8 / 21
7話
しおりを挟む
「さあ、付いたぞ、麗しの我が家だ」
ユハ達は森の中にある打ち捨てられた別荘の廃墟にたどり着いた。定住をしないユハ達は一時ここを間借りしていた。別荘は二階建てで大型車を格納できるガレージを備えた立派なものだが。放置されて時間が経ったせいか、薄汚れていて、徐々に自然に帰ろうとしているように見える。何故捨てられたのかは、ユハ達には知る由もなかった。しかし見る目のあるものが見たら、交通の便が悪い上に周囲の木々のせいで昼間でも薄暗いため、陰気な雰囲気が漂っており、そのために買い手が付かなかったと推測できるだろう。
「ユハ、今の今までいったい何をやっていた?」
玄関で待ち構えていたカイメラの男が尋ねた。男は長身痩躯で、角はユハに似た長く湾曲したものだが、髪は対照的に真っ黒の長髪で、切れ長の目が神経質そうな印象を与える。ユハの兄のアジュダハだ。
「ごめんなさい、アジュダハ」
ユハは手短に謝罪を済ませ、逃げるように寝床に付こうとするが。
「ユハ、アジュダハの言うことを聞きなさい」
母のユラヌスに引き止められた。ユラヌスは中年のカイメラで角は息子同様湾曲したものが生えており、髪は灰色をしていた。腰や尻に肉が付いており、かつては肉感的で女性的な体系をしていたことがうかがえる。しかし今では緩み切っており、それが彼女を実年齢以上に老け込んでいるように見せていた。
「ずっと昼回りを続けてた。ちょっと気になる奴がいたから」
「説明になっていないな。何故ここまで時間がかかった?深追いは厳禁と再三言い含めたはず」
ユハの答えには満足しなかった、アジュダハが追及を続けた。
「一度見失って見つけるのに時間がかかっただけ」
「だとしても、まずは、我々の指示を仰ぐべきだ。対象の特徴を報告し本部の厳正なる審議の末、初めて昼回りの標的に適当かが決定されるのだ。これは単純に標的の質を吟味するという意味にはとどまらない、我々の安全を守るリスク管理の側面もある。それを十分に把握した上での行動か?」
ユハは一応本当のことを答えたものの、アジュダハの追及は止まらなかった。言いたいことを全て言い切るまで止まらないといった感じで激しくまくしたてる。どうやら今夜はとことんやる気らしい。こうなったアジュダハに逆らっても火に油を注ぐだけだ。
「……ごめんなさい、ちょっと迂闊だった。次からはちゃんと気を付けるよ」
ユハはとりあえず素直に謝罪した。アジュダハの怒りが収まるまで、何とか耐えるしかない。
「妙にしおらしいな。よもや例のくだらない草集めでここまで時間がかかったのではあるまいな?」
「……そんな……そんなことは……」
「やはりそうか、一族有数の魔力を持つ故今まで特別扱いしてきたが、どうやらお前は自分自身の力を正しく使うことができないらしいな。我々のこの力の意味を全く理解していないようだ。このまま成果が出ないなら昼回りを抜けてもらうか」
実際はノートをなくしていたため植物の収集はできなかったのだが、こうも頭ごなしに避難されるとついつい狼狽してしまう。しかしアジュダハにはその様子を肯定と取られてしまう。
「私もそれには、賛成よ。そもそも私はユハを昼回りに行かせるのは最初から反対だったわ。15歳で昼回りだなんて聞いたことがない」
母のユラヌスまで話に乗ってきてしまった。ずいぶんまずい方向へ話が進んでしまっている。今昼回りを外されてしまったら、明日ノートを回収できない。
「……え……ちょっと待って!」
ユハがなんとか弁明を試みようとしたとき。
「ただいま!ハイ、コレ今日の夜回りの成果」
玄関から夜中には似つかわしくない明るい声が響いた。”夜回り”から帰ってきたカイメラの男児たちだ。ユハぐらいの年頃の男児は通常”夜回り”という役目に従事する。夜回りの目的は単刀直入にいって生活必需物資の確保だ。一族の男児たちが夜間人目を避けレストランの廃棄食品や、捨てられた衣類、外部の情報収集に使われる古新聞や古雑誌を収集する。外社会での身分を持たぬユハらはこういった方法で日々の糧を得る必要があった。変身を長時間にわたって維持できるようになるまではこの仕事に従事し、以降は昼回りを務める。通常20代前半までは夜回りの任に付くのだが、一族でも有数の魔法の才を持つユハは例外的に15歳の若さで昼回りを任されていた。
