僕は平凡に生きたい

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体育祭後

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憂鬱だなぁ、なんて思っても目の前の事はなくならない。
俺は今、生徒会室にきている。きている、というか連れてこられたというか…。

昨日はあの後すぐに京くんとばいばいして明日学校に行きたくないなんて独りごちて眠りについた。
夢の中では生徒会の人たちに雑用ばかりを押し付けられて、気が付いたらパシリになっているなんて夢を見てしまって、なんだか寝た気がしない。
そんな事はないだろうけど、俺にその役目がつとまるかなぁ、なんて。

はぁ…と夢の出来事を思い出してため息を吐けば、副会長さんが不思議そうに「どうされました?」と首を傾げた。
慌てて首を横にぶんぶんと勢いよく振って「す、すみません!」と謝る。

「ふふ、全然大丈夫ですよ」

「でも…折角説明してくださってたのに…」

「真面目ちゃんだねぇ~!こういうのはかるぅーく聞いてればいいのさぁ~」

「貴方は真面目に聞いてなさすぎますけどね」

「うわぁ!やめてよぉ~!」

副会長さんと会計さんのやり取りに思わず笑えば、2人も笑う。
ああ、きっとこの人たちならば大丈夫かもしれない。
そんな思いを抱いて説明に耳を傾けた。

***
「それでは、まず挨拶がてら風紀に書類を提出しに行きましょうか」

「風紀に…」

風紀委員さんってちゃんと顔を見たことがないなぁ。覚えられるかな…。

とことこと歩いて風紀室へと向かう。
ソファに座った時から気付いてたけど、やっぱり足の長さが違うね!知ってたけどね!
副会長さんは普通に歩いてるのに、どうして俺は小走りしてるんだろう?歩幅の問題?
キツくない程度に歩幅を広げながら歩いていると、副会長さんが止まった事に気付かず背中に頭をぶつけてしまった。

「んぶっ…ご、ごめんなさい!!」

「大丈夫ですよ。痛くなかったので」

クスクスと笑いながらさらりと頭を撫でる副会長さんに、綺麗だなぁなんて場違いな感想を抱く。

「それより、着きましたよ。ここが風紀室です」

「…おっきい…」

ぽかん、と口を開けて扉を見つめていると副会長さんは先に扉を開けて入って行こうとしていた。
ハッ今は感心してる場合じゃない…!と扉の方に向かえば副会長さんが扉を押さえてくれていた。
…紳士だ。
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