篭の中の小鳥、羽ばたくJade【完結】

Lynx🐈‍⬛

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デート?

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NEO EARTH-社長室

  翡翠はデザインを思考中だった。

「社長、そろそろミーティング始まりますが。」

 秘書らしきスタッフが声を掛けてくる。
  その声で手を止め、翡翠は引出しに仕舞ってあったケースを取り出した。

「もうミーティングの時間なのね、行かなきゃ。」

 そういうと、ミーティングに必要だったのか、そのケースと必要な物を持ち、社長室を出て移動する?

「今日はどんなデザイン見れるかな。」

 ウキウキと浮ついた声で楽しそうにつぶやく翡翠。

「社長は、ホントにデザインミーティング楽しそうですよね。」
「楽しいもの。皆の個性が出てて。私も[Hisui]の新作出来たしね。」
「遂に出来たんですか?[NEO EARTH 2]!」

 スタッフも何やら嬉しそう。

「……出来ましたよ~、試行錯誤しまくってやっと出来ました。」
「わぁ、楽しみです、社長。」



 会議室に集まった、デザイナー数人と翡翠。

「皆さん、良いの出来ました?X'mas用の新作ジュエリー。」
「はい。」

 デザイナー達が、次々と翡翠のPCにデザインを送信する。

「あ、コレいいですね~。あ、コレも可愛い。うんうん、皆さん力入ってますね。」

 ザッと、送られたデザインに目を通す。

「小林さんの2枚目、これ爪甘くならない?このサイズなら一回り石小さくしないと留まらないじゃないかな?あと佐々野さんの6枚目のピアス、この大ぶりだと、キャッチャーじゃなく、フックのが良くないかな。」

 デザインの変更提案を次々と言っていく。   
 翡翠はダメ出しはしないようにしている。  
 それはスタッフの個性は潰さず、活かしたまま作品を出したいからだ。
 デザインが決まって作品にする事が決まっても、別のブランドに同じ様な物が無いか、チェックはしなければならない。
 デザインの模造や盗品等と疑われる訳にはいかないのだ。
 お互いのデザインへの思案、提案しながら、一つ一つ確認して、新作を決めていく。
 それと同時に、模造があるかを調べていく。
 およそ100はあったデザインがその中で決まるのはたった数点。
 翡翠が決めるデザイン提出のルールは、1点物、3セット物、デザイン数は制限はない。
 翡翠はこのデザインミーティングが楽しくて仕方ない。

「……あぁ、もう幸せだぁ。見てると楽しい!」
「社長の娯楽で書いてません!」

 スタッフから、突っ込まれる事も少なくない。
 あら方、新作が決まると、バイヤーに素材を揃えてもらい作品を作るのだ。

「さて、私も新作出すかな。[Hisui]の新作です。」

 手袋をしてケースから、ネックレスを出す翡翠。
 デザイナー達も手袋を着ける。

「……………おぉ!」
「凄い![NEO EARTH]も凄いのに、更にこんな風に作れるなんて!」

 昨夜、自室作業室に篭り、作った[NEO EARTH2]ブランド[NEO EARTH]の代表となるネックレス。
  12個12種類の宝石を同じようにカットして、球体にしたネックレスだ。

「販売方法だけど、これは申し訳ないけど、予約制とします。店頭即売はしません。予約は月10名迄。これはサンプルで店頭に出します。値段は[NEO EARTH]の1.3倍にして下さい。予約販売開始は3周年記念日に。」

 手袋をはめた順に、ネックレスを回し見ている。

「あの、私も[NEO EARTH2]欲しいです、社長。」
「え、私も!」
「俺、彼女にプレゼントしたいです。」
「……………ん~~ん、店頭スタッフ何人だっけ?3周年迄あと半年あるから、余裕持って作るつもりではいるんだけど、3周年に合わせて、店頭スタッフに身に着けてもらって仕事してもらおうか。経費で落としてもいいけど、欲しい人も居るからそれを社割り購入で。ただし、3周年記念フェア1ヶ月は店頭スタッフの備品扱い。どう?皆。人が使った物なので嫌な人は、予約して順番待ちして社割りで買って下さい。」
「社長、そんなの気にしません!」
「俺、プレゼントしにくい……。」
「じゃ、予約して買わなきゃね。」
「はははは……。」
「男性用に、タイピンも用意するけど、こっちは販売はまだ難しいかな。販売するなら、ネックレスとタイピン含めて月10本が限度なんで、とりあえず販売スタッフ分から作り、バイヤースタッフ、デザイナー順ね。彼等が宣伝広告になってくれるんで、お客様や関係者と接する分から配ります。3周年記念フェアの1ヶ月間で欲しい人は先着順購入でいいかしら?スタッフ全員欲しいとは限らないからね。」

 コンコン。

「社長にお電話が入ってます。」
「何方?」
「ノエル・神谷と仰ってました。会えるアポを取りたい、と。」
「分かりました。営業時間後に時間を取りますので、閉店後なら大丈夫です、と伝えて下さい。」
「了解しました。」



『社長、神谷様がお見えになりました。』

 警備室から、営業時間後ノエルが来た事を知らせる連絡が入る。

「社長室に来てもらうように案内してください。」

 翡翠は、当日の売上の集計処理に、店頭スタッフと仕事をしていた。

「後任せていいかしら?収支報告は明日朝一で確認するから、終わったら終業して下さい。」
「はい、お疲れ様でした。」
「お疲れ様でした。」

 数人の店頭スタッフに、挨拶をした後、社長室に戻る翡翠。

(まさか、昨日の事本気なのかしら、あの人…。)

 店頭奥にあるエレベーターで、5階にある社長室に向かうと、既に警備室の方から乗るエレベーターから上がってきたノエルが社長室のドアの前で待っていた。
  [NEO EARTH]のビルは1階、2階は店舗、3階はデザイン部とバイヤー部、4階に製作部、5階は社長室と秘書部と経理部があり、6階が翡翠の自室で、社長室の中に階段があり、社長室に入らなければ翡翠のプライベートルームには入れない。

「すいません、お待たせしました?」
「いや、大丈夫。こっちこそ、急な訪問ですまない。」
「………昨日は壁通り抜けて来たくせに。」
「ん?何か言った?」

  カチャカチャ

 社長室の鍵を開け、ノエルを向かい入れた翡翠。

「いいえ、何も……。」
「昨日は失礼したから、今日は順序立ててアポ取ったんじゃないか。」
「!!聞こえてるんじゃないの!!」

 ノエルは、社長室のソファに座り、長い足を組んで座る。

「金髪の外国人の方は、日本茶より英国の紅茶の方がよろしいかしら?」

 社長室には来客が来た時の為にバーカウンターがあり、翡翠はそこで嫌味たらしく飲み物の用意を始める。
 しかし、ノエルは…。

「………腹減ったなぁ、何か食べに行かないか?」

  ガチャッ

「はぁ?食べて来なかったの?」

  確かに夕飯時で、翡翠も空腹だったが……。

「よ、用事があるなら、さっさと済まして、その後食べに行けばいいじゃない!」

 翡翠もノエルとの面会後に食べるつもりであった。

「まぁまぁ、行こう、食べにさ、日本食食べたいんだ。」

  来たばかりで、強引に翡翠の手を引っ張って、社長室を飛び出す。

「わ、分かったから、ちょ、ちょっと鍵、鍵掛けるから!準備もさせてよ!」

  準備もそこそこにし、翡翠は渋々付き合う事になった。
 ノエルは、近くに車を停めてあると言うのでそこ迄一緒に歩く羽目になった翡翠。
 人通りの多い東京の街中で、すれ違う人全てが、ノエルに目線をやる。
  180cmはある長身の金髪碧眼の美青年。
 モデルのような長い手足で颯爽と歩く。
  傍らに翡翠をエスコートして。

(や、やだ、視線の的じゃない。全部視線が彼に集まって歩きづらい。)
「気にするな、いつもの事だから。」
「………私が気になるのよ!」
「……。」
「?何?」

  ノエルはエスコートしていた手を離し、いきなり抱き寄せた。

「!!!」
「きゃ~!」

 視線を送る人から、どよめく声が行き交う。
 暫く抱き締めた後、腕を緩め今度は肩を抱き寄せた。

「さ、行こうか。」
(???な、何今の……。)

 これによって、翡翠は人の目線を気にする事なく済んだのだった。

(……………そうなんだよ、この子の困った時にする顔も、好きだったんだよなぁ……。)


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