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第五章 月の巫女と黒の魔人
月の巫女と黒の魔人 第八節
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賑やかなキャンプ地の会場から少し離れた林。ウィルフレッドは一本の木に背を持たせながら、地球から観察できる月よりも一際大きいこの世界の月を見上げた。平らげた皿を傍に置き、彼はギルバートのことを思い出す。
地球での戦いからそう経ってないはずなのに、まるで何年ぶりにようやく再会したような感覚だった。あいつは変わってはいない。考えこそ賛同しかねるが、自分をいまだ家族だと言ってくれた時は本気で嬉しく思い、同時に悲しくも感じた。月の柔らかな明りを受け、胸元にあるツバメの首飾りに触れながら、かつて地球でのことに思いふける。
******
それは知らないうちに『組織』に入って間も無くのことだった。あるシティから少し離れた工場の地下にある訓練施設内で、銃弾、レーザーと砲火が飛び交う荒野のフィールドを、ウィルフレッドはライフルを持ちながら必死に前進していた。
フィールドは本物ではなく、ホログラムなどを利用した訓練用のものだが、飛び交うホロ銃弾は撃たれれば死ぬほど痛く感じるし、爆音などの再現性により本物とは見分けがつかないほどのリアルさを持つ。
新入りの人員が基礎訓練の後、部署の振り分けの前に必ず受ける適性テストだ。大小様々な規模、多種多彩な理由によるシティ、企業間の戦争が恒常的に行われてる今の地球で、個人企業やどこかの組織が警備員と称した私兵を擁すること自体珍しくはない。だからこの訓練も至極当然のものだとウィルフレッドは思っていた。そこがあくまで桁外れの規模を有する『組織』の小さな末端に過ぎないことを知るのは、まだまだ先のことだった。
すぐ傍に起きた爆発でウィルフレッドがつまずいて伏せる。降り落ちる砂利と地面の土が口へと入り、それを吐き出しながら前進する。ある男の声がスピーカーから流れた。
「おいヒヨッコどもっ!なにモタモタしてやがるっ!早く前進しないとおっ死ぬぞ!」
スピーカーからの緊迫した声と、リアルに再現されたフィールドがまるで本当に死ぬような錯覚をもたらす。新米の一人が流れ弾に撃たれ、痛みを再現する強烈な電流が神経を流れると、泡を吹いて痙攣しながら倒れた。
歯を食い縛って前進するウィルフレッド。回りでさらに数度の大きい爆発。思わず跪いてすぐ立ち上がろうとする彼は、傍で地面に伏したままヘルメットを押さえてすすり泣いてる新米に気付く。
「う、ううっ、だめだっ、やっぱ僕には無理だよ…っ」
黒髪で眼鏡をかけた、兵士というより物静かな書生に見える貧弱そうな少年だった。震えて泣く彼を見て、かつてのある光景がウィルフレッドの脳内に浮べた。
体はすぐに動いた。なんとか少年の傍に移動し、肩を貸して少年を無理やり担ぎ上げる。
「しっかりしろ…っ、ここにいてはダメだっ」
「! おいそこの銀髪のっ!なに馬鹿なことしてやがる!そんなことしてたら二人ともやられるぞ!」
男の怒鳴る声が響いた。
「あ、あの人の言うとおりだよ…僕なんか捨てて先に――」
「いやだ…絶対に見捨てるものかっ…」
「君…?」
少年が訝しむ。目の前の男は、まるで自分事のように見知らぬ自分を助けようとしている。その気迫に当てられたのか、少年もまた必死に震える足を立たせて進もうとした。
――――――
「…まさか最後にゴールできたのがあんたら二人だけとはな」
訓練の後の会議室で、ウィルフレッドと少年は、サングラスをつけた男の前に立っていた。訓練で二人以外の新米たちはどれも途中で脱落し、医療室で横たわっている。男はパッドを操作して、目の前の二人のデータを確認した。
「…ウィルフレッド。姓なし。孤児で、養母の治療を交換条件に編入。アオト・カンナギ。同級生に暴行を働いて一人が半身不随。罪状の抹消と感情抑制手術を引き換えに編入、か…」
