桜に集う龍と獅子【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
22 / 38

26年振りの再会

しおりを挟む

 後日、警察からも櫻子と雪、蒼太のDNA鑑定が親子と認められた。それにより、櫻子も親子再会に前向きになり、龍崎家の別荘で高嶺親子と会う事になった。だが、大和の監視がある関係で、菫には口止めして欲しい、と桜也から雪と蒼太に頼んだ。

「申し訳ないですが、獅子王が菫さんに、接触している可能性があります」
「何ですって!」
「今付き合ってる人居ると言ってたか?」
「…………最近、知り合った人といい感じだ、って……」
「なので、菫さん経由で獅子王に知られると、また襲撃されるかもしれません」
「…………また櫻子が狙われてるの?」
「狙っているのは龍虎会のシマだとは思います」
「その足掛かりという事か………分かった、菫には口止めする」
「お願いします………獅子王が大人しくなれば、櫻子お嬢は高嶺家に帰せると思いますから」

 桜也は雪と蒼太に頭を下げた。これは警察署で鑑定結果を聞いた時にした会話だった。
 そして、当日。

「何で着物?」
「いいじゃねぇか、櫻子。その着物は雪が紅子から受け継いだ着物だ。見たいだろうからな」

 龍崎が、別荘に持ってきた着物数点。その中から桜柄の着物を着させられた櫻子。

「櫻子だから、桜って……」
「紅子が、雪と桜太をくっつけようとしてたからなぁ………雪もそれが一番気に入っておったわ」
「…………おじいさん孝行ですからね、着るのは」

 前日から櫻子は泊まっていて、祖父との時間を過ごしていた。桜也は雪達を向かいに行っている。

「すげぇ……リムジンだ」
「うわっうわっ……一生にあるかないかだよ、お兄ちゃん!」
「蓮も菫もはしゃぎ過ぎよ」
「父さんも初めて乗るから緊張してるぞ」

 雪は、極道の娘だった事もあり、驚きもしない。だが、櫻子との再会に緊張を隠せないでいた。

「…………ねぇ、桜也……」
「何でしょう、雪お嬢」
「……だから、お嬢って言われる年じゃないでしょ!」
「俺の中では、ずっとですよ」
だってぇ……お母さん、皆からお嬢、て呼ばれてたんだよねぇ……なんかいいなぁ」
「菫お嬢、とお呼びしましょうか?」
「…………や、やだ!何か照れる!!」
「ば~か」

 蓮と菫が会話に入ってきて中断されたので、雪は桜也に再び聞きたい事を聞く。

「櫻子はどんな子に成長した?」
「………礼儀正しいですよ……保育士でもありますし、園児や保護者からも信頼されてましたね………獅子王に狙われてなければ、そのまま結婚させてたでしょうけど……」
「でも、獅子王に狙われてなければ、櫻子は見つけられなかったんでしょう?」
「まぁ、その点は感謝ですね」

 蒼太もこの話に耳を傾ける。

「櫻子が見つかったのは嬉しいが、こんな形で会う事になるとはな……」
「誘拐された時、ベビーシッターが櫻子を連れ去って行ったんですよね?」
「当時もだが、中国は人身売買は多かったから、日系中国人をシッターに頼んでいたんだ……雪が産後うつだったのもあってね………中国語より日本語が分かる人間を探して雇ってた」
「獅子王は中国系マフィアと親密ですからね………慣れない土地での生活に付け込まれたのかもしれませんね……」
「そう思う………日本に帰ってきても、櫻子を諦められず、日本警察にも掛け合って、雪が龍虎会会長の娘だから、恨みか何かで、という僅かな望みで待っていた甲斐があった……」
「…………私がニュースで龍虎会や獅子王組の話を聞く度に警察に聞いてたから……」
『頭、そろそろ到着します』

 車を運転する部下から内線が入る。

「………分かった……さぁ、櫻子お嬢が待ってますよ」

 車が敷地内に入る。海が見える日本家屋の別荘だ。

「30年振りねぇ……」
「お母さん、此処に住んでたの?」
「ここは別荘、本邸は都内にあるわよ」
「…………別荘でコレって……」
「本邸はまだこじんまりしてるわよ?」
「行ってみたい!」
「菫お嬢、止めておいた方がいいですよ……櫻子お嬢は中庭に親父と居るそうです。こちらからどうぞ」

 桜也に案内された雪達。話し声がする方へ向かう。

「これ?これが……雪月花……」
「今は時期じゃないがな………この花が咲く頃に雪………お前の母さんが産まれた」
「お母さんの名前の由来の花をネットで見たけど、白い可愛い花でしたね」
「お前の櫻子の由来を早く聞きたいものだ……」
「……………貴女が産まれた時、私が置いてきたへの思いを忘れないでいたかったからよ………桜太と桜也………大好きだったから……でも、だと恥ずかしいでしょ?桜也に知られたら………気が付いてるでしょうけど……」
「………………」
「雪………この前はすまなかったな」
「…………櫻………櫻子……会いたかった……」
「櫻子………お父さんだぞ」

 櫻子の声が出ない。目の前に居るのは両親だと分かる。桜也に面差しが似ている父、自分に似ている母。

「……………お……父さん………お母さん………っ………」

 やっと声が出ると、嗚咽が交じる。両親の後ろには弟と妹だろう。両親程ではないが、涙目になっている。

「櫻子お嬢、近くに行ってあげて下さい」
「…………会いたかった!!」
「櫻子!!」
「櫻…………ごめんね……見つけられなくて」
「ううん…………今会えてるから……いいの……」

 その感動の再会を菫はスマホに写真を撮っている。

「写真撮ってんのか?」
「感動の再会だもん………SNSで編集して、生き別れた家族が再会!て載せよかな、て」
「…………やめて下さいね、それは」
「!!………び、びっくりしたぁ!」
「菫さん、駄目ですよ………場所も人も特定され、尚且つ生き別れた家族再会、だなんてマスコミの餌です」
「…………まぁ、そうなるよな」
「と、友達にならいいでしょ!?」
「それも駄目です………櫻子さんは今迄苦労されてきたんです。ご両親もそう………曝け出すのはよくありませんから」
「…………はい」

 だが、桜也の指摘虚しく、菫はその写真をある人間に送っていた。

「場所は龍崎家の別荘だ!!龍崎と高嶺を殺せ!!着物の女は殺すなよ!!あいつは俺の女だ!!」

 菫が送っていたのは獅子王大和。恋人(菫はそう思っている)になら、いいだろうと安易な行動。拡散しちゃ駄目だよ、とメッセージがあったとしても、送った相手が悪かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】平凡OL(β)ですが、同期の末っ子御曹司(α)に溺愛されています

神無月りく
恋愛
日本外食産業の一翼を担う『川嶋フーズ』で秘書としてOL黒田鞠花(くろだまりか)は、同期で社長令息の川嶋隼人(川嶋はやと)に入社以来恋に似た憧れを抱いていた。 しかし、そもそもの身分が違う上に自分はβで、彼はα。 ただの同期以上の関係になれないまま、五年の月日が流れた。 ある日、Ωのヒートに巻き込まれて発情した彼を介抱するため一夜を共にし、それがきっかけで両思いだったことが発覚して交際がスタート。 意外に庶民的でたまに意地悪なスパダリ彼氏に溺愛され、順調にデートを重ねて幸せな日々を送っていた鞠花だったが、自分の母親からαの交際を反対されたり、彼の運命の番を自称するΩ令嬢が登場したりと、恋路を妨げる波乱に見舞われるように…… ※ムーンライトノベルズ(小説家になろう)様で同一作品を連載中ですが、こちらが若干先行公開となっております。 ※一応R18シーンには☆マークがついています。 *毎週土日および祝日の不定時に更新予定(ただし、1月1日~5日までは連日更新)。

俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る

ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。 義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。 そこではじめてを経験する。 まゆは三十六年間、男性経験がなかった。 実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。 深海まゆ、一夜を共にした女性だった。 それからまゆの身が危険にさらされる。 「まゆ、お前は俺が守る」 偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。 祐志はまゆを守り切れるのか。 そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。 借金の取り立てをする工藤組若頭。 「俺の女になれ」 工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。 そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。 そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。 果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。

楠ノ木雫
恋愛
 蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

処理中です...