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三の罪状
ターゲット発見
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「世良……様……」
重厚な扉を開けて入って来た人物。
それは先程の執事風の男だった。
「随分と派手にドンパチしてたみたいですねぇ……。で、侵入者は片付いたのですか?」
ワイングラスを片手にソファーに腰掛けたまま、でっぷりと私腹を肥やしたdiva頭目、世良はにやけながら彼にそう問う。
報告があってから、優に一時間程は経過しただろうか。
全てが片付くには充分な時間だ。
「……どうしたのです? まさか原型を残してないとかの報告じゃないでしょうね?」
世良のダミ声が男へと突き刺さる。
侵入者の排除は当然として、それが一番の問題。
世良の期待に沿えられなければ、下手したら己が密輸品に成りかねない。
「そ……それが……」
何処か顔色のすぐれない表情の男は、よたよたと不規則な足取りで、世良の下へと歩み寄ろうとしている。
それは失態の報告なのか――
「ば……化け物っ――!!」
突然の異変。男は歩みを止め、両手で顔を覆いだした。
「……何を……してるんです?」
その疑問は当然。何やら奇妙な男の状況。
「あ……ああ……あぁあぁぁあぁぁぁっ!!」
掻きむしる様な手の動きに、言葉に成らぬ呻き声を上げたかと思うと――
“バシャッ”
「あぼぁっ!!」
突如男の顔から、目、口、鼻、耳、あらゆる体孔より、真水なのか体液なのか分からぬ液体が、勢いよく放出されていたのだ。
「ひぃっ!」
それを目の当たりにした世良は驚愕の声を上げ、男はそのまま棒切れの様に倒れ込んだ。
状況から死亡したのは一目瞭然。
それでも尚、暫しその躰は不規則な痙攣を繰り返していた。
“一体……何が?”
「ターゲット見っけ」
訳の分からぬ異常な状況に、世良の思考もままならないまま、何処よりか聞こえた声。
「――っ!?」
その声が聞こえた出所――扉の向こうには、時雨と雫の二人が並び立っていた。
「ななななっ――何ですか一体君達はっ!?」
突然の事に世良の声が上擦っているが、それもある意味当然だろう。
“侵入者はたったの二人? 護衛が六十人以上居たはずだぞ!?”
しかも全員が武装したプロ集団。
眼前の二人は、髪や目の雰囲気こそ異質だが、武装してる素振りすら無い。
そんな連中が護衛の包囲網を潜り抜け、此処まで来る事自体が死体以外では不可能なはず――
「あれ? こいつで間違い無いよな? どう見ても只の豚なんだけど……」
そんな世良の思惑等、彼にとってはどうでもいいのか、隣の雫へと確認を促していた時雨。
彼は資料を殆ど読んでいなかったのか、ターゲットとの一致に困惑だ。
「ああ……」
ターゲット本人で間違い無い事を雫は面倒臭そうに頷いたが、元よりターゲットのみならず組織の殲滅自体が依頼完遂条件なので、時雨が“豚”と称した中年が誰であろうと、全て消去する事に変わりはない。
「おお、そうかそうか。じゃあどうやって始末つけてやろうかな? あんまり時間も無ぇ事だし……」
時雨が一歩前に出、唖然としたままの世良へと歩み寄る。
時間が無いと言ってた割には、それは何処か嬉しそうな表情で。
「ままっ待て! 待てくれっ!! 護衛は? 護衛はどうしたぁっ!?」
「あん? 護衛?」
幾ら何でも全員が殺られるはずが無いと、目の前で護衛の一人が不可解な死を遂げたにも拘わらず訊くそれは、現実逃避の顕れだ。
「ああ、あの粗大ゴミね。確か全部で六十八体だったっけ?」
まだ状況が呑み込めない世良、もとい只の豚に向けて伝える冷酷な事実――
「そこら辺で全部肉塊とミキサーにかけられてるよ。まあ……殺ったのは殆ど俺だけどね」
命を命として見ていないそれは、只の屠殺ですらもない。