アオトはバツが悪そうな顔のまま俯いており、ウィルフレッドはただ淡々と前を見る。男がパッドを収めると、ウィルフレッドの前に立って彼を睨んだ。
「とんだ甘ちゃんもいたもんだ。まさか俺の警告を無視してまでこいつを助けようとするとは。これが実戦だったら、二人とも間違いなく死んでたことを理解してんのか?ああっ?」
「心得ています」
たとえ眼前まで顔を迫られても、ウィルフレッドは顔色変えずに答える。しかし男の次の反応は、二人にとって予想外のものだった。
「…くく、はははははっ!肝の据わった奴だな!気に入ったぜ!チームはこうでなくてはなあっ!」
ウィルフレッドとアオトの肩を叩いて大笑いする男に二人は目を丸くした。
「チームはいわば家族みてえなもんだ。互いの面倒を見なければ始まらねえ。見掛け倒しのチームワークなんざ戦場では簡単にボロがでて瓦解するものだ。仲間を見捨てないほどの強固な絆こそが戦いを生き残る唯一にして絶対な鉄則。それを忘れるなよ」
サングラスを外して男が不敵に笑う。
「改めて自己紹介しよう。ギルバート・ラングレン。新入りのてめえらを一人前の戦闘員に叩き上げる教官の名前だ。よーく覚えときな」
――――――
終始重金属の黒い雲に覆われたメガロシティとは逆に致命的なほど晴れた空の下。綺麗に磨かれた施設の廊下は、不毛な荒野に沈んでいく夕暮れによって薄い茜色に塗りたてられる。その廊下で、ウィルフレッドとアオトが寮へ向かうよう並んで歩いていた。
「ギルバートさんって奇妙な人だったね。本当は命令違反で罰を受けてもおかしくなかったのに」
「ああ」
気弱そうに話すアオトに相槌を打つウィルフレッド。
「…その、ウィルフレッドさん。だよね、ごめんなさい、自分のせいで君に迷惑をかけてしまって…」
「気にしなくていい。俺が好きでやったことだし、あたりまえのことをしただけだから」
彼の答えにアオトは不思議そうに思った。
「…ウィルフレッドさんも面白い人だね。このご時勢でそれをあたりまえだというからさ。まるでツバメみたいな人だ」
「ツバメ…?」
「あっ、いや、こっちの話だよ。気にしなくていいから」
「そうか…。俺のことはウィルと呼び捨てで構わないさ。これから同じチームとして行動するならその方がやりやすいだろ」
淡々とはしているが友好的な言葉にアオトは少し安堵する。
「うん、僕のことも、その、アオトと呼んで構わないよ。ええと…、これからもよろしく頼みます、ウィル」
恐る恐る手を差し出すアオトに、ウィルフレッドは立ち止まって改めて目の前の少年を観察した。年齢的に同い年で、見れば見るほど内気で人畜無害という言葉が似合う顔立ち。場違いと思わせるほどこの施設とは縁遠く感じられる少年だ。とても同級生を半身不随までにした人とは思えない。
「あ、その、嫌だというのなら別に無理しなくても――」
「いや、大丈夫だ。少しぼーっとしてただけさ」
アオトの手を握りながらウィルフレッドは小さく微笑んだ。
「こっちこそよろしく頼むよ、アオト」
握り返されて、緊張しっぱなしのアオトもまた頬を緩めた。
******
ふと、何かの小動物が思いに耽る自分に飛び移ったを感じた。
「うわ、ルルっ?」
「キュキュキュッ!」
ルルがまるで自分を現実に呼び戻すように肩や頭を跳び回ると、手に何かを載せた皿を持って歩いてくるエリネの元へと戻った。
「ここにいたんですねウィルさん」
「エリー…」
月明かりの下で微笑むエリネはそのまま彼の傍に座った。
「一人で食事とか寂しくはないですか?」
「元々一人でいることは慣れているさ。それに賑やかなのは苦手――」
「後半は嘘ですね」
「え」
意外そうな彼の声を聞いてエリネは得意げな笑顔を見せる。
「ふふん。前に言いましたでしょ、私は声の表情を聞き分けられるのですよ。前に朝の教会で体を動かしてたとか、初めて出会った時に記憶喪失してたと言った時とか、本当はそうじゃなの全部お見通ししてましたよ」
「そ、そうだったのか…」
