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メソポタミア - Mesopotamia -

ギルタブリル

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 ギルタブリル

 メソポタミア神話に登場する怪物。原初母神で海神であるティアマトが伴侶の男神アプスーを殺された際に、主神マルドゥークをはじめとした神々へ復讐ふくしゅうの戦いを挑むために生んだ、十一匹の魔物のうちの一匹である。角冠、髭を生やした人間の顔と体、鳥の体の後ろ半分、蛇頭の男性器、サソリの尾を持つ姿として描かれ、その容貌は死そのものと形容された。また、その姿からサソリの尾を持つニヌルタ、もしくはパビルサグとも結びついている。アッカド語で「サソリ人間」の意味。ティアマトの怪物の中でも理性的な存在であり、ティアマトがマルドゥークに負けたあとも生き延び、一種族として存続したとされる。彼らは太陽神シャマシュと深い関係にあり、日の出と日の入りが行われるマーシュ山を守護した。そして死を人間に分配したともいう。『ギルガメッシュ叙事詩』にも登場し、英雄ギルガメッシュが親友エンキドゥを亡くしたあと、不死を探し求める旅の途中でマーシュ山を訪れた。この入り口を守っているギルタブリルに、不死を得るために山を通りたいと訴えるギルガメッシュだが、ギルタブリルは、この山を越えたものは誰もいないと警告する。しかし、ギルガメッシュの決意が固いことを知ると、旅の安全を祈って山の入り口を開いたのだった。
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