異世界陰陽録

蟠龍

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第2章 戦いの幕開け

休む暇もないんですけど

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心地よい風を感じる。


「戻って来れた…のか。」


いつの間にか俺はベッドの上で起き上がっていた。
一か八かで穴に飛び込んだが、正解だったらしい。


「あんまり休んだ気がしないんだよなあ…」

一人愚痴を言いながら俺は大きく伸びをした。よし、身体は大分動く様になってるな!

仕切りのカーテンが風で揺れる。

そう言えば今は何時ぐらいなんだろうか。涼しいけど、結構明るいしもう昼近いのかもな~
今日はまずリーシャさん達に会いに行くか…

俺は振り返り、壁に掛けてある時計を見た。


「…あれ?」

無い。

確かに壁には時計が掛けてあったはずだ。なのに無い。

代わりにあったのは大きな傷
まるでドラゴンが鉤爪で引っ掻いたかのようなそれを見た瞬間

俺は悪寒を感じてベッドから飛び降りた。


ドゴッッ


嫌な音がしてベッドが二つに折れた。


カーテンを突き破り、ベッドだった物に深々と突き刺さっているのは大きな赤い斧。


「…マジかよ。」

まだ夢を見ているのかと一瞬思った。部屋の中はどこもかしこも傷だらけで、ほかのベッドもバラバラ。窓に至っては全て割れていた。仕切りのカーテンの残骸が部屋を舞う。
一緒に寝ていた人達もいない。

道理で肌寒い訳だよ!!!

何が起こっているのか全く分からないが、逃げたほうがいいのは分かった。

「靴は履いてるな。」

赤いカーペットに白いスニーカーが映える。


…うん?


カーペット?そんなものあったか?


目を凝らす。


違う
違う違う
これは

「《赤い霧》!?」


部屋の奥から足音

『ウゥラ』

呻き声の様なものをあげて斧を引き抜いたのは赤い、人のかたちをした何かだった。

ヒトガタと目が合う。
赤いビー玉のような目

足が震える
足元には赤い霧
俺は動けない。


死ぬのか

こんな所で?まだケモ耳美少女にも会ってないのに?ご飯の恩も返していない。
死んで現実世界に戻れるのか?


そんな保証は無い

試す勇気は…無い。


そいつは俺の方を見て斧を振りかぶり

俺は逃げた


「ああああ!!」
一心不乱だった。
足が上手く動かなくてもカッコ悪くてもいい。這うように俺は逃げた。



扉の近くで寝ていたのは幸いだった。


扉を突き破るように外に出た

そこは


戦場の真っ只中まっただなかだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入り10突破ありがとうございます!遅筆で済みません。

今回からついに第二章。これからも宜しくお願い致します!
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