その失踪事件には 〇〇人が関与している

独立国家の作り方

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初めての同胞

第45話 中嶋 洋子 ⑤

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 半裸の私と、依然無表情な彼との沈黙が、とにかく長く感じられた。
 ほら、どうしたの? 裸の女が目の前にいるのよ!
 今ならあなたは、私に何でもし放題でしょ!

 私のこの行為には、当然理由がある。
 彼がルアーであるならば、ルアー同士の絡みなんて、釣り糸が絡まるような行為、つまりその絡まりを解きに宇宙人が直接介入してくるはず、私はそう考えていた。
 しかし、彼は乗ってこない。何というか、彼は私より「ルアー」っぽいのだ。
 私は気付いた時にルアーと認識出来るけど、彼の場合は生粋のルアーのようにさえ感じる。
 私にまったく興味を示してこない所が特に。
 ・・年頃の男性だよ! 
 冴えない印象の彼からは、付き合っている女性の匂いがしてこない。
 ほら、あなたの憧れた(予測値?)女性だよ、生身の女性が服脱いでカモーンって誘っているのよ・・・・
 だから、その眼! ・・興味ないって表情やめろ! 
 私だって傷付くじゃないか。

「ねえ、あなた、女性に興味がない?」

「・・・・いや、無い訳ではない。ただ、同族嫌悪とでも言おうか・・・・それと君、もう少し自分を大事にしないといけないよ」

 あー・・・・はい、正論です。ごもっともです! ・・・・もう、何やってんだ私は。

「うん・・そうだね、私、少し気が動転していたかも」

 それにしても、彼はちゃんと話が出来るんじゃないか。
 テキパキと服を着ると、案外話しやすい彼をようやくしっかり見ることが出来た。
 長いまつ毛、脱色した髪の毛、面長で鼻筋の通った・・・・って、イケメンだわ!
 声も控えめながら低くて素敵だ。
 これでルアーでなければ、きっと好みの男性。
 それでも、私は彼を異性として好きにならないと感じる、何故だろう。彼が言うように、お互いがルアーだと認識していると、それは自動的に恋愛に発展しない仕組みなんだろうか。

「ねえ、私って女として魅力無いかな?」

「・・いや、君はとても魅力的だと思うよ、我々がルアーに選んだのだから」

 ん? なんだか今、言い回しがおかしくなかったか? それは彼も同じでは?

「その言い方だと、あなたが宇宙人みたいに聞こえてしまうわ。私たちは同じ境遇のはずでしょ?」

「そうか・・そこは認識出来ていないんだな。君と僕は、同じルアーに見えるかもしれないけど、根本が違うんだよ」

「何が違うの? 私は今でこそ自分がルアーだと認識してるけど、普段は自分の事を人間と認識しているの。どうもあなたは違うみたいだけど」

 すると、彼は少しだけ口元に笑みを浮かべる。こうして私は、彼が笑える事が理解出来たのだった。

「あの、帰ってもいいかな?」

「あのさ、私は自分がルアーだった事に動揺しているのよ。そして、貴方に聞きたい事がある、いい?」

「何?」

 私は、彼との接触で蘇った来栖 聡君の事を探したいと申し出た。
 いや、そもそも、ルアーによって釣られた人類のその後を、彼は知っているのではないか。
 正直、聞くのも少し怖いと思った。
 もう、彼はバラバラに解剖して、廃棄しました。まさか、そんな事を言われたら。私は彼ら宇宙人をきっと許す事は出来ないだろう。
 そして、彼は案の定、その情報を持ち得る立場にあったようだ。

「隣に行っても?」

「え? 急に? どうして? 私の? 隣?」

「だって、君がそこに居るから」

 どうも話が噛み合わない。彼は必死に男女のそれを演出しようと試みているように見えるが、正直何がしたいのかさっぱりだ。
 カーペットに直に座っていた私の隣に、彼は同じく直に座ると、肩と肩が触れるギリギリの位置で鎮座した・・・・なに、これ?

「恋人同士って、これで合っているか?」

「可笑しなことを聞くのね、恋人同士なら、合ってるんじゃない?」

「恋人同士なら?」

「・・・・恋人同士なら! だって私たち、さっき出会ったばかりなんだから」

「・・・・なんだから?」

「だから、あなたと私は、恋人じゃないでしょ! なので、この距離感で隣に座るって、普通はしないわ」

 彼はとても不思議そうな顔をする。どうも、恋愛に関して、その距離感が理解出来ていないように見える。
 ・・なんだか、幼児に性教育でもしているかのような邪な気持ちになってしまう。
 それでもなんだか、放っておけないのよね・・彼、迷子みたいで。
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