隠し事が本当は思い切ってばれてたことに頬が恥ずかしさで赤くなる。それを暴いてなかったのは彼女なりの心遣いだろう。
「そうなんです。それに町の市場であんなに楽しそうにしてたウィルさんが賑やかなところが苦手なわけないじゃないですか」
「…エリーに迂闊に嘘はできないな」
苦笑するウィルフレッド。
「さっきの騎士達のせいですね?」
「分かるのか?」
「あまり心地よくない声の表情だったし、それでウィルさんが離れたから、ひょっとしたらと思って」
「そうか、心配かけてすまない…別に彼らが疎ましいと思った訳ではない。寧ろ当たり前の反応だし、時には距離を置いた方がお互いに良い時もあるからな」
落ち着いた口調で語っては月を再び見上げるウィルフレッド。エリネはそんな彼に顔を向いたまま暫し沈黙した後、手に持った皿を差し出した。
「はい、ウィルさん。食後のデザートですよ」
「これは…」
それは数等分に切り分けられ、残り一つとなった苺タルトだった。
「忘れました?今夜は私の特製苺タルトに期待してくださいって言いましたよね」
「ああ、そういえば…」
ギルバートや先ほどのことですっかり忘れたが、そういえば前からカイやイリスから何度も言及されたこともあって、密かに彼女のタルトを期待していた。
「お兄ちゃんやラナ様達はもう食べましたから、後はウィルさんだけですよ。悩み事があってもこれさえ食べれば晴れやかな気分になれるって、ブラン村でもご評判の私の自慢の苺タルト、どうぞ召し上がってくださいっ」
明るく暖かな笑顔で差し出すエリネを見て、苺タルトを見ると、ウィルフレッドはタルトを手に持って暫く見つめてから、小さく一口かじった。
新鮮な苺の瑞々しい香りが、まろやかなクリームの程良い甘さと絶妙に交じり合い、クッキー生地のサクサクとした食感とともに心地よい食べ心地を与えてくれる。口元が思わず緩んだ。培養室や工場からの合成素材で作られた地球のデザートとは比べるはずもない、優しくも甘い風味だった。
「…美味いな、凄く」
「ふふ、お気に召されて嬉しい限りですっ」「キュッ」
嬉しそうに満面の笑顔を見せるエリネに、ウィルフレッドもまたつられて微笑んだ。恐らくタルト自体だけではない。この、エリネの気持ちの篭った暖かな笑顔もまた、人に悩みを忘れさせる最高の隠し味なのだろう。
「そういえばウィルさん。体の方は本当に大丈夫ですか?採掘場でもそうでしたけど、ウィルさんが魔人化したあと、いつも苦しそうになってますよね」
ウィルフレッドは暫くしてから答えた。
「…ああ、アルマ化後の反動だ。強大な力なため、解除後はいつも痛みと疲労感に襲われる。だが基本的に時間を置けば自然と治るものだから、そう気にしなくても良いさ」
「だめですよ、痛いのにそのままにしては。これからもしウィルさんがまた魔人化したら、私やラナ様たちがすぐ手当てするようにしますからねっ」
まるで子供を躾けるかのような気迫を感じ、妙にタジタジしながら彼は頷く。
「あ、ああ…。わかった、次からはお願いするよ」
「素直でよろしいです」
笑顔を見せるエリネに、ウィルフレッドも照れながら微笑み返す。
「ありがとう、エリー。レクスやラナ達もそうだが、君とカイは、俺がこの世界に来てからずっと世話してくれたし、正体を知った今でも、こうして臆もせずに接してくれて…」
「ううん、気にしないでください。ウィルさんも私達を色々と助けてくれたじゃないですか。お互い助け合うのはあたりまえなことですからね」
「…そうだな」
軽く目を見開いては頷くウィルフレッド。
「その、エリーは本当に怖くはないのか?俺のことを」
「うーん、全然ですよ?前にも言いましたよね、私、目が見えないですから魔人と言ってもピンと来ないですし、その、魔人になったウィルさんの吼え声とかは確かに大きくてびっくりしちゃいますけど、どこか頼もしい表情しますし、…ちょっとだけ、寂しそうな表情も感じられます」
ウィルフレッドは無意識にギュッと拳を握った。
「それに…ふふっ」
口に手を当てて小さく笑うエリネ。
「どうした?」
「覚えてます?ウィルさんが最初に教会に来て一緒に食事したこと」
「ああ」
この世界に来たばかりで、色々あった後ということもあって、つい泣き出した少し恥ずかしい出来事だった。
「あの時ね、ウィルさんの声の表情を聞いて思ったの。まるで迷子になった子犬みたいって」
「こ、子犬…?」
「うん、だからウィルさんのこと、実はちょっと可愛いとも思ってるんですよ。怖いだなんてとんでもないです」
「そ、そうだろうか…」
予想しなかった表現と感想にウィルフレッドは手で口を覆いながら赤面し、そっぽを向た。エリネはただ実に楽しそうに笑顔を向けた。
「…ウィルさんはもう知ってると思いますけど、私はシスターの実の子でなく、お兄ちゃんと同じようにシスターに引き取られた孤児なの」
エリネが改まって語り出す。
「…ああ」
シスターが旅に出る前の言葉を思い出す。
「それに私、目が見えないのですから、小さい頃は色々と大変な目にもあって、時々何故自分は他の人と違って両親もいなくて、目も見えないのかなあ、と思うときも結構ありました」
ウィルフレッドはただ静かにエリネの言葉に耳を傾けた。
「それでもお兄ちゃんやシスター、ルルのお陰で今日までやってこれたし、シスターに、私も他の心ある人達と何ら変わりのない一人の人間であることを教えてもらったの。だからウィルさんだって同じですよ。魔人になれるからと言っても、私達と変わらない心を持った人ですし、私達を助けてくれるウィルさんを、私は心から信じてますからっ」
「…エリー」
涙が溢れそうになるのを堪えるウィルフレッド。地球でも似たような温かみを極稀に感じることはあったが…今、彼女が与えてくる温かみは、深みが違った、奥行きが違た。エリネが見せる元気で優しい笑顔は、そんな温かみに満ちた、地球では決して見つけられないものだった。
かつての地球での様々な出来事が、彼女の温かい言葉とともに蘇り、寂しさ、温かみ、無念、怒り、悦びと様々な感情となって心に渦巻く。エリネから発する目に見えない輝きは、この空想的な世界よりもなお幻想的で、心地よかった。
ふと、キャンプ地から歌声が風に乗って流れる。
「あ、この声…アイシャ様だ」
騎士達への慰問と、これからの旅路の女神への祈念も込めて、宴の最後にアイシャが祈りの歌をあげる。繊細で美しい彼女の歌声が、喧騒後のキャンプ地に安らぎをもたらしてく。
騎士達はアイシャの歌を聞きながら家族に、思い人に、夢に、志に思いを馳せ、ラナやレクス達も静かに聞きふける。カイもまた、まるで本物の女神のように優雅に歌うアイシャの姿に、己の胸に高鳴る動悸と情熱を感じた。
「…良い歌だな」
「うん。本当に、こんなに心が洗われるような声の表情、初めて聞きます」
膝に乗るルルを撫でながら、エリネとウィルフレッドもまた彼女の歌に聞き入った。ひと時だけとはいえ、もはや悩みなど微塵も彼らの心を煩うことなく、柔らかな月の明かりの下で穏やかな時間が過ぎていく。
そして時を忘れた丁度その頃に、歌は終わった。
「…さてとっ」
起きたルルを肩に乗せ、エリネは立ち上がる。
「ウィルさん、また何か悩みがありましたら、私達がいつも相談に乗りますから、気兼ねなく教えてくださいね」
「ああ、今日はありがとうエリー」
明るい笑顔を返すエリネ。
「どういたしましてっ。それじゃ、おやすみなさいウィルさん、また明日」
「ああ、おやすみ」
手を振って離れるエリネの背中を、ウィルフレッドは見えなくなるまで見つめた。
(ありがとう、エリー、本当に)
彼女への感謝とともに、ウィルフレッドはツバメの首飾りに触れながら決意を改める。地球でも既に決めていたことだ。たとえどれほど忌み嫌われようと、自分が意味あると信じたことを成し遂げると。
そして今や、カイやラナ達、そしてエリネが与えてくれた信頼と温もりもある。それに応える為にも、邪神教団を、そしてギルバートを必ず止める。そういう約束でもあるのだから。
【第五章 終わり 第六章に続く】
地球での戦いからそう経ってないはずなのに、まるで何年ぶりにようやく再会したような感覚だった。あいつは変わってはいない。考えこそ賛同しかねるが、自分をいまだ家族だと言ってくれた時は本気で嬉しく思い、同時に悲しくも感じた。月の柔らかな明りを受け、胸元にあるツバメの首飾りに触れながら、かつて地球でのことに思いふける。
******
それは知らないうちに『組織』に入って間も無くのことだった。あるシティから少し離れた工場の地下にある訓練施設内で、銃弾、レーザーと砲火が飛び交う荒野のフィールドを、ウィルフレッドはライフルを持ちながら必死に前進していた。
フィールドは本物ではなく、ホログラムなどを利用した訓練用のものだが、飛び交うホロ銃弾は撃たれれば死ぬほど痛く感じるし、爆音などの再現性により本物とは見分けがつかないほどのリアルさを持つ。
新入りの人員が基礎訓練の後、部署の振り分けの前に必ず受ける適性テストだ。大小様々な規模、多種多彩な理由によるシティ、企業間の戦争が恒常的に行われてる今の地球で、個人企業やどこかの組織が警備員と称した私兵を擁すること自体珍しくはない。だからこの訓練も至極当然のものだとウィルフレッドは思っていた。そこがあくまで桁外れの規模を有する『組織』の小さな末端に過ぎないことを知るのは、まだまだ先のことだった。
すぐ傍に起きた爆発でウィルフレッドがつまずいて伏せる。降り落ちる砂利と地面の土が口へと入り、それを吐き出しながら前進する。ある男の声がスピーカーから流れた。
「おいヒヨッコどもっ!なにモタモタしてやがるっ!早く前進しないとおっ死ぬぞ!」
スピーカーからの緊迫した声と、リアルに再現されたフィールドがまるで本当に死ぬような錯覚をもたらす。新米の一人が流れ弾に撃たれ、痛みを再現する強烈な電流が神経を流れると、泡を吹いて痙攣しながら倒れた。
歯を食い縛って前進するウィルフレッド。回りでさらに数度の大きい爆発。思わず跪いてすぐ立ち上がろうとする彼は、傍で地面に伏したままヘルメットを押さえてすすり泣いてる新米に気付く。
「う、ううっ、だめだっ、やっぱ僕には無理だよ…っ」
黒髪で眼鏡をかけた、兵士というより物静かな書生に見える貧弱そうな少年だった。震えて泣く彼を見て、かつてのある光景がウィルフレッドの脳内に浮べた。
体はすぐに動いた。なんとか少年の傍に移動し、肩を貸して少年を無理やり担ぎ上げる。
「しっかりしろ…っ、ここにいてはダメだっ」
「! おいそこの銀髪のっ!なに馬鹿なことしてやがる!そんなことしてたら二人ともやられるぞ!」
男の怒鳴る声が響いた。
「あ、あの人の言うとおりだよ…僕なんか捨てて先に――」
「いやだ…絶対に見捨てるものかっ…」
「君…?」
少年が訝しむ。目の前の男は、まるで自分事のように見知らぬ自分を助けようとしている。その気迫に当てられたのか、少年もまた必死に震える足を立たせて進もうとした。
――――――
「…まさか最後にゴールできたのがあんたら二人だけとはな」
訓練の後の会議室で、ウィルフレッドと少年は、サングラスをつけた男の前に立っていた。訓練で二人以外の新米たちはどれも途中で脱落し、医療室で横たわっている。男はパッドを操作して、目の前の二人のデータを確認した。
「…ウィルフレッド。姓なし。孤児で、養母の治療を交換条件に編入。アオト・カンナギ。同級生に暴行を働いて一人が半身不随。罪状の抹消と感情抑制手術を引き換えに編入、か…」
アオトはバツが悪そうな顔のまま俯いており、ウィルフレッドはただ淡々と前を見る。男がパッドを収めると、ウィルフレッドの前に立って彼を睨んだ。
「とんだ甘ちゃんもいたもんだ。まさか俺の警告を無視してまでこいつを助けようとするとは。これが実戦だったら、二人とも間違いなく死んでたことを理解してんのか?ああっ?」
「心得ています」
たとえ眼前まで顔を迫られても、ウィルフレッドは顔色変えずに答える。しかし男の次の反応は、二人にとって予想外のものだった。
