彼。あーダメだー。

『そうだ。奈々ちゃん。今から敬語は無しな!それから名前で呼んで。俺は奈々って呼ぶよ。』

『え・・えっと、でも恥ずかしいです。』

すると中川さんは・・・立ち上がり、私のほっぺにチュッ・・・

え?え?えぇ? 今の何?パニックな私に『可愛い』と笑う彼。

『今から敬語使ったらほっぺたにブチューするぞっ。それから、名前は?ほら呼んでみ?』

『ブチューって。恥ずかしいじゃないです・・恥ずかしいよ。えーっと、仁さん? 仁君?仁ちゃん?』

『仁ちゃんはないないー!それ以外で!はいっ。どうぞっ!』

『じ・・・仁くん。』

『うん。合格!』

中川さん・・じゃなく、仁くんは優しく笑った。あー私、この人の笑った顔好きだな。もっと笑った顔見たいな。

『奈々っ!』

不意に呼ばれ、ドキッとした私。

『秘書の件はどうしたい? 俺はお前をずっとそばに置いときたい。弁当屋と奈々の両親には俺も一緒に話してやる。だから、良い返事を貰いたい。』

『あ・・私は何も出来ないですが、私も仁くんのそばに居たいです。なので、お願いします。』

仁くんはニヤリと笑い、わたしのほっぺたにチュ。そして、ほっぺたじゃなくて、唇って言っとけば良かった。とブツブツ言い、

『ありがとうー。すっげぇ嬉しい。』

と言い、頭をヨシヨシしてくれた。

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