約束の君-Five bonds-

霜月秋穂

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1章《始まりの音》

4話:夢と現実

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奇跡の様な出会いから始まった高校初日を終え家に帰ると、私はしまい込んでいた神社のお守りを久しぶりに取り出していた。
「伝承神社……このお守りが翔馬に会わせてくれたのかな……なんて、そんな訳ないか……でもまた会えて良かった……」
私はお守りをぎゅうと握り心の中でありがとう……と呟いた。
そして私はお守りを再び宝箱へしまうと眠りに着いた。

翌朝

私は駅で待ち合わせをしていた美希と一緒に電車に乗った。
美希は早速昨日の事を私に聞いてきた。

「で?羽月?昨日あの後どうだったの?約束通り事情聴取しないとね!」

「事情聴取って、別に何でもないよ!普通にみんなで公園に行って翔馬とは昔の話しをしたりして…本当にそれだけだよ?美希が言ってたイケメンはみんな翔馬の友達だっただけだし。」

「ほほ~ん?何もない?私は誤魔化されないわよ!昨日まで翔馬くんってくん付けで呼んでたのに、今日は翔馬って呼び捨てしてる所が怪しい!絶対に何か有ったよね?」

美希は鋭く私が翔馬の事を呼び捨てにしている事に気付くとその事について突っ込みを入れてきたのだ。
「鋭い……って、コレは特別何か有った訳じゃなくて翔馬がくん付け辞めてほしいって言ったからで……」

「辞めて欲しいね~?それは翔馬くんにとって羽月が特別だからとかじゃないの?絶対に何かある!これからも羽月と翔馬くんの事はしっかりと目を光らせておかないと!」

「えっ……考え過ぎだよ……」

そんな話しをしていると電車は高校の有る駅に到着した。
だが……

「ちょ……なに⁉改札の外でうちの高校の女子が人だかり作ってんだけど!」

私と美希が改札まで来ると改札の外の様子を見た美希が声を上げた。
改札の外にはうちの学校の女子生徒が人だかりを作っていたのだ。
私も流石に驚き関わらない様に駅を後にしようと思い人だかりを避けて歩いた。
すると人だかりの向こうから声が聞こえた。

「羽月!」

「翔馬?」

私は声を聞くと直ぐに翔馬だと分かった。
だが、そこに居たのは翔馬だけでは無かった。

「イケメンファイブズ!?」

美希の言うとおり、そこには昨日の5人が揃っていたのだった。

「羽月ちゃ~ん!迎えに来たよん!」

「た、岳瑠くん……みんな……」

私は人だかりは余り好きでは無かったし、みんなが私の名前を呼ぶたびにその人だかりから冷たい視線が飛んできて突き刺さるのも分かったので長居はしたくないと思い、苦笑いしつつ頭を下げると私は逃げる様に足早に高校へ向った。
美希もその状況を察したのか私の後ろを追うように付いてきた。
私と美希が背を向け歩き出すと後ろから翔馬達が走ってくるのが分かった。

「あ、おい、羽月!」

「羽月ちゃん待ってよ~!」

「やれやれ……だから辞めた方が良いと言ったのに。」

「へへん!最高じゃん!みんな俺様達のファンだろ?まるでアイドルみたいでテンション上がるぜ!」

「龍慈、そんな呑気な事言ってる場合じゃないよ。俺達絶対に羽月ちゃんの迷惑になってるって。」

翔馬達の後からは取り巻きと思われる女子が追いかけてくる様子が見え私はゾッとした……出来るだけ後ろを見ない様に高校へ向った。

「ちょっと、羽月?なんか凄い事になってるけど大丈夫?」

逃げる様に高校へ向う私の事を心配し美希が声を掛けてくれたが、自分でもなんでこんな事になってるのかと頭の中はいっぱいいっぱいで走る事しか出来なかった。
私は高校に着くと足早にクラスに向った。
クラスに着くと私は自分の席に座り沈黙していた。
遅れて美希がクラスに着くと私に駆け寄ってきた。

「羽月?大丈夫?」

「………………………。」

私は頭の中で必死に状況整理をしていた。なんでこうなった……なんで翔馬達が駅に居た……なんで私は逃げてるんだ……と……

「無理……」

「え?無理って?本当に大丈夫?」

「無理!あの痛すぎる視線耐えられない……」

「あ、あはは……まあ…イケメンファイブズ引き連れてたらね……」

「引き連れてる訳じゃないって!」

「まあまあ、でも羽月の知り合いなんでしょ?」

「そうだけど……」

私はこれからの事を考えると溜息しか出なかった。
翔馬やみんなと高校生活を楽しめるのは嬉しいと思っていたが、みんなと居ると取り巻きの女の子から冷たい視線を向けられるのかと思うと少し恐れすら感じていたから。
私がそんな事を考えていると廊下から翔馬の声が聞こえた。
「羽月、ちょっといいか?」

「え?翔馬?」

「おお、噂をすれば……早く行ってきなさいよ!」

私は美希に背中を押されればクラスのみんなの視線を感じつつ廊下に居る翔馬の元へ向った。

「えっと………さっきはごめん…その……」

「別に、さっきの事は拓弥に説教されしな。」

「え?拓弥くんに?」

「目立つ行動は天観さんの迷惑になるから辞めるようにってさ。」

「そ、そうなんだ……」

私は周りの目を気にしつつ翔馬と話していた。
学校だと変に気を使い落ち着いて話せなかった。
翔馬はそんな様子に気付くといきなり私の腕を掴み歩き出した。

「え?ちょ……翔馬?」

翔馬は何も言わず何処かに向かい歩き続けた。
私は周りの視線も気になってしまいその後は何も言わずついて行った。
翔馬は天文部の教室の前に着くと中に入って扉を締めた。

「ここなら周りのやつ気にせず話せんだろ?休み時間とか時間がある時は此処に来い。あいつらにも話しとくから。」

「でもここって天文部の部室でしょ?勝手に使って大丈夫なの?」

「天文部の奴なら好きに使って良いって先輩が言ってたから平気。」

「天文部って、私は吹奏楽部だよ?」

「俺が天文部だからいい。」

「そ、そういうものなのかな……」

私はちょっと心配はあるものの翔馬が良いと言うなら良いのかなと思い近くの椅子に腰掛けた。

「羽月、吹奏楽部だったんだな。」

「え?うん、音楽に関われる様な部活が良かったから。」

「音楽に関われる部活?なんか理由有るのか?」

「夢だから。」

「夢?」

私はちょっと恥ずかしかったが翔馬に自分の夢の事を話した。
翔馬は私の話しを真剣に聞いていた。

「音楽の力で思いを届ける事が出来たら素敵だなって……私みたいな人見知りでも歌の力を借りたら自分の思いをたくさんの人に伝える事が出来るのかなとか……でも私には作詞や作曲の才能もなくて……そんな時に音楽雑誌で音楽プロデューサーの記事が載ってて……歌う人と聞く人の架け橋になる仕事って書いて有ったから……音楽に関われる仕事ならやってみたいって……」

「音楽か……羽月、夢持ってて凄いな。俺には何もないから。部活だって天文部選んだのはなんか一番楽そうだったって理由だし。」

「そうなの?翔馬は夢とかないの?」

「無い……夢なんか見たって俺は意味ないし。」

翔馬は夢の話しになると何故か寂しそうな顔を見せた。
私は意味ないなんて事ないよ。と言い返そうと思ったが翔馬の寂しそうな顔を見たら何故だが言葉が出なくなってしまった。

「まあ、俺の夢が有るとしたら…羽月の夢を叶えてやりたい……かな。」

「翔馬……」

「お前の夢が俺の夢って事で!」

(キーンコーンカーンコーン)

「あ、早く戻んねぇとホームルーム始まるな!」

翔馬に声を掛けたかったがタイミング良くチャイムがなると返事を返すタイミングを逃してしまい私は小さく頷きその話しを終わらせてしまった。
その後、私と翔馬は急いでそれぞれのクラスに戻った。

