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番外編(捏造ありまくり)
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合鍵は貰っていたから息があがってかなりきついけど鍵を取り出した。
気持ちばかりが焦って中々ささらなくて更に焦る。
やっとの思いで開けて「佳乃!!」と声をあげてみても部屋の中はシンと静まったまま。
リビングには、誰もいない。…部屋、か?
ガチャ
「…よし、の…?」
ここにもいなかったらと思うと声が喉に張り付いて上手く出なかった。
が、そこにはベッドでスヤスヤと眠る佳乃がいて俺はホッとして、良かった、間に合った。そう思った。
起こさないように近付いて顔を覗き込むと涙の跡があって胸がズキンと痛んだ。
…不安に、させていた。分かっていたはずなのに。
こんな事になるなら秘密になんてするんじゃなかった…!
ぎり…と手を力の限り握りしめて後悔していると「ん…」と佳乃が目を覚ました。
「…佳乃…起きたの、か?」
「……あっくん…?」
目を何度かパチパチとさせて俺をみた佳乃は一瞬固まった後目を擦った。
「駄目だ、目が傷つく」
「…なんで、ここ……あぁ…そっか…」
目を擦っている手をそっと掴んでおろすときょとんとした表情の佳乃は何故か自己完結していた。
そして、ふふっと笑って「どうしたの?」なんて言うからあのメッセージはなんだ?と聞いた。
「…あー…だって、おれ、じゃまだし…うん、そうそう」
「…佳乃…?」
「いつかこうなるって、分かってたから。大丈夫だよ」
「佳乃」
「あはは、俺、本当駄目だなぁ。夢にまであっくん出すなんて。でも、これで最後だよね」
夢と言い始めた佳乃に違和感を抱きながらも「夢じゃない」と言う。
それをケラケラと笑って全く信じてくれない。
あっくんは俺の事好きじゃないんだから。
こんなところにいるはずない。
俺の心配なんてしないはずだもん。
なんて言って。
笑っているのに泣いているような佳乃を抱きしめて「佳乃が、好きだよ」と俺は色んな感情が混ざったような声で囁いた。
**
全てが面倒になってでも痕跡は残しちゃ駄目だと思って、取り敢えずスマホを解約した。
家は、流石にどうしようもなかったから。
これから、どうしようかなぁなんて考えている内に眠りについていた。
目が覚めたら何もかも忘れてたらいいな、と願いながら。
ふと誰かの気配を感じて目を開けるともう二度と会うはずのないあっくんがいて俺は混乱した。
そして、これは夢なんだ。と納得した。
現実で会えなくなったからって夢にまで出すなんて。
これが夢なら醒めて欲しくないなあと思いつつこれで最後にしようと思った。
ねえ、俺は今どんな顔してる?
自分じゃ笑ってるのかも泣いてるのかも分かんなくて、あっくんの目にうつる自分さえ怖くて見れない。
このまま、消えてしまいたい。
そんな事を考えていると力強くあっくんに抱きしめられて「好き」だなんて言われて、俺の願望が夢にまで影響してるんだなと思って笑った。
あっくんはこんな事もう言わないのに。
でも、夢なら…俺も、言っていいかなぁ。
そっと背中に腕を回して抱きしめ返す。
「…俺も、すき」
「佳乃…」
「だから、もう、いいよ」
ああ、幸せだった。
もうそろそろ起きなきゃね。ちゃんと一人で生きていくために。
最後の抱擁を噛みしめながら身体を離せば真剣な目をしているあっくんと目があった。
そして、あっくんは。
「…夢でも、現実でも。俺は佳乃が好きだよ。心の底から愛してる。…許してくれなんて、言わないから話だけ聞いて欲しいんだ」
縋るように言うあっくんに何も言えずにいると「…だめ、か?」と言われたので慌てて頭を振って先を促した。
ほっとしたように笑うあっくんにやっぱり好きだなぁなんて思い。
あっくんの話始めた言葉に俺は涙が止まらなくて、諦めなくていいんだって思って。
あっくんは俺の涙をそっと優しく拭い俺の手をとってその手に何かを握らせた。
「…鍵?」
首を傾げてあっくんを見つめたらどこか緊張した表情で姿勢を正した。
「佳乃、さん」
「…ふふ、どうしたの?」
「俺と、一緒に…結婚を前提に俺と同棲してくれませんか」
「ぇ…」
「…本当は、サプライズにしたかったんだけど。俺が不甲斐なさすぎて、佳乃を不安にさせてしまったから。本当に、申し訳ない」
「それはっ……俺が、勝手に不安に思っちゃっただけで…」
「不安にさせるような事を、してしまったのは事実だから。…それで、返事…は…」
そんなの…!
「…俺、なんかでいいの?」
「なんかじゃない。佳乃が、いい。佳乃だけで、いい」
「…うん。こちらこそ、よろしくお願いします」
俺の返事を聞いてあっくんは安心したように微笑んで、そしてぼろぼろと涙を零し始めた。
俺は慌ててその涙を拭おうとしたけどその手を取られてまた強く抱きしめられた。
「よかった…っ…この手でまた、佳乃を抱きしめることができて…!」
「…ぅんっ…うん…!」
俺も、よかった。本当に。こんなに幸せでいいのかなってぐらい。
この温かい胸の中に、いることができて。
*
それから、慌ただしく引っ越しの準備をして、お揃いの食器を買ったりした。
…夢で離れていくあっくんを見て泣いてしまったけど、何も聞かずに抱きしめてくれたからそれからは何も見なくなった。
「あっくん」
「ん?どうした?」
「…大好きだよ」
「…ああ、俺も。愛してる」
そして、目を閉じて。
**
終わりです。
気持ちばかりが焦って中々ささらなくて更に焦る。
やっとの思いで開けて「佳乃!!」と声をあげてみても部屋の中はシンと静まったまま。
リビングには、誰もいない。…部屋、か?
ガチャ
「…よし、の…?」
ここにもいなかったらと思うと声が喉に張り付いて上手く出なかった。
が、そこにはベッドでスヤスヤと眠る佳乃がいて俺はホッとして、良かった、間に合った。そう思った。
起こさないように近付いて顔を覗き込むと涙の跡があって胸がズキンと痛んだ。
…不安に、させていた。分かっていたはずなのに。
こんな事になるなら秘密になんてするんじゃなかった…!
ぎり…と手を力の限り握りしめて後悔していると「ん…」と佳乃が目を覚ました。
「…佳乃…起きたの、か?」
「……あっくん…?」
目を何度かパチパチとさせて俺をみた佳乃は一瞬固まった後目を擦った。
「駄目だ、目が傷つく」
「…なんで、ここ……あぁ…そっか…」
目を擦っている手をそっと掴んでおろすときょとんとした表情の佳乃は何故か自己完結していた。
そして、ふふっと笑って「どうしたの?」なんて言うからあのメッセージはなんだ?と聞いた。
「…あー…だって、おれ、じゃまだし…うん、そうそう」
「…佳乃…?」
「いつかこうなるって、分かってたから。大丈夫だよ」
「佳乃」
「あはは、俺、本当駄目だなぁ。夢にまであっくん出すなんて。でも、これで最後だよね」
夢と言い始めた佳乃に違和感を抱きながらも「夢じゃない」と言う。
それをケラケラと笑って全く信じてくれない。
あっくんは俺の事好きじゃないんだから。
こんなところにいるはずない。
俺の心配なんてしないはずだもん。
なんて言って。
笑っているのに泣いているような佳乃を抱きしめて「佳乃が、好きだよ」と俺は色んな感情が混ざったような声で囁いた。
**
全てが面倒になってでも痕跡は残しちゃ駄目だと思って、取り敢えずスマホを解約した。
家は、流石にどうしようもなかったから。
これから、どうしようかなぁなんて考えている内に眠りについていた。
目が覚めたら何もかも忘れてたらいいな、と願いながら。
ふと誰かの気配を感じて目を開けるともう二度と会うはずのないあっくんがいて俺は混乱した。
そして、これは夢なんだ。と納得した。
現実で会えなくなったからって夢にまで出すなんて。
これが夢なら醒めて欲しくないなあと思いつつこれで最後にしようと思った。
ねえ、俺は今どんな顔してる?
自分じゃ笑ってるのかも泣いてるのかも分かんなくて、あっくんの目にうつる自分さえ怖くて見れない。
このまま、消えてしまいたい。
そんな事を考えていると力強くあっくんに抱きしめられて「好き」だなんて言われて、俺の願望が夢にまで影響してるんだなと思って笑った。
あっくんはこんな事もう言わないのに。
でも、夢なら…俺も、言っていいかなぁ。
そっと背中に腕を回して抱きしめ返す。
「…俺も、すき」
「佳乃…」
「だから、もう、いいよ」
ああ、幸せだった。
もうそろそろ起きなきゃね。ちゃんと一人で生きていくために。
最後の抱擁を噛みしめながら身体を離せば真剣な目をしているあっくんと目があった。
そして、あっくんは。
「…夢でも、現実でも。俺は佳乃が好きだよ。心の底から愛してる。…許してくれなんて、言わないから話だけ聞いて欲しいんだ」
縋るように言うあっくんに何も言えずにいると「…だめ、か?」と言われたので慌てて頭を振って先を促した。
ほっとしたように笑うあっくんにやっぱり好きだなぁなんて思い。
あっくんの話始めた言葉に俺は涙が止まらなくて、諦めなくていいんだって思って。
あっくんは俺の涙をそっと優しく拭い俺の手をとってその手に何かを握らせた。
「…鍵?」
首を傾げてあっくんを見つめたらどこか緊張した表情で姿勢を正した。
「佳乃、さん」
「…ふふ、どうしたの?」
「俺と、一緒に…結婚を前提に俺と同棲してくれませんか」
「ぇ…」
「…本当は、サプライズにしたかったんだけど。俺が不甲斐なさすぎて、佳乃を不安にさせてしまったから。本当に、申し訳ない」
「それはっ……俺が、勝手に不安に思っちゃっただけで…」
「不安にさせるような事を、してしまったのは事実だから。…それで、返事…は…」
そんなの…!
「…俺、なんかでいいの?」
「なんかじゃない。佳乃が、いい。佳乃だけで、いい」
「…うん。こちらこそ、よろしくお願いします」
俺の返事を聞いてあっくんは安心したように微笑んで、そしてぼろぼろと涙を零し始めた。
俺は慌ててその涙を拭おうとしたけどその手を取られてまた強く抱きしめられた。
「よかった…っ…この手でまた、佳乃を抱きしめることができて…!」
「…ぅんっ…うん…!」
俺も、よかった。本当に。こんなに幸せでいいのかなってぐらい。
この温かい胸の中に、いることができて。
*
それから、慌ただしく引っ越しの準備をして、お揃いの食器を買ったりした。
…夢で離れていくあっくんを見て泣いてしまったけど、何も聞かずに抱きしめてくれたからそれからは何も見なくなった。
「あっくん」
「ん?どうした?」
「…大好きだよ」
「…ああ、俺も。愛してる」
そして、目を閉じて。
**
終わりです。
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