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第40話 ダンと初めての仲間
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ゼノアの噂は瞬く間にギルド内で広まった。
金等級のパーティーは通常、一国に3から4つしか存在しない。
迷宮都市でさえ、たったの3パーティーしか存在しない。
そのひとつ、「金の竜爪」のリーダーが、まさか片手で捻りつぶされるなんて、誰も予想だにしなかった。
だからこそ、その噂は瞬時に広まり、その影響力は計り知れなかった。
ゼノアは、自分の行動が少々行き過ぎたと反省した。
しかし、これで絡んでくる者はいなくなるだろうから良しと思うことにした。
ダンが講習の修了書とダンジョン入場許可印を貰うため、受付で待っていると、3人の子供たちが彼に声をかけてきた。
「よかったらパーティーを組みませんか?」
彼は一瞬困惑し、ゼノアを見た。すると、彼女は手を叩いて喜びの声を上げた。
「素晴らしいわ。仲間を持つのは良い事よ!」
「私はメル、こっちがアルバ、ガダル。あなたと同じ初心者講習を受けてたのよ」
「ボクはダン、よろしく」
メル、アルバ、ガダルは12歳で幼馴染だ。
メルは商人の娘だが、魔法の才能があったので冒険者に憧れていた。
アルバは元冒険者の両親のもと、宿屋を営む家に育ち、冒険者になることを反対されていなかった。
ガダルは鍛冶屋の息子で、家業よりも冒険者としての道に憧れを抱いていた。
三人の親は旧知の仲で、幼馴染の彼らは一緒に冒険者登録をし、パーティーを組むことを決めていた。
メルは実技講習でダンの見事な剣さばきに心を奪われ、彼をパーティーに誘うことを提案したのだ。
こうしてダンは、同年代の仲間を得ることとなった。
ゼノアは四人を見て、初めて勇者一行と出会った日のことを思い出し、胸が熱くなるのを感じた。
四人は今後のことを相談した。
ダンは既にダンジョン入場許可を得ていたが、他の3人はまだだった。
許可印を得るために一番手っ取り早いのは試験に合格することで、その試験のための講習会と言う名の訓練を受けるのが普通だった。
もちろん有料だが3人は受けることにした。
ダンが受ける必要はなかったが、できれば一緒にやりたいと思った。
「ぜひ受けなさい。仲間と絆を深める良い機会だわ」
ゼノアの後押しでダンも参加することになり、四人は喜んだ。
次の日から、四人の訓練が始まった。
午前中の講習では、まず訓練場を体力が続く限り走らされる。
新人四人組はダン以外、すぐにバテてしまった。
アルバは感心してダンに尋ねた。
「ダンは本当にタフだな。羨ましいよ」
ダンは自信満々に答えた。
「ボクは小さい頃から森を駆けずり回っていたからね」
都会育ちの三人は、ダンのように野山を駆け回る経験がないため、彼のタフさに驚くばかりだった。
次の訓練は素振り、そして最後に剣士たちは二人一組で剣と盾を使った組手を行った。
一方、魔法使いは魔法の訓練に励んでいた。
午前の講習が終わると、メルとアルバは家の手伝いに戻った。ダンとガダルは暇を持て余してそのまま二人で剣の訓練を続けた。
一週間が経って試験日になった。
メルは初級の水魔法、水球と水壁が使えるようになったので合格できた。
しかしアルバとガダルは不合格だった。
二人は、いつになったら合格できるのか不安になって、ダンに尋ねた。
「ダンは、どんな訓練をしてたの?」
「ゼノア姉ちゃんの訓練?」
「そう、それ。ちょっと見せてくれないかな?」
「姉ちゃん、いいかな?」
ダンがゼノアを見ると、ゼノアはにっこりと笑って頷いた。
ダンは素手で、ゼノアが木剣を持って相対した。
ゼノアが剣を振る。
遅くなく速くもない真っ直ぐな剣筋。
ダンはそれをギリギリで避ける。
上下左右いろんな角度から剣が振るわれ、ダンは体を捩じったり、屈んだり、ステップを使ったりして避けた。
次第にダンの息が荒くなり、回避できず剣が当たると、そこで終了となった。
いつの間にか周りは見物客が集まっていて、拍手が起こり、教官もしきりに感心していた。
「持久力、反射神経、相手の動きを見る訓練を一度にやってしまうのか。素晴らしい訓練方法だ」
アルバが手を挙げた。
「お姉さんも、その訓練をして強くなったのですか?」
「ボクはもっと高度な訓練をやらされたよ」
シリルが自慢げに答えた。
「ぜひ、見たいです」「お願いです。やってみてください」
ゼノアが苦笑した。
「仕方ないわね。久しぶりに目隠しのやつをやりましょうか」
「うん、いいね」
ゼノアが剣を振り、シリルが目隠しをしたまま回避した。
次第に剣の速さが上がり、誰もが声を失った。
やがてゼノアが剣を下ろした。
辺りは静寂つつまれていたが、誰かが拍手をすると、一斉に拍手喝采が沸き起こった。
アルバがまた手を挙げた。
「何年くらいやれば、そこまでできるようになるんですか?」
ゼノアはシリルを指さした。
「彼女の場合は100年くらいかしら?」
みんなが一斉にシリルを見た。
「100歳以上ってこと?」「そんな年上なのか」「うちの曾ばあさんより上じゃん」
シリルが顔を赤くしてゼノアを指さした。
「ゼノア姉ちゃんは、もっと年増だぞ!」
今度はみんな一斉にゼノアを見た。
「もっと年増って……」「いったい何歳なんだ?」「本当に年齢不詳だ」
ゼノアも顔を赤くした。
「こほん、年齢の話は止めましょうね」
「あぁ! 自分から話を切り出して、ずるいぞ! クソババア!」
「シリル、言葉遣い!」
ゼノアはシリルにだけ威圧をかけ、彼女は地面に叩きつけられた
「ぐわ! 暴力反対!」
誰も何が起こったか分からなかったが、誰もが漆黒の魔女に年齢の話をしてはいけない事だけは理解した。
ダンたちが訓練場を出ようとした時、教官がやってきた。
「言い忘れていたが、ダン君のお姉さんが一緒ならアルバとガダルもダンジョンに入れるぞ」
アルバとガダルがゼノアを見上げた。
「いいわよ。一緒にダンジョンへ行きましょう」
「やったぁ! ありがとうございます」
「その前に、あなたたちの親御さんへ挨拶にいきましょう」
四人は大喜びし、ギルドでパーティー登録をした。
パーティー名は「黒と金の風」に決まった。
金等級のパーティーは通常、一国に3から4つしか存在しない。
迷宮都市でさえ、たったの3パーティーしか存在しない。
そのひとつ、「金の竜爪」のリーダーが、まさか片手で捻りつぶされるなんて、誰も予想だにしなかった。
だからこそ、その噂は瞬時に広まり、その影響力は計り知れなかった。
ゼノアは、自分の行動が少々行き過ぎたと反省した。
しかし、これで絡んでくる者はいなくなるだろうから良しと思うことにした。
ダンが講習の修了書とダンジョン入場許可印を貰うため、受付で待っていると、3人の子供たちが彼に声をかけてきた。
「よかったらパーティーを組みませんか?」
彼は一瞬困惑し、ゼノアを見た。すると、彼女は手を叩いて喜びの声を上げた。
「素晴らしいわ。仲間を持つのは良い事よ!」
「私はメル、こっちがアルバ、ガダル。あなたと同じ初心者講習を受けてたのよ」
「ボクはダン、よろしく」
メル、アルバ、ガダルは12歳で幼馴染だ。
メルは商人の娘だが、魔法の才能があったので冒険者に憧れていた。
アルバは元冒険者の両親のもと、宿屋を営む家に育ち、冒険者になることを反対されていなかった。
ガダルは鍛冶屋の息子で、家業よりも冒険者としての道に憧れを抱いていた。
三人の親は旧知の仲で、幼馴染の彼らは一緒に冒険者登録をし、パーティーを組むことを決めていた。
メルは実技講習でダンの見事な剣さばきに心を奪われ、彼をパーティーに誘うことを提案したのだ。
こうしてダンは、同年代の仲間を得ることとなった。
ゼノアは四人を見て、初めて勇者一行と出会った日のことを思い出し、胸が熱くなるのを感じた。
四人は今後のことを相談した。
ダンは既にダンジョン入場許可を得ていたが、他の3人はまだだった。
許可印を得るために一番手っ取り早いのは試験に合格することで、その試験のための講習会と言う名の訓練を受けるのが普通だった。
もちろん有料だが3人は受けることにした。
ダンが受ける必要はなかったが、できれば一緒にやりたいと思った。
「ぜひ受けなさい。仲間と絆を深める良い機会だわ」
ゼノアの後押しでダンも参加することになり、四人は喜んだ。
次の日から、四人の訓練が始まった。
午前中の講習では、まず訓練場を体力が続く限り走らされる。
新人四人組はダン以外、すぐにバテてしまった。
アルバは感心してダンに尋ねた。
「ダンは本当にタフだな。羨ましいよ」
ダンは自信満々に答えた。
「ボクは小さい頃から森を駆けずり回っていたからね」
都会育ちの三人は、ダンのように野山を駆け回る経験がないため、彼のタフさに驚くばかりだった。
次の訓練は素振り、そして最後に剣士たちは二人一組で剣と盾を使った組手を行った。
一方、魔法使いは魔法の訓練に励んでいた。
午前の講習が終わると、メルとアルバは家の手伝いに戻った。ダンとガダルは暇を持て余してそのまま二人で剣の訓練を続けた。
一週間が経って試験日になった。
メルは初級の水魔法、水球と水壁が使えるようになったので合格できた。
しかしアルバとガダルは不合格だった。
二人は、いつになったら合格できるのか不安になって、ダンに尋ねた。
「ダンは、どんな訓練をしてたの?」
「ゼノア姉ちゃんの訓練?」
「そう、それ。ちょっと見せてくれないかな?」
「姉ちゃん、いいかな?」
ダンがゼノアを見ると、ゼノアはにっこりと笑って頷いた。
ダンは素手で、ゼノアが木剣を持って相対した。
ゼノアが剣を振る。
遅くなく速くもない真っ直ぐな剣筋。
ダンはそれをギリギリで避ける。
上下左右いろんな角度から剣が振るわれ、ダンは体を捩じったり、屈んだり、ステップを使ったりして避けた。
次第にダンの息が荒くなり、回避できず剣が当たると、そこで終了となった。
いつの間にか周りは見物客が集まっていて、拍手が起こり、教官もしきりに感心していた。
「持久力、反射神経、相手の動きを見る訓練を一度にやってしまうのか。素晴らしい訓練方法だ」
アルバが手を挙げた。
「お姉さんも、その訓練をして強くなったのですか?」
「ボクはもっと高度な訓練をやらされたよ」
シリルが自慢げに答えた。
「ぜひ、見たいです」「お願いです。やってみてください」
ゼノアが苦笑した。
「仕方ないわね。久しぶりに目隠しのやつをやりましょうか」
「うん、いいね」
ゼノアが剣を振り、シリルが目隠しをしたまま回避した。
次第に剣の速さが上がり、誰もが声を失った。
やがてゼノアが剣を下ろした。
辺りは静寂つつまれていたが、誰かが拍手をすると、一斉に拍手喝采が沸き起こった。
アルバがまた手を挙げた。
「何年くらいやれば、そこまでできるようになるんですか?」
ゼノアはシリルを指さした。
「彼女の場合は100年くらいかしら?」
みんなが一斉にシリルを見た。
「100歳以上ってこと?」「そんな年上なのか」「うちの曾ばあさんより上じゃん」
シリルが顔を赤くしてゼノアを指さした。
「ゼノア姉ちゃんは、もっと年増だぞ!」
今度はみんな一斉にゼノアを見た。
「もっと年増って……」「いったい何歳なんだ?」「本当に年齢不詳だ」
ゼノアも顔を赤くした。
「こほん、年齢の話は止めましょうね」
「あぁ! 自分から話を切り出して、ずるいぞ! クソババア!」
「シリル、言葉遣い!」
ゼノアはシリルにだけ威圧をかけ、彼女は地面に叩きつけられた
「ぐわ! 暴力反対!」
誰も何が起こったか分からなかったが、誰もが漆黒の魔女に年齢の話をしてはいけない事だけは理解した。
ダンたちが訓練場を出ようとした時、教官がやってきた。
「言い忘れていたが、ダン君のお姉さんが一緒ならアルバとガダルもダンジョンに入れるぞ」
アルバとガダルがゼノアを見上げた。
「いいわよ。一緒にダンジョンへ行きましょう」
「やったぁ! ありがとうございます」
「その前に、あなたたちの親御さんへ挨拶にいきましょう」
四人は大喜びし、ギルドでパーティー登録をした。
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