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第2章
わがまま
しおりを挟む「さ!す!けーーッ!!!」
四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り響いたと同時に、廊下から甲高い声が響き渡った。
「…渚か?」
ふと我に返り、ゆっくりと真田は重い腰を上げる。
ドアを開けると、渚に抱き付かれて困惑している遊馬たちが廊下を行き交う生徒たちの注目を集めているところだった。
それを見て、また胸が強く締め付けられる。
「お、なんだなんだ。感動の再会中かお前ら。」
それでも真田は努めて明るく振る舞い、戯けたように言う。遊馬は至極居た堪れなさそうな顔をして、また真田から顔を背けた。
すると渚が遊馬のシャツを掴んだまま、真田に涙目で近寄ってきた。
「真田先生!ほんとに佐助は大丈夫なんですか?佐助のやつ、注射が嫌いだから病院に行きたがらないんです!」
「…おい、誰がんなこと言った。」
腰に抱き付いている渚の額目掛けて、遊馬は手刀を食らわす。でも、そうやっている遊馬も嫌な顔はしていない。
『一見正反対の二人だが、だからこそ上手く折り合いがついているのかもしれないな。』
自分には絶対に向けてくれない笑顔を浮かべている遊馬を見ると、そう思い知らされているようで、真田は唇を強く噛んだ。
「ははっ!心配するな、こいつは大丈夫だよ。」
真田はわざと笑い飛ばして、小太郎の額を指で軽く小突いた。
「…っ!」
それを見た遊馬の視線が僅かに泳いだのを、真田は気付く事が出来なかった。
「じゃあ遊馬、具合悪くなったら遠慮なく俺に言えよ。あと、いくら武将の真田幸村が好きでも、俺は真田悠希だからな!間違えるなよ?。」
そんな、思ってもいない事を口にして、真田は足早に二人の元から去って行った。
遊馬、俺はお前のことがもっと知りたい。
何か俺は大切なことを忘れているような気がしてならないんだ。
たとえ関わるなと言われても、俺はすぐにそれを受け入れられる程物分かりはよくない。
人知れず泣いていたお前を見て、どうしようもなく胸が痛かった。
もう二度と、あんな顔はさせない。させたくない。
だからーーー
少しだけ、俺の我儘を許してくれ。
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