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先手必勝
しおりを挟む翌朝、トーマスは皇帝に謁見を求めた。
「如何した?トーマス。」
「父上、近々トリスタンに行かせて頂けないでしょうか。」
「トリスタン?………ラメイラ公女の事か?」
「それ以外何があると?」
トーマスは眼鏡を上げ、再度皇帝を見る。
「ラメイラ公女を私の妃にしたいのです。」
「ラメイラ公女はタイタスを狙っていたのだろ?」
「タイタスはラメイラ公女に全く興味を示さないので、私がラメイラ公女を頂く事にしました。」
「ほぅ………。」
「やはりこうなりましたな。」
皇帝の傍らはウィストン公爵。
「そうだったな。」
「は?」
「タイタスにはあの公女は手なづけられん。寧ろ、トーマスにと思っておった。」
「…………お見通しだった………と?」
「ですから、トーマス殿下にはトーマス殿下に合う令嬢をご用意しております、と申し上げましたが?」
「それがラメイラ、だと?」
「はい。幼かったトーマス殿下にいつも泣きついていたラメイラ公女は、トーマス殿下が仰る事だけはよく聞いてらっしゃった。大人になっても、それは変わってらっしゃらなかったですから。」
「…………宰相……分かりすぎて面白くない……。」
「皇太子殿下にも言われましたな。」
「…………それで?いつ行く予定だ?」
「そうですね………行って帰って来るのに最短で1ヶ月ですので、ナターシャの出産後にでも出発出来たら、と。ラメイラは子供見たいでしょうから。」
ナターシャの出産日が近い。
ラメイラは子供が産まれるのを楽しみにしているのを知っている。
「いいだろう、ナターシャ妃の出産後にラメイラ公女と行くが良い。」
「ありがとうございます。」
トーマスが執務室に入ると、カイルが忙しそうに仕事をしている。
「遅いじゃないか!仕事溜まってんだよ!」
「暫く1人で仕事頼むな。」
「は!?何でだよ!」
「ナターシャが出産したら、俺は暫くトリスタンに行ってくる。」
「トリスタン?何でまた………あ、ラメイラ公女か!いつの間にあのじゃじゃ馬公女落としたんだ!」
「まだ落としてない。」
「は?」
「それ迄何としても、俺を好きだと言わせてやる。」
ヤル気を見せるトーマスにカイルは心配事を聞いた。
「………お前……あの趣味隠すんだよな?」
「隠すも何も、ラメイラには知られてる。」
「…………おいおい……じゃあ何か?使ってんのか?」
カイルは興味深々で聞いてくる。
「まだそこ迄ヤれてない。キスしかしてないよ?」
「同意で、だろうな?トリスタンに行って、ラメイラがそのまま帰らない、て言う事も考えられるんだぞ?」
「そうなったら………まぁならないようにするが、諦めるかな。」
「そんな軽い気持ちなのか?お前。」
「軽くは無い。ラメイラが好きだ。だが、今はまだ自信が無い………行く迄で必ず落とす。落としてからトリスタン行きを決めたのでは、全部遅れる。」
「………ホント、お前って計画性あるよな……。あるけど今迄マイペース過ぎて苛々してたのが、今回早い行動で俺は嬉しいぜ。」
「マイペースで悪かったな。」
「そうだ、避妊具の大量発注しとくか。トリスタン着いた時に、ラメイラに子供出来てました、何て事ならないように、さ。」
「……………俺もお前が用意周到で仕事してくれて助かるよ………。」
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