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突然スタートさせられた異世界生活
割れた腹筋が美しい人達
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やっと出発した。
何で移動するかって?この中世って感じだと馬車とか馬とかを想像するじゃん?違います。アノーリオンタクシーです。あれ?でも、前に行き先とか忘れて大変だったって聞いたような…?
アノーリオンさんの背中に乗って、人間達のうち一人は王国側に先触れとして抗議文を持って行って貰いました。残りは紐でぐるっぐるに巻いてあります。私は人間達から一番離れた尻尾の付け根付近に侍女二人と乗ります。
語学力がほとんどないとバレるのも嫌ですし、人間と関わりたくないので。
今、目指してるアマゾネスさんの集落までは南に向かって三時間もかからず着くそうで。そこからさらに南に行くと人間が住む国で最大の国力を誇るネイビス王国があるそうです。そっと景色を眺めて、たまにアノーリオン知恵袋を聞いていると。
ラヴァル先生と人間達の会話が嫌でも聞こえてくる。
「聖女とは誰でもなれるのですか?」
「違うぞ!聖女様は最も治癒魔力に優れていて尚且つ人に強力な加護を施せるお方が聖女様なのだ!」
「今の聖女はどんな方なのですか?」
「可愛らしく控えめな方だ!お前達みたいな野蛮な奴らとはお会いにならないだろうけどな!大人しい方だから王宮内の自室と協会の行き来位しか外に出ないんだ!」
よくもここまでペラペラと話すね…。普通知り合いですらない人って警戒しない?しかも今話したのって国の重要な情報っぽくない?駆け引きとかなんとか難しい事色々あるはずじゃん?紐で縛られる時も簡単に騙されたしさ、お仲間さんも貴方がちょろすぎて、ちょっと引いてない?
ラヴァル先生が人間と会話しながら念話で通訳するという信じられない離れ業をやってのけたお陰で、私は人嫌いか超人見知りの魔族って認識されてます。そのまま永遠に話し掛けてこないで。
「ララさんはさぁ、何が好きなの?隣にいる二人はお友達なのー?こっち来て一緒にお話しようよー!」
「二人は双子なのー?名前教えてよ!」
「ララさんはどんな男性がタイプ?」
人間のうちの一人が何度もしつこく話し掛けてきた。当然無視する。人間というだけでむかむかとした嫌悪感が込み上げてくるのだ。人間ごときが話し掛けるな、って言う悪役の気持ちがよく分かる。
シルキーとバンシーが私をその背に庇ってくれる。幸いアノーリオンの背は広く、彼らが座る所から私の所まではかなりの大声あげないと聞こえないので、聞こえないふりをしてもバレない。まぁ、聞こえたとしても私が会話に入ることは無いけど。
「はて?アマゾネスはこの辺りのはずじゃが。ラヴァルや、アマゾネスが集落を移動したという話は聞いておるか?」
「どうやらあちらさんもお出ましのようですよ。」
ラヴァルさんの声がしたと思ったら、突然矢が飛んできてアノーリオンさんの翼の皮膜を貫いた。
「いたあぁーーい!」
アノーリオンさんが乙女のような声を上げた。すぐに着陸して、慌てて傷口を見るが血はほとんど出ていなかった。アノーリオンの体格からすればトゲが刺さったような痛みに近かったのだろう。
「突然攻撃してくるとはアマゾネスも堕ちたものですね。」
ラヴァルさんが恐ろしい事を言い始めた。
どこに向かって言っているのだろうと思ったら、木の枝の所からわんさか人が降りてきた。こんなにいたなんて気付かなかった…。降りてきた人達は皆、長い髪を一本の三つ編みにして、矢筒や剣を装備している。革鎧は胸や手足にしかつけておらず、むき出しになっている割れたお腹が美しい…!それに皆さん、身長が2メートル位ありますよね?同じ女性といえど威圧感というか圧迫感というか何かが感じられます。
「許せ。魔族と手を組んだ人間の襲撃が相次いでいて、こちらも気が立っていたのだ。我らの同胞を歓迎しよう。付いてきなさい。」
一人の女性が私達の前に進み出た。良く見ると腕には傷痕がたくさんあり身に付けている革鎧も使い込まれている感じがして、素人目からしても歴戦の戦士のようだった。いや、実際そうなのだろう。周囲の反応を見てもこの場では身分?が一番偉そうなのは見てとれた。
アノーリオンさんは後ろから飛んでついていくそうだ。その大きさだと木をなぎ倒さないといけないもんね。森というか密林に踏み入る。辺りは日が差し込んで来ず薄暗い。木が邪魔で飛べないお荷物の私はシルキーにおんぶされて運ばれてます。私の足は、足場の悪い密林をずんずんと進めるほどにはまだ機能していないんです。
「ここだ。」
先頭の女性の声がして顔を上げると、少し開けた所に大きな一本の木を背後に遊牧民のユルトに似たものがいくつも立っていた。
「族長会議以来だな。魔族最強の一角にお声がけ頂けるとは光栄だ。私がアマゾネスだ。」
アマゾネスって個人名なの?種族名だと思ってたんですけど。違和感がものすごい。
「代々の女王がアマゾネスの名を名乗るのだ。」
偉そうじゃなくて本当に偉かったんだ。
「用件はさておき、まずは先程の非礼を詫びよう。あの木の根本には湯も湧いているからそこで旅の疲れを癒すといい。だが、招かれざる客もいるようだ。」
突然、アマゾネスの言葉に鋭いものが混じった。
何で移動するかって?この中世って感じだと馬車とか馬とかを想像するじゃん?違います。アノーリオンタクシーです。あれ?でも、前に行き先とか忘れて大変だったって聞いたような…?
