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少女の力
3 魔法
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先の少年とは違う、まるで後悔のような色をした瞳に、話を聞いたばかりのはずのシエナも思わずたじろぐ。
正直なところ、『不明瞭』であるはずなのだ。異国の噂話や赤の他人の婚姻話よりも興味のない話であるはずなのに、まるで己が糸を手繰るようにするりと心に染み入るような気がした。
「善悪の分別もないタダのガキに、夢のひとつもまだまだ早い。それを、早く解らせてやりたかったんだが……」
リナルドはドアの方をぼんやりと眺める。しかしそこにはタクトなどいない。そんな、言葉の届かぬ虚空をただ見つめるだけ。
まるで心が壊れている、そんな男だ。
「どうやらオレも甘かったみたいだ」
リナルドの、己を抉る吐露はしかし、自身の壊心を通したようにどこに行き着くでもなく口元で消えてゆく。
「なあ、もし記憶が戻って、ほんの少しでもアイツに入れ込める感情があるなら、アイツを助けてやってくれないか」
ああ、そうか。この人は諦めているんだ。シエナはそう感じた。
目的地を捨てて舟を漕ぎ続けるような、そんな無駄。
流れぬ川が如き心の男の言葉に、
「……考えておきます」
シエナは静かにひとこと返した。
戻ってきたタクトは、すぐにシエナを外へと連れ出した。
思い切って手をつかんでみたものの、シエナに嫌がられるようなことはなかった。
明るい日差しにやっと外も暖かくなってきた。
「いろんな物を見てたら、記憶も戻るかもしれないからね」
さっきまで外にいた時にフリギアと決めたことだ。
どうしたら良いのかがわからないからこそ、できることをやっていくしかない。
——それに、彼女といれば見慣れた物も新しく見える気がした。
一目惚れ、なんて大きなものではないだろう。しかし、少女にどこか不思議な感覚を覚えていた。
アクヒサリアはとても小さな街だ。この数十年の工業化、近代化の恩恵で比較的発展こそしているものの、他の街と距離があることも災いしてここ数年は低迷している。それでも、この街の人々は明るく生きている。
街の景観の一つでもある工場の近くまで歩く。人が手を使って働く工場と、かつての魔導兵が魔力を使って働く魔導工場がいくつも並んでいる。外からは何も確認できないが。
工業区を離れて居住区を抜け、露店をはじめとする店の多く並ぶ商業区に着く。
宝石を一つ換金してきたタクトに抜かりはない。
「欲しいもの、あったら買うよ。買えるものなら、だけど」
「じゃあ、あれ」
シエナが指をさしたのは『サヴィルディ』という、かつての国の名がついたビスケットだった。
普段なら絶対に買わないような値段の菓子だが、先の台詞も相まって買わないわけにはいかない。
紙袋を受け取り、それをシエナに手渡す。
「……美味しい」
「そっか、なら良かった」
正直、自分でも食べたことのない物を渡すというのは少々不安だった。しかし彼女のこの様子なら安心である(今のところは高い物であれば、ではあるが)。
その不安のかき消えた笑顔を浮かべるタクトに、シエナは紙袋を差し出す。
「はい」
少女の言動に戸惑う。
全てあげたつもりだったのだが、もしかすると内心を見透かされたのかもしれない。
その様子を見たシエナが続ける。
「もともとあなたのお金だから」
「……それもそうか」
シエナの持つ紙袋からサヴィルディを一枚取り出す。
楕円をさらに細長くしたような形のそれをまじまじと見てから口に頬張る。
「美味い!」
「……そう」
ふふ、と微かに笑みを浮かべるシエナ。
その表情に、緩んでいたタクトの口元が驚きのそれへと変わる。
「笑ってるの、初めて見た」
シエナは既に堅さの戻った頬に触れる。
頬に残る違和感に、自分は確かに笑っていたらしいと気づく。
心からこみ上げてくる着恥ずかしさが、シエナの目を伏せさせる。
その後、少し歩く度に食べ物に惹かれるシエナに辟易しながら、それらを端から買っていった。
無感情にお菓子を頬張る少女、ふとひとつの露店の前で立ち止まった。
「何か欲しいものでもあった?」
タクトが目を向けると、アクセサリーのような小物を扱う店だった。
そうは言っても多くは子供向けのもので、15、16程の齢の彼女には似合うとは言えない。
シエナは並ぶアクセサリーの中からひとつ、そっと手に取った。向こうの透いたセルリアンブルーの、花のガラス細工で装飾された髪飾り。
それの何が良いのか、などとは言えないもので少女の隣でお金を支払う。そうして歩こうとするが、シエナは髪飾りをまじまじと見つめている。
やっと見飽きたのか、金の髪の中に青を一点灯らせるとタクトに着いて歩いていく。
アクヒサリアの南部にある噴水広場。誰もいない#草原_くさはら__#に着くや否や、タクトはそこに転がった。シエナはその隣にひょこと座った。
数時間は歩いただろうか。苦労を重ねた脚を休ませながら少女を見ると、シエナは背後の噴水を眺めては、水音に耳を澄ましていた。
シエナの顔をぼんやりと眺める。今朝の魔女のような面影はどこにもなく、そこに浮かぶのは#幼気_いたいけ__#なひとりの少女。
そんな少女の髪飾りを見て、紅玉の入ったビンのことを思い出した。そのビンをカバンから取り出し、紅玉を見る。
火よりも紅い、吸い込まれそうな深い色。先の見えぬ不思議な感覚に、心に一瞬の高揚感が走る。
パチッという小さな音が、紅玉を握らぬ左手から聞こえ、手には縫い針の先でも掠ったかのような微かな痛みが残る。
草木で皮膚を切るのと比べても遥かに小さな痛みではあったが、警戒心の欠片も無かった今のタクトを驚かすには十分だった。
左手の方を見る。
虫の一羽ほどの小さな火種が、草の上で揺らめいた。
それにまた驚き、火種を手でかき消した。
近くに火種になりそうな物はなかった。煙草の吸殻など落ちてはいない。水滴がたまたま左手元に陽光を集めたか、そんな馬鹿な話はないだろう。
——何の炎だ?
その時、左手で微かに炎が生まれ出るのが確かに見えた。
これは、何だろう。
先よりも強く、炎を念じてみる。すると手のひらほどの火球が生まれ、そして消える。
——もしや、これは。
同じように念じる。そして火球が消えぬよう、集中力を切らさぬよう注力する。予想通り、火球は集中力の切れない限り手中に在り続けた。
——魔法か?
阿呆である。念じるだけで魔法が使えるのならば、この街はとっくに火の海だ。
もしかしたら、と紅玉を地面に置き、再び念じてみる。先ほどより強く念じても、塵一つ燃えることはない。
紅玉を手にし、それに思いを馳せる。
もしやこの紅玉は、自分の大きな力になるかもしれない。
トレジャーハンターになるまでの、手助けとして。
紅玉をビンへと戻すタクトは、始終ぼうっと見つめていたシエナの視線に気づくことはなかった。
宿へ戻り、部屋に入る。
シエナをベッドへ促すと、さっさと毛布を被った。
椅子に座り、一日中カバンの中で眠っていたフリギアを起こす。
「もう帰ってきたのか」
「何時間外にいたと思ってんのさ」
呆れる他ない。
タクトとの食事時間を合わせるためとはいえ、普段よりも長いこと眠っていた。果たして今朝の件の為なのか、あるいは純粋に眠かっただけなのか。
「ねえ、フリギア」
「なんだ」
頭にふと浮かんだ疑問。それをそのまま声に出す。
「魔法って。なに?」
「魔法は……魔法だ」
フリギアの言葉を聞いて絶句した。それは知っている。
ぽかんとするタクトを前に、フリギアはもう少し詳細な説明を加える。
「生命の持つ魔力を使ったもの、それが魔法だ。事象を意識し具現化させる。具現物と空間を理解し、互いを干渉させ合う。そして初めて魔法が魔法たり得るのだ」
「えーと、どういうこと」
「何故わからぬのだ」
これは自分が悪いのだろうか。
まるで出身国を聞いた時に、国の歴史を説明されたような不協和があった。
しかし、何度尋ねても似たような返答しか返ってこない有様に、タクトは苛立ちを募らせるのだった。
夜も深け、シエナがふと目を覚ました。
タクトは渡された本を眠る直前まで読み込んでいたらしく、本の上に突っ伏していた。
シエナは虚無を見るよりほかはない。
その本は、ひとりの男が、酒のように人を酔わす毒として渡しただけなのだと告げても納得することはないのだろう。
——もう2、3日したらこの町を出ようか。
ベッド横の窓ガラスに映る髪飾りを光らせながら、シエナはそんなことを考えていた。
正直なところ、『不明瞭』であるはずなのだ。異国の噂話や赤の他人の婚姻話よりも興味のない話であるはずなのに、まるで己が糸を手繰るようにするりと心に染み入るような気がした。
「善悪の分別もないタダのガキに、夢のひとつもまだまだ早い。それを、早く解らせてやりたかったんだが……」
リナルドはドアの方をぼんやりと眺める。しかしそこにはタクトなどいない。そんな、言葉の届かぬ虚空をただ見つめるだけ。
まるで心が壊れている、そんな男だ。
「どうやらオレも甘かったみたいだ」
リナルドの、己を抉る吐露はしかし、自身の壊心を通したようにどこに行き着くでもなく口元で消えてゆく。
「なあ、もし記憶が戻って、ほんの少しでもアイツに入れ込める感情があるなら、アイツを助けてやってくれないか」
ああ、そうか。この人は諦めているんだ。シエナはそう感じた。
目的地を捨てて舟を漕ぎ続けるような、そんな無駄。
流れぬ川が如き心の男の言葉に、
「……考えておきます」
シエナは静かにひとこと返した。
戻ってきたタクトは、すぐにシエナを外へと連れ出した。
思い切って手をつかんでみたものの、シエナに嫌がられるようなことはなかった。
明るい日差しにやっと外も暖かくなってきた。
「いろんな物を見てたら、記憶も戻るかもしれないからね」
さっきまで外にいた時にフリギアと決めたことだ。
どうしたら良いのかがわからないからこそ、できることをやっていくしかない。
——それに、彼女といれば見慣れた物も新しく見える気がした。
一目惚れ、なんて大きなものではないだろう。しかし、少女にどこか不思議な感覚を覚えていた。
アクヒサリアはとても小さな街だ。この数十年の工業化、近代化の恩恵で比較的発展こそしているものの、他の街と距離があることも災いしてここ数年は低迷している。それでも、この街の人々は明るく生きている。
街の景観の一つでもある工場の近くまで歩く。人が手を使って働く工場と、かつての魔導兵が魔力を使って働く魔導工場がいくつも並んでいる。外からは何も確認できないが。
工業区を離れて居住区を抜け、露店をはじめとする店の多く並ぶ商業区に着く。
宝石を一つ換金してきたタクトに抜かりはない。
「欲しいもの、あったら買うよ。買えるものなら、だけど」
「じゃあ、あれ」
シエナが指をさしたのは『サヴィルディ』という、かつての国の名がついたビスケットだった。
普段なら絶対に買わないような値段の菓子だが、先の台詞も相まって買わないわけにはいかない。
紙袋を受け取り、それをシエナに手渡す。
「……美味しい」
「そっか、なら良かった」
正直、自分でも食べたことのない物を渡すというのは少々不安だった。しかし彼女のこの様子なら安心である(今のところは高い物であれば、ではあるが)。
その不安のかき消えた笑顔を浮かべるタクトに、シエナは紙袋を差し出す。
「はい」
少女の言動に戸惑う。
全てあげたつもりだったのだが、もしかすると内心を見透かされたのかもしれない。
その様子を見たシエナが続ける。
「もともとあなたのお金だから」
「……それもそうか」
シエナの持つ紙袋からサヴィルディを一枚取り出す。
楕円をさらに細長くしたような形のそれをまじまじと見てから口に頬張る。
「美味い!」
「……そう」
ふふ、と微かに笑みを浮かべるシエナ。
その表情に、緩んでいたタクトの口元が驚きのそれへと変わる。
「笑ってるの、初めて見た」
シエナは既に堅さの戻った頬に触れる。
頬に残る違和感に、自分は確かに笑っていたらしいと気づく。
心からこみ上げてくる着恥ずかしさが、シエナの目を伏せさせる。
その後、少し歩く度に食べ物に惹かれるシエナに辟易しながら、それらを端から買っていった。
無感情にお菓子を頬張る少女、ふとひとつの露店の前で立ち止まった。
「何か欲しいものでもあった?」
タクトが目を向けると、アクセサリーのような小物を扱う店だった。
そうは言っても多くは子供向けのもので、15、16程の齢の彼女には似合うとは言えない。
シエナは並ぶアクセサリーの中からひとつ、そっと手に取った。向こうの透いたセルリアンブルーの、花のガラス細工で装飾された髪飾り。
それの何が良いのか、などとは言えないもので少女の隣でお金を支払う。そうして歩こうとするが、シエナは髪飾りをまじまじと見つめている。
やっと見飽きたのか、金の髪の中に青を一点灯らせるとタクトに着いて歩いていく。
アクヒサリアの南部にある噴水広場。誰もいない#草原_くさはら__#に着くや否や、タクトはそこに転がった。シエナはその隣にひょこと座った。
数時間は歩いただろうか。苦労を重ねた脚を休ませながら少女を見ると、シエナは背後の噴水を眺めては、水音に耳を澄ましていた。
シエナの顔をぼんやりと眺める。今朝の魔女のような面影はどこにもなく、そこに浮かぶのは#幼気_いたいけ__#なひとりの少女。
そんな少女の髪飾りを見て、紅玉の入ったビンのことを思い出した。そのビンをカバンから取り出し、紅玉を見る。
火よりも紅い、吸い込まれそうな深い色。先の見えぬ不思議な感覚に、心に一瞬の高揚感が走る。
パチッという小さな音が、紅玉を握らぬ左手から聞こえ、手には縫い針の先でも掠ったかのような微かな痛みが残る。
草木で皮膚を切るのと比べても遥かに小さな痛みではあったが、警戒心の欠片も無かった今のタクトを驚かすには十分だった。
左手の方を見る。
虫の一羽ほどの小さな火種が、草の上で揺らめいた。
それにまた驚き、火種を手でかき消した。
近くに火種になりそうな物はなかった。煙草の吸殻など落ちてはいない。水滴がたまたま左手元に陽光を集めたか、そんな馬鹿な話はないだろう。
——何の炎だ?
その時、左手で微かに炎が生まれ出るのが確かに見えた。
これは、何だろう。
先よりも強く、炎を念じてみる。すると手のひらほどの火球が生まれ、そして消える。
——もしや、これは。
同じように念じる。そして火球が消えぬよう、集中力を切らさぬよう注力する。予想通り、火球は集中力の切れない限り手中に在り続けた。
——魔法か?
阿呆である。念じるだけで魔法が使えるのならば、この街はとっくに火の海だ。
もしかしたら、と紅玉を地面に置き、再び念じてみる。先ほどより強く念じても、塵一つ燃えることはない。
紅玉を手にし、それに思いを馳せる。
もしやこの紅玉は、自分の大きな力になるかもしれない。
トレジャーハンターになるまでの、手助けとして。
紅玉をビンへと戻すタクトは、始終ぼうっと見つめていたシエナの視線に気づくことはなかった。
宿へ戻り、部屋に入る。
シエナをベッドへ促すと、さっさと毛布を被った。
椅子に座り、一日中カバンの中で眠っていたフリギアを起こす。
「もう帰ってきたのか」
「何時間外にいたと思ってんのさ」
呆れる他ない。
タクトとの食事時間を合わせるためとはいえ、普段よりも長いこと眠っていた。果たして今朝の件の為なのか、あるいは純粋に眠かっただけなのか。
「ねえ、フリギア」
「なんだ」
頭にふと浮かんだ疑問。それをそのまま声に出す。
「魔法って。なに?」
「魔法は……魔法だ」
フリギアの言葉を聞いて絶句した。それは知っている。
ぽかんとするタクトを前に、フリギアはもう少し詳細な説明を加える。
「生命の持つ魔力を使ったもの、それが魔法だ。事象を意識し具現化させる。具現物と空間を理解し、互いを干渉させ合う。そして初めて魔法が魔法たり得るのだ」
「えーと、どういうこと」
「何故わからぬのだ」
これは自分が悪いのだろうか。
まるで出身国を聞いた時に、国の歴史を説明されたような不協和があった。
しかし、何度尋ねても似たような返答しか返ってこない有様に、タクトは苛立ちを募らせるのだった。
夜も深け、シエナがふと目を覚ました。
タクトは渡された本を眠る直前まで読み込んでいたらしく、本の上に突っ伏していた。
シエナは虚無を見るよりほかはない。
その本は、ひとりの男が、酒のように人を酔わす毒として渡しただけなのだと告げても納得することはないのだろう。
——もう2、3日したらこの町を出ようか。
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