「ふむ、やはり少ないな」
アジュダハが今日の夜回りの成果を確認していった。一族の中では知恵者とされるアジュダハはコミュニティ全体の監督をする役割を担っている。
「しょうがないだろ。こんなに早く帰ってきたんだから」
夜回りを担当した一族の男児の一人が答えた。
「もう帰ってきたの」
彼らが異常に早く帰ってきたのでユハは驚いて尋ねた。通常夜回りは日の入り直前まで行われる。今日のように深夜に帰宅するのは明らかに早すぎた。
「私が帰らせた、お前が遅いので大事を取ってな」
アジュダハが答えた。こういった判断を下すのも彼の役割だ。
「なあ!フレム!せっかく早く帰ったんだからビデオ見たい!」
「ビデオ見るの?私も見たい!」「私も!」
男児の声を聞きつけて家屋の奥から女児たちが集まってくる。彼女たちは基本的に家の外に出ることはない。基本的に女性はコミュニティの内部にとどまり、家事に従事する。女性からしか血統を紡いでいけないカイメラにとって、女性は何よりも守るべき存在。危険な外部に行くのは男だけでよい。
「ヘイヘイ、お任せください、おぼっちゃま方」
フレムが慇懃無礼に答え、準備を始める。フレムは建物の自室から古い磁気媒体メディアの再生装置をガレージに運んだ。変圧器やらなにやら必要なものを組み上げ例の古びた自動車のバッテリーへ接続する。建物にはもうとっくの昔に電力は届いておらず、機器を動かすには自動車のバッテリー使用するほかなかった。
「私も見たいわ、今日は早かったから御飯の準備にはまだ時間があるし」
「我が、細君の望みとあらば」
ユラヌスの要望に慇懃無礼に応えた。
「ユハはどうする?」
男児のうちの一人が聞く。
「僕はいい」
ユハは誘いを断った。夜回りの為に昼間寝ていた男児らと違ってユハはもう眠ってしまいたかった。それに、そもそもユハはビデオにもうあきていた。
(それ見るのもう何十回目とかじゃないか)
彼らが見る磁気媒体の映像メディアは現在では既に生産が終了しており、新しいものが調達されることはなかった。そのため借りられたレパートリーをローテーションで繰り返し見ている。いい加減飽きが来そうなものだが、他に娯楽があるわけでもないので皆同じものを見続けている。因みにテレビの放送は何年も前にデジタルへ移行して以来見れなくなってしまった。
「あ!そうかお前は草の方が好きだったもんな!」
「アハハハ!」
ユハは皆から嘲笑されるが、無視した。今日は本当に色々あった、だからもういちいち反応している元気がない。
「アジュダハは?」
「私はいい、これらの情報源を読む必要があるのでな、お前たちと違って世情に明るくある必要がある」
そういうと、アジュダハは夜回りで回収してきた雑誌やら新聞をもって自室へ向かった。
「ハーイ!」
子供たちが元気よく答えた。彼らは目上のアジュダハには素直に従う。
「あの……アジュダハ……さっきはああ言ったけど、本当に遊んでたわけじゃないんだ」
ユハが自室へ向かうアジュダハに話しかけた。しばらくたってアジュダハの頭も冷えている。今なら説得ができるかもしれない。
「面白い奴を見つけて。そいつはアヨウって奴で、外国から来たタルタリアン」
「ふむ、続けろ」
「例の大学に通ってて、たぶんアジュダハの欲しがってる頭のいい奴だと思う。体も健康。だから、明日も昼回りに行っていい……?」
アジュダハが興味を引くようアヨウのことを説明した。正体がばれたことは言わなかった、そのことが知れたら、昼回りを外されるぐらいでは済まない。これで何とか説得できればいいが。
「ふん、いいだろう、昼回りの解任の件はひとまず保留にしよう」
ユハは安堵の息を吐いた。とりあえずノートの回収はできそうだ。
