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【番外編】新王帰還
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アルジャーノン新王、ローウェンの帰還はローウェンへ支持していた者達にとっては朗報だった。
そして、アルドール公爵の尽力により、纏めあげられた貴族達により、ローウェンの帰国を待ち望んでいた。
「母上、ただいまローウェン帰国致しました」
「ローウェン…………帰って来られたという事は………」
「愚兄………ライオネルは私の手で……」
「…………やはり、そうなりますね………あって欲しくなかった……」
「理由は後程お話致します………棺をご覧になられますか?」
「…………えぇ」
ライオネル治世になってから、国が傾き始めた事は、ローウェンも知っていた。だからこそ、隣国のグレイシャーランドで国政を1から勉強し直し、宰相としてアスランの片腕になったのは偏にナーシャの存在と、アスランの助けがあったからに過ぎない。
葬儀を早急に行い、国政を安定な治世にするには、何年も掛かるだろう。
「母上………グレイシャーランドでとても大事にしていた婚約者が居るのです……落ち着いたら迎えに行っても宜しいですか?彼女は、親友アッシュの妹……王妃としての資質は僕が保証します」
「まぁ、アッシュに妹が居たのね?」
「えぇ、アッシュには僕の婚約者だったミレーユが居ますしね………ミレーユはアイツに任せました」
「…………そう……その話もまた後程聞かせてくれるのでしょう?」
「勿論」
後にローウェンは、片腕としてアルドール公爵を宰相にし、ヴァルム元伯爵を公爵に抜擢した人事を行い、ライオネルが潰した領地の領主として、グレイシャーランドとの国境管理を担う事にする。実質、ヴァルム公爵は王都に在住しなければならない事が多いが、新しく出来たヴァルム公爵領の治安改善を優先する様に、とヴァルム公爵はその任を引き受ける。
「んじゃ、視察も兼ねて、ヴァルム公爵領に行ってくるから、アルドール公爵暫く宜しく!」
ライオネルの葬儀を質素に執り行われ、人事異動を終えて3ヶ月経った頃だった。
「陛下!まだ重要案件がまだ残っていて、採決が必要な物が!!」
「あ、それはやっておいたよ~、後は詰めておいて~………あ、それからグレイシャーランドに行ってくるから、そうだな………2週間ぐらいで帰る!」
「2、2週間!!こら!ヴァルム!お主も手伝え!!」
「む、無理だ……こっちは元々決まっていた事で陛下が勝手に便乗する、と………」
「ナーシャを連れて来るんだからいいだろ?王妃が必要なんだから……あ、如何しても採決が必要な事あったら伝書鳩送ってよ、ね?」
「……………これだから、ローウェン様は嫌いなんだ……」
アルドール公爵がローウェンに振り回される日々はまだまだ続く。
強引にローウェンのヴァルム公爵領への視察は、またもアルドール公爵の悩みの種になるのだ。アルジャーノン王都から3日程掛けて、ヴァルム公爵領へと着いたローウェンとヴァルム公爵。まだ人が住める地ではなく、領主城の改装と、亡くなった村人達の埋葬に手間どっている。
「領主城の改装もだけど、やっぱり潰された村の荒れ方が凄いね………いっその事1つ街作って、その周辺農地にしてさ………」
「人口が集まるとでも?」
「集まると思うよ……グレイシャーランドの王都から1番近いのはこの領地だったんだから」
「そうですね………ですが干ばつの可能性がある地です………農業より産業を考えた方が良いかと」
「産業かぁ………何か案ある?」
「ヴァルム家では鍛冶屋と懇意にしておりました……この地域で鉄鉱石が出る場所があるとも聞いた事がありまして……環境さえあれば移住者も出てくるかと……」
「鉄鉱石?………武具の製造か!」
「戦争する事は無いとは思いますが、この辺りは獣も多く、被害もありますし扱える者が多い方がいい、と常々思っておりました」
「知らなかったなぁ………」
「前領主は、全く無頓着でしたからね」
「…………よし!アルドール公爵にアルジャーノン国の鍛冶屋リストを集める様に言っておこう!」
またも、仕事を増やされるであろうアルドール公爵が気の毒になっていたヴァルム公爵。
「それは、私の方でやりますよ」
「復興のが先だろ?ヴァルム公爵は………余裕あるの?」
「いや、私も結構抱えてますが、アルドール公爵の量と比べたら、私は何とかなりますので」
「………う~ん、でも知らせない訳にはいかないから、知らせは入れておく」
だが、結局アルドール公爵にやらせてしまうローウェン。
「また仕事増やしたな!クソガキ!!」
仕事が出来るローウェンなのは理解しているし、ライオネルよりは国政の回し方が上手いのも知ってはいるが、一々神経を逆撫でする指示で、手紙を握り締めたのだった。
『ヴァルム公爵領を、産業の街にするよ、それに伴い、国中の鍛冶屋や鉄鉱に携わる職人達のリストを作っておいてね~』
「…………はぁ……仕事が出来るから我慢しなければ………」
そんな事はヴァルム公爵は露知らず、ローウェンはヴァルム公爵と視察を終え、グレイシャーランドとの国境砦に着いた。
「砦出ちゃえば1日半で王都だよ」
「エヴァーナ側より早いですね………余程、ヴァルム公爵領の荒れ地を見たくなかったんでしょうな………ご自分で指示した事でしょうに」
「元々残虐性があったからねぇ」
「この獣が出ない様にするのはどういった方法で?」
「鉄網に棘を着いた物を森の中に張り巡らせてる……中には入って来るものも居るけど、格段に殺傷はしなくなったよ……獣達も生きてるからある意味境界線かな……都や街、村の行き来は道の両側を張り巡らせてある……かと言って肉は必要だから、各1本ずつだけね」
「ほぉ………鉄柵ですか………」
「何か考えてるねぇ……本当、ヴァルム公爵は頭脳も剣術も凄いから尊敬して止まないね」
「何を仰る………もう老体………そろそろ孫が待ち遠しい歳ですよ」
「あ、そうだね………知らせが無いけど、いい話聞けるかなぁ?」
そして、3ヶ月振りにローウェンとヴァルム公爵はグレイシャーランド王城へと着いたのだった。
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