忍の恋は死んでから。

朝凪

文字の大きさ
22 / 143
第3章

淫夢

しおりを挟む

蒼く澄んだ空が目に染みる。

既に太陽は昇りきり、燦々と降り注ぐ日差しが冬の冷気と絡み合い、心地良い風が吹いている。

しかし、この季節の屋上は流石に制服だけでは肌寒く、佐助は中々寝付けなかった。佐助はごろりと寝転がり、小さな紙切れを太陽に翳す。

「…ほんと、一体なんのつもりなんだあいつ。」

整った字体が並んだ英数字の羅列を見て、佐助はため息を吐いた。

「人の話を聞かねえ所まで似てんのかよ。…気に入らねえ。」

あいつの顔を見るたびに、心が揺れる。

もう二度と逢えないと諦めがついていたなら、どんなに楽だっただろうか。

なのに、幸村は再び佐助の手の届く処へとやってきた。

だけど、真田の記憶の中に佐助はいない。

佐助はくしゃりと紙切れを握りしめ、乱暴に制服のポケットにしまい込んだ。

『なあ幸村…。お前の最期は…一体どんな感じだったんだよ。』

真田幸村の最期には様々な説があるが、佐助が見てきたものと、現代に語り継がれている史実に齟齬そごをきたしているものも少なくない。

『だから俺は、歴史が嫌いなんだ。』

無理矢理冴えた瞼を降ろし、佐助はふっと身体の力を抜く。

暫く何も考えたくない。





































『…幸村…』














































忍の性なのか定かではないが、佐助はわりとどんな状況でも睡眠をとれるらしかった。

この寒空の下でもそれは同じで、佐助はいつの間にか寝てしまっていた。凍死してもおかしくなかったのにと、佐助は我ながら感心する。

だが、今はそんなことどうでもいい。

言い訳じみているかもしれないが、俺も男だ。

だからずっと好きだった相手のことで頭がいっぱいのまま寝ちまったら……。

そりゃ、その……勃つだろ?

「あんな夢」見ちまったら…。




























「………マジかよ。」

五時間目の授業が終わるチャイムで目が覚めた時、佐助は下肢に違和感を覚えて視線を下ろすと、まあそんな‘感じ’になっていたのだ。

「相当キてるな俺も…」

額に手を当てて自己嫌悪に陥る。

こんなに感情をコントロールできなくなっているのは、この時代に生まれて初めてだ。

このままじゃ次の授業もふけることになってしまう。流石に小太郎にこれ以上心配をかけるわけにもいかない。

「……しゃあねぇ、抜くか…」

佐助は誰に言うともなく呟く。まあ誰かに聞かれても困るが。

不幸中の幸いというか、教室で寝こけてこうならずに済んで良かった。それにいくら真昼と言ってもこのままこの場に留まっていたら今度こそ凍死しそうだ。

だが屋内に入るにはまず、この熱を鎮めなければならない。

「ちっ…」

手が悴む前に済まさなければと、佐助は乱暴にベルトに手を掛けた。



しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...