11 / 64
羨ましいよ
しおりを挟む午後になり、少し落ち着いてきた頃、昨日ノエルと行った料亭の女将とのリフォームの相談を終わらせ1階に降りてきた2人。
「まぁ、神谷様。」
「あれ?女将、来てらしたんですか。」
「はい、とても素敵な指輪にリフォームしてくれそうです。」
「それは良かったですね、また出来上がったら、店に伺う事にしようかな。」
「はい、神谷様、高階様と是非。では失礼致しますね。」
「ありがとうございました。」
翡翠は深々と頭を下げた。
「………さっきの電話、あれ何?」
「それ、聞きにきたの?」
「まさか、ついでだよ。デニスの指輪の受取に付き添っただけ。」
よく見ると、デニスも居る。
(デニスさんが取りに来たのか。………ん?冷たい視線?)
見渡すと、店内の女性客はノエルに釘付けで、手が空いているスタッフは、羨ましそうに見ている。
「………私、今から打ち合わせがあるから、行くわね。ごゆっくり。」
「あっ!」
「翡翠さん!すいません、お待たせしてしまって!」
「酒井さん、今日はお世話になります。小林も呼びますね。」
インカムで、小林を呼ぶ翡翠。
その横で、何か話したそうなノエル。
その光景を見ている酒井は、
「モデルさんですか?[NEO EARTH]もモデルさん入れるようになったんですね。」
「あ、……………まぁ、その。」
「酒井さん、行きましょう。小林も直ぐに来ますから。」
「翡翠さん、広告に彼入ってくれませんかね?」
「は?」
「お待たせしました~。わっ!めっちゃイケメン!」
「小林さん、ご無沙汰です。ね、いつからモデルさん、雇ったんです?」
「え?私知りませんよ、社長!聞いてませんよ、私!」
「い、いえ、彼は、モデルじゃなくて、ですね………。」
「いいですよ、モデルやっても。ただし、あいつも込みで。」
ノエルは、デニスも巻き添えにする。
(の、ノエル~!!)
2階のVIPルームに入ってきた翡翠達。
訳も分からず連れて来られたデニスと勘違いしているデザイナー小林と、広告代理店の酒井。
「どうしようかな、人物ないプロットで作ってしまったんですが、彼等が入るなら変えたくなったなぁ。」
「先ず、考えて頂いたプロット見せてもらえますか?」
「3周年が近いので、翡翠さんの代表作の[NEO EARTH]から次世代への意味を込めてこんな感じで作ってみたんですけど……。」
[NEO EARTH]が中央に飾られ、それを投げてるのか受け取るかのような神秘的な広告。
「CMは流す予定無かったですよね?でも発表にはやっぱり彼等を起用して、[NEO EARTH]のジュエリーを身に着けさせての発表ですか?」
「いえ、あの彼等はモデルじゃな………!」
「翡翠、そんな冷たい事言うなよ。愛しい彼女の仕事を手伝いたいんじゃないか。」
ベタベタと翡翠に抱きつくノエル。
「あ、あぁ…………何だ、彼氏さんでしたか。だとそれは………それで……。」
「社長、いつの間にそんなスペックの高そうな人を……。羨まし過ぎますよ。」
広告掲載の打ち合わせも思ったより進まなかったのは言うまでもない。
デニスにも説明しないまま、訳も分からずデニスは呆然としていたし、翡翠も集中出来ずにいたからだ。
「では、ノエルさんとデニスさんの2人を入れた撮影予定させて下さいね。いやぁ、楽しみだな。」
「こちらこそ、カッコよく撮って下さいね。」
「めちゃ楽しみです、私も。」
3人だけが盛り上がっていたのだ。
(もう、どうとでもして……。)
酒井を見送り、小林とVIPルームを片付けてると、ノエルがやって来た。
「ちょっといい?翡翠。」
(来た!)
少し躊躇していると小林が、
「あとやっときますから~。」
と追い出す。
「何?まだ仕事しなきゃ。」
「効率いいと思ったんだよ。俺がモデルとして、翡翠の側に居たら不自然じゃないだろ?」
「…………集中出来ない。」
「仕事の邪魔はしないよ。俺は俺の仕事をする。君は君の仕事をすればいい。彼氏だから、て君の仕事中にうろちょろする訳にはいかないからな。」
「………私、仕事しなきゃ。」
「あぁ、頑張れよ。」
「……ありがとう、貴方も無理しないでね。」
何故か、寂しさを覚える会話だった。
翡翠は、仕事だから自分の側に居るんじゃないか、ノエルは距離を置く翡翠にどう接していいか分からない。
(不味ったか?)
ノエルは、そう思わずにいられなかった。
『ノエル、何で俺までモデルしなきゃならん?』
先程、小林からやっと詳細を聞いたデニス。
『いいじゃないか、お前もイケメンなんだし。』
『良くない!ジェニーにバレてみろ!ヤキモチ妬かれるじゃないか!』
『いいじゃないか、羨ましい。』
『何だ?翡翠は妬いてくれないのか?』
『…………知らん。それより受け取ったのか?指輪。』
『あぁ、なんて美しく輝くんだ!ジェニーの左薬指によく映えるだろう!』
そこにジェニーが居るかのように、エア抱きするデニス。
『………お前が羨ましいよ。』
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる