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しおりを挟む待ち合わせまであと30分。
楽しみにしすぎだろって思ったけど、家にいてもそわそわして落ち着かなかったから出てきちゃった。
彼はまだ来ないだろうけど彼と久しぶりにちゃんと会えるんだ、と思うとこの待つ時間でさえ楽しい。
「……会って、何、話そう」
共通の話題はないし、彼は……口を開けば幼馴染のことが中心だ。
こんな日まで幼馴染の話なんて聞きたくない。
そう思ってしまうオレは性格が悪いのかもしれない。
待ち合わせまであと5分。
彼はまだ来ない。
今日は、来てくれる……よね?
少しだけ不安になりながらなんの連絡もないスマホを見つめる。
まだ後5分もあるから、だから来ないんだよね?
ドク、ドクと鳴る心臓を必死に落ち着かせながら息を吐く。
ぎゅっと目を瞑った時「ごめん、待たせたよな」と声がした。
ハッとしてそちらを見れば待ち焦がれていた恋人。──そして、恋人の幼馴染がいた。
「……え?」
「本当ごめんな、暑かったろ。どっか入っててもよかったのに」
「いや、そんなに待って、ない……えと、なんで、いるの?」
「ん?あー…なんか、ついてきたいって聞かなくてさ。1人増えただけだしいいだろ?」
ぶん殴りたい。
何も連絡せず幼馴染を連れてきたこいつも、当たり前のようにこいつの横に並んで笑っている幼馴染も。
ついて行きたいって聞かなくてさ、じゃないんだよ。
1人増えただけだし、じゃないんだよ。
こいつは何にもわかってない。
オレがなんでこの日に会いたいと言ったのか。
この日だけはって言ったのか。
それでもオレの口からは何も出てきてくれなくて。
そっか、と上手く笑えていたのかもわからないけど、2人が楽しそうに笑っていたらからきっと俺も笑えていたんだろう。
なんかもう全てがどうでもよくて、何に対してかもわからない笑いが出た。
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