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突然スタートさせられた異世界生活
目が覚めたら川流しにあっていた
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心地よい日の光を感じて目を覚ました。雲1つ無い真っ青な空が目に映る。そして自分の身体に異変が起きていた。
(何これ、繭?)
顔の部分だけ残して身体は繭に包まれ、湖に浸されていた。流されていかないように頭の部分から糸が伸びてどこかに固定されているようだった。そして、異常なほどの眠気を感じる。
「あらん?目が覚めちゃった?おかしいわね、まだ目覚めるはずじゃないんだけど。眠いでしょう?もう少し寝ていなさいな」
女性の優しげな声が聞こえた気がしたが、もう意識はほとんど夢の中だった。なぜ言葉が通じているのかなんて考える暇もなかった。
次に目を覚ました時は夕方だった。何度か瞬きを繰り返すと、頭上から男性の声がした。
「まだ目覚めるには早いですよ。もっと寝てていいんです。」
(私、寝すぎじゃない……?)
そう思った時にはもう寝ていた。
ぼそぼそと数人で話す声が聞こえる。
「もうそろそろですね」
(なんだろ……?)
目を覚ますと、身体を覆っていた白い繭は大分薄くなり半透明になっていて、いつ破れてもおかしくなかった。
自分の顔の前に右手をかざしてみた。傷痕一つない日焼けすら無くなった真っ白な手だ。指の腫れも痛みもなく、爪だって全部綺麗に生えてる。
ふ、と顔に影がかかったのが気になってそちらを見てみると…。自分の顔を覗き込む五つの顔があった。その内の一つはツニートだった。目が合って、どう反応したら良いか迷っていると聞き覚えがあるような無いような女性が声をかけてきた。
「やっとお目覚めねぇ~。配合間違えたって皆にどやされてどうしようかと思ってたんだけどぉ~、やっぱり間違ってなかったじゃない!」
『目覚めない、お前の腕、悪い。ララひきあげる。』
ツニートだ。そっと私の身体ほどもある指が近づいてきて、私が包まれている消えかけの繭を繊細に親指と人差し指でそっと摘まんで芝生の上に置いてくれた。
『ララ、起きれる?』
ツニートが人差し指を私の顔の前に差し出した。両手で掴まって上半身を起こす。柱に掴まってるみたい…。
もう一度、皆の顔を見た。最初に声をかけてきた女性は流れるようにウェーブした濃い紫の髪が美しく、下半身は巨大な蜘蛛だった。一人は赤いドラゴンで、もう一人は金髪の男性でものすごい美貌だった。もう一人は蒼白い顔をしたロマンスグレーがよく似合う蝙蝠のような羽を持つ男性だった。
(なぜこんなに顔を覗き込まれてるんだろ……?)
寝起きで混乱した頭には情報が処理しきれなかった。
『ララ、痛いとこ、無くなった?』
ツニートが悲しげな顔して聞いてきた。そう言われてやっと自分の状態を確認する。手足は動く。手足の動きに合わせて翼もわきわき動いた。痛みを感じる所はどこにもない。全身ずぶ濡れ以外はむしろ今までにないほど絶好調なくらいだ。
「な……、い…」
返事をすると、老婆のようにしゃがれてスムーズに出てこない事に驚いた。本当に自分の口から発された物とは思えないほど酷い。
それでも十分に伝わって、ツニートは飛び上がらんばかりに喜んだ。残りの面々もほっとした顔だった。なぜ会ったこともない自分にそこまでしてくれるのか理解出来なかった。困ったような顔を向けると、ロマンスグレーの男性が、
「飲み物でも飲みながら、順を追って説明しましょうね。ここにあなたを傷つける人はいませんから安心なさい。」
と言ってくれた。聞きたいことが山ほどあるから助かった。一見共通点がなさそうな五人の仲良さげな様子が不思議だった。
(何これ、繭?)
顔の部分だけ残して身体は繭に包まれ、湖に浸されていた。流されていかないように頭の部分から糸が伸びてどこかに固定されているようだった。そして、異常なほどの眠気を感じる。
「あらん?目が覚めちゃった?おかしいわね、まだ目覚めるはずじゃないんだけど。眠いでしょう?もう少し寝ていなさいな」
女性の優しげな声が聞こえた気がしたが、もう意識はほとんど夢の中だった。なぜ言葉が通じているのかなんて考える暇もなかった。
次に目を覚ました時は夕方だった。何度か瞬きを繰り返すと、頭上から男性の声がした。
「まだ目覚めるには早いですよ。もっと寝てていいんです。」
(私、寝すぎじゃない……?)
そう思った時にはもう寝ていた。
ぼそぼそと数人で話す声が聞こえる。
「もうそろそろですね」
(なんだろ……?)
目を覚ますと、身体を覆っていた白い繭は大分薄くなり半透明になっていて、いつ破れてもおかしくなかった。
自分の顔の前に右手をかざしてみた。傷痕一つない日焼けすら無くなった真っ白な手だ。指の腫れも痛みもなく、爪だって全部綺麗に生えてる。
ふ、と顔に影がかかったのが気になってそちらを見てみると…。自分の顔を覗き込む五つの顔があった。その内の一つはツニートだった。目が合って、どう反応したら良いか迷っていると聞き覚えがあるような無いような女性が声をかけてきた。
「やっとお目覚めねぇ~。配合間違えたって皆にどやされてどうしようかと思ってたんだけどぉ~、やっぱり間違ってなかったじゃない!」
『目覚めない、お前の腕、悪い。ララひきあげる。』
ツニートだ。そっと私の身体ほどもある指が近づいてきて、私が包まれている消えかけの繭を繊細に親指と人差し指でそっと摘まんで芝生の上に置いてくれた。
『ララ、起きれる?』
ツニートが人差し指を私の顔の前に差し出した。両手で掴まって上半身を起こす。柱に掴まってるみたい…。
もう一度、皆の顔を見た。最初に声をかけてきた女性は流れるようにウェーブした濃い紫の髪が美しく、下半身は巨大な蜘蛛だった。一人は赤いドラゴンで、もう一人は金髪の男性でものすごい美貌だった。もう一人は蒼白い顔をしたロマンスグレーがよく似合う蝙蝠のような羽を持つ男性だった。
(なぜこんなに顔を覗き込まれてるんだろ……?)
寝起きで混乱した頭には情報が処理しきれなかった。
『ララ、痛いとこ、無くなった?』
ツニートが悲しげな顔して聞いてきた。そう言われてやっと自分の状態を確認する。手足は動く。手足の動きに合わせて翼もわきわき動いた。痛みを感じる所はどこにもない。全身ずぶ濡れ以外はむしろ今までにないほど絶好調なくらいだ。
「な……、い…」
返事をすると、老婆のようにしゃがれてスムーズに出てこない事に驚いた。本当に自分の口から発された物とは思えないほど酷い。
それでも十分に伝わって、ツニートは飛び上がらんばかりに喜んだ。残りの面々もほっとした顔だった。なぜ会ったこともない自分にそこまでしてくれるのか理解出来なかった。困ったような顔を向けると、ロマンスグレーの男性が、
「飲み物でも飲みながら、順を追って説明しましょうね。ここにあなたを傷つける人はいませんから安心なさい。」
と言ってくれた。聞きたいことが山ほどあるから助かった。一見共通点がなさそうな五人の仲良さげな様子が不思議だった。
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