5人の旦那様と365日の蜜日【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
1 / 42

プロローグ


 ゲーデル国内、片田舎の街に評判の美少女が今日も父の仕事を手伝い、商品を店に並べている。

「父さん、今日の仕入れ分これで終わり?」
「ああ」

 普段からそんな会話を朝からしていた少女、メリッサは今日この日12歳になる。

「良い天気ね、今日も…………あんな夢見なきゃ最高の日なのに……」
「何か言ったか?」
「…………何でもない」

 いつものように、いつもの日常。それがこの田舎町のいつもの光景。何も変わらない、と思っていた。店番を頼まれたメリッサは、来るお客の対応しては他愛のない会話をし、のんびり過ごしていた。

「…………何か、私欲求不満なのかな……好きな人も居ないし、あんな恥ずかしい夢見るきっかけなんてない筈なのに……」

 夜中、メリッサが見た夢、それは房事の夢だった。知らない男数人に囲まれ、前と後から抱き締められた、卑猥な姿。今の年齢より大人びてはいたが、ビスチェやガーターベルトを着たままやらしく悶えた姿が鮮明に残っている。メリッサはまだ処女だ。だから、房事がどういうものかという理解も乏しい。

「メリッサ」
「………あ、お帰り、父さん…………お客様……の割に……は……」
「ご苦労だったな、エンゲルベルト」
「……あぁ」

 口数が元々少ない父が、国の兵隊達を誘導する様にメリッサの前にやって来た。すると、全員がメリッサの前に跪く。

「お迎えにあがりました、メリッサ王女」
「……………は?………はい?」
「参りましょう、母上様が待っております」
「は?………母上?………ちょっと!父さん!どういう事!!」

 全く訳が分からず、如何したんだ、まだ夢の続きか?ドッキリか?と周辺を見渡すが、街中の住民は『うんうん』と嬉しそうだ。『やっとか』や『めでたいめでたい』と迄言う。

「貴女様はゲーデル国女王、メリベル様の第一子メリッサ王女にでございます。本日12歳になりましたので、お迎えにあがりました。この街の民衆は、メリッサ王女の警護にあたっていた隠密兵、お気になさる事はございません」
「いやいやいやいや!!おかしいでしょ!私、王女?はぁ?しがないクソ親父の店の看板娘だよ!……………と、父さん?」

 父と思っていたエンゲルベルトもメリッサの足元で跪いている。

「紛れもなく、貴女様はメリベル女王の第一子メリッサ王女です」
「………………どうなってんのぉ!!!誰か嘘だと言って~~~~~!!」
「メリッサ様、パニックになられとるぞ?」
「お忘れのようだな、2歳迄王宮に住んどったのに」
「2歳じゃ忘れるわ!」
「ははははははっ!!」

 街中の人達から笑いが漏れる。見守ってくれていたのだと分かったのは、もっと後になるのだが、メリッサは笑われたショックを受けていた。

「一体何なのよ~~~~~!!」

 小さな片田舎で1人発狂する中、町民達はケラケラと笑い、メリッサは馬車に押し込まれ、それを送り出した直後、町民達は散り散りになり忙しなく馬車を用意し、荷を積み込む。

「さて、取壊すか」
「女子供は先に行け、男衆は警備以外は町を跡形も無く壊せ!」

 大槌を持ち抱えた、男達は次々と家を取り壊し、家畜達と共に住んでいた町を跡にしていったのは数日後。更地になった土地はまた何れ木々が生い茂るのを待つだけとなる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

親友と結婚したら、ずっと前から溺愛されていたことに気づきました

由香
恋愛
※4/3最終更新21時 親友と結婚した。 それだけのはずだったのに―― ある日、夫にキスされて気づく。 彼は“ただの親友”なんかじゃなかった。 「ずっと前から好きだった」 そう言われても、知らなかった私は戸惑うばかりで。 逃げようとすればするほど、距離は縮まっていく。 ――これは、親友だったはずの彼に、甘く捕まっていく話。 溺愛、独占欲、全部まとめて受け止める覚悟はありますか?

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。