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悪魔・堕天使 - Devils and Fallen angels -

ペイモン

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 ペイモン


 パイモン、パティンとも。『ソロモンの小さき鍵』によれば、ソロモンの七十二柱の悪魔における序列第九位で、偉大な王とされる。堕天使ルキフェル(ルシフェル、ルシファー)の忠実な臣下であり、あらゆる術と学、そしてあらゆる秘密について語る。また、魔術師が望めば彼に威厳を与え、どのような人間でも服従させることができ、よき使い魔を与えるなど、非常に多彩な能力を持つ。召喚されるとヒトコブラクダの背に乗り、宝石を散りばめた王冠をいただく人間の姿で現れ、ふたりの王族ベバルとアブラム(アバラム)を同伴する。出現したペイモンの前方にはトランペット、よく響くシンバル、その他あらゆる楽器を持った人の姿をした精霊の主が控えていて、ポテスタテスの位階(権天使アルケーあるいは力天使ヴァーチュー)の精霊たちを伴い、二十五の軍団を率いるとされる。西方領域を守護する堕天使で、もとの位は主天使ドミニオンもしくは智天使ケルビムだったとされる。出現時に伴う軍勢とは別に、二〇〇の精霊の軍団を率いるという。彼の率いる精霊の軍団の位階は、ある者は天使であり、ある者はポテスタテスである。もし、召喚者が単独でペイモンを召喚する場合には、なんらかの供物を必要とする。また、大声の持ち主で、初めて姿を現したときは咆哮するように話す。召喚者はペイモンを屈服させない限り、なにを言っているか理解できない。ヨハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』では、二十二番目の悪魔で、神々しい力天使によって押さえつけられた姿で、召喚者の前に現れる。『ソロモンの小さき鍵』と同じく、地、水、風について明確な答えを話してくれるほか、地獄についても詳細に教えてくれる。ただし、ペイモンを創造主と勘違いしてはならない、という警告が書かれている。『教皇ホノリウスの奥義書』には、西の方角を守る悪魔としてパイェモンが登場する。『術士アブラメリンの聖なる魔術の書』では、八人の下位君主の中に名前がある。ほかに、イギリスの文筆家・政治家レジナルド・スコットが著した『妖術の暴露』の一六五五年版では、空の勢力に属し、座天使ソロネ、またはガルガリンの第十六位であり、コーバンとマルバスの配下とされている。
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