「…くく、はははははっ!肝の据わった奴だな!気に入ったぜ!チームはこうでなくてはなあっ!」
ウィルフレッドとアオトの肩を叩いて大笑いする男に二人は目を丸くした。
「チームはいわば家族みてえなもんだ。互いの面倒を見なければ始まらねえ。見掛け倒しのチームワークなんざ戦場では簡単にボロがでて瓦解するものだ。仲間を見捨てないほどの強固な絆こそが戦いを生き残る唯一にして絶対な鉄則。それを忘れるなよ」
サングラスを外して男が不敵に笑う。
「改めて自己紹介しよう。ギルバート・ラングレン。新入りのてめえらを一人前の戦闘員に叩き上げる教官の名前だ。よーく覚えときな」
――――――
終始重金属の黒い雲に覆われたメガロシティとは逆に致命的なほど晴れた空の下。綺麗に磨かれた施設の廊下は、不毛な荒野に沈んでいく夕暮れによって薄い茜色に塗りたてられる。その廊下で、ウィルフレッドとアオトが寮へ向かうよう並んで歩いていた。
「ギルバートさんって奇妙な人だったね。本当は命令違反で罰を受けてもおかしくなかったのに」
「ああ」
気弱そうに話すアオトに相槌を打つウィルフレッド。
「…その、ウィルフレッドさん。だよね、ごめんなさい、自分のせいで君に迷惑をかけてしまって…」
「気にしなくていい。俺が好きでやったことだし、あたりまえのことをしただけだから」
彼の答えにアオトは不思議そうに思った。
「…ウィルフレッドさんも面白い人だね。このご時勢でそれをあたりまえだというからさ。まるでツバメみたいな人だ」
「ツバメ…?」
「あっ、いや、こっちの話だよ。気にしなくていいから」
「そうか…。俺のことはウィルと呼び捨てで構わないさ。これから同じチームとして行動するならその方がやりやすいだろ」
淡々とはしているが友好的な言葉にアオトは少し安堵する。
「うん、僕のことも、その、アオトと呼んで構わないよ。ええと…、これからもよろしく頼みます、ウィル」
恐る恐る手を差し出すアオトに、ウィルフレッドは立ち止まって改めて目の前の少年を観察した。年齢的に同い年で、見れば見るほど内気で人畜無害という言葉が似合う顔立ち。場違いと思わせるほどこの施設とは縁遠く感じられる少年だ。とても同級生を半身不随までにした人とは思えない。
「あ、その、嫌だというのなら別に無理しなくても――」
「いや、大丈夫だ。少しぼーっとしてただけさ」
アオトの手を握りながらウィルフレッドは小さく微笑んだ。
「こっちこそよろしく頼むよ、アオト」
握り返されて、緊張しっぱなしのアオトもまた頬を緩めた。
******
ふと、何かの小動物が思いに耽る自分に飛び移ったを感じた。
「うわ、ルルっ?」
「キュキュキュッ!」
ルルがまるで自分を現実に呼び戻すように肩や頭を跳び回ると、手に何かを載せた皿を持って歩いてくるエリネの元へと戻った。
「ここにいたんですねウィルさん」
「エリー…」
月明かりの下で微笑むエリネはそのまま彼の傍に座った。
「一人で食事とか寂しくはないですか?」
「元々一人でいることは慣れているさ。それに賑やかなのは苦手――」
「後半は嘘ですね」
「え」
意外そうな彼の声を聞いてエリネは得意げな笑顔を見せる。
「ふふん。前に言いましたでしょ、私は声の表情を聞き分けられるのですよ。前に朝の教会で体を動かしてたとか、初めて出会った時に記憶喪失してたと言った時とか、本当はそうじゃなの全部お見通ししてましたよ」
「そ、そうだったのか…」
隠し事が本当は思い切ってばれてたことに頬が恥ずかしさで赤くなる。それを暴いてなかったのは彼女なりの心遣いだろう。
「そうなんです。それに町の市場であんなに楽しそうにしてたウィルさんが賑やかなところが苦手なわけないじゃないですか」
「…エリーに迂闊に嘘はできないな」
苦笑するウィルフレッド。
「さっきの騎士達のせいですね?」
「分かるのか?」
「あまり心地よくない声の表情だったし、それでウィルさんが離れたから、ひょっとしたらと思って」
「そうか、心配かけてすまない…別に彼らが疎ましいと思った訳ではない。寧ろ当たり前の反応だし、時には距離を置いた方がお互いに良い時もあるからな」
落ち着いた口調で語っては月を再び見上げるウィルフレッド。エリネはそんな彼に顔を向いたまま暫し沈黙した後、手に持った皿を差し出した。
「はい、ウィルさん。食後のデザートですよ」
「これは…」
それは数等分に切り分けられ、残り一つとなった苺タルトだった。
「忘れました?今夜は私の特製苺タルトに期待してくださいって言いましたよね」
「ああ、そういえば…」
ギルバートや先ほどのことですっかり忘れたが、そういえば前からカイやイリスから何度も言及されたこともあって、密かに彼女のタルトを期待していた。
「お兄ちゃんやラナ様達はもう食べましたから、後はウィルさんだけですよ。悩み事があってもこれさえ食べれば晴れやかな気分になれるって、ブラン村でもご評判の私の自慢の苺タルト、どうぞ召し上がってくださいっ」
明るく暖かな笑顔で差し出すエリネを見て、苺タルトを見ると、ウィルフレッドはタルトを手に持って暫く見つめてから、小さく一口かじった。
新鮮な苺の瑞々しい香りが、まろやかなクリームの程良い甘さと絶妙に交じり合い、クッキー生地のサクサクとした食感とともに心地よい食べ心地を与えてくれる。口元が思わず緩んだ。培養室や工場からの合成素材で作られた地球のデザートとは比べるはずもない、優しくも甘い風味だった。
「…美味いな、凄く」
「ふふ、お気に召されて嬉しい限りですっ」「キュッ」
嬉しそうに満面の笑顔を見せるエリネに、ウィルフレッドもまたつられて微笑んだ。恐らくタルト自体だけではない。この、エリネの気持ちの篭った暖かな笑顔もまた、人に悩みを忘れさせる最高の隠し味なのだろう。
「そういえばウィルさん。体の方は本当に大丈夫ですか?採掘場でもそうでしたけど、ウィルさんが魔人化したあと、いつも苦しそうになってますよね」
ウィルフレッドは暫くしてから答えた。
「…ああ、アルマ化後の反動だ。強大な力なため、解除後はいつも痛みと疲労感に襲われる。だが基本的に時間を置けば自然と治るものだから、そう気にしなくても良いさ」
「だめですよ、痛いのにそのままにしては。これからもしウィルさんがまた魔人化したら、私やラナ様たちがすぐ手当てするようにしますからねっ」
まるで子供を躾けるかのような気迫を感じ、妙にタジタジしながら彼は頷く。
「あ、ああ…。わかった、次からはお願いするよ」
「素直でよろしいです」
笑顔を見せるエリネに、ウィルフレッドも照れながら微笑み返す。
「ありがとう、エリー。レクスやラナ達もそうだが、君とカイは、俺がこの世界に来てからずっと世話してくれたし、正体を知った今でも、こうして臆もせずに接してくれて…」
「ううん、気にしないでください。ウィルさんも私達を色々と助けてくれたじゃないですか。お互い助け合うのはあたりまえなことですからね」
「…そうだな」
軽く目を見開いては頷くウィルフレッド。
「その、エリーは本当に怖くはないのか?俺のことを」
「うーん、全然ですよ?前にも言いましたよね、私、目が見えないですから魔人と言ってもピンと来ないですし、その、魔人になったウィルさんの吼え声とかは確かに大きくてびっくりしちゃいますけど、どこか頼もしい表情しますし、…ちょっとだけ、寂しそうな表情も感じられます」
ウィルフレッドは無意識にギュッと拳を握った。
「それに…ふふっ」
口に手を当てて小さく笑うエリネ。
「どうした?」
「覚えてます?ウィルさんが最初に教会に来て一緒に食事したこと」
「ああ」
この世界に来たばかりで、色々あった後ということもあって、つい泣き出した少し恥ずかしい出来事だった。
「あの時ね、ウィルさんの声の表情を聞いて思ったの。まるで迷子になった子犬みたいって」
「こ、子犬…?」
「うん、だからウィルさんのこと、実はちょっと可愛いとも思ってるんですよ。怖いだなんてとんでもないです」
「そ、そうだろうか…」