親指で辺りを差しながら、彼はそう愉快な表情で――笑っていた。
「世良……様……」
重厚な扉を開けて入って来た人物。
それは先程の執事風の男だった。
「随分と派手にドンパチしてたみたいですねぇ……。で、侵入者は片付いたのですか?」
ワイングラスを片手にソファーに腰掛けたまま、でっぷりと私腹を肥やしたdiva頭目、世良はにやけながら彼にそう問う。
報告があってから、優に一時間程は経過しただろうか。
全てが片付くには充分な時間だ。
「……どうしたのです? まさか原型を残してないとかの報告じゃないでしょうね?」
世良のダミ声が男へと突き刺さる。
侵入者の排除は当然として、それが一番の問題。
世良の期待に沿えられなければ、下手したら己が密輸品に成りかねない。
「そ……それが……」
何処か顔色のすぐれない表情の男は、よたよたと不規則な足取りで、世良の下へと歩み寄ろうとしている。
それは失態の報告なのか――
「ば……化け物っ――!!」
突然の異変。男は歩みを止め、両手で顔を覆いだした。
「……何を……してるんです?」
その疑問は当然。何やら奇妙な男の状況。
「あ……ああ……あぁあぁぁあぁぁぁっ!!」
掻きむしる様な手の動きに、言葉に成らぬ呻き声を上げたかと思うと――
“バシャッ”
「あぼぁっ!!」
突如男の顔から、目、口、鼻、耳、あらゆる体孔より、真水なのか体液なのか分からぬ液体が、勢いよく放出されていたのだ。
「ひぃっ!」
それを目の当たりにした世良は驚愕の声を上げ、男はそのまま棒切れの様に倒れ込んだ。
状況から死亡したのは一目瞭然。
それでも尚、暫しその躰は不規則な痙攣を繰り返していた。
“一体……何が?”
「ターゲット見っけ」
訳の分からぬ異常な状況に、世良の思考もままならないまま、何処よりか聞こえた声。
「――っ!?」
その声が聞こえた出所――扉の向こうには、時雨と雫の二人が並び立っていた。
「ななななっ――何ですか一体君達はっ!?」
突然の事に世良の声が上擦っているが、それもある意味当然だろう。
“侵入者はたったの二人? 護衛が六十人以上居たはずだぞ!?”
しかも全員が武装したプロ集団。
眼前の二人は、髪や目の雰囲気こそ異質だが、武装してる素振りすら無い。
そんな連中が護衛の包囲網を潜り抜け、此処まで来る事自体が死体以外では不可能なはず――
「あれ? こいつで間違い無いよな? どう見ても只の豚なんだけど……」
そんな世良の思惑等、彼にとってはどうでもいいのか、隣の雫へと確認を促していた時雨。
彼は資料を殆ど読んでいなかったのか、ターゲットとの一致に困惑だ。
「ああ……」
ターゲット本人で間違い無い事を雫は面倒臭そうに頷いたが、元よりターゲットのみならず組織の殲滅自体が依頼完遂条件なので、時雨が“豚”と称した中年が誰であろうと、全て消去する事に変わりはない。
「おお、そうかそうか。じゃあどうやって始末つけてやろうかな? あんまり時間も無ぇ事だし……」
時雨が一歩前に出、唖然としたままの世良へと歩み寄る。
時間が無いと言ってた割には、それは何処か嬉しそうな表情で。
「ままっ待て! 待てくれっ!! 護衛は? 護衛はどうしたぁっ!?」
「あん? 護衛?」
幾ら何でも全員が殺られるはずが無いと、目の前で護衛の一人が不可解な死を遂げたにも拘わらず訊くそれは、現実逃避の顕れだ。
「ああ、あの粗大ゴミね。確か全部で六十八体だったっけ?」
まだ状況が呑み込めない世良、もとい只の豚に向けて伝える冷酷な事実――
「そこら辺で全部肉塊とミキサーにかけられてるよ。まあ……殺ったのは殆ど俺だけどね」
命を命として見ていないそれは、只の屠殺ですらもない。
親指で辺りを差しながら、彼はそう愉快な表情で――笑っていた。
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