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第二章 冒険出発の篇
35-1 森を抜ける
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出発の朝。
みんなは日の出とともに起き出し、パンと飲み物だけの朝食を済ますと装備を整えて準備する。
服装は貰った衣服に軍手をし、首元にタオルを巻くだけでなく頭にも帽子代わりにタオルを思い思いのやり方で巻きつけた。
アイが最後の確認をする。
アイ「え~と、忘れ物ってないかな?どこかに道具を置きっぱにしてない?」
アカリ「大丈夫。さっきルカと2人で川原も広場も確認してきたから。」
ナオ「広場の隅にあった焚き木も?」
ソラ「あっ、それは私のとこに入れた。」
アイ「小屋にあった椅子も机も入れた?あと、あの赤い絨毯も…」
タクミ「うん…どっちもオレのストレージにしまった…」
アカリ「なんかあれないとヤル時に気分が出なくなってきたかも(笑)。」
アユミがツグミといっしょにやって来た。
アユミ「私たち2人でもう一度川原から広場から小屋の中まで全部見てきたよ。」
アイ「ゴメンね…ありがとう。」
ナオ「ねぇ、この小屋はどうするの?」
モア「えー、小屋まで持ってくの?」
ソラ「まさかー(笑)…」
ナオ「そういう意味じゃないけど…」
ツグミ「とりあえず、引き戸に『ウォール』をかけておこうか?そうすれば誰も入れないと思うけど…」
アカリ「一応、そうすれば…」
ツグミが魔法をかけている間、みんな改めて小屋を眺めた。
ルカ「ここともお別れだね…」
アカリ「10日ぐらいだけど、なんか愛着出ちゃってる…」
アユミ「屋根があるところのありがたみが分かったね…」
ツグミ「できたよー…」
いよいよアイが出発の号令をかける。
アイ「さあ、行こう!」
アイとアカリが剣を手に先頭になって、小屋の隅から川に沿うように下っていく細い道に入っていく。
道の両側はみんなの顔まで届くほどの背の高い草が鬱蒼と生えていて、道は細く、人が一人やっと進めるぐらいだ。
最初はアイとアカリが並んで剣で草を刈りながら進もうと言っていたが、道が狭すぎてとても2人並んで歩けない。
自然にアイだけが先頭になるが、1人だとなかなか草を刈って道を拡げられない。
彼女たちは初めて人間の手が全く入っていない自然に足を踏み入れた。
アイ「クソっ、刈っても刈っても、草だらけだ…」
アユミ「きゃあ~、また蜘蛛の巣だよー…」
ツグミ「うわぁー、虫ばっかりー…」
タクミ「わっ、踏んづけたこれって、ヘビだ!」
ナオ「キャア~!」
ルカ「キャア~!」
アイ「ふぅ~、って、道はどっちよ…」
ソラ「マジ?迷ったって、ここって草ばっかりだよ…」
アカリ「アイ、私が先頭になるよ…」
モア「イヤ~、もう戻ろうよー…」
草に囲まれた中、戻るわけにもいかず全員が騒ぎながら無理矢理に進んでいくと、何とか草が途絶えて森の方へ出た。
だが山の中の森には道と言えるものが全くなく、おまけに大きな石や倒木もあってその度に道を探しながら進まないといけない。
ソラ「ねえ、思い切ってこの倒れてる大きな木、ストレージに入れたら?」
ルカ「確かに…そうすればこっちにこのまま進めるね。」
タクミ「ダメだよ…もしこの木が石とか土とか押さえていたら、この木がなくなったせいでそれが坂の上から崩れてくるかもしれない…」
アユミ「それの方が危ないよ…」
アイ「こっちは進めないから上の方を大回りしよう。」
アイたちは危険を避けるように、勾配のきつい坂道をお互いに助け合いながら安全を確かめて少しずつ進んでいく。
さっきまでは虫やなんだと騒いでいたが、いつの間にか虫のことよりも目の前の道なき道をどうやって進んで山を下りていくのか、全員がそのことに集中していた。
ツグミやナオが持つ『地図』という能力を頼りに、右手の沢から聞こえる水の音も手掛かりにしながら慎重に坂を下って小一時間ほど経った。
アユミ「この辺りでちょっと休憩しよう。」
アイ「そうだね…」
アカリ「休み休み、行かないと…」
それぞれが木の根や倒木などに腰かけるとルカが新しく出るようになったリンゴジュースを取り出してみんなに注いで回る。
モア「ありがとう~」
ソラ「ありがとう…うれしいね~」
ルカ「甘いものって、ホッとすると思って…」
アカリ「助かるよ…」
リンゴジュースを飲んだおかげか、緊張が少し解けて辺りを見渡す余裕が出てきた。
暗い森の中に鳥と虫の声、そして沢を流れる水の音がずっと聞こえている。
一行は元気を取り戻して再び山の中を進み始める。
急坂を下りたり、大岩を迂回したり、倒木の上を乗り越えたりするたびにある者は足を滑らせてこけ、ある者は倒木にひどく足をぶつけた。
だが幸いに大きな怪我をした者はおらず、しばらく進むと何とかひどい坂も終わって辺りもなだらかになってくる。
アイ「何とか山からは下りてきたみたい…」
モア「やったー…」
アユミ「そろそろ休んで昼食にしない…」
ソラ「それ、大賛成…」
ナオ「私も…」
アイ「じゃあ、ここで休憩にしよう。」
昼食も取ってさらに進むが、慣れない山道と森の中を進んできたことで一時間ほど経つと全員が動けなくなった。
この日は仕方なくここでテントを張ることにする。何とか小さなテントを三つ設営すると、みんな建てたばかりのテントに転がり込み、横になって眠ってしまった。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年10月10日。
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年12月6日
文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
こちらもマイペースで進行いたしますので、ご容赦ください。
みんなは日の出とともに起き出し、パンと飲み物だけの朝食を済ますと装備を整えて準備する。
服装は貰った衣服に軍手をし、首元にタオルを巻くだけでなく頭にも帽子代わりにタオルを思い思いのやり方で巻きつけた。
アイが最後の確認をする。
アイ「え~と、忘れ物ってないかな?どこかに道具を置きっぱにしてない?」
アカリ「大丈夫。さっきルカと2人で川原も広場も確認してきたから。」
ナオ「広場の隅にあった焚き木も?」
ソラ「あっ、それは私のとこに入れた。」
アイ「小屋にあった椅子も机も入れた?あと、あの赤い絨毯も…」
タクミ「うん…どっちもオレのストレージにしまった…」
アカリ「なんかあれないとヤル時に気分が出なくなってきたかも(笑)。」
アユミがツグミといっしょにやって来た。
アユミ「私たち2人でもう一度川原から広場から小屋の中まで全部見てきたよ。」
アイ「ゴメンね…ありがとう。」
ナオ「ねぇ、この小屋はどうするの?」
モア「えー、小屋まで持ってくの?」
ソラ「まさかー(笑)…」
ナオ「そういう意味じゃないけど…」
ツグミ「とりあえず、引き戸に『ウォール』をかけておこうか?そうすれば誰も入れないと思うけど…」
アカリ「一応、そうすれば…」
ツグミが魔法をかけている間、みんな改めて小屋を眺めた。
ルカ「ここともお別れだね…」
アカリ「10日ぐらいだけど、なんか愛着出ちゃってる…」
アユミ「屋根があるところのありがたみが分かったね…」
ツグミ「できたよー…」
いよいよアイが出発の号令をかける。
アイ「さあ、行こう!」
アイとアカリが剣を手に先頭になって、小屋の隅から川に沿うように下っていく細い道に入っていく。
道の両側はみんなの顔まで届くほどの背の高い草が鬱蒼と生えていて、道は細く、人が一人やっと進めるぐらいだ。
最初はアイとアカリが並んで剣で草を刈りながら進もうと言っていたが、道が狭すぎてとても2人並んで歩けない。
自然にアイだけが先頭になるが、1人だとなかなか草を刈って道を拡げられない。
彼女たちは初めて人間の手が全く入っていない自然に足を踏み入れた。
アイ「クソっ、刈っても刈っても、草だらけだ…」
アユミ「きゃあ~、また蜘蛛の巣だよー…」
ツグミ「うわぁー、虫ばっかりー…」
タクミ「わっ、踏んづけたこれって、ヘビだ!」
ナオ「キャア~!」
ルカ「キャア~!」
アイ「ふぅ~、って、道はどっちよ…」
ソラ「マジ?迷ったって、ここって草ばっかりだよ…」
アカリ「アイ、私が先頭になるよ…」
モア「イヤ~、もう戻ろうよー…」
草に囲まれた中、戻るわけにもいかず全員が騒ぎながら無理矢理に進んでいくと、何とか草が途絶えて森の方へ出た。
だが山の中の森には道と言えるものが全くなく、おまけに大きな石や倒木もあってその度に道を探しながら進まないといけない。
ソラ「ねえ、思い切ってこの倒れてる大きな木、ストレージに入れたら?」
ルカ「確かに…そうすればこっちにこのまま進めるね。」
タクミ「ダメだよ…もしこの木が石とか土とか押さえていたら、この木がなくなったせいでそれが坂の上から崩れてくるかもしれない…」
アユミ「それの方が危ないよ…」
アイ「こっちは進めないから上の方を大回りしよう。」
アイたちは危険を避けるように、勾配のきつい坂道をお互いに助け合いながら安全を確かめて少しずつ進んでいく。
さっきまでは虫やなんだと騒いでいたが、いつの間にか虫のことよりも目の前の道なき道をどうやって進んで山を下りていくのか、全員がそのことに集中していた。
ツグミやナオが持つ『地図』という能力を頼りに、右手の沢から聞こえる水の音も手掛かりにしながら慎重に坂を下って小一時間ほど経った。
アユミ「この辺りでちょっと休憩しよう。」
アイ「そうだね…」
アカリ「休み休み、行かないと…」
それぞれが木の根や倒木などに腰かけるとルカが新しく出るようになったリンゴジュースを取り出してみんなに注いで回る。
モア「ありがとう~」
ソラ「ありがとう…うれしいね~」
ルカ「甘いものって、ホッとすると思って…」
アカリ「助かるよ…」
リンゴジュースを飲んだおかげか、緊張が少し解けて辺りを見渡す余裕が出てきた。
暗い森の中に鳥と虫の声、そして沢を流れる水の音がずっと聞こえている。
一行は元気を取り戻して再び山の中を進み始める。
急坂を下りたり、大岩を迂回したり、倒木の上を乗り越えたりするたびにある者は足を滑らせてこけ、ある者は倒木にひどく足をぶつけた。
だが幸いに大きな怪我をした者はおらず、しばらく進むと何とかひどい坂も終わって辺りもなだらかになってくる。
アイ「何とか山からは下りてきたみたい…」
モア「やったー…」
アユミ「そろそろ休んで昼食にしない…」
ソラ「それ、大賛成…」
ナオ「私も…」
アイ「じゃあ、ここで休憩にしよう。」
昼食も取ってさらに進むが、慣れない山道と森の中を進んできたことで一時間ほど経つと全員が動けなくなった。
この日は仕方なくここでテントを張ることにする。何とか小さなテントを三つ設営すると、みんな建てたばかりのテントに転がり込み、横になって眠ってしまった。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年10月10日。
読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
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