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冒険者の街 リュカ
ウィンド村のユーナ
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「あぁ、物凄く暇だ」
とある草原で寝転がって空を見ている少年がいた。
彼の名は、ユーナ。ホープ王国の辺境の地にあるウィンド村に住む15歳の少年だ。
「やっぱりここの草原の風と風の匂いが一番気持ちいいな。さて今日もここで昼寝するか、今日の天気と風に感謝しておやすみ」
「おやすみじゃないわよ、この馬鹿」
風に身を任せて意識を夢の国に手放そうとした時に頭上から強気な声が聞こえた。
声がしたほうに視線を向けると白のパンツが見える。
「今日は白か?ルナ。きれいだぞ」
「はぁ~あんた何を言って・・・・はっ///」
今、俺を起こしたやつはルナ。
ウィンド村の村長のひとり娘で、俺の幼馴染みだ。
性格は周りに対してはおしとやかで優しいらしいが俺の前でそんな素振りを見せた覚えはない!
なぜかルナは俺に対してあたりが強いおまけにスタイルもよく、性格と相まって村のアイドル的存在になっている。
ルナは俺の言っていることがわかっていないのか首を傾げていたが次第に俺が言っていた意味を理解し始め徐々に顔を赤くしていった。
「こ、この変態!!」
涙目で俺の顔を踏みつけようとするが攻撃が来ることはもうわかっている
「甘い」
首を左側に傾けて回避してから足を振りあげて起き上がる。
「珍しいなお前がこんなところ来るなんて、なんか用か?」
「何か用?じゃないわよ!あんたまたこんなところで昼寝して!村の仕事は終わったの?この変態!!」
「俺は変態じゃない、村の仕事は終わってるに決まってんだろ。じゃないとここには来ないよ、てかお前こそ仕事終わったのかよ?サボるなよ」
軽く腕のストレッチをしながらルナの罵倒に返答を返す。
「私も仕事はもう終わってるの!それにあんたに用があるのは私じゃなくてお父さんの方」
「はぁ?なんでおじさんが俺に用があるんだよ。なんか俺悪いことしたっけ?」
「そんなこと私聞かれてもわからないわよ!とにかく急ぎで呼んで来いだって」
いや、ほんとに何かしたっけ俺?まったくと言っていいほど心当たりがないんだけど
まぁここで考えてても仕方ないか。
自分のなかでそう結論付けて草原に置いといた俺の荷物を拾い上げる。
拾い上げたのは俺の刀だ。
この刀の銘は、天乃《あまの》
長さは大体六十センチ。造り込みは鎬造り、刃文は広直刃というものらしい。
刃の色は白、普通の刀が灰色なのでこの時点で普通の刀ではないのだが正直俺は難しい話はよく分からないのでまぁ簡単に言えば普通の直剣より硬くて色が刀の中では普通ではないってことだな
「おじさん、どこにいるの?」
「私の家よ、早く行くわよ」
「へいへい」
ユナの後をついていく。
草原から歩くこと数分、ルナの家に到着した。
ルナの家は普通の家よりも少し大きい、さすが村長。
ルナが家のドアを開けて
「ただいま、パパ。ユーナを連れて来たわよ」
と声をかけたが返事が聞こえない
俺とルナは不思議に思ったが聞こえてないだけかもしれない。
「おじさん!来たよ!」
少し大きめな声で俺が言うと家の中からがちゃりと音が鳴る。
しばらくすると茶色の顎髭がチャームポイントのおじさんが玄関に来た。
おじさんの額に少し汗がにじんでいる、なにか作業でもしていただろうか?
「おぉ、ユーナ来たか。ルナ連れてきてくれてありがとう」
「おじさん、俺に用ってなに?」
そのことを言うとおじさんの表情が少し曇る。
「じ、実はなユーナお前に会いたいって言う人が来てるんだ」
「俺に会いたい人?誰?」
「会えばわかる、私についてきてくれ」
そう言っておじさんはさっき出てきた部屋の方向に歩き出したので俺もついていく。
ルナはこのあと用事があるらしく俺を連れてきたあと叔父さんに一言言って家を出た。
そんでもって俺に会いたい人って誰?この前、半殺しにしてきたゴロツキ達かな?
もしそうだったら今度こそこの世から永遠にバイバイしてもらおうかな、よしそうしよう。
頭の中で考えていると目的地に着いた。
おじさんはノックをしてゆっくりと扉を開けると部屋の中にいたのは上質な鎧を着ている女の人と男の人が座っていた。
そのほかにも少し軽装な鎧を着ている人が二人、女の人たちの後ろに立っていた。
「お待たせして申し訳ございません、聖騎士様」
うん?おじさん今なんて言った?聖騎士様って言ったよね。
なんでこんな村に聖騎士様なんて来てんだよ、どうせ嘘だろ。
「いや、そんなに待っていないので大丈夫だ。それとそんなにかしこまらなくていい、今回は私たちの都合で貴殿らに何も連絡せずに来たのだからな」
と女の人が丁寧な言葉でしゃべりだす。
「まぁとにかく貴殿らにも座ってほしい。話はそれからだ」
「わかりました」
そう言って俺は刀を床に置いてソファーに座る。
その隣におじさんが座ると女の人が口を開いた。
「まず、自己紹介をしよう。私の名前はミルユ・フレイヤ、ホープ王国聖騎士団三番隊隊長だ。そして私の隣にいるのが」
「同じく三番隊副隊長クロム・ドレイヤだ。よろしく頼む」
と握手を求められた。
ホントに聖騎士様なんですけど、まじか。
相手が自己紹介をしたので俺も返す。
「ウィンド村のユーナです、こちらこそよろしく」
副団長さんに握手を返したがこの人何なんだ?
今握手した人の手は豆が全くない。
おかしいだろ、普通騎士とか剣を握っている人たちには必ず手のどこかに豆があるはずだ。
怪しいな、警戒しとこ。
「それで聖騎士様が私に何の御用で?」
「ふむ、君にはあまり嘘をついても効果がなさそうだから単刀直入に言おう。我々の騎士団に来ないか」
「あ、お断りします」
即答でそう返す。
この場の空気が一気に凍えた。
「・・・・理由を聞いてもいいかな」
少しの沈黙の後、女の人が理由を聞いてきた。
「俺は自由を愛してるんですよ、適当な時間に起きて飯食って散歩して自己鍛錬して寝るっていう生活を。それに比べて騎士なんて自由のかけらもないクソみたいな生活をするわけじゃないですか、そんなのお断りです。どうぞ帰ってください」
俺はそう言って刀を手に持ち立ち上がる。
もう話は終わった、最近多いんだよなこの手の勧誘。
「待ってくれ、まだ話はおw」
「終わりましたよ、俺はあんた達みたいな国の犬になってならない。俺は俺だ、俺の力をどう使うかは俺が決める。だからさっさと失せろクソ犬どもが」
少し殺気を込めて静かに言葉を放つ。
「おじさん、俺そろそろ鍛錬の時間だから行くね。バイバイ」
殺気を受けてひるんでいる騎士たちを見ずに俺は部屋の扉に手をかける。
「こ、このクソガキが舐めた口聞きやがって!!!」
後ろから耳障りな声が聞こえてきたので視線だけ後ろに向けると一般兵士っぽいの一人が剣を抜いた。
「馬鹿者!やめろ!」
「隊長、私は我慢なりません。このような餓鬼がいるからこの国は平和にならないんだ!」
女の人が声をかけるが男は聞く耳を持たず、なぜか全く関係ないことまで喚き散らした。
この国の平和と俺って関係ないだろ、あほだな。
「・・・剣、抜いたな。殺されても文句言うなよな」
「ほざけ!!この国のごぎゃ!?」
喋っている間に俺の拳が相手の顔面に入っていた。
「喋ってる暇があるなら攻撃してこいよ、雑魚が」
拳が綺麗に顔面に入ったので白目をむいて鼻血をまき散らしながら後ろに倒れる。
「んじゃ、おじさん行ってくるわ」
扉を開けて部屋の外に出る。
さてと今日は何するかな、村の散歩でもするか。
久しぶりにおばちゃんとシスターのところでも行くか。
村の方角に向かって歩き出す。
この時の俺はまだ知らなかった、自分が今運命の分かれ目に立っていることを。
とある草原で寝転がって空を見ている少年がいた。
彼の名は、ユーナ。ホープ王国の辺境の地にあるウィンド村に住む15歳の少年だ。
「やっぱりここの草原の風と風の匂いが一番気持ちいいな。さて今日もここで昼寝するか、今日の天気と風に感謝しておやすみ」
「おやすみじゃないわよ、この馬鹿」
風に身を任せて意識を夢の国に手放そうとした時に頭上から強気な声が聞こえた。
声がしたほうに視線を向けると白のパンツが見える。
「今日は白か?ルナ。きれいだぞ」
「はぁ~あんた何を言って・・・・はっ///」
今、俺を起こしたやつはルナ。
ウィンド村の村長のひとり娘で、俺の幼馴染みだ。
性格は周りに対してはおしとやかで優しいらしいが俺の前でそんな素振りを見せた覚えはない!
なぜかルナは俺に対してあたりが強いおまけにスタイルもよく、性格と相まって村のアイドル的存在になっている。
ルナは俺の言っていることがわかっていないのか首を傾げていたが次第に俺が言っていた意味を理解し始め徐々に顔を赤くしていった。
「こ、この変態!!」
涙目で俺の顔を踏みつけようとするが攻撃が来ることはもうわかっている
「甘い」
首を左側に傾けて回避してから足を振りあげて起き上がる。
「珍しいなお前がこんなところ来るなんて、なんか用か?」
「何か用?じゃないわよ!あんたまたこんなところで昼寝して!村の仕事は終わったの?この変態!!」
「俺は変態じゃない、村の仕事は終わってるに決まってんだろ。じゃないとここには来ないよ、てかお前こそ仕事終わったのかよ?サボるなよ」
軽く腕のストレッチをしながらルナの罵倒に返答を返す。
「私も仕事はもう終わってるの!それにあんたに用があるのは私じゃなくてお父さんの方」
「はぁ?なんでおじさんが俺に用があるんだよ。なんか俺悪いことしたっけ?」
「そんなこと私聞かれてもわからないわよ!とにかく急ぎで呼んで来いだって」
いや、ほんとに何かしたっけ俺?まったくと言っていいほど心当たりがないんだけど
まぁここで考えてても仕方ないか。
自分のなかでそう結論付けて草原に置いといた俺の荷物を拾い上げる。
拾い上げたのは俺の刀だ。
この刀の銘は、天乃《あまの》
長さは大体六十センチ。造り込みは鎬造り、刃文は広直刃というものらしい。
刃の色は白、普通の刀が灰色なのでこの時点で普通の刀ではないのだが正直俺は難しい話はよく分からないのでまぁ簡単に言えば普通の直剣より硬くて色が刀の中では普通ではないってことだな
「おじさん、どこにいるの?」
「私の家よ、早く行くわよ」
「へいへい」
ユナの後をついていく。
草原から歩くこと数分、ルナの家に到着した。
ルナの家は普通の家よりも少し大きい、さすが村長。
ルナが家のドアを開けて
「ただいま、パパ。ユーナを連れて来たわよ」
と声をかけたが返事が聞こえない
俺とルナは不思議に思ったが聞こえてないだけかもしれない。
「おじさん!来たよ!」
少し大きめな声で俺が言うと家の中からがちゃりと音が鳴る。
しばらくすると茶色の顎髭がチャームポイントのおじさんが玄関に来た。
おじさんの額に少し汗がにじんでいる、なにか作業でもしていただろうか?
「おぉ、ユーナ来たか。ルナ連れてきてくれてありがとう」
「おじさん、俺に用ってなに?」
そのことを言うとおじさんの表情が少し曇る。
「じ、実はなユーナお前に会いたいって言う人が来てるんだ」
「俺に会いたい人?誰?」
「会えばわかる、私についてきてくれ」
そう言っておじさんはさっき出てきた部屋の方向に歩き出したので俺もついていく。
ルナはこのあと用事があるらしく俺を連れてきたあと叔父さんに一言言って家を出た。
そんでもって俺に会いたい人って誰?この前、半殺しにしてきたゴロツキ達かな?
もしそうだったら今度こそこの世から永遠にバイバイしてもらおうかな、よしそうしよう。
頭の中で考えていると目的地に着いた。
おじさんはノックをしてゆっくりと扉を開けると部屋の中にいたのは上質な鎧を着ている女の人と男の人が座っていた。
そのほかにも少し軽装な鎧を着ている人が二人、女の人たちの後ろに立っていた。
「お待たせして申し訳ございません、聖騎士様」
うん?おじさん今なんて言った?聖騎士様って言ったよね。
なんでこんな村に聖騎士様なんて来てんだよ、どうせ嘘だろ。
「いや、そんなに待っていないので大丈夫だ。それとそんなにかしこまらなくていい、今回は私たちの都合で貴殿らに何も連絡せずに来たのだからな」
と女の人が丁寧な言葉でしゃべりだす。
「まぁとにかく貴殿らにも座ってほしい。話はそれからだ」
「わかりました」
そう言って俺は刀を床に置いてソファーに座る。
その隣におじさんが座ると女の人が口を開いた。
「まず、自己紹介をしよう。私の名前はミルユ・フレイヤ、ホープ王国聖騎士団三番隊隊長だ。そして私の隣にいるのが」
「同じく三番隊副隊長クロム・ドレイヤだ。よろしく頼む」
と握手を求められた。
ホントに聖騎士様なんですけど、まじか。
相手が自己紹介をしたので俺も返す。
「ウィンド村のユーナです、こちらこそよろしく」
副団長さんに握手を返したがこの人何なんだ?
今握手した人の手は豆が全くない。
おかしいだろ、普通騎士とか剣を握っている人たちには必ず手のどこかに豆があるはずだ。
怪しいな、警戒しとこ。
「それで聖騎士様が私に何の御用で?」
「ふむ、君にはあまり嘘をついても効果がなさそうだから単刀直入に言おう。我々の騎士団に来ないか」
「あ、お断りします」
即答でそう返す。
この場の空気が一気に凍えた。
「・・・・理由を聞いてもいいかな」
少しの沈黙の後、女の人が理由を聞いてきた。
「俺は自由を愛してるんですよ、適当な時間に起きて飯食って散歩して自己鍛錬して寝るっていう生活を。それに比べて騎士なんて自由のかけらもないクソみたいな生活をするわけじゃないですか、そんなのお断りです。どうぞ帰ってください」
俺はそう言って刀を手に持ち立ち上がる。
もう話は終わった、最近多いんだよなこの手の勧誘。
「待ってくれ、まだ話はおw」
「終わりましたよ、俺はあんた達みたいな国の犬になってならない。俺は俺だ、俺の力をどう使うかは俺が決める。だからさっさと失せろクソ犬どもが」
少し殺気を込めて静かに言葉を放つ。
「おじさん、俺そろそろ鍛錬の時間だから行くね。バイバイ」
殺気を受けてひるんでいる騎士たちを見ずに俺は部屋の扉に手をかける。
「こ、このクソガキが舐めた口聞きやがって!!!」
後ろから耳障りな声が聞こえてきたので視線だけ後ろに向けると一般兵士っぽいの一人が剣を抜いた。
「馬鹿者!やめろ!」
「隊長、私は我慢なりません。このような餓鬼がいるからこの国は平和にならないんだ!」
女の人が声をかけるが男は聞く耳を持たず、なぜか全く関係ないことまで喚き散らした。
この国の平和と俺って関係ないだろ、あほだな。
「・・・剣、抜いたな。殺されても文句言うなよな」
「ほざけ!!この国のごぎゃ!?」
喋っている間に俺の拳が相手の顔面に入っていた。
「喋ってる暇があるなら攻撃してこいよ、雑魚が」
拳が綺麗に顔面に入ったので白目をむいて鼻血をまき散らしながら後ろに倒れる。
「んじゃ、おじさん行ってくるわ」
扉を開けて部屋の外に出る。
さてと今日は何するかな、村の散歩でもするか。
久しぶりにおばちゃんとシスターのところでも行くか。
村の方角に向かって歩き出す。
この時の俺はまだ知らなかった、自分が今運命の分かれ目に立っていることを。
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