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父が父じゃなくなる日
しおりを挟む王の執務室に一旦入室させられた、サイファ。
アレクセイ、アーヴァイン、ラルドー、アーサーも一緒だった。
(何が始まるんだよ。)
「アーヴァイン、ラルドー、何故サイファが居る?」
「…………俺も知りたい、ラルドー。」
「…………サンドールの家に寄ったんだ。ナックルの能力が切れたから………そしたら、着いてくる、と言い張られて………仕方なく………アレクセイ様!先は変わるのでしょうか!」
「…………まぁ、待て。こうなる事は予見してなかったから、変わるかもしれんが………。今視てみる。」
アレクセイが、眼の色を変え、瞑想し始める。
沈黙が流れる室内で、落ち着かないサイファは、執務室を見渡す。
何枚かの肖像画が並ぶ室内。
その1枚に気になった絵があった。
サイファに似ているようで違う男と、サイファやアレクセイ、アーサーと同じ髪色と瞳の女。
(似ている………よな。)
「…………あまり、良くない先が視えるが、過ぎてしまったものは仕方ない。遅かれ早かれ、サイファは事実を知らなければならないからな。」
「…………はい。申し訳ありません。」
アーヴァインとラルドーが謝罪する。
「………私も連れて来るな、としか言わなかったし、1人で来られるよりかはまだ良かったから不問にしよう。私はこれからの事を視直すしかない。………所で、アーヴァイン。」
「はい。」
「サイファに阿修羅は使わせて、モノになったのか?」
「それが………まだ……バランスを取るのが精一杯でして……。」
「…………そうか……。サイファ。」
「え?………あ、はい。」
「阿修羅は持っているだろう?少し見せてもらえるかな?」
「…………はい。」
サイファは阿修羅を取り出し、アレクセイに見せた。
「………うん、血は吸わせてないな。」
アレクセイは席を立ち、少し離れた場所で阿修羅を振り回す。
(スゲ~!)
「父上!僕にも持たせて下さい!」
「……アーサーには渡せない代物だ。これは、カムラの秘宝だからね。………サイファ、こういう事は出来るかな?」
アーサーが持ちたがるのを制し、サイファに返したアレクセイ。
アーサーを見るとかなり不機嫌そうだ。
「父上!僕にも同じ物を下さい!」
「………アーサー……、お前には無理だ。それについては今から話すが、サイファ……やって見せてくれ。」
「アレクセイ様!まだおそらく無理かと………。」
アーヴァインが止に入るが、サイファはアレクセイが見せた振り回し方を真似したくなった。
持ち方も真似し、寸分違わずとは言わないまでも、くるくると回しながら、自分も動く。
「…………うん、アーヴァイン大丈夫だろ、これなら……シヴァの動きには程遠いがな。」
「……………では…………。」
アレクセイは、頷く。
「サイファ………。」
アレクセイはひと呼吸し、サイファに注意を向かせると、再び口を開いた。
「君は、アーヴァインの息子ではない。」
「え?…………何て………。」
「君は、私と母が違う弟、カムラ国王シヴァと、私と父が違う妹、ロートシルトの王女だった、ジュリアナとの間に生まれた、カムラ国王子だ。」
驚き過ぎて、阿修羅を手から落とすサイファ。
アーヴァインと、ラルドーもサイファに跪く。
「…………申し訳ありません、サイファ様。今迄黙っておりました。」
「………だ、だって、俺サンドールに住んでたのに!」
「…………それは、今カムラが住める状態ではないのです。」
ラルドーも話す。
アーヴァインが阿修羅を拾い、サイファに渡そうとするが……。
「嘘だ!父さんなんだろ!俺の父さんなんだろ?なぁ!」
「……………いいえ、貴方は我が君主シヴァ様とジュリアナ様のお子。親として偽りました事、申し訳ありませんでした。」
「………そ、そんな………。」
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