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少女の力
4 路地裏の賊
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シエナが目を覚ますと、タクトは部屋にはいなかった。
まだ空は薄暗く、朝と言うよりも夜明けという言葉が調度良い頃合いである。
部屋に残ったのは少女とテーブルの本だけ。それでは少し寒いので、部屋を出て歩くことにした。
——ここに来てから、1人で外を歩くのは初めてかもしれない。
窓のない廊下なんかは、タクトのいた時よりもいっそう暗く感じた。何か“メニミエナイモノ”を恐れる程ではないが、足で変なものを踏まないようにだけ注意した。
キッチンを覗くと、ラウラの作っている料理の香りが漂ってくる。シエナの歩く床のギシッという音に、
「あら、起こしたかしら」
シエナは首を横に振る。
ラウラはシエナを気に止める訳でもなく調理を続ける。
「気分はどうかしら? 昨日より良くなった?」
「……はい、まあ」
背を向けるラウラに返事をするが、その背からも思わず目を逸らしてしまう。
無理をするように心配をする人たちよりも、まるでいつもの事であるかのような立ち居振る舞いをする女性の優しさが、シエナの心に重くのしかかった。
「朝食はまだ少しかかるから、しばらくのんびりしててちょうだい」
シエナは、わかりました、と軽く礼をする。
「それと、嫌じゃなきゃ後で買い物にでも付き合ってくれないかしら」
宿の裏にある小さな庭、タクトは斧で薪割りをしていた。
もちろん、彼の日課などではない。あくまでも宿に泊めさせてもらうための『お手伝い』と呼ばれるものである。
普段は1人と1匹分の手伝いで済むところだが、もう1人増えてしまったのでその分の仕事が増えている。さして量は多くないが。
すると、近づいてくるシエナの足音が聞こえた。
地面に座すシエナを前に、タクトは薪を割り続ける。
木の割れる音が、静かな空へと響く。
木霊した音が止み、また辺りが静かになる。同様に、シエナも静かなまま。
——この少女が静かなのは、もとからなのだろうか。それとも、記憶が無いから?
考えすぎだろうか。
もしもとからの性格であれば、記憶が戻った時にそれに気づかない可能性もある。それが怖い。
シエナの方を見る。
……うたた寝をしていた。
自分の考えていたことがまるでバカバカしいもののような気がした。
屋根の上に座り、ただ黙って街を眺めた。
風に揺れる前髪には気も止めず、時折聞こえる露天街の音に耳を揺らしていた。
ごそごそとカバンから音がする。
「ここは……どこだ」
フリギアが辺りを見回す。見えたのは屋根の連なる街並み。朝食時も起きずに眠り続けた龍には、予想と大きく違う景色に困惑だった。
「屋根の上。ご飯はさっき食べたから」
「腹が減った。酒場にでも行ってくる」
「酒場、まだやってないよ」
それを聞くと、どうやら諦めがついたのか落ち込むのが見て取れた。
「……リナルドからかっぱらってくる」
「うん、気をつけて」
空腹のせいかゆらゆらと飛んで行くフリギアを見て、どうかリナルドには見つからないようにと祈る。
寝転がって空を見る。心地よい風が、悠々とした雲と一緒に流れてゆく。小さく頼りない雲に、自身の夢を重ねた。
カバンからビンを取り出す。中の紅玉がカランと音を鳴らす。そして小さな雲に重ねて、目を細めて見て、己の夢の成り行きを紅玉に委ねたくもなってしまう。
落とさぬよう、慎重にビンから紅玉を出す。
火だけではなく他の魔法を試そうと思い、昨日見た噴水を思い出して水が出ないか試してみる。
右の手のひらを上にし、意識を集中させる。掌サイズの水球がそこに現れた。
「うわっ」
手に乗せてみようと水球を少し下ろそうとしたが、集中が途切れたのか、本物の水と同じように重力に従って水が手にかかった。
少なくとも、水が飲みたい時に使えるほど安いものではなかった。
「あとは……氷とか」
そうは思ったものの、昨日の、飛ばされてきた氷塊を思い出して躊躇った。
そしてビンにしまおうと、左手に一緒に持っていたビンはそのままに、紅玉だけを右手に渡した。が、
「——あっ」
水で手が滑り、紅玉が宙を舞った。急いで手を伸ばすが、座ったままの姿勢では上手く届かず、紅玉は屋根を転がっていく。
「やべっ」
立ち上がって紅玉を追った。真っ直ぐに落ちていったその行方をなぞり、屋根から下の路地裏へと降り立つ。
足元を見るが何もなく、周囲の地面を見回す。すると先に見えたのは薄汚れた靴。痩せた男がそこにいた。右手には、たった今拾ったであろう紅玉が輝いていた。
「なんだ、オメェ」
男はタクトを見下すように睨みつけた。
しかし、その紅玉はこれから生きていく上で大切になるであろうものだ。それを黙って差し上げるほど利口ではなかった。
「その石、俺のなんです。返してもらえますか」
明らかに、「返す」という雰囲気をまとってなどいない男である。にまっと嫌な笑みを浮かべると、
「これはオレが拾ったモンだ。渡すわけにはいかねぇ……それに、オメェが落としたって証拠はどこにもねえだろ」
(そう言われると弱ったなぁ)
名前のひとつでも入っていれば、とも思ったが、その時はまた別の事を言って騙ろうとする気がした。
最終的には力ずくでも酔いが、まずは適当なことを言ってあげることにした。
「その石、他とは違う凄い力があるんだ」
「へぇ……凄い力、ね」
そう告げられると男は紅玉をしばし見つめ、持つ手をタクトの方へと伸ばした。無論、返してくれるなどと思った者がバカを見た。
「だったら尚更返すわけにゃいかねえ」
男は紅玉をグッと握り込む。
タクトは身構えた。拳を振るってくるのか、あるいはもしや紅玉を使えば魔法が使えると気づいたのか。
相手の動きを見逃すまい、と睨みつける。
「——トンズラだ!」
「えっ」
タクトに背を向けた男は、その距離を一気に離した。
驚きゆえに出遅れたタクトは、男の背中を追いかけた。
獣の形を残した少年の脚であれば、ただの人間の脚程度に難儀するはずはない……のだが、入り組んだ路地裏の作りに、上手くスピードが出せずにいた。
それに加えて、男は入り組んだ地形を走るのに慣れているらしい。どうやらモノを拝借して逃げる、というのを生業にでもしているようである。
しかしそれらを加味しても、タクトが追いつくのは必然であった。
「ええい、しつけえな!」
逃げる前の威勢や余裕はどこへ行ったのか、男の額には運動で出てきたそれとは違う汗が見える。
脚の速さでは勝ち目はないと悟ったようで、出てきた分かれ道ではすぐに曲がるようになっていた。そうなってくれればタクトにも動きがわかりやすい。さっきまでは少しずつつめていた距離は、この数瞬でグッと縮まった。
角を曲がる時、男が腰部のナイフに手をかける姿が見えた。角の直前でスピードを殺し、振るわれるナイフに備える。
「——っ!」
「ちっ」
斜めに振るわれたナイフの切り筋は止まったタクトの前の空気を切りつけ、男は舌打ちをする。
諦めてくれれば良いものを、男はナイフを構えながら数メートル距離をとる。
(追う方が楽なのにな)
タクトも腰からダガーを抜く。
相手がどれほど刃物の扱いに長けているかはわからないが、人など斬ったこともないことをタクトは祈りつつ、ダガーを前に構えた。
男は一瞬後ろに目をやり、逃げ出すような素振りを見せるが——フェイント。
上手くいくこと前提で、男が肩の高さにナイフを横薙ぎする。しかし冷静になって物を見れば、人ひとりの動きなど取るに足らないことであった。
しかし、タクトの方も人を斬るということなど、りんごの皮むきで自身の指を切った以外に経験のないことだった。
人の持つ武器を払うというのは、想像以上に易くはなかった。技量以上に、度胸が必要らしい。それをタクトは、切っ先をかわしつつ試そうとして酷く痛感した。
——とにかく男の攻撃を止めなければ。
武器を払うのは厳しいか。あるいは腹に一撃、蹴りを食らわすのも有効か。それとも隙をついて足払いだろうか。
まとまりのない男のナイフさばきは、時折大きな隙が見える。次の隙を見逃さなければ——。
タクトはじっと身構える。
男のとった行動は、唐突の特攻。
あまりにも予想外の動きに、戸惑いを隠しきれなかった。
大きく振りかぶる男の攻撃をかわすには、後ろか、横。もし後ろに下がれば、似たような展開が堂々巡りとなるだろう。多少リスクがあるとしても横にかわした方が——。
突如、右手のナイフが飛んだ。
「なっ——」
全く想定していなかった出来事に、回避が遅れる。何が起きたのか頭の理解も追いつかないまま、男の攻撃はしかしちょうどナイフの距離だけ開いて空振りとなる。
2人のダガーとナイフが音を鳴らして地面に転がる。
「そこまでだ」
男の後ろ、別の、力強い男の声によって静止が促された。
まだ空は薄暗く、朝と言うよりも夜明けという言葉が調度良い頃合いである。
部屋に残ったのは少女とテーブルの本だけ。それでは少し寒いので、部屋を出て歩くことにした。
——ここに来てから、1人で外を歩くのは初めてかもしれない。
窓のない廊下なんかは、タクトのいた時よりもいっそう暗く感じた。何か“メニミエナイモノ”を恐れる程ではないが、足で変なものを踏まないようにだけ注意した。
キッチンを覗くと、ラウラの作っている料理の香りが漂ってくる。シエナの歩く床のギシッという音に、
「あら、起こしたかしら」
シエナは首を横に振る。
ラウラはシエナを気に止める訳でもなく調理を続ける。
「気分はどうかしら? 昨日より良くなった?」
「……はい、まあ」
背を向けるラウラに返事をするが、その背からも思わず目を逸らしてしまう。
無理をするように心配をする人たちよりも、まるでいつもの事であるかのような立ち居振る舞いをする女性の優しさが、シエナの心に重くのしかかった。
「朝食はまだ少しかかるから、しばらくのんびりしててちょうだい」
シエナは、わかりました、と軽く礼をする。
「それと、嫌じゃなきゃ後で買い物にでも付き合ってくれないかしら」
宿の裏にある小さな庭、タクトは斧で薪割りをしていた。
もちろん、彼の日課などではない。あくまでも宿に泊めさせてもらうための『お手伝い』と呼ばれるものである。
普段は1人と1匹分の手伝いで済むところだが、もう1人増えてしまったのでその分の仕事が増えている。さして量は多くないが。
すると、近づいてくるシエナの足音が聞こえた。
地面に座すシエナを前に、タクトは薪を割り続ける。
木の割れる音が、静かな空へと響く。
木霊した音が止み、また辺りが静かになる。同様に、シエナも静かなまま。
——この少女が静かなのは、もとからなのだろうか。それとも、記憶が無いから?
考えすぎだろうか。
もしもとからの性格であれば、記憶が戻った時にそれに気づかない可能性もある。それが怖い。
シエナの方を見る。
……うたた寝をしていた。
自分の考えていたことがまるでバカバカしいもののような気がした。
屋根の上に座り、ただ黙って街を眺めた。
風に揺れる前髪には気も止めず、時折聞こえる露天街の音に耳を揺らしていた。
ごそごそとカバンから音がする。
「ここは……どこだ」
フリギアが辺りを見回す。見えたのは屋根の連なる街並み。朝食時も起きずに眠り続けた龍には、予想と大きく違う景色に困惑だった。
「屋根の上。ご飯はさっき食べたから」
「腹が減った。酒場にでも行ってくる」
「酒場、まだやってないよ」
それを聞くと、どうやら諦めがついたのか落ち込むのが見て取れた。
「……リナルドからかっぱらってくる」
「うん、気をつけて」
空腹のせいかゆらゆらと飛んで行くフリギアを見て、どうかリナルドには見つからないようにと祈る。
寝転がって空を見る。心地よい風が、悠々とした雲と一緒に流れてゆく。小さく頼りない雲に、自身の夢を重ねた。
カバンからビンを取り出す。中の紅玉がカランと音を鳴らす。そして小さな雲に重ねて、目を細めて見て、己の夢の成り行きを紅玉に委ねたくもなってしまう。
落とさぬよう、慎重にビンから紅玉を出す。
火だけではなく他の魔法を試そうと思い、昨日見た噴水を思い出して水が出ないか試してみる。
右の手のひらを上にし、意識を集中させる。掌サイズの水球がそこに現れた。
「うわっ」
手に乗せてみようと水球を少し下ろそうとしたが、集中が途切れたのか、本物の水と同じように重力に従って水が手にかかった。
少なくとも、水が飲みたい時に使えるほど安いものではなかった。
「あとは……氷とか」
そうは思ったものの、昨日の、飛ばされてきた氷塊を思い出して躊躇った。
そしてビンにしまおうと、左手に一緒に持っていたビンはそのままに、紅玉だけを右手に渡した。が、
「——あっ」
水で手が滑り、紅玉が宙を舞った。急いで手を伸ばすが、座ったままの姿勢では上手く届かず、紅玉は屋根を転がっていく。
「やべっ」
立ち上がって紅玉を追った。真っ直ぐに落ちていったその行方をなぞり、屋根から下の路地裏へと降り立つ。
足元を見るが何もなく、周囲の地面を見回す。すると先に見えたのは薄汚れた靴。痩せた男がそこにいた。右手には、たった今拾ったであろう紅玉が輝いていた。
「なんだ、オメェ」
男はタクトを見下すように睨みつけた。
しかし、その紅玉はこれから生きていく上で大切になるであろうものだ。それを黙って差し上げるほど利口ではなかった。
「その石、俺のなんです。返してもらえますか」
明らかに、「返す」という雰囲気をまとってなどいない男である。にまっと嫌な笑みを浮かべると、
「これはオレが拾ったモンだ。渡すわけにはいかねぇ……それに、オメェが落としたって証拠はどこにもねえだろ」
(そう言われると弱ったなぁ)
名前のひとつでも入っていれば、とも思ったが、その時はまた別の事を言って騙ろうとする気がした。
最終的には力ずくでも酔いが、まずは適当なことを言ってあげることにした。
「その石、他とは違う凄い力があるんだ」
「へぇ……凄い力、ね」
そう告げられると男は紅玉をしばし見つめ、持つ手をタクトの方へと伸ばした。無論、返してくれるなどと思った者がバカを見た。
「だったら尚更返すわけにゃいかねえ」
男は紅玉をグッと握り込む。
タクトは身構えた。拳を振るってくるのか、あるいはもしや紅玉を使えば魔法が使えると気づいたのか。
相手の動きを見逃すまい、と睨みつける。
「——トンズラだ!」
「えっ」
タクトに背を向けた男は、その距離を一気に離した。
驚きゆえに出遅れたタクトは、男の背中を追いかけた。
獣の形を残した少年の脚であれば、ただの人間の脚程度に難儀するはずはない……のだが、入り組んだ路地裏の作りに、上手くスピードが出せずにいた。
それに加えて、男は入り組んだ地形を走るのに慣れているらしい。どうやらモノを拝借して逃げる、というのを生業にでもしているようである。
しかしそれらを加味しても、タクトが追いつくのは必然であった。
「ええい、しつけえな!」
逃げる前の威勢や余裕はどこへ行ったのか、男の額には運動で出てきたそれとは違う汗が見える。
脚の速さでは勝ち目はないと悟ったようで、出てきた分かれ道ではすぐに曲がるようになっていた。そうなってくれればタクトにも動きがわかりやすい。さっきまでは少しずつつめていた距離は、この数瞬でグッと縮まった。
角を曲がる時、男が腰部のナイフに手をかける姿が見えた。角の直前でスピードを殺し、振るわれるナイフに備える。
「——っ!」
「ちっ」
斜めに振るわれたナイフの切り筋は止まったタクトの前の空気を切りつけ、男は舌打ちをする。
諦めてくれれば良いものを、男はナイフを構えながら数メートル距離をとる。
(追う方が楽なのにな)
タクトも腰からダガーを抜く。
相手がどれほど刃物の扱いに長けているかはわからないが、人など斬ったこともないことをタクトは祈りつつ、ダガーを前に構えた。
男は一瞬後ろに目をやり、逃げ出すような素振りを見せるが——フェイント。
上手くいくこと前提で、男が肩の高さにナイフを横薙ぎする。しかし冷静になって物を見れば、人ひとりの動きなど取るに足らないことであった。
しかし、タクトの方も人を斬るということなど、りんごの皮むきで自身の指を切った以外に経験のないことだった。
人の持つ武器を払うというのは、想像以上に易くはなかった。技量以上に、度胸が必要らしい。それをタクトは、切っ先をかわしつつ試そうとして酷く痛感した。
——とにかく男の攻撃を止めなければ。
武器を払うのは厳しいか。あるいは腹に一撃、蹴りを食らわすのも有効か。それとも隙をついて足払いだろうか。
まとまりのない男のナイフさばきは、時折大きな隙が見える。次の隙を見逃さなければ——。
タクトはじっと身構える。
男のとった行動は、唐突の特攻。
あまりにも予想外の動きに、戸惑いを隠しきれなかった。
大きく振りかぶる男の攻撃をかわすには、後ろか、横。もし後ろに下がれば、似たような展開が堂々巡りとなるだろう。多少リスクがあるとしても横にかわした方が——。
突如、右手のナイフが飛んだ。
「なっ——」
全く想定していなかった出来事に、回避が遅れる。何が起きたのか頭の理解も追いつかないまま、男の攻撃はしかしちょうどナイフの距離だけ開いて空振りとなる。
2人のダガーとナイフが音を鳴らして地面に転がる。
「そこまでだ」
男の後ろ、別の、力強い男の声によって静止が促された。
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