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恋愛開始

スケベな中年男会開始前

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 紗耶香を抱いてから、暫く経った平日の夜。
 バーに、彬良に呼び出された男達が、集まると裕司は聞いた。その裕司もまた彬良に呼び出された1人ではあるのだが、嫌な予感しかしなかった。

 ―――この前、彬良と茉穂ちゃんがイベント企画の相談あってから、彬良と会うのはあれ以来……

 紗耶香もその時に居て、内容も知っているし、この集まりの事は知っている。

『え?今日バーにラスト迄居るの?』
『彬良が渡したいもんが有るって言うんでな』

 あの夜以降を境に、裕司は紗耶香ではなく紗耶香の父の補佐に回ってしまったのだ。
 結婚迄は、外泊は勿論、身を引き締めろと紗耶香と裕司が2人同時に言われ、2人が一緒に居る時間が極端に減ってしまった。
 それでも、紗耶香が休みの前日と休み当日は、デートも出来てはいるが、時間は足りないと感じている昨今だった。

『何を渡したいんだろ』
『嫌な予感しかしねぇよ、俺は』
『貰ったら見せてね』

 と、言われたが、何を渡されるのかは予想は裕司には付いていた。裕司は以前貰った事があるからだ。

 ―――茉穂ちゃんにも使ってんだろうな、彬良

 ガチャ、とバーの扉が開き、裕司は入り口に振り向く。

「いらっしゃい」

 最近知り合った律也だと知ると、砕けた言い方で出迎えた裕司。

「こんばんは……まだ誰も来てないのかな?」
「まだだね………あ、そうだ……紗耶香が世話掛けた……羽美にも礼を言っといてくれねぇか?」
「………て、事は上手くいったのかな?裕司君」
「…………それについては、少々腹立ったが上手くはいった……」
「それなら、良かった………紗耶香さんがあんなに泣くとは思わなかったから、羽美も親身になっていたんだ」
「悪かったな」

 申し訳なさ気に律也に礼を言う裕司。

「来たら個室に案内するから、先に飲むか?」
「ビールを頂こう………所で、裕司君性欲処理大変だったんだね」
「…………?」
「後腐れない女を相手するのをさ」
「…………アンタ?」
「…………お互い落ち着けて良かったじゃないか」
「まぁなぁ………でも、俺の場合はまだ難関が待ち構えてる立場でな」
「難関?………あぁ、婿?」
「…………勘鋭いな……」
「鋭くはないさ………紗耶香さんの口振りと、白河酒造の現状から婿養子取りたい、てのが分かるしね………俺と見合いをセッティングされた辺りで直ぐに分かったさ………紗耶香さんは我儘なお嬢様気質なのは会って知ってるし、君が頑張らないとならなくなるだろう、とは予想してた」
「…………流石だな……アンタ」

 ビールジョッキを律也の前に出すと、律也は喉が乾いていたのか、半分程減らす。

「元々、航と家で飲む予定だったんだが、何故このバーに変更になったのか分からないんだが」
「あぁ…………彬良が渡したい物があるらしい……多分、アンタがだぜ?航は毛嫌いするだろうがな」
…………フッ……楽しみだ」

 不適な笑みが律也に見えた。
 裕司の性欲は律也の予想通り同じではあったが、アダルトグッズを使う趣味は無い。

「…………なぁ……羽美をM気質に変えたのか?」
「 元々その気質だったから、しただけさ」
「…………怖っ!」

 裕司は律也のニヤニヤと不適な笑みが、なんだか寒気がしたが、同じ様な女性遍歴に親しみはあった。

「それで、順調なのかな?白河酒造の仕事」
「昼は社長についていろいろなぁ……まだ上手く行くかなんて自信なんてねぇし」
「俺だって自信なんてないさ………だが、経営側になれば家族だけじゃなく、従業員の生活や従業員家族も関係してくるから、大きな仕事はギリギリ迄悩んで決めるから、気は緩められない………小さな仕事だとしても失敗を積み重ねたら、積もり積もって大きな損失になり兼ねないからね………そう思えば、老舗企業の白河酒造が続いてるのは凄いと思うよ……ウチはまだ俺で3代目だしね」
「………うぇ……逃げたくなる事言うなよ……」
「覚悟したから、紗耶香さんと付き合う気になったんだろう?仕事が出来る紗耶香さんは精神面が弱い様だから、裕司君が支えになってるんじゃないかな」
「意外と軟弱だからな………紗耶香」

 律也がビールを飲み切る頃、航も到着する。

「お、律也もう来てたのか」
「先にやってるよ」
「裕司、俺もビール」
「了解……で、次何飲む?」
「俺はウイスキー貰おうかな、ロックで」
「了解」

 裕司がビールをサーバーで航のビールを注いでいる間、別のスタッフに律也のドリンクを頼んだ。

「彬良は?まだか?」
「仕事終わって一旦帰ってから来ると言ってたぞ」
「だが、俺が参加していいのだろうか?」

 航の問いに、裕司が答え、律也が疑問に思っていた。

「いいんじゃねぇかな、航を呼ぼうとしたらアンタと飲むって聞いて、じゃあ一緒に、て彬良が言ったし」
「それなら、遠慮なく………今後も裕司君や彬良さんとも付き合いもしていくだろうし、これを気にまた酒を酌み交わせる様に」

 律也がロックグラスを、持ち上げ乾杯を裕司と航に促す。

「ちょい待て、律也……まだ彬良が来てねぇ」
「俺はまだ飲んでねぇぞ!」
「裕司、まだ飲んでなかったのか」
「店の酒勝手に飲めるかよ、航奢れ!」
「あ?てめぇの分はてめぇで金出せ」
「何やってんだ?またお前ら喧嘩始めんのか?」
「「彬良」」

 彬良が、到着した頃、裕司と航のやり取りを楽しそうに見ている律也。クオリティ高い見目良い中年男達の長い夜が始まる。


 
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