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エッグバトル始動!

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「まぁ、とにかくだ。タマキブだけでも、アンプロとしてはかなり打って出たプロモーションだってのに、ドリームキャッチ内に新コーナーなんて、うちの社長まじで腕が立つよな」
「上から言ったねぇ、藤本くん!」

 声を上げて笑いたいところを、二人ぐっと堪えて控えめに笑う。

「でも、確かにアンプロの名前を売り込む波が来てるのは確かだね」
「だろ?」

 藤本の言う通りだ。
 アンプロはまだまだ世間にも業界内にもそれほど浸透しきれていない事務所で、既存の大手アイドル事務所にいつ踏み潰されてもおかしくないのが現状だった。それでも2トップと言われる及川と雪村が事務所を引っ張る戦士として頑張っていた。そこに志藤も加わり、そのあとにトップナインのメンバーが続く。だが、残念なことに力のある戦士はこの時点ではまだトップ3までだったのだ。

 トップナインといえど、業界のバックアップがなければ、実力があろうがなかろうが、自分達だけではどうすることも出来ない。

「藤本くんも、たまご気分の収録には参加したの?」

 太一が尋ねると藤本はあっさり頷いた。

「あぁ、スタジオ収録だけな。順次みんなにも声かかるんじゃないかな。オープニングは歌って踊ってって感じだから、バックダンサー要因で呼ばれただけ。あとはVを見てお終いって感じだけど、ひな壇に座れるエッグの数も限りがあるし、三十分枠ではやっぱりなかなか結果は残せないな」

 結果は残せなかったにしても、呼ばれただけいいじゃないか、と太一は思った。自分には一言たりとも声がかかっていないのだから。

「ひな壇には座れなかったの?」

 思い切って聞いてみると、藤本は柔らかく微笑んだ。

「一応座れたけど、基本Vしか見ないし、MCに話振ってもらえるなんて期待はしない方がいいな」
「そっか。どんなVだったの?」

 藤本はガヤとして十分な力があると思っていた分、太一はVTRの内容が気になった。先ほどだって、佐久間に野次を飛ばしていたくらいだ。藤本が野次を飛ばせないくらいつまらないVTRだったのだろうか。

「俺が見た回は及川のロケだったけど、ファン向けって感じ。デートコースを回る、みたいな?」

 太一は眉根を寄せた。

「デートコースを……野郎共で一緒に見るの?」

 藤本は太一の言葉選びに声を堪えながら笑った。

「おうよ、勉強になるぜ~。録画して今後に備えとけよ」

 バカにしたように笑い、藤本は太一を指差した。

「永久保存しとく」

 冗談には冗談で返答し、太一はつまらないVだなと感じた。しかし、ファンの女の子達にしてみれば、生唾ものの企画だろう。
 そして、ふと思う。この前雪村もロケに出ていたが、あの男もデートコースを巡ったのだろうかと。
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