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帰郷
しおりを挟む「到着!!」
王城の入口に着くと、馬車から真っ先に降りたラメイラ。
エスコートし損ねたトーマスは不機嫌で降りる。
「お帰りなさいませ、トーマス殿下。予定より遅かったですね。」
「ただいま、少しだろ?余計な虫が馬車を付いて回ってたから、追い払ってたんだよ。」
「余計な虫?」
セシルが帰りを出迎えに王城の入口迄来ていた。
「兄上の取り巻きだった令嬢。平民に落とされた、フィオナとコルネリ。」
「………あぁ、あの石をナターシャに投げた男爵家のモナとよくつるんでた。」
「石?」
「知りませんでした?パレード中、ナターシャがモナに石を投げつけられて、モナは罰金と一時的収監し、今は遠く離れた修道院で修道女に無理矢理させられ、父親のヘルズ男爵は廃位し、平民落ちになったのです。」
「そんな事あったのか!知らなかった……。」
「父上がもう激怒しまして………ロレイラやレーチェの処罰もですが即決でした。娘が一番大事な人なので。」
「…………そうか…なら余計な虫達の事は宰相に伝えておかねばな………また何かされたらたまったもんじゃない。」
「何て言ったんです?虫は。」
「慈悲をくれ、邸に戻してくれ。」
「そうですか………まだうろうろしてないか、確認が必要ですね。王都を出れば許してやるのに。」
トーマスがカセシルと話し込んでしまって、暇そうにしていたのだが、必要な話だと思い邪魔はしなかった。
「よ、ラメイラお帰り!」
「………タイタス!」
「ラメイラ、ごめん、おいで。」
タイタスの声で、ラメイラを思い出し、両手を広げる。
『来い』と言っている気がしてならないラメイラ。
「…………は~い。」
すっぽり、トーマスの腕に入るラメイラ。
ヤキモチを妬くトーマスの仕置きはハードだと、この2週間嫌という程味わったのだ。
「タイタス、ただいま。」
「…………トーマス兄上、お帰り。」
「トーマス殿下も、お心狭いですね。」
「トーマス、ヤキモチ焼きだって、すっごい分かった旅だった。」
「ラメイラ、曝露するな。」
腕の中に包まれたラメイラがほんのり顔を赤らめるのを見たタイタスは驚きを隠せない。
セシルは、リュカリオンを見ているので、納得している様子だ。
「変わるもんだな、ラメイラ。」
「本当ですね……所で、トーマス殿下。」
「どうした?」
「カイルですが、アードラで動きがあり、ウィンストン領からアードラに入りました。殿下がお戻りになる頃に一度戻る予定ではありますが、アードラ国王は回復の兆しが見えたようです。」
「…………それで?」
「近々、リュカ殿下がトーマス殿下とカイルで再度国交を見直しの為に交渉に行って欲しい、と。」
トーマスは眼鏡を直す。
「それはいつ?」
「結婚式後迄にはリュカ殿下が国交の為の案を作り直す、と仰ってます。なのでそれ迄、カイルはアードラと行き来は必要なので、ご不便をお掛けしますが、私もトーマス殿下のお仕事をお手伝い致しますので。」
「分かった。」
ラメイラは、仕事モードのトーマスの邪魔にならないように聞く事しか出来なかった。
その後、皇帝と皇妃、リュカリオンに挨拶に行くラメイラとトーマス。
「ただいま帰りました、父上、母上、兄上。」
「お帰り、トーマス。それで?トリスタン公国からは了承を獲たのだな?」
「はい。恙無く……。」
「そうか、ラメイラ嬢を大切にするのだぞ。」
「勿論です。」
トーマスは眼鏡を直し、自信ありげに言った。
「婚約式の事だが、3ヶ月後を予定している。」
「父上!何故俺の時は半年後で、トーマスは3ヶ月後なんですか!」
リュカリオンは自分が待たされていたのを根に持つかの様だった。
「トーマスはトリスタンに行く前に事前に用意と手回ししていたのでな。思いの外早く予定出来たのだ。」
「兄上は、ナターシャを落としてからでしたが、俺は落とす前に予定組みましたから、結果的には半年待ちますよ………ふふふ。」
「お前…………そういう腹黒さを結婚に発揮するなよ、ラメイラが落ちなかったらどうするんだ。」
「落としますよ、兄上に負けた経験を活かしたからこそ、ナターシャ以上に好きになれるラメイラに気付いたんですから。」
「やめんか!!ラメイラ嬢が困っておる。」
まるで茹でダコのような真っ赤な顔をして、その顔を手で隠すラメイラ。
「そうだ、ラメイラ。後で皇太子邸に居るヴィオに会ってやってくれ。」
「ヴィオ!!元気か?また可愛くなったか?」
「……………兄上………。」
「何だ?トーマス………クククッ。」
リュカリオンのちょっとした仕返しだった。
「トーマス殿下、既にトーマス殿下の邸は完成致しましたので、トーマス殿下は其方にお移り下さい。殿下の愛用品はまだ皇子宮にありますが、衣類等は運び終わっておりますので、いつでもお休みになれます。」
「ラメイラは?」
「ラメイラ様はまだです。結婚式後移って頂きます。」
ウィンストン公爵が追い打ちを掛けるようにトーマスに告げる。
「出来たか!ラメイラ!ヴィオに会いに行く前に、見ておいてくれ。不満があれば直すから。」
「トーマスの邸、て前に入った所?皇太子邸の近くの。」
「あぁ。」
「うん、行く。」
「トーマス、今日明日は疲れを取って休むが良い。」
「では、ラメイラとゆっくりさせて頂きます。」
「…………リュカといいお前といい……。」
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皇子の母である、皇妃ユリアによって、空気が変わったのだった。
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