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大聖堂
しおりを挟むウエディングドレスに着替え終えた所で、ラメイラの父が入室を許可され、控室に入って来る。
「父上。」
「…………ラメイラ………。」
トリスタン王はラメイラを凝視すると、大粒の涙を零す。
「…………死んだお前の母に……………。」
「母上に似てる?ホントに?」
「あぁ………。見せたかったな……。」
「…………母上、見守ってくれてるかな?」
「勿論だとも。」
式が始まり、祭壇前にトーマスが待ち構えていた。
普段愛用する伊達眼鏡を外した軍服姿。
(………リュカの軍服姿より、トーマスの軍服姿の方が断然カッコイイ!!)
目が合うと、顔を赤らめて目を反らしたラメイラ。
それを見たトーマスが失笑する。
「………プッ。」
「!!」
(に、似合ってないのか!!)
ラメイラはトーマスの態度に不安を覚えた。
祭壇に上がり、クリスティアン教皇の話も耳に入らず、段取りも忘れてしまったラメイラに、時折トーマスは耳打ちし、ラメイラに気付かせる事数回。
そんな事を繰り返し、なんとか終わりを向かえ、トーマスとラメイラは退場をし、バージンロードを歩いた。
参列したリュカリオンやナターシャ、タイタス、コリン、アリシア、アニースと目を合わせると微笑みで返すラメイラとトーマス。
馬車に乗り込み、王都をパレードをする事になっている。
国民の賛辞を受けながら、手を振り笑顔で応えるトーマスの横で、引き攣った顔の笑顔のラメイラが、トーマスに声を掛けた。
「トーマス………。」
「ん?どうした?」
「何で、祭壇の前で私を見て笑ったんだ?」
「…………あ、あれ?………あれ………は………。」
じどろもどろと、歯切れの悪いトーマスに苛立つラメイラは、賛辞を国民に応えるくのを止め、トーマスに詰め寄ってしまった。
「歯切れ悪いな、トーマス………。」
「………後で話すからもう少し待て。今はパレードに集中してくれ。」
パレード中、険悪な雰囲気では国民に不審がられてしまうのが分かるトーマスはそう言ったのだが、鈍いラメイラには伝わらず、パレードが終わる迄、ラメイラは引き攣ったままで、大門に着いてしまった。
「ラメイラ、暫くここで手を振ったら終わるから。」
「…………分かった。」
大門のテラスに出ると、パレードを追って来た者や、陣取っていた者で大衆に王宮前は賑わっていた。
「トーマス殿下!ラメイラ妃にキスを!」
「キスを!」
リュカリオンとナターシャは、結婚式の大門のテラスで濃厚のキスを披露したのを覚えていたのだろう。
しかし、ラメイラはそんな気分にはなれない。
トーマスはラメイラのその気分には気にはなれないのは分かっていた。
結婚式は上の空で、段取りも全て忘れ、トーマスが悪かったのも分かっていた。
だが、パレードも人が途切れず、会話をする事も出来ず、益々険悪なムードになり、大門に着いてしまった以上、この場が終わる迄会話が出来るとは思えなかった。
「ラメイラ………。」
「え?………今は嫌だよ!」
「分かってる、口にはしないから。」
トーマスはラメイラを抱き寄せ、額にキスを落としただけ………。
それが大衆に不満を齎した。
「皇太子殿下と妃殿下はしてくれましたよ~!」
「こら!失礼だろ!」
ブーイングとそれを収めようと、警備兵が止めに入り、騒動が起き始めた大門。
「…………あっ………ご、ごめん……私……。」
「後でちゃんと話するから、今は我慢してくれ、ラメイラ。」
トーマスはその場を黙らせる為に、ラメイラに強引に唇にキスをする。
軽いキスでは収まりそうではなく、貪るようなキスをした。
それが大衆には良かったが、ラメイラにとっては気持ちの篭もらないキスのようで、大門のテラスから降りた時、トーマスを平手打ちする。
「…………私が悪いんだろうけど………仕方ないんだろうけど…………ひっく………。今のキスは…………いつものトーマスからのキスじゃないっ!」
「分かってるよ………直ぐに話しが出来れば良かったが、賛辞を無視する訳にはいかなかったから話出来なかったんだ。ラメイラも公女なら……。」
「……………じゃあ、何で祭壇の前で笑ったの!」
ラメイラとトーマスの険悪なムードに、警備兵達はオロオロとし始めた。
その場をとりあえず離れ、2人だけで話をしたかったトーマスは、目配せさせ馬車にラメイラを押し込めようとするが、ラメイラはその気にもならず、動こうとしなかった。
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