宮廷道化師の報告書 勇者五千分の一

島倉大大主

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追記:抜粋

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 ランサの花は今が旬で、見渡す限りに淡い桃色があふれていた。
 あれほど酷い事が起きた場所であるはずなのに、まるで楽園のように見えた。

 それは、ただ孤独にその中に立っていた。
 奇妙にじれていたが、それでいてある美しさがあった。
 風が吹き、ランサの花が一斉にそよぐと、それはこちらを見た。
 ああ、と私はため息をついた。
 ようやく面と向かえた。
 かつて、その花の名前と同じ少女の名前を、それはどんな思いで、あの時口にしたのか。

 再び風が吹くと、揺れるランサの花の陰に隠れ
 それは永遠に私の前から姿を消した。
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