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第十一章 老兵とツバメ
老兵とツバメ 第三節
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「そうだ、聖剣!その情報をどう伝えるべきか丁度悩んでました。女神様の采配とは計り知れないものですな」
「知っているの?聖剣の在り処」
ガルシアの反応にラナやミーナ達が強い関心を示す。
「はい。ヒュース殿を覚えてますか?彼はいま危険を冒して帝都に残って情報を集めておりまして、この前の会議で彼から教えてもらったのです。『例の物。クラリス殿に。現在地不明』と。この例の物が、聖剣を指しているのです」
「クラリス?あの子が聖剣を?」
その名前に、ラナだけでなくマティもまた眉を小さく動かせた。
「クラリスって?」
遊びをねだる子供を引き離しながらカイが問う。
「数ヶ月前に私の直属騎士となったばかりのアランの娘よ」
「アランさんのっ?」
「詳しい話は残念ながら聞けませんでしたが、恐らく陛下暗殺当日から既に持ち出されたのかと。今の帝都では至るところにオズワルドの目や耳が張り巡らされており、この情報をもらえるだけでも精一杯なのが悔やまれます」
「そのクラリス様が聖剣を持ち出したのでしたら、やはりそれをどこかに隠すためだったのでしょうか」
エリネの推論にレクスが応える。
「どうだろう。僕だったら、オズワルドの影響力が強い皇国よりも安全なところに運ぶようにするけど」
「たとえば?」
部屋の隅に背を持たせてるウィルフレッド。
「そりゃ勿論、オズワルドと敵対してるルーネウスかエステラだね。さらに言えば、それを持つべき主に届くようにするのが普通の考えだよ」
「つまりラナの元に、か」
ミーナが再びマントを子供から引張戻しては語る。
「でも私達はクラリス殿には会ってませんよね?連合軍の話は既に結構広く伝わっていますから、時間から見てとっくに合流しても良いものでは…」
「ひょっとしたら、何か理由があってそれができないのかも知れない」
アイシャ達がウィルフレッドの一言で沈黙する。最悪の可能性を簡単に予想できたからだ。
「…なあ、これってそのクラリスって人を探す捜索隊を出した方がいいんじゃないのか?」
カイの提案にミーナが顔を横に振る。
「残念ながら無理だな。われらは今メルテラ山脈を越えたばかりで、ここからルーネウス側へ移動するにはかなりの時間を要する。それにこの広大な大陸でたった一人を探すのは例え魔法を使っても容易ではないぞ」
「でも何もしないよりはマシだろっ?帝都から逃げ出したって、教団があのクラリスを追ってない保証なんてどこにも――」
「落ち着きなさいカイくん」
ラナの静かな気迫が込められた言葉に、カイが思わず口をつぐむ。
「クラリスはたとえ未熟であってもヘリティア皇国の騎士。聖剣が彼女に託されたのならば、必ず誇りを持ってそれをやり遂げるわ。私達ができることは、彼女を信じて引続きエステラ王国を目指すことよ」
ガルシアもラナに同意するように頷く。
「この情報は信頼に足りる他の諸侯や騎士たちにも伝えています。後は女神様がクラリス殿を導いてくれると祈るしかあるまい」
(…アラン殿)
かつてアランが自分に話したクラリスのことを思い出して、少しやり切れない気持ちになるマティだった。
レクスが雰囲気を変えるように他の話題をした。
「そういや今の皇国内の情勢はどうなってるのかなガルシア殿。前に騎士達から聞いた話じゃ、諸侯達が反宰相勢力や親皇帝派、親宰相派に分かれて小さな紛争が絶えないって話を聞いたんだけど」
「帝都の方では情報管制がより厳しくなって、不平不満が以前よりも強まってる話もありましたね」
アイシャの言葉に頷くガルシア。
「その通りですな。しかも数日前、戦時における一部領地の免税待遇をオズワルドがいきなり取り消したのです」
「へ?そうなの?」
怪訝とするレクス。
「うむ。そのせいで一部諸侯が兼ねてより溜まった鬱憤も相まって反宰相派に傾いててな。おかげでいまこちらの力は宰相派よりも強くなっておる」
レクスやミーナ、ラナ達が互いを見やる。
「この一触即発のこの機運に乗って、前から密かに連絡を取り合っていたワシを含めた皇帝派は…どうされましたラナ様?」
「その免税令って最初はオズワルドが発効したものなの?」
「うむ、この前の会議で発効したばかりのものでしたな。それがどうかしましたか?」
意見を求めるようにレクスを見るラナ。
「妙ね。その政策って管制による諸侯の不満を抑えるためのものでしょ。それを自分で取り上げるなんて、まるでわざと自分を不利な状況に置くよなものよ。こんな支離破滅な行動、とても私が知るオズワルドがするようなことじゃないわね」
「それは単にオズワルドが痺れを切らして卑しい本性を表しただけなのでは?」
ガルシアにレクスが顔を横に振る。
「いや、この戦争自体が教団を隠れ蓑にするのが目的と考えれば、この動きって教団に何か益となるための動きだと思うよ」
「益になるって…たとえばどのような…」
「…あの短剣」
アイシャがふとつぶやく。
「覚えてます?ザナエルが持っていたあの不気味な短剣、彼は、その短剣はまだ覚醒していないと言っていました。憶測しかないのですが、例えば世間が混乱すればするほど、その短剣が目覚める条件が揃うとか、そう考えられないでしょうか」
ミーナが考え込む。
「可能性は大いにあるな…。よくそれに思いつくなアイシャ?」
「はい、自分もなぜそれに思いつくのか分かりませんけど…」
アイシャは当然覚えていなかった。昨夜の夢深くに聞こえた、少年少女が彼女に伝えた警告の言葉を。
「なるほどねえ、これならオズワルドの動きも理解できる。教団にとって今回の戦争は行動の隠れ蓑になれるだけでなく、同時にあの短剣を覚醒させるための下地作りにも繋がる、まさに一石二鳥、いや、ラナ様たちの動きを制限できると考えれば、一石三鳥になるね。これらが全てあのザナエルとかいう奴が最初から画策したのであれば、とんでもなく狡猾な奴だよ本当に」
「くそっ!戦争自体といい、なんだか全てがあいつらの思いのままって気がしててムカつくんだよなあ」
ぱんっと拳を掌に叩くカイに、ウィルフレッドも考え込む。
「そうだな、何か奴らの重要な情報を一つでも掴めれば、最低限のやりようも出てくるが…例えば教団の拠点か本拠地とか」
黙する一同。大人達の難しい話に子供達がついていける訳でもなく、エリネと一緒にルルと遊んでる子供の一人が尋ねる。
「ねえおねえちゃん、おじさん達何の話をしてるの?」
「ええとね、戦争を起こした悪い人達をどう倒すのか話してるの」
「悪い人って…キョーダンとかいう黒い服を着た人達のこと?」
「そうなの。今はあの人達がどこに集まってるのか分かれればと悩んでるわけ」
「ぼく、その人たちの家なら知ってるよ」
「「「なんだって(ですって)!?」」」
部屋の人達全員の視線がその子に集まる。
「ガルシア、この子は?」
「彼はモーリと言って、一ヶ月前に他の子供達と一緒に教団にさらわれたのを偶然見つけて助けた子なんですが…。モーリ、さっき言ったことは本当なのか?」
「うん、僕、悪い人達がおうちのこと話してるの聞いてたの」
「マジかよっ、あいつらの拠点は一体どこにいってぇっ!」
モーリにグイっと迫るカイをエリネが制裁の拳を振り下ろした。
「もう、そんな大声で急に近寄らないで、モーリくんが怖がるでしょっ。…モーリくん、その話、もっと詳しく聞かせてくれる?」「キュッ」
「うん、ええとね…」
それは皇国内の紛争で村が焼かれ、一緒に逃げ出した両親とはぐれたモーリが運悪く教団の信者に拉致された時のことだった。他の子供達と一緒に馬車に閉じ込められ、頭から麻袋を被らせて何も見えず、まだクスリで頭が朦朧としているモーリは、ゆらゆらと馬車の中にいるのを感じながら、おぼろげにも二人の男性の会話声が聞こえたという。
「おい、もう少し早く走らせないか?どっかの騎士団と鉢合わせになったらことだぞ」
「急かすなよ。この馬車じゃこの程度で限界なんだ」
「早くしろよ、神殿までの案内役はいつも待ってくれやしないからな」
「分かってる。…にしても面倒なところを拠点にしたもんだなあ」
「バカ、ああいうところがいいんだよ。あそこは山や谷に囲まれて道も険しいし、毒ガスや溶岩に満ちて天候も悪い。俺たち下っ端や普通の人なら案内人なしでは絶対に近寄れない。隠れ拠点としては最適だぞ」
「それが回りくどいと――」
「貴様ら止まれっ!」
「なっ!騎士っ!?」
運よく彼らに気付いたガルシアの騎士団の襲撃により信者達は倒され、他の子供達は元の家に送られ、モーリはその両親が見つかるまでにガルシアが預かることになったという。
「――って、言ってたんだよ」
「山や谷に囲まれて」「毒ガスに満ちて天候も悪い…」
レクスやアイシャ達は互いを見やる。
「悪天候はまだ分かりますけど、毒ガスと溶岩まであるなんていったいどういう場所――」
「そうか、そこがあったかっ!」
ウィルフレッド全員は今度はミーナの方を見た。
「心当たりがあるのかミーナ?」
「うむ。険しい山と谷に、毒ガスに満ちた環境と悪天候、加えて溶岩まである場所ならば一つしかあるまい。――不帰の山脈パルデモンだ」
「パルデモン…?」
「ひょっとして、一部言い伝えに言われていたあのパルデモンですか先生?」
ラナに頷くミーナ。
ウィルフレッドは解説を求めるようにレクスを見た。
「パルデモン、言い伝えによれば、邪神戦争における邪神と勇者達の最後の決戦場で、その戦いの苛烈さにより天地が引き裂かれ、残留したゾルドの瘴気により常に土地が煮えたぎるといわれる場所なんだけど…それが実在してるの?」
「ええ、その通りです」
答えたのは意外にもマティだった。
「パルデモンの名前を冠したその山脈は言い伝え通り毒ガスに覆われ、その奥の雲は常に赤く染まっています。その深部へと入れば最後、戻れた人は誰もいないため、不帰の山脈と言われるようになりました」
「マティ…よく知ってるねそんなこと。そんな場所今まで聞いたこともないのに」
「レクス様が知らないのも無理はありません。パルデモンは三国領土外の僻地にあり、外環は険しい山と谷に囲まれてるため、その場所を知る人間は数えるほどしかないのです」
「そんな場所に教団の本拠地があるのですか?」
エリネがミーナに訊いた。
「可能性は大いにある。教団ならあの劣悪な場所に対策する方法があってもおかしくないし、邪神と縁深い土地なら復活の儀式にも最適だからな」
「よっしゃ!これでようやくあいつ等に一泡吹かせられるんだな!あの山はどこにあるんだっ?今すぐ攻めにいこうおっ!」
今度はミーナの杖の一撃が飛来し、それを危うく両手で受け止めるカイ。はしゃぐ子供達。
「わー、すごーい!」「ちょっ、ことあるごとに俺の頭叩くんなよっ!」
「前に我に教えを乞うてきて、少しは落ち着いたと思ったらすぐアホなこと言い出すからだ」
教えを乞うことに軽く引っかかるアイシャだが、話を遮らないようにした。
「パルデモン山脈は今われらの位置から遥か東、ルーネウス国境外の未開の地の更に外にあるのだぞ。今さら何日もかけて元の道を戻る訳もできまい」
「先生の言うとおりね。それに本当に教団の本拠地がそこにいるのならば、相手もきっと鉄壁の守りでそこを固めてるに違いないわ。いくら今の連合軍の力が大きくなったとしても、土地勘のない私達だけで攻めるにはリスクが高いわね」
「でもようやく教団の本拠地の大まかな位置が掴んだし、このまま何もしないのはせっかくの情報が勿体無いよね」
「そうですね。せめて私達が女王の助力を仰ぎ、帝都奪還をしている間に、先に偵察して正確な位置を確かめれば、戦争の情勢が落ち着いた時にすぐ行動に移れますけど…」
「アイシャの言うとおりだよなあ。…なあ兄貴、あんたの力でそこまでひとっ飛びで偵察しにいけないか?」
ウィルフレッドが難色を示す。
「できなくはないが…教団の本拠地ならギルが間違いなくそこにいる。彼は俺のことを熟知しているから何かの妨害を必ず受けてしまうだろう」
「ああ、そっか。畜生、せっかくの情報なのに活用できないのかよ」
「…でしたら、私がそこの偵察を承ります」
それを言い出したのは、またもやマティだった。そしてそれに一番驚いたのは他でもないレクスだった。
「ちょっとマティっ?」
「エル族の狩人である私は単独行動や隠密偵察には慣れていますし、何より途中までの土地勘もあるので適任かと」
「土地勘…?」
困惑するエリネにマティが頷く。
「エル族の隠れ村がある森は、そこに続く山脈の麓にあるのですから」
既に驚いているレクスの目がさらに見開く。
「そうだったのっ?隠れ村が森にあるのは知ってるけど、まさかそれがパルデモンの近くだなんて聞かなかったよ」
マティが軽く苦笑する。
「特に教える必要もありませんでしたからね。本来なら、主であるレクス様の傍から離れるのは不安もありますが…」
ラナやウィルフレッド、エリネ達を見てマティが微笑む。
「今は私の代わりにレクス様を監督してくれる方が一杯いますから、私も安心して任務に出られますね」
意味ありげな笑顔のマティにレクスが苦笑する。
「うっわ、マティひど~い。そこは僕を支えてくれる仲間がいる、でしょ」
どっと一同が笑い、子供達も訳分からずに一緒に笑い出した。
「お姉ちゃん、僕みんなの役に立ったのかな?」
「ええ、寧ろ大活躍よっ。ありがとうモーリくん」
「えへへ、なんだか嬉しいなあ。わあっ」「キュ~ッ」
ルルがねぎらうかのようにエリネからモーリの肩に跳びまわり、彼は今日で一番嬉しそうな笑顔を見せる。
「本当に良いのかマティ?先ほどおぬしも言ったように、そこは毒ガスが充満し溶岩も煮えたぎる不毛の地だぞ」
「承知してますよミーナ様。私達エル族にとってもそこは禁忌の地。危険性は十分理解してます」
「それでも、あの教団の本拠地がいるかも知れない場所なんですから…どうか気を抜かないでくださいマティさん」
「ああ、俺がいうのもなんだけど、無茶だけはしないでくれよな」
心配するエリネとカイにマティがご安心をといわんばかりの笑顔を見せた。
「途中までは俺が空経由で送ろう。ギルたちばかりに空の利点を利用されては損だからな」
「助かります、ウィル殿」
「うむっ!まさかこうして幸運の連続が訪れますとは、正に女神様のご采配でありましょうなっ」
ウィルフレッドの言葉の意味に少し困惑しながらも、ガルシアは豪快に膝を叩く。
「ああっ!反撃の兆しが見えてきたんだし、やっと俺達に流れが来たって感じだなっ!」
「もうお兄ちゃん興奮しすぎよ」
そんなカイにラナも同意するように頷く。
「カイくんの言う通りね。今までずっと受動的だった私達だけど、この勢いに少しは乗ってみようかしら。ガルシア、さっきは皇帝派たちと秘密に連絡を取っているって言ってたわよね」
「はい。オズワルドとその派閥に対する不満が高じている流れに乗じて、皇帝派一同が力を束ねて正式に彼奴めに反旗を翻ると思いまして」
「それもいいけど、やるならより確実で一気呵成にいきたいわね。後で各諸侯や騎士への手紙を書くから、彼らに送るようにお願い。ルーネウスの方も送りたいから、レクス殿とアイシャ姉様は後で手伝ってちょうだい。エステラ女王にも後でお願いできます先生?」
「大掛かりだな?いったい何をするつもりだ」
ラナが不敵に笑う。
「最初からやろうとすることを前倒しにするだけよ」
【続く】
「知っているの?聖剣の在り処」
ガルシアの反応にラナやミーナ達が強い関心を示す。
「はい。ヒュース殿を覚えてますか?彼はいま危険を冒して帝都に残って情報を集めておりまして、この前の会議で彼から教えてもらったのです。『例の物。クラリス殿に。現在地不明』と。この例の物が、聖剣を指しているのです」
「クラリス?あの子が聖剣を?」
その名前に、ラナだけでなくマティもまた眉を小さく動かせた。
「クラリスって?」
遊びをねだる子供を引き離しながらカイが問う。
「数ヶ月前に私の直属騎士となったばかりのアランの娘よ」
「アランさんのっ?」
「詳しい話は残念ながら聞けませんでしたが、恐らく陛下暗殺当日から既に持ち出されたのかと。今の帝都では至るところにオズワルドの目や耳が張り巡らされており、この情報をもらえるだけでも精一杯なのが悔やまれます」
「そのクラリス様が聖剣を持ち出したのでしたら、やはりそれをどこかに隠すためだったのでしょうか」
エリネの推論にレクスが応える。
「どうだろう。僕だったら、オズワルドの影響力が強い皇国よりも安全なところに運ぶようにするけど」
「たとえば?」
部屋の隅に背を持たせてるウィルフレッド。
「そりゃ勿論、オズワルドと敵対してるルーネウスかエステラだね。さらに言えば、それを持つべき主に届くようにするのが普通の考えだよ」
「つまりラナの元に、か」
ミーナが再びマントを子供から引張戻しては語る。
「でも私達はクラリス殿には会ってませんよね?連合軍の話は既に結構広く伝わっていますから、時間から見てとっくに合流しても良いものでは…」
「ひょっとしたら、何か理由があってそれができないのかも知れない」
アイシャ達がウィルフレッドの一言で沈黙する。最悪の可能性を簡単に予想できたからだ。
「…なあ、これってそのクラリスって人を探す捜索隊を出した方がいいんじゃないのか?」
カイの提案にミーナが顔を横に振る。
「残念ながら無理だな。われらは今メルテラ山脈を越えたばかりで、ここからルーネウス側へ移動するにはかなりの時間を要する。それにこの広大な大陸でたった一人を探すのは例え魔法を使っても容易ではないぞ」
「でも何もしないよりはマシだろっ?帝都から逃げ出したって、教団があのクラリスを追ってない保証なんてどこにも――」
「落ち着きなさいカイくん」
ラナの静かな気迫が込められた言葉に、カイが思わず口をつぐむ。
「クラリスはたとえ未熟であってもヘリティア皇国の騎士。聖剣が彼女に託されたのならば、必ず誇りを持ってそれをやり遂げるわ。私達ができることは、彼女を信じて引続きエステラ王国を目指すことよ」
ガルシアもラナに同意するように頷く。
「この情報は信頼に足りる他の諸侯や騎士たちにも伝えています。後は女神様がクラリス殿を導いてくれると祈るしかあるまい」
(…アラン殿)
かつてアランが自分に話したクラリスのことを思い出して、少しやり切れない気持ちになるマティだった。
レクスが雰囲気を変えるように他の話題をした。
「そういや今の皇国内の情勢はどうなってるのかなガルシア殿。前に騎士達から聞いた話じゃ、諸侯達が反宰相勢力や親皇帝派、親宰相派に分かれて小さな紛争が絶えないって話を聞いたんだけど」
「帝都の方では情報管制がより厳しくなって、不平不満が以前よりも強まってる話もありましたね」
アイシャの言葉に頷くガルシア。
「その通りですな。しかも数日前、戦時における一部領地の免税待遇をオズワルドがいきなり取り消したのです」
「へ?そうなの?」
怪訝とするレクス。
「うむ。そのせいで一部諸侯が兼ねてより溜まった鬱憤も相まって反宰相派に傾いててな。おかげでいまこちらの力は宰相派よりも強くなっておる」
レクスやミーナ、ラナ達が互いを見やる。
「この一触即発のこの機運に乗って、前から密かに連絡を取り合っていたワシを含めた皇帝派は…どうされましたラナ様?」
「その免税令って最初はオズワルドが発効したものなの?」
「うむ、この前の会議で発効したばかりのものでしたな。それがどうかしましたか?」
意見を求めるようにレクスを見るラナ。
「妙ね。その政策って管制による諸侯の不満を抑えるためのものでしょ。それを自分で取り上げるなんて、まるでわざと自分を不利な状況に置くよなものよ。こんな支離破滅な行動、とても私が知るオズワルドがするようなことじゃないわね」
「それは単にオズワルドが痺れを切らして卑しい本性を表しただけなのでは?」
ガルシアにレクスが顔を横に振る。
「いや、この戦争自体が教団を隠れ蓑にするのが目的と考えれば、この動きって教団に何か益となるための動きだと思うよ」
「益になるって…たとえばどのような…」
「…あの短剣」
アイシャがふとつぶやく。
「覚えてます?ザナエルが持っていたあの不気味な短剣、彼は、その短剣はまだ覚醒していないと言っていました。憶測しかないのですが、例えば世間が混乱すればするほど、その短剣が目覚める条件が揃うとか、そう考えられないでしょうか」
ミーナが考え込む。
「可能性は大いにあるな…。よくそれに思いつくなアイシャ?」
「はい、自分もなぜそれに思いつくのか分かりませんけど…」
アイシャは当然覚えていなかった。昨夜の夢深くに聞こえた、少年少女が彼女に伝えた警告の言葉を。
「なるほどねえ、これならオズワルドの動きも理解できる。教団にとって今回の戦争は行動の隠れ蓑になれるだけでなく、同時にあの短剣を覚醒させるための下地作りにも繋がる、まさに一石二鳥、いや、ラナ様たちの動きを制限できると考えれば、一石三鳥になるね。これらが全てあのザナエルとかいう奴が最初から画策したのであれば、とんでもなく狡猾な奴だよ本当に」
「くそっ!戦争自体といい、なんだか全てがあいつらの思いのままって気がしててムカつくんだよなあ」
ぱんっと拳を掌に叩くカイに、ウィルフレッドも考え込む。
「そうだな、何か奴らの重要な情報を一つでも掴めれば、最低限のやりようも出てくるが…例えば教団の拠点か本拠地とか」
黙する一同。大人達の難しい話に子供達がついていける訳でもなく、エリネと一緒にルルと遊んでる子供の一人が尋ねる。
「ねえおねえちゃん、おじさん達何の話をしてるの?」
「ええとね、戦争を起こした悪い人達をどう倒すのか話してるの」
「悪い人って…キョーダンとかいう黒い服を着た人達のこと?」
「そうなの。今はあの人達がどこに集まってるのか分かれればと悩んでるわけ」
「ぼく、その人たちの家なら知ってるよ」
「「「なんだって(ですって)!?」」」
部屋の人達全員の視線がその子に集まる。
「ガルシア、この子は?」
「彼はモーリと言って、一ヶ月前に他の子供達と一緒に教団にさらわれたのを偶然見つけて助けた子なんですが…。モーリ、さっき言ったことは本当なのか?」
「うん、僕、悪い人達がおうちのこと話してるの聞いてたの」
「マジかよっ、あいつらの拠点は一体どこにいってぇっ!」
モーリにグイっと迫るカイをエリネが制裁の拳を振り下ろした。
「もう、そんな大声で急に近寄らないで、モーリくんが怖がるでしょっ。…モーリくん、その話、もっと詳しく聞かせてくれる?」「キュッ」
「うん、ええとね…」
それは皇国内の紛争で村が焼かれ、一緒に逃げ出した両親とはぐれたモーリが運悪く教団の信者に拉致された時のことだった。他の子供達と一緒に馬車に閉じ込められ、頭から麻袋を被らせて何も見えず、まだクスリで頭が朦朧としているモーリは、ゆらゆらと馬車の中にいるのを感じながら、おぼろげにも二人の男性の会話声が聞こえたという。
「おい、もう少し早く走らせないか?どっかの騎士団と鉢合わせになったらことだぞ」
「急かすなよ。この馬車じゃこの程度で限界なんだ」
「早くしろよ、神殿までの案内役はいつも待ってくれやしないからな」
「分かってる。…にしても面倒なところを拠点にしたもんだなあ」
「バカ、ああいうところがいいんだよ。あそこは山や谷に囲まれて道も険しいし、毒ガスや溶岩に満ちて天候も悪い。俺たち下っ端や普通の人なら案内人なしでは絶対に近寄れない。隠れ拠点としては最適だぞ」
「それが回りくどいと――」
「貴様ら止まれっ!」
「なっ!騎士っ!?」
運よく彼らに気付いたガルシアの騎士団の襲撃により信者達は倒され、他の子供達は元の家に送られ、モーリはその両親が見つかるまでにガルシアが預かることになったという。
「――って、言ってたんだよ」
「山や谷に囲まれて」「毒ガスに満ちて天候も悪い…」
レクスやアイシャ達は互いを見やる。
「悪天候はまだ分かりますけど、毒ガスと溶岩まであるなんていったいどういう場所――」
「そうか、そこがあったかっ!」
ウィルフレッド全員は今度はミーナの方を見た。
「心当たりがあるのかミーナ?」
「うむ。険しい山と谷に、毒ガスに満ちた環境と悪天候、加えて溶岩まである場所ならば一つしかあるまい。――不帰の山脈パルデモンだ」
「パルデモン…?」
「ひょっとして、一部言い伝えに言われていたあのパルデモンですか先生?」
ラナに頷くミーナ。
ウィルフレッドは解説を求めるようにレクスを見た。
「パルデモン、言い伝えによれば、邪神戦争における邪神と勇者達の最後の決戦場で、その戦いの苛烈さにより天地が引き裂かれ、残留したゾルドの瘴気により常に土地が煮えたぎるといわれる場所なんだけど…それが実在してるの?」
「ええ、その通りです」
答えたのは意外にもマティだった。
「パルデモンの名前を冠したその山脈は言い伝え通り毒ガスに覆われ、その奥の雲は常に赤く染まっています。その深部へと入れば最後、戻れた人は誰もいないため、不帰の山脈と言われるようになりました」
「マティ…よく知ってるねそんなこと。そんな場所今まで聞いたこともないのに」
「レクス様が知らないのも無理はありません。パルデモンは三国領土外の僻地にあり、外環は険しい山と谷に囲まれてるため、その場所を知る人間は数えるほどしかないのです」
「そんな場所に教団の本拠地があるのですか?」
エリネがミーナに訊いた。
「可能性は大いにある。教団ならあの劣悪な場所に対策する方法があってもおかしくないし、邪神と縁深い土地なら復活の儀式にも最適だからな」
「よっしゃ!これでようやくあいつ等に一泡吹かせられるんだな!あの山はどこにあるんだっ?今すぐ攻めにいこうおっ!」
今度はミーナの杖の一撃が飛来し、それを危うく両手で受け止めるカイ。はしゃぐ子供達。
「わー、すごーい!」「ちょっ、ことあるごとに俺の頭叩くんなよっ!」
「前に我に教えを乞うてきて、少しは落ち着いたと思ったらすぐアホなこと言い出すからだ」
教えを乞うことに軽く引っかかるアイシャだが、話を遮らないようにした。
「パルデモン山脈は今われらの位置から遥か東、ルーネウス国境外の未開の地の更に外にあるのだぞ。今さら何日もかけて元の道を戻る訳もできまい」
「先生の言うとおりね。それに本当に教団の本拠地がそこにいるのならば、相手もきっと鉄壁の守りでそこを固めてるに違いないわ。いくら今の連合軍の力が大きくなったとしても、土地勘のない私達だけで攻めるにはリスクが高いわね」
「でもようやく教団の本拠地の大まかな位置が掴んだし、このまま何もしないのはせっかくの情報が勿体無いよね」
「そうですね。せめて私達が女王の助力を仰ぎ、帝都奪還をしている間に、先に偵察して正確な位置を確かめれば、戦争の情勢が落ち着いた時にすぐ行動に移れますけど…」
「アイシャの言うとおりだよなあ。…なあ兄貴、あんたの力でそこまでひとっ飛びで偵察しにいけないか?」
ウィルフレッドが難色を示す。
「できなくはないが…教団の本拠地ならギルが間違いなくそこにいる。彼は俺のことを熟知しているから何かの妨害を必ず受けてしまうだろう」
「ああ、そっか。畜生、せっかくの情報なのに活用できないのかよ」
「…でしたら、私がそこの偵察を承ります」
それを言い出したのは、またもやマティだった。そしてそれに一番驚いたのは他でもないレクスだった。
「ちょっとマティっ?」
「エル族の狩人である私は単独行動や隠密偵察には慣れていますし、何より途中までの土地勘もあるので適任かと」
「土地勘…?」
困惑するエリネにマティが頷く。
「エル族の隠れ村がある森は、そこに続く山脈の麓にあるのですから」
既に驚いているレクスの目がさらに見開く。
「そうだったのっ?隠れ村が森にあるのは知ってるけど、まさかそれがパルデモンの近くだなんて聞かなかったよ」
マティが軽く苦笑する。
「特に教える必要もありませんでしたからね。本来なら、主であるレクス様の傍から離れるのは不安もありますが…」
ラナやウィルフレッド、エリネ達を見てマティが微笑む。
「今は私の代わりにレクス様を監督してくれる方が一杯いますから、私も安心して任務に出られますね」
意味ありげな笑顔のマティにレクスが苦笑する。
「うっわ、マティひど~い。そこは僕を支えてくれる仲間がいる、でしょ」
どっと一同が笑い、子供達も訳分からずに一緒に笑い出した。
「お姉ちゃん、僕みんなの役に立ったのかな?」
「ええ、寧ろ大活躍よっ。ありがとうモーリくん」
「えへへ、なんだか嬉しいなあ。わあっ」「キュ~ッ」
ルルがねぎらうかのようにエリネからモーリの肩に跳びまわり、彼は今日で一番嬉しそうな笑顔を見せる。
「本当に良いのかマティ?先ほどおぬしも言ったように、そこは毒ガスが充満し溶岩も煮えたぎる不毛の地だぞ」
「承知してますよミーナ様。私達エル族にとってもそこは禁忌の地。危険性は十分理解してます」
「それでも、あの教団の本拠地がいるかも知れない場所なんですから…どうか気を抜かないでくださいマティさん」
「ああ、俺がいうのもなんだけど、無茶だけはしないでくれよな」
心配するエリネとカイにマティがご安心をといわんばかりの笑顔を見せた。
「途中までは俺が空経由で送ろう。ギルたちばかりに空の利点を利用されては損だからな」
「助かります、ウィル殿」
「うむっ!まさかこうして幸運の連続が訪れますとは、正に女神様のご采配でありましょうなっ」
ウィルフレッドの言葉の意味に少し困惑しながらも、ガルシアは豪快に膝を叩く。
「ああっ!反撃の兆しが見えてきたんだし、やっと俺達に流れが来たって感じだなっ!」
「もうお兄ちゃん興奮しすぎよ」
そんなカイにラナも同意するように頷く。
「カイくんの言う通りね。今までずっと受動的だった私達だけど、この勢いに少しは乗ってみようかしら。ガルシア、さっきは皇帝派たちと秘密に連絡を取っているって言ってたわよね」
「はい。オズワルドとその派閥に対する不満が高じている流れに乗じて、皇帝派一同が力を束ねて正式に彼奴めに反旗を翻ると思いまして」
「それもいいけど、やるならより確実で一気呵成にいきたいわね。後で各諸侯や騎士への手紙を書くから、彼らに送るようにお願い。ルーネウスの方も送りたいから、レクス殿とアイシャ姉様は後で手伝ってちょうだい。エステラ女王にも後でお願いできます先生?」
「大掛かりだな?いったい何をするつもりだ」
ラナが不敵に笑う。
「最初からやろうとすることを前倒しにするだけよ」
【続く】
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