今日からは授業もあり、私の本格的な高校生活が始まった。
1時限目の授業を終え休み時間になったが翔馬のクラスは次の時間は体育らしく天文部の部室へ行った所で誰もいない可能性も有ったので私は教室からボーッと外を眺めていた。
グラウンドには1組の生徒の姿が有った。
私は何気なく翔馬の姿を探していた……
私が周りを見回すとグラウンドでかなりの速さで走る翔馬の姿が見えた。

「早っ……翔馬って本当足早いよね…昔からだったけど……」

私がそんな事を呟きながらグラウンドを眺めていると美希が声を掛けてきた。

「羽月!幼馴染の王子様でも眺めてんの?」

「えっ!?美希!?……王子様って……ただの友達だよ。」

私は美希の声に驚きつつも話しの内容を聞けば左右に首を振り否定をした。

「友達ね~?もう朝から羽月と翔馬くんが付き合ってるんじゃないかって噂になってるよ?朝の感じだとそう思われても仕方ないよね~。ま、私は応援してるよ!」

「え?ちょ、ちょっと!噂とか応援とか、本当何でも無いんだって!」

そんなやり取りを窓辺でしているとグラウンドの方から視線を感じ私はグランドの方を見た。
さっきまで走っていたはずの翔馬がこっちを見て手を振っていた。

「翔馬!?」

「羽月はそんな気が無くても翔馬くんはどうなのかしらね~?」

私は少し恥ずかしくなり手を振り返えす事が出来なかったが、代わりに美希が手を振り返してくれていた。
そんな感じて休み時間が終わったが、私は次の時間の授業に集中出来なくなっていた。

「翔馬……どう思ってるんだろ……ただの幼馴染だよね。」

私はその後の休み時間も部室へは行かなかった。
少し抵抗有ったのと変な恥ずかしさが有り、行った所でまともに話せない気がしていたから。

そしてその日のお昼休み

私は美希と一緒に屋上でお弁当を食べる事にした。
私が美希と屋上へ行くとまだ誰も屋上には居なかった。
私と美希は屋上に置かれたベンチに腰掛けお弁当を開いた。
私の高校には屋上庭園が有り生徒は自由に入って良い事になっていたので屋上庭園を楽しみながらお弁当を食べていた。

「やっぱり屋上は見晴らし良いよね~!私がこの高校選んだのはこの庭園が気に入ったのも有ったんだよね~」

「美希、入学前から話してたよね、入学したらお昼ご飯は絶対に此処で食べる!って…私も好きだよ。」

「だよね!ついに夢が叶ったよ!これからも雨の日以外は此処でランチ!」

私が美希とお弁当を食べていると他の生徒もパラパラと屋上に姿を現した。
その中に翔馬の姿も有った。

「翔馬?」

「羽月?どしたの?」

「ううん、翔馬が……」

屋上に姿を現した翔馬は何処か寂しそうな顔をしていた。

「翔馬くん?声掛けたら?」

「え?うん……でも……なんか今声掛けていいのかな……」

なんとなく声を掛け辛い雰囲気があり私が目で追っていると翔馬は屋上庭園の奥の方へ一人で歩いて行ってしまった。

「翔馬くん何か有ったの?羽月、話してきたら?」

「うん、そう……だね。声掛けて良いのか心配だけどちょっと行ってくる……」

私は寂しげな翔馬の様子が気になり一人で様子を見に行く事にした。
私が様子を見に行くと翔馬は庭園の一番奥で一人でパンを食べていた。
その様子はやっぱり寂しげで捕まえて居ないと今にも消えてしまいそうなそんな感じがした。

