現在進行形で流されている少女

サバ焼き師

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9 しょうじょとあくてんこう

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「暇だねえ。釣りはもう飽きた」
「そんなに暇暇いわないでくださいよ。」

六回目の、ひま、を聞いたところでキラの思っていた言葉が自身の口からやっと出た。
この少女、年上のはずだが、その言動、行動、態度、(ついでに見た目)からそうは思えなくなってきた。
はじめの頃は、サバイバルのおねえさんだったが、今となってはもはや子供とたいして変わらない扱いである。

「ほら一雨来そうですよ。」

先程からだんだん暗くなっていく空を見上げて、少女の期待を誘うかのように、大きな独り言を呟いた。
少女はすでに安全地帯から、空を眺めている。

「おっ、こりゃ荒れそうだな。」
「火とかの管理今やってます。手伝ってくださいよ。」
「わかったわかった。」

働く気がないような声をあげて、少女が軽いのに。重い腰をあげた。
火は、強くなってきた風や、降ってくるであろう雨に備えて屋根のある場所まで運んだ。
少女はキラを手伝ったあと釣りの準備を始めた。
雨の日だからよくつれるとのこと。
だが現実は違ったようだ。

「魚つれないなぁ。」
「いつも、つれるのに。なんだか珍しいですね。」

少女の釣りではつれないときの方が珍しい。
キラに至っては、ここに来てからつれなかったときは見たことはなかった。

「本とか読んでてわかったんだけど、恐らくこの時代の魚、かなり異形だよ。」
「なんの話です?」
「かなり食いつきがいいんだよね。凶暴化?ってイメージで。」

少女は昨夜釣った久しぶりの大物を思い出しながらしゃべっていた。
キラは昨夜食卓にならんだグロい魚を思い出していた。
魚のさばき方の本が全く役に立たなかったことは鮮明に覚えていた。

「釣れるのは、魚がよいから、といいたいのですか?」
「それはいまだに全然つれない私をバカにしていると受け取っても?」

「いや、そうじゃないんだけど...。」

脱力した表情をする少女。
グロさも魚の進化だろうか。
回りを見渡して、誰もいない海面が魚進化の場になってると想像すると、鳥肌がたった。

「嵐が来そうですね。」

本当に何もつれず、落ち込んでいる少女は足早に片付けを終わらせた。

「さっさと、今日の仕事終わらせて家に帰ろう。」
「仕事なんてないですし、家というか小屋というか歩いて三歩ですけど。」
「言葉すべてに意味があると思っちゃダメだよ。」

ボケとツッコミの役職も大分別れてきたころだ。
ふと外を見た少女がそれを見つけることとなった。

「あれはなんだろう。」
「なんでしょう。よく見えませんね。」
「でかい...?かなりでかい船かな。」
「あんなでっかい船見たことないですよ。」
「お、本当?てっきり見たことあるかと、」
「なんでです?私は見たことはないですよ。」
「...いや、何でもないよ。」

すでに辺りは暗く、明かりもない状況。
はっきりした観測はできない。

「逃げた方がいいかもしれません。」
「いや、追い付かれるだけだよ。味方にしろ敵にしろここで逃げるのは愚策だ」

気づいたのはまたまた少女だった。

「誰か、顔だしてない?」

水に浮く巨大な木の塊から人影が覗いていた。

「...ぁ。」

それを見たキラの口から、動揺がこぼれ落ちる。
そんなほおけた顔のキラに向かって人影はしゃべる。

「おい、キラてめえ何、サボってくれてんだ。」

かなりの怒鳴り口調。確実に怒っていた。

「あ、あぁ。」

キラの口から言葉にならなかった恐れがで続けている。

「そこのガキを殺すのがてめえの仕事だろうが!」
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