アノーリオンさんの背中に乗って、人間達のうち一人は王国側に先触れとして抗議文を持って行って貰いました。残りは紐でぐるっぐるに巻いてあります。私は人間達から一番離れた尻尾の付け根付近に侍女二人と乗ります。
語学力がほとんどないとバレるのも嫌ですし、人間と関わりたくないので。
今、目指してるアマゾネスさんの集落までは南に向かって三時間もかからず着くそうで。そこからさらに南に行くと人間が住む国で最大の国力を誇るネイビス王国があるそうです。そっと景色を眺めて、たまにアノーリオン知恵袋を聞いていると。
ラヴァル先生と人間達の会話が嫌でも聞こえてくる。
「聖女とは誰でもなれるのですか?」
「違うぞ!聖女様は最も治癒魔力に優れていて尚且つ人に強力な加護を施せるお方が聖女様なのだ!」
「今の聖女はどんな方なのですか?」
「可愛らしく控えめな方だ!お前達みたいな野蛮な奴らとはお会いにならないだろうけどな!大人しい方だから王宮内の自室と協会の行き来位しか外に出ないんだ!」
よくもここまでペラペラと話すね…。普通知り合いですらない人って警戒しない?しかも今話したのって国の重要な情報っぽくない?駆け引きとかなんとか難しい事色々あるはずじゃん?紐で縛られる時も簡単に騙されたしさ、お仲間さんも貴方がちょろすぎて、ちょっと引いてない?
ラヴァル先生が人間と会話しながら念話で通訳するという信じられない離れ業をやってのけたお陰で、私は人嫌いか超人見知りの魔族って認識されてます。そのまま永遠に話し掛けてこないで。
「ララさんはさぁ、何が好きなの?隣にいる二人はお友達なのー?こっち来て一緒にお話しようよー!」
「二人は双子なのー?名前教えてよ!」
「ララさんはどんな男性がタイプ?」
人間のうちの一人が何度もしつこく話し掛けてきた。当然無視する。人間というだけでむかむかとした嫌悪感が込み上げてくるのだ。人間ごときが話し掛けるな、って言う悪役の気持ちがよく分かる。
シルキーとバンシーが私をその背に庇ってくれる。幸いアノーリオンの背は広く、彼らが座る所から私の所まではかなりの大声あげないと聞こえないので、聞こえないふりをしてもバレない。まぁ、聞こえたとしても私が会話に入ることは無いけど。
「はて?アマゾネスはこの辺りのはずじゃが。ラヴァルや、アマゾネスが集落を移動したという話は聞いておるか?」
「どうやらあちらさんもお出ましのようですよ。」
ラヴァルさんの声がしたと思ったら、突然矢が飛んできてアノーリオンさんの翼の皮膜を貫いた。
「いたあぁーーい!」
アノーリオンさんが乙女のような声を上げた。すぐに着陸して、慌てて傷口を見るが血はほとんど出ていなかった。アノーリオンの体格からすればトゲが刺さったような痛みに近かったのだろう。
「突然攻撃してくるとはアマゾネスも堕ちたものですね。」
ラヴァルさんが恐ろしい事を言い始めた。
どこに向かって言っているのだろうと思ったら、木の枝の所からわんさか人が降りてきた。こんなにいたなんて気付かなかった…。降りてきた人達は皆、長い髪を一本の三つ編みにして、矢筒や剣を装備している。革鎧は胸や手足にしかつけておらず、むき出しになっている割れたお腹が美しい…!それに皆さん、身長が2メートル位ありますよね?同じ女性といえど威圧感というか圧迫感というか何かが感じられます。
「許せ。魔族と手を組んだ人間の襲撃が相次いでいて、こちらも気が立っていたのだ。我らの同胞を歓迎しよう。付いてきなさい。」
一人の女性が私達の前に進み出た。良く見ると腕には傷痕がたくさんあり身に付けている革鎧も使い込まれている感じがして、素人目からしても歴戦の戦士のようだった。いや、実際そうなのだろう。周囲の反応を見てもこの場では身分?が一番偉そうなのは見てとれた。
アノーリオンさんは後ろから飛んでついていくそうだ。その大きさだと木をなぎ倒さないといけないもんね。森というか密林に踏み入る。辺りは日が差し込んで来ず薄暗い。木が邪魔で飛べないお荷物の私はシルキーにおんぶされて運ばれてます。私の足は、足場の悪い密林をずんずんと進めるほどにはまだ機能していないんです。
「ここだ。」
先頭の女性の声がして顔を上げると、少し開けた所に大きな一本の木を背後に遊牧民のユルトに似たものがいくつも立っていた。
「族長会議以来だな。魔族最強の一角にお声がけ頂けるとは光栄だ。私がアマゾネスだ。」
アマゾネスって個人名なの?種族名だと思ってたんですけど。違和感がものすごい。
「代々の女王がアマゾネスの名を名乗るのだ。」
偉そうじゃなくて本当に偉かったんだ。
「用件はさておき、まずは先程の非礼を詫びよう。あの木の根本には湯も湧いているからそこで旅の疲れを癒すといい。だが、招かれざる客もいるようだ。」
突然、アマゾネスの言葉に鋭いものが混じった。
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