ユハ達は森の中にある打ち捨てられた別荘の廃墟にたどり着いた。定住をしないユハ達は一時ここを間借りしていた。別荘は二階建てで大型車を格納できるガレージを備えた立派なものだが。放置されて時間が経ったせいか、薄汚れていて、徐々に自然に帰ろうとしているように見える。何故捨てられたのかは、ユハ達には知る由もなかった。しかし見る目のあるものが見たら、交通の便が悪い上に周囲の木々のせいで昼間でも薄暗いため、陰気な雰囲気が漂っており、そのために買い手が付かなかったと推測できるだろう。
「ユハ、今の今までいったい何をやっていた?」
玄関で待ち構えていたカイメラの男が尋ねた。男は長身痩躯で、角はユハに似た長く湾曲したものだが、髪は対照的に真っ黒の長髪で、切れ長の目が神経質そうな印象を与える。ユハの兄のアジュダハだ。
「ごめんなさい、アジュダハ」
ユハは手短に謝罪を済ませ、逃げるように寝床に付こうとするが。
「ユハ、アジュダハの言うことを聞きなさい」
母のユラヌスに引き止められた。ユラヌスは中年のカイメラで角は息子同様湾曲したものが生えており、髪は灰色をしていた。腰や尻に肉が付いており、かつては肉感的で女性的な体系をしていたことがうかがえる。しかし今では緩み切っており、それが彼女を実年齢以上に老け込んでいるように見せていた。
「ずっと昼回りを続けてた。ちょっと気になる奴がいたから」
「説明になっていないな。何故ここまで時間がかかった?深追いは厳禁と再三言い含めたはず」
ユハの答えには満足しなかった、アジュダハが追及を続けた。
「一度見失って見つけるのに時間がかかっただけ」
「だとしても、まずは、我々の指示を仰ぐべきだ。対象の特徴を報告し本部の厳正なる審議の末、初めて昼回りの標的に適当かが決定されるのだ。これは単純に標的の質を吟味するという意味にはとどまらない、我々の安全を守るリスク管理の側面もある。それを十分に把握した上での行動か?」
ユハは一応本当のことを答えたものの、アジュダハの追及は止まらなかった。言いたいことを全て言い切るまで止まらないといった感じで激しくまくしたてる。どうやら今夜はとことんやる気らしい。こうなったアジュダハに逆らっても火に油を注ぐだけだ。
「……ごめんなさい、ちょっと迂闊だった。次からはちゃんと気を付けるよ」
ユハはとりあえず素直に謝罪した。アジュダハの怒りが収まるまで、何とか耐えるしかない。
「妙にしおらしいな。よもや例のくだらない草集めでここまで時間がかかったのではあるまいな?」
「……そんな……そんなことは……」
「やはりそうか、一族有数の魔力を持つ故今まで特別扱いしてきたが、どうやらお前は自分自身の力を正しく使うことができないらしいな。我々のこの力の意味を全く理解していないようだ。このまま成果が出ないなら昼回りを抜けてもらうか」
実際はノートをなくしていたため植物の収集はできなかったのだが、こうも頭ごなしに避難されるとついつい狼狽してしまう。しかしアジュダハにはその様子を肯定と取られてしまう。
「私もそれには、賛成よ。そもそも私はユハを昼回りに行かせるのは最初から反対だったわ。15歳で昼回りだなんて聞いたことがない」
母のユラヌスまで話に乗ってきてしまった。ずいぶんまずい方向へ話が進んでしまっている。今昼回りを外されてしまったら、明日ノートを回収できない。
「……え……ちょっと待って!」
ユハがなんとか弁明を試みようとしたとき。
「ただいま!ハイ、コレ今日の夜回りの成果」
玄関から夜中には似つかわしくない明るい声が響いた。”夜回り”から帰ってきたカイメラの男児たちだ。ユハぐらいの年頃の男児は通常”夜回り”という役目に従事する。夜回りの目的は単刀直入にいって生活必需物資の確保だ。一族の男児たちが夜間人目を避けレストランの廃棄食品や、捨てられた衣類、外部の情報収集に使われる古新聞や古雑誌を収集する。外社会での身分を持たぬユハらはこういった方法で日々の糧を得る必要があった。変身を長時間にわたって維持できるようになるまではこの仕事に従事し、以降は昼回りを務める。通常20代前半までは夜回りの任に付くのだが、一族でも有数の魔法の才を持つユハは例外的に15歳の若さで昼回りを任されていた。
「ふむ、やはり少ないな」
アジュダハが今日の夜回りの成果を確認していった。一族の中では知恵者とされるアジュダハはコミュニティ全体の監督をする役割を担っている。
「しょうがないだろ。こんなに早く帰ってきたんだから」
夜回りを担当した一族の男児の一人が答えた。
「もう帰ってきたの」
彼らが異常に早く帰ってきたのでユハは驚いて尋ねた。通常夜回りは日の入り直前まで行われる。今日のように深夜に帰宅するのは明らかに早すぎた。
「私が帰らせた、お前が遅いので大事を取ってな」
アジュダハが答えた。こういった判断を下すのも彼の役割だ。
「なあ!フレム!せっかく早く帰ったんだからビデオ見たい!」
「ビデオ見るの?私も見たい!」「私も!」
男児の声を聞きつけて家屋の奥から女児たちが集まってくる。彼女たちは基本的に家の外に出ることはない。基本的に女性はコミュニティの内部にとどまり、家事に従事する。女性からしか血統を紡いでいけないカイメラにとって、女性は何よりも守るべき存在。危険な外部に行くのは男だけでよい。
「ヘイヘイ、お任せください、おぼっちゃま方」
フレムが慇懃無礼に答え、準備を始める。フレムは建物の自室から古い磁気媒体メディアの再生装置をガレージに運んだ。変圧器やらなにやら必要なものを組み上げ例の古びた自動車のバッテリーへ接続する。建物にはもうとっくの昔に電力は届いておらず、機器を動かすには自動車のバッテリー使用するほかなかった。
「私も見たいわ、今日は早かったから御飯の準備にはまだ時間があるし」
「我が、細君の望みとあらば」
ユラヌスの要望に慇懃無礼に応えた。
「ユハはどうする?」
男児のうちの一人が聞く。
「僕はいい」
ユハは誘いを断った。夜回りの為に昼間寝ていた男児らと違ってユハはもう眠ってしまいたかった。それに、そもそもユハはビデオにもうあきていた。
(それ見るのもう何十回目とかじゃないか)
彼らが見る磁気媒体の映像メディアは現在では既に生産が終了しており、新しいものが調達されることはなかった。そのため借りられたレパートリーをローテーションで繰り返し見ている。いい加減飽きが来そうなものだが、他に娯楽があるわけでもないので皆同じものを見続けている。因みにテレビの放送は何年も前にデジタルへ移行して以来見れなくなってしまった。
「あ!そうかお前は草の方が好きだったもんな!」
「アハハハ!」
ユハは皆から嘲笑されるが、無視した。今日は本当に色々あった、だからもういちいち反応している元気がない。
「アジュダハは?」
「私はいい、これらの情報源を読む必要があるのでな、お前たちと違って世情に明るくある必要がある」
そういうと、アジュダハは夜回りで回収してきた雑誌やら新聞をもって自室へ向かった。
「ハーイ!」
子供たちが元気よく答えた。彼らは目上のアジュダハには素直に従う。
「あの……アジュダハ……さっきはああ言ったけど、本当に遊んでたわけじゃないんだ」
ユハが自室へ向かうアジュダハに話しかけた。しばらくたってアジュダハの頭も冷えている。今なら説得ができるかもしれない。
「面白い奴を見つけて。そいつはアヨウって奴で、外国から来たタルタリアン」
「ふむ、続けろ」
「例の大学に通ってて、たぶんアジュダハの欲しがってる頭のいい奴だと思う。体も健康。だから、明日も昼回りに行っていい……?」
アジュダハが興味を引くようアヨウのことを説明した。正体がばれたことは言わなかった、そのことが知れたら、昼回りを外されるぐらいでは済まない。これで何とか説得できればいいが。
「ふん、いいだろう、昼回りの解任の件はひとまず保留にしよう」
ユハは安堵の息を吐いた。とりあえずノートの回収はできそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる