47 / 85
初めての同胞
第46話 中嶋 洋子 ⑥
しおりを挟む
彼の名前は伊賀 邦弘と言い、驚いた事に隣の大学に通う同い年だった。
どうしてこれまで、彼の存在に気付かなかったのだろうか。今日はあんなにはっきりと天空への糸が見えていたと言うのに。
「解ってくれたかしら、貴方と私は恋人同士ではないの。単なる知り合い。いい?」
「僕たちの距離感は、この世界の人間が言う恋人の距離感だと思うのだけど」
「それは、今あなたが距離を詰めただけでしょ!」
「でも、洋子は拒否していない。 第一、君は服を脱いで僕と接触を試みたのでは?」
もう本当に止めて!! ごめんなさい、若気の至りです・・・・
それにしても、洋子・・・・洋子って、いきなり下の名前を、呼び捨て・・・・随分馴れ馴れしいな、こいつ。
そう、彼は物質的な距離感だけではなく、精神的な距離感も少しおかしい所がある・・あると言うより、もう全部の距離感がおかしい。
「今は私にも余裕がないの。あなたとの距離感は何一つ縮まっていないんだから」
「洋子は・・・・僕の事を名前で呼んでくれないんだね」
あー、もう、いちいちこの人は、ちょっとずつ母性本能を擽ってくるな。
このイケメンで、こんなチグハグな事を言われたら、言う事聞いてあげたくなるじゃない!
「わかったわ、邦弘君で、いいのよね」
「邦弘、『君』はいらない」
幼児か! 幼子かあんたは! ・・・・もう仕方がないな。
「じゃあ邦弘、今度は私があなたに質問ね。人型ルアーに釣られた人類は、昇天した後、どうされるの?」
「どうって? 洋子もそれは理解しているじゃない、実験だよ」
「実験って・・・・人体実験?」
「ん-、人体と言うか、まあ、そんな感じじゃないかな? どうしてそんな事をわざわざ聞くの?」
「前に私が釣った男子がいてね、私、その人の事を探しているの。あなた、何か知らない?」
「もちろん知っているけど・・・・どうして洋子はその記憶が無いの?」
え? 私にも本来あるべき記憶ってことなの?
どうも話をしていて感じるのだけど、私とこの人、やっぱり同じルアーだとは思えないのよね。
彼が当たり前としている知識と、私が当たり前としている常識の、ほとんどが噛み合っていない。
それは、恐らく私たちが異質な者同士だと言う事を示している。
「お願い、教えてくれるかしら、来栖君の事。彼は今、どこにいるの・・・・もしかして、もう死んでたりするの?」
「まさか! 我々が人類を殺傷するなんて事は有り得ない。魂の損傷はこの宇宙全体としても極めて重罪なんだよ」
「じゃあ、来栖君は生きている? のよね」
「もちろん生きている」
「じゃあ、今、何処に?」
「今の君なら、簡単に理解出来るはずなんだけど。もう、とっくにキャッチ・アンド・リリースされたよ」
キャッチ・アンド・リリース・・・・それって、もう同じ人間界へ戻されたって事!?
そんな事、有り得ない! 私のクラスに来栖君は居なかった、私の周囲には、彼は何処にも居なかったわ!
どうしてこれまで、彼の存在に気付かなかったのだろうか。今日はあんなにはっきりと天空への糸が見えていたと言うのに。
「解ってくれたかしら、貴方と私は恋人同士ではないの。単なる知り合い。いい?」
「僕たちの距離感は、この世界の人間が言う恋人の距離感だと思うのだけど」
「それは、今あなたが距離を詰めただけでしょ!」
「でも、洋子は拒否していない。 第一、君は服を脱いで僕と接触を試みたのでは?」
もう本当に止めて!! ごめんなさい、若気の至りです・・・・
それにしても、洋子・・・・洋子って、いきなり下の名前を、呼び捨て・・・・随分馴れ馴れしいな、こいつ。
そう、彼は物質的な距離感だけではなく、精神的な距離感も少しおかしい所がある・・あると言うより、もう全部の距離感がおかしい。
「今は私にも余裕がないの。あなたとの距離感は何一つ縮まっていないんだから」
「洋子は・・・・僕の事を名前で呼んでくれないんだね」
あー、もう、いちいちこの人は、ちょっとずつ母性本能を擽ってくるな。
このイケメンで、こんなチグハグな事を言われたら、言う事聞いてあげたくなるじゃない!
「わかったわ、邦弘君で、いいのよね」
「邦弘、『君』はいらない」
幼児か! 幼子かあんたは! ・・・・もう仕方がないな。
「じゃあ邦弘、今度は私があなたに質問ね。人型ルアーに釣られた人類は、昇天した後、どうされるの?」
「どうって? 洋子もそれは理解しているじゃない、実験だよ」
「実験って・・・・人体実験?」
「ん-、人体と言うか、まあ、そんな感じじゃないかな? どうしてそんな事をわざわざ聞くの?」
「前に私が釣った男子がいてね、私、その人の事を探しているの。あなた、何か知らない?」
「もちろん知っているけど・・・・どうして洋子はその記憶が無いの?」
え? 私にも本来あるべき記憶ってことなの?
どうも話をしていて感じるのだけど、私とこの人、やっぱり同じルアーだとは思えないのよね。
彼が当たり前としている知識と、私が当たり前としている常識の、ほとんどが噛み合っていない。
それは、恐らく私たちが異質な者同士だと言う事を示している。
「お願い、教えてくれるかしら、来栖君の事。彼は今、どこにいるの・・・・もしかして、もう死んでたりするの?」
「まさか! 我々が人類を殺傷するなんて事は有り得ない。魂の損傷はこの宇宙全体としても極めて重罪なんだよ」
「じゃあ、来栖君は生きている? のよね」
「もちろん生きている」
「じゃあ、今、何処に?」
「今の君なら、簡単に理解出来るはずなんだけど。もう、とっくにキャッチ・アンド・リリースされたよ」
キャッチ・アンド・リリース・・・・それって、もう同じ人間界へ戻されたって事!?
そんな事、有り得ない! 私のクラスに来栖君は居なかった、私の周囲には、彼は何処にも居なかったわ!
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる