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「はいはい。翔琉ちょっとうるさい。それで?都はどうしてそんなに浮かない顔をしてるんだ?」
「へ?」
「何か、考え事?」
「いや…なんでもないですよ?宗佑さんの気のせいです」
「…手強いな」
真面目な顔をして聞いてきた宗佑さんに誤魔化すように笑って話をそらす。
あなたのことを考えてましたなんて言えるわけがない。
…上手く、笑えていたのかな。
宗佑さんの顔はそれでも変わらなかったから、もしかしたら笑えていなかったのかもしれない。
気をつけなきゃ。
「あ、そーだ。都、明日暇?」
「明日?」
「そ。明日、俺ら遊ぶんだけど都もこない?」
時々こうやって、翔琉はみんなと遊ぶ時僕のことを誘ってくれる。
嬉しい。だけど、その約束っていつしたの?
気遣ってくれる翔琉はすごくやさしいね。本当に大好きなんだ。
だけどこんな風に嫌味にしか聞こえなくなる僕を、みんなは受け入れていないんだよ。
だから、
「…ご、めん…明日は、用事があって…」
「えーまたかよー。少しぐらい俺ら優先してくれたっていいじゃん」
「ごめんね…本当に、ごめん…」
「…ま、いいけど。また次誘うからそんなに謝んなよ。急に誘った俺も悪ぃーし!」
「ん…」
乱暴な手つきで頭を撫でる翔琉。
ごめん、ごめんね。
どうして僕はいつもこんなんなんだろう。
泣きそうだ。
唇を噛んで感情を抑えていると、
「翔琉」
と宗佑さんが翔琉を呼んで、引き寄せた。
ぽすん、と宗佑さんの胸に頭をぶつけ「なんすかー」と文句を言う翔琉。
あ、だめだ、もう、だめ。
その姿を見て自分の感情が抑えきれなくなって、早口に「ごめん、先に帰るね。じゃぁ、また」と走ってその場を離れた。
「都!?」と翔琉が驚きの声をあげて僕の方に向かおうとしたけどそれを宗佑さんが止めたのか「宗佑さん!離してください!」「無理」と会話が聞こえた。
やっぱり、僕の入る隙間なんてあるわけがないんだ。
翔琉、僕は宗佑さんに好かれている翔琉になりたかったんだよ。
なんて、今更かな。
大好きな、大好きな翔琉。
どうしてなんだろう。
明るい君と、暗い僕。
誰が見たって好きになるのは翔琉だよね。
分かっていたことなのに。
ああ、なんて残酷なんだろう。
「へ?」
「何か、考え事?」
「いや…なんでもないですよ?宗佑さんの気のせいです」
「…手強いな」
真面目な顔をして聞いてきた宗佑さんに誤魔化すように笑って話をそらす。
あなたのことを考えてましたなんて言えるわけがない。
…上手く、笑えていたのかな。
宗佑さんの顔はそれでも変わらなかったから、もしかしたら笑えていなかったのかもしれない。
気をつけなきゃ。
「あ、そーだ。都、明日暇?」
「明日?」
「そ。明日、俺ら遊ぶんだけど都もこない?」
時々こうやって、翔琉はみんなと遊ぶ時僕のことを誘ってくれる。
嬉しい。だけど、その約束っていつしたの?
気遣ってくれる翔琉はすごくやさしいね。本当に大好きなんだ。
だけどこんな風に嫌味にしか聞こえなくなる僕を、みんなは受け入れていないんだよ。
だから、
「…ご、めん…明日は、用事があって…」
「えーまたかよー。少しぐらい俺ら優先してくれたっていいじゃん」
「ごめんね…本当に、ごめん…」
「…ま、いいけど。また次誘うからそんなに謝んなよ。急に誘った俺も悪ぃーし!」
「ん…」
乱暴な手つきで頭を撫でる翔琉。
ごめん、ごめんね。
どうして僕はいつもこんなんなんだろう。
泣きそうだ。
唇を噛んで感情を抑えていると、
「翔琉」
と宗佑さんが翔琉を呼んで、引き寄せた。
ぽすん、と宗佑さんの胸に頭をぶつけ「なんすかー」と文句を言う翔琉。
あ、だめだ、もう、だめ。
その姿を見て自分の感情が抑えきれなくなって、早口に「ごめん、先に帰るね。じゃぁ、また」と走ってその場を離れた。
「都!?」と翔琉が驚きの声をあげて僕の方に向かおうとしたけどそれを宗佑さんが止めたのか「宗佑さん!離してください!」「無理」と会話が聞こえた。
やっぱり、僕の入る隙間なんてあるわけがないんだ。
翔琉、僕は宗佑さんに好かれている翔琉になりたかったんだよ。
なんて、今更かな。
大好きな、大好きな翔琉。
どうしてなんだろう。
明るい君と、暗い僕。
誰が見たって好きになるのは翔琉だよね。
分かっていたことなのに。
ああ、なんて残酷なんだろう。
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