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転校初日
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「はぁ…」
溜息を吐きながら重い足取りで学校へ向かう、歩。
(何もこんな時期に転校なんて、父さんもタイミング悪すぎなんだよ…)
中学1年生の3月、春休みを迎える終業式を終えて、歩は学校から帰宅すると、母と父からテンション高めに告げられる。
「歩、父さん来月転勤になったんだ♪」
「歩!お父さん、東京に転勤ですって!」
「えーー!?なんでこの時期に!?しかもなんでそんなにテンション高いの!」
「だって東京ドームで野球見放題だよ!」
「だって表参道とかでお買い物できるし、銀座でお茶もできるのよ!嬉しくないわけないじゃない!」
リビングで円を描きながら踊り狂う2人とは反対に、歩は頭の整理が追いつかなかった。背負ったリュックが肩から床にずり落ちることに気づかないほどに。
その後すぐに引越し、転校が決まり、今日に至る。
中学に入学してからの歩は友達ができないまま2学期を終えようとしていた。
だが、たまたま席替えで前後になった、仲良人くんと仲良くなり、ようやく学校が楽しいと感じ始めていた。
つい最近の出来事にも関わらず、歩にはそれさえも懐かしく思えていた。
(俺が友達作るのにどれだけ苦労してたか知らないから、母さんたちは呑気なんだろうなぁ)
歩は俯きながら学校の門を通り、職員室で簡単に手続き等を済ませる。
「おはよう。君が転校生くんかな?」
「はい…」
「じゃあ教室へ行こうか」
見慣れぬ廊下や階段、人見知りの歩には不安しかなかった。
目的の場所に着くと、担任の後ろについて教室に入る。
転校生というだけで、好奇の視線が身体に刺さる。
顔を上げられないまま、教師は黒板に歩の名前を書き記す。
「今日からこのクラスの一員になる根古田歩くんだ。じゃあ自己紹介して」
担任に背中を軽く押され、歩は1歩前に出る。
下を向いたままでいると、緊張のあまりじんわりと冷や汗をかき始める。
極限状態に立たされた歩はついに自暴自棄になる。
(ここまできたらどうなってもいい!脱ぼっちだ!とりあえず明るく自己紹介!)
「根古田歩、13歳!趣味は読書!好きな食べ物はハンバーグです!よろしくお願いしゃっますっす!」
(勢い余って余計なこと言った気もするし、最後噛んじゃったけど、元気さはアピールできたはず…)
歩は勢いよくお辞儀をしながら心の中で自己紹介を軽く振り返る。
しかし、上手く自己紹介が出来たと思ったものの、周りからは沈黙が流れる。
(え…なんで、こんなに静かなの!?やっぱり最後に噛んだのがいけなかったのか?それとも好きな女の子のタイプとかも言った方が良かったのか!?視線が痛すぎて顔上げられないんですけど!)
微動だにできない歩をフォローするかのように教師は補足をつける。
「みんな、根古田はわかんないことだらけだろうから、色々教えてやってくれ。じゃあ根古田の席は窓側の一番奥の席な」
教師の言葉を皮切りに歩はゆっくりと顔を上げる。恐怖しかない教室を視界に入れる。
歩はクラスメイトの姿に目を見張る。
歩をじっと見つめる瞳。
それは総勢20匹のネコたちだった。
艶のある毛並み、たなびくヒゲ、アンテナのようにそびえたつ耳。学生服を着ている点を除けば間違いなく普通のネコだ。
教卓に立つ教師もスーツを着ているネコ。
ネコの習性(1)縄張り意識が強い。新入りが入ってくると警戒する。
歩は心の底から思いを声に出して叫んだ。
「なんでやねんっっ!!!!」
溜息を吐きながら重い足取りで学校へ向かう、歩。
(何もこんな時期に転校なんて、父さんもタイミング悪すぎなんだよ…)
中学1年生の3月、春休みを迎える終業式を終えて、歩は学校から帰宅すると、母と父からテンション高めに告げられる。
「歩、父さん来月転勤になったんだ♪」
「歩!お父さん、東京に転勤ですって!」
「えーー!?なんでこの時期に!?しかもなんでそんなにテンション高いの!」
「だって東京ドームで野球見放題だよ!」
「だって表参道とかでお買い物できるし、銀座でお茶もできるのよ!嬉しくないわけないじゃない!」
リビングで円を描きながら踊り狂う2人とは反対に、歩は頭の整理が追いつかなかった。背負ったリュックが肩から床にずり落ちることに気づかないほどに。
その後すぐに引越し、転校が決まり、今日に至る。
中学に入学してからの歩は友達ができないまま2学期を終えようとしていた。
だが、たまたま席替えで前後になった、仲良人くんと仲良くなり、ようやく学校が楽しいと感じ始めていた。
つい最近の出来事にも関わらず、歩にはそれさえも懐かしく思えていた。
(俺が友達作るのにどれだけ苦労してたか知らないから、母さんたちは呑気なんだろうなぁ)
歩は俯きながら学校の門を通り、職員室で簡単に手続き等を済ませる。
「おはよう。君が転校生くんかな?」
「はい…」
「じゃあ教室へ行こうか」
見慣れぬ廊下や階段、人見知りの歩には不安しかなかった。
目的の場所に着くと、担任の後ろについて教室に入る。
転校生というだけで、好奇の視線が身体に刺さる。
顔を上げられないまま、教師は黒板に歩の名前を書き記す。
「今日からこのクラスの一員になる根古田歩くんだ。じゃあ自己紹介して」
担任に背中を軽く押され、歩は1歩前に出る。
下を向いたままでいると、緊張のあまりじんわりと冷や汗をかき始める。
極限状態に立たされた歩はついに自暴自棄になる。
(ここまできたらどうなってもいい!脱ぼっちだ!とりあえず明るく自己紹介!)
「根古田歩、13歳!趣味は読書!好きな食べ物はハンバーグです!よろしくお願いしゃっますっす!」
(勢い余って余計なこと言った気もするし、最後噛んじゃったけど、元気さはアピールできたはず…)
歩は勢いよくお辞儀をしながら心の中で自己紹介を軽く振り返る。
しかし、上手く自己紹介が出来たと思ったものの、周りからは沈黙が流れる。
(え…なんで、こんなに静かなの!?やっぱり最後に噛んだのがいけなかったのか?それとも好きな女の子のタイプとかも言った方が良かったのか!?視線が痛すぎて顔上げられないんですけど!)
微動だにできない歩をフォローするかのように教師は補足をつける。
「みんな、根古田はわかんないことだらけだろうから、色々教えてやってくれ。じゃあ根古田の席は窓側の一番奥の席な」
教師の言葉を皮切りに歩はゆっくりと顔を上げる。恐怖しかない教室を視界に入れる。
歩はクラスメイトの姿に目を見張る。
歩をじっと見つめる瞳。
それは総勢20匹のネコたちだった。
艶のある毛並み、たなびくヒゲ、アンテナのようにそびえたつ耳。学生服を着ている点を除けば間違いなく普通のネコだ。
教卓に立つ教師もスーツを着ているネコ。
ネコの習性(1)縄張り意識が強い。新入りが入ってくると警戒する。
歩は心の底から思いを声に出して叫んだ。
「なんでやねんっっ!!!!」
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