予想しなかった表現と感想にウィルフレッドは手で口を覆いながら赤面し、そっぽを向た。エリネはただ実に楽しそうに笑顔を向けた。
「…ウィルさんはもう知ってると思いますけど、私はシスターの実の子でなく、お兄ちゃんと同じようにシスターに引き取られた孤児なの」
エリネが改まって語り出す。
「…ああ」
シスターが旅に出る前の言葉を思い出す。
「それに私、目が見えないのですから、小さい頃は色々と大変な目にもあって、時々何故自分は他の人と違って両親もいなくて、目も見えないのかなあ、と思うときも結構ありました」
ウィルフレッドはただ静かにエリネの言葉に耳を傾けた。
「それでもお兄ちゃんやシスター、ルルのお陰で今日までやってこれたし、シスターに、私も他の心ある人達と何ら変わりのない一人の人間であることを教えてもらったの。だからウィルさんだって同じですよ。魔人になれるからと言っても、私達と変わらない心を持った人ですし、私達を助けてくれるウィルさんを、私は心から信じてますからっ」
「…エリー」
涙が溢れそうになるのを堪えるウィルフレッド。地球でも似たような温かみを極稀に感じることはあったが…今、彼女が与えてくる温かみは、深みが違った、奥行きが違た。エリネが見せる元気で優しい笑顔は、そんな温かみに満ちた、地球では決して見つけられないものだった。
かつての地球での様々な出来事が、彼女の温かい言葉とともに蘇り、寂しさ、温かみ、無念、怒り、悦びと様々な感情となって心に渦巻く。エリネから発する目に見えない輝きは、この空想的な世界よりもなお幻想的で、心地よかった。
ふと、キャンプ地から歌声が風に乗って流れる。
「あ、この声…アイシャ様だ」
騎士達への慰問と、これからの旅路の女神への祈念も込めて、宴の最後にアイシャが祈りの歌をあげる。繊細で美しい彼女の歌声が、喧騒後のキャンプ地に安らぎをもたらしてく。
騎士達はアイシャの歌を聞きながら家族に、思い人に、夢に、志に思いを馳せ、ラナやレクス達も静かに聞きふける。カイもまた、まるで本物の女神のように優雅に歌うアイシャの姿に、己の胸に高鳴る動悸と情熱を感じた。
「…良い歌だな」
「うん。本当に、こんなに心が洗われるような声の表情、初めて聞きます」
膝に乗るルルを撫でながら、エリネとウィルフレッドもまた彼女の歌に聞き入った。ひと時だけとはいえ、もはや悩みなど微塵も彼らの心を煩うことなく、柔らかな月の明かりの下で穏やかな時間が過ぎていく。
そして時を忘れた丁度その頃に、歌は終わった。
「…さてとっ」
起きたルルを肩に乗せ、エリネは立ち上がる。
「ウィルさん、また何か悩みがありましたら、私達がいつも相談に乗りますから、気兼ねなく教えてくださいね」
「ああ、今日はありがとうエリー」
明るい笑顔を返すエリネ。
「どういたしましてっ。それじゃ、おやすみなさいウィルさん、また明日」
「ああ、おやすみ」
手を振って離れるエリネの背中を、ウィルフレッドは見えなくなるまで見つめた。
(ありがとう、エリー、本当に)
彼女への感謝とともに、ウィルフレッドはツバメの首飾りに触れながら決意を改める。地球でも既に決めていたことだ。たとえどれほど忌み嫌われようと、自分が意味あると信じたことを成し遂げると。
そして今や、カイやラナ達、そしてエリネが与えてくれた信頼と温もりもある。それに応える為にも、邪神教団を、そしてギルバートを必ず止める。そういう約束でもあるのだから。
【第五章 終わり 第六章に続く】
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弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
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青いウーパーと山椒魚
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