「翔馬!」

「羽月?お前も来てたんだな?どうした?なんか不安そうな顔してる様に見えるけど。」

「えっ?そ、そんな事無いよ。ただ…翔馬を見てたら今にも消えちゃいそうに見えて……」

「………消えちゃいそうに……か……」

「うん……私、おかしいのかな?会ったばっかりなのにいきなり消えたりしないよね?」

「っ…………あ、当たり前だろ。俺はお化けかよ、変なやつ。」

私が消えたりしないよねと言った時、翔馬は何故か少し驚いた様子をしたが、その後は何時もの翔馬に戻った様に見えた。

「ご、ごめん。翔馬にまた会えたこと自体が私の中では奇跡に近くて……たまにこれは夢か幻なんじゃないかって不安になる時が有って……」

翔馬は私の話しを真剣なまなざしで聞いていた。私が自分の思っている事を話し終えると翔馬は何も言わず私の方へ歩いてきて頭の上にポンと手を乗せると安心させようとしたのかそっと頭を撫でてくれた。

「…………現実だよ…バーカ。」

「翔馬……」

「そんな顔してんなよ。羽月は笑ってる方が可愛いんだからな。」

「えっ!!」

私はそんな事を言われるとは思って居なかったので翔馬の言葉に恥ずかしさが込み上げて来て顔は熟したイチゴ以上に真っ赤になってしまていった。

「お前、大丈夫かよ?熱でもあるんじゃないかってぐらい顔赤いぞ?」

「ちがっ、翔馬が変な事言うからだよ!」

「俺、なんか変な事言ったか?」

「もう、なんか心配して損した!私、美希が心配してるから向こうに戻る!」

私は恥ずかしさでその場に居られなくなると逃げる様に美希の所へ戻った。
その時一度でも翔馬の方を振り返っていれば良かったのかもしれない……

「……本当、大きくなったんだな羽月……まあ、変わらない方が問題だもんな……あいつの新しい夢…一緒に叶えてやりたかったな………俺はいつまで約束が守れるのかな……」

私は美希の元へ戻ると残っていたお弁当を黙々と食べ続けた。


「羽月?なんか有った?」

「何でも無い!」

お昼休みを終えると午後の授業が始まった。
午後の授業を終えると高校初の部活動の時間が待っていたので私はワクワクしながら午後の授業を受けていた。
そして帰りのホームルームを済ませると私は急いで音楽室に向かった。
音楽室に向かう途中には天文部の教室があり、私は天文部の教室の前に差し掛かると一度立ち止まった。

「天文部……今日は活動してるのかな……」

天文部の教室の中は誰も居ないのか静まりかえっていた。

「翔馬……私の夢を叶える事が夢って言ってたけど……本当に夢とか無いのかな………」

私は翔馬と話していた夢の話しを思い出すと翔馬の夢は本当に無いのだろうかと少し考えてしまった。
だが本人が居ないのに考えていても仕方ないと思えば音楽室に向かった。

部活が始まると最初に音楽の基礎知識を色々と教えてもらえた。
私は勉強になる事ばかりだったので授業の時以上に真面目にノートを取っていた。
部活初日は基礎知識を教えてもらい次にある吹奏楽学のコンクールに向けての役割分担を決めて終わった。
私は今回はフルートを担当する事になった。

「フルート……中学でも吹奏楽は経験してるけど……初心に戻った気持ちで1から頑張るぞ!」

部活を終えると私はそんな事を言いながら音楽室を後にした。
美希はテニス部だったので時間が合うか分からないから先に帰ってと言っていたので私はそのまま門へ向って歩いた。
門の近くへ行くと誰かが立っていた。
私は最初、翔馬かなと思ったがそこに居たのは岳瑠くんだった。

「羽月ちゃ~ん!お疲れ!」

「あれ?岳瑠くん?どうしたの?みんなは?」

「やっぱりね!聞かれると思った~、朝はごめんね?なんかオレ達羽月ちゃんに迷惑掛けちゃってたみたいだったからさ。あの後みんなで相談して学校では個別に羽月ちゃんに会うって決めたんだ!」

「あ、そうだったんだ?なんか私もごめんね。」

「いいのいいの!羽月ちゃんは悪くないからさ!そんな事より今日はオレが羽月ちゃんを駅まで送るって事に決まったからオレが駅まで送るね~!」

「え?送るって?」

「翔馬が羽月ちゃんが部活の時一人で帰るのは危ないとか心配翔馬になってるから!担当を決めて羽月ちゃんを送ることになりました~!最初は翔馬が一人でって言ってたけどオレもたまには羽月ちゃんと話しとかしたいしさ!」

「そうなの?でもみんなは何で私の事………」

私は岳瑠くんの話しを普通に聞いていたが翔馬はともかく何でみんなが私の事を気にするのか不思議に思うと岳瑠くんに聞いてみることにした。

「何でって?そりゃ、羽月ちゃんはもうオレ達の友達だし!友達が危険な目に合ったら嫌じゃん!特に羽月ちゃんは女の子だしね?」

「友達……」

「そっ、友達!他に質問は?」

「え?無い……です。」

「じゃ、帰ろっか!」

私は昨日友達になったばかりの岳瑠くんたちが自分を送ってくれるなんて、そんな事本当にあるんだろうかと内心思いつつも小さく頷き歩き出した。

「羽月ちゃん、音楽プロデューサーが夢なんだね?翔馬から聞いたよ。」

「え?うん……そっか、翔馬くん…話してたんだね……」

私はいきなり自分の夢の事を振られると一瞬驚くも翔馬が話したと分れば納得した。
その時私は岳瑠くんなら翔馬の夢を知っているかもしれないと思い岳瑠くんに問い掛けてみた。

「ねぇ、岳瑠くんは翔馬くんの夢って知ってる?」

「翔馬の夢?あぁ、ごめん。オレも翔馬の夢は聞いたこと無いから分かんない。でも、翔馬言ってたよ?羽月に夢があるなら俺が叶えてやりたいって……まあ、翔馬の気持ちは分かるかな。オレも羽月ちゃんに夢があるなら応援したいし!許される限りで力になりたいし!」

「岳瑠くん……ありがと……でも岳瑠くんは?夢とか無い?」

「オレ?ん~……どうかな?まだ分かんない!今は今を楽しみたいかな!翔馬や羽月ちゃん、他のみんなとたくさん思い出作りたい!オレ後悔だけはしたくないからさ!やりたい事をやる!」

「やりたい事……」

その時、私は翔馬の事で頭がいっぱいでまだ気付いていなかった…
岳瑠くんの言葉の中に隠されていた現実の意味を………


「あ!早いな~もう駅に着いちゃった!羽月ちゃん!コレ、オレのスマホの番号とアプリのID!何か有ればいつでも連絡してね!」

駅に着くと岳瑠くんはスマホの情報が書かれた紙を手渡してくれた。

「あ、ありがと岳瑠くん。あ、待って。じゃあ、私も渡しておくね!」

私は小さなメモ帳を出すと急いで自分のスマホの番号とアプリのIDを書いて岳瑠くんに手渡した。

「やった~!ありがと~う羽月ちゃん!あ、これって他のみんなにも教えといた方が良い?」

「え?えっと、それは岳瑠くんに任せるよ。番号とかIDとか教えたくない人もいるかもしれないし。」

「は~い!了解!じゃあ、オレもそろそろ寮に戻んないとだから帰るね!変な人について行っちゃだめだからね!バイバ~イ!」

「うん、ありがと岳瑠くん!岳瑠くんも気を付けてね!」

私は岳瑠くんを見送ると改札を通りホームに向かった。
暫くホームで電車を待っていると岳瑠くんから連絡が届いた。

“登録完了!みんなも羽月ちゃんと連絡取れた方が都合が良いとか言うから教えておいたよ~?じゃ、また明日学校でね~?    飛美陽 岳瑠”

「岳瑠くん?私も登録して返事返しておかないとだね。」

私はさっき教えてもらった情報をスマホに入れれば岳瑠くんに返事を返した。
その日の夜は皆から連絡が届き返事を返しているだけで時間が過ぎていった………

ただ……何故か翔馬だけは連絡をくれなかった……




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