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産んでほしい。
千冬「わぁー・・・大きくなってる・・・。」
秋也さんが仕事に戻ったあと、産婦人科の先生が大きな機械とともに現れた。
病室で妊婦検診をしてもらい、新しいエコー写真をもらったのだ。
産科医「手とか足もなんとなく分かるでしょ?」
千冬「はいっ。かわいい・・・。」
じーっと眺めてると、産婦人科の先生が私に言った。
産科医「今はまだ大丈夫だけど、この先どうなるかわからないの。できるだけ動かないようにして栄養をしっかり取ってね?」
千冬「・・・・・・。」
産科医「?・・・どうかした?」
千冬「あの・・・秋也さんは・・・堕ろさせたいみたいで・・・その・・・」
『何』を『どう』相談すればいいのかわからず、私はそのまま口を閉じた。
産科医「笹倉先生ね、あなたを病院に連れてきて何て言ったと思う?」
千冬「?」
産科医「『母子共に助けてくれ』・・・って言ったのよ。」
千冬「・・・本当に?」
そう聞くと、産婦人科の先生はクスクス笑いながら言う。
産科医「お互いに思ってることを口に出したら?いい大人なんだから。」
そう言って先生は病室から出ていった。
千冬「私が譲るべきなの?でもそれはこの子の命を奪うことになる。」
ベッドに横になりながら見つめるエコー写真。
私はそのままうとうとと眠気に襲われ、眠りに落ちていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3時間後・・・
千冬「ん・・・・・。」
目が覚めた私。
手に持っていたハズのエコー写真が無くなってることに気がついた。
千冬「!?・・・写真っ!?」
秋也「あぁ、ごめん。見てた。」
目線を上げると、ベッド脇の椅子に秋也さんが座っていた。
手にはエコー写真を持ってる。
秋也「もう・・・人の形してんだな。」
千冬「返して・・・くれる・・・?」
前に捨てられたエコー写真。
また捨てられたら・・・困る。
秋也「手に持ったまま寝たらぐちゃぐちゃになるぞ?」
千冬「いいの。」
秋也さんが差し出してきたエコー写真。
私は受け取り、枕の横に置いた。
秋也「話がある。」
秋也さんの言葉に、心臓がどくどくと音を立て始めた。
千冬「起きても・・・いい?」
秋也「背中のとこ起こすから待ってな。」
リモコンを手に取り、背もたれを起こしてくれる秋也さん。
程よい高さまで起こしてもらい、私は秋也さんの目を見た。
秋也「リスクを・・・説明する。」
そう言って秋也さんは色々話をし始めた。
秋也「流産すれば・・・出血が多くなって千冬の命が危ない。」
千冬「うん。」
秋也「産むなら・・・帝王切開しか道はない。」
千冬「うん。・・・・・うん?」
秋也「俺は・・・千冬が妊娠して嬉しかったよ・・・?」
屈託のない笑顔でいう秋也さん。
その笑顔からは『嘘』がないことがすぐに分かった。
秋也「でもな、『産む』のは正直無理だと思った。」
千冬「え?」
秋也「珍しい血液型で輸血はできない。さらに自分で血液も作れない。手術自体が不可能だろ?」
千冬「まぁ・・・。」
自分の体のことはよくわかってるつもりだ。
秋也「『医者』としては中絶を勧める。でも・・・『婚約者』としては・・・産んで欲しい。」
千冬「!!」
秋也「勝手だよな。命賭けるのは千冬なのに・・・。」
秋也さんの言葉に、私の視界が潤んでいく。
千冬「う・・産んで・・いいの・・?」
秋也「『産める』かどうかは分からない。22週までは切迫流産の危険がある。そのあとも切迫早産になるかもしれない。無事に37週までいけるかどうかもわからない。」
千冬「うん・・・。」
秋也「千冬が命をかけてお腹の中で育てる子供だ。生まれてからは俺が命をかけて二人を守るよ。」
私の目から大粒の涙が溢れ出た。
秋也「ちょ・・・泣くなよ。お腹の子がびっくりする。」
千冬「あり・・ありがと・・・。秋也さんー・・・。」
秋也「ははっ。・・・早く泣き止まないと『これ』渡さないからな?」
千冬「?」
秋也さんは手帳のようなものを取り出した。
私の前にそれを置く。
千冬「これ・・・・。」
手帳の表紙には大きな文字で『母子手帳』と書かれていた。
秋也「さっき役場に行ってもらってきた。『出生届』は二人で出しにいこうな。」
千冬「!・・・うんっ。」
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秋也さんが仕事に戻ったあと、産婦人科の先生が大きな機械とともに現れた。
病室で妊婦検診をしてもらい、新しいエコー写真をもらったのだ。
産科医「手とか足もなんとなく分かるでしょ?」
千冬「はいっ。かわいい・・・。」
じーっと眺めてると、産婦人科の先生が私に言った。
産科医「今はまだ大丈夫だけど、この先どうなるかわからないの。できるだけ動かないようにして栄養をしっかり取ってね?」
千冬「・・・・・・。」
産科医「?・・・どうかした?」
千冬「あの・・・秋也さんは・・・堕ろさせたいみたいで・・・その・・・」
『何』を『どう』相談すればいいのかわからず、私はそのまま口を閉じた。
産科医「笹倉先生ね、あなたを病院に連れてきて何て言ったと思う?」
千冬「?」
産科医「『母子共に助けてくれ』・・・って言ったのよ。」
千冬「・・・本当に?」
そう聞くと、産婦人科の先生はクスクス笑いながら言う。
産科医「お互いに思ってることを口に出したら?いい大人なんだから。」
そう言って先生は病室から出ていった。
千冬「私が譲るべきなの?でもそれはこの子の命を奪うことになる。」
ベッドに横になりながら見つめるエコー写真。
私はそのままうとうとと眠気に襲われ、眠りに落ちていった。
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3時間後・・・
千冬「ん・・・・・。」
目が覚めた私。
手に持っていたハズのエコー写真が無くなってることに気がついた。
千冬「!?・・・写真っ!?」
秋也「あぁ、ごめん。見てた。」
目線を上げると、ベッド脇の椅子に秋也さんが座っていた。
手にはエコー写真を持ってる。
秋也「もう・・・人の形してんだな。」
千冬「返して・・・くれる・・・?」
前に捨てられたエコー写真。
また捨てられたら・・・困る。
秋也「手に持ったまま寝たらぐちゃぐちゃになるぞ?」
千冬「いいの。」
秋也さんが差し出してきたエコー写真。
私は受け取り、枕の横に置いた。
秋也「話がある。」
秋也さんの言葉に、心臓がどくどくと音を立て始めた。
千冬「起きても・・・いい?」
秋也「背中のとこ起こすから待ってな。」
リモコンを手に取り、背もたれを起こしてくれる秋也さん。
程よい高さまで起こしてもらい、私は秋也さんの目を見た。
秋也「リスクを・・・説明する。」
そう言って秋也さんは色々話をし始めた。
秋也「流産すれば・・・出血が多くなって千冬の命が危ない。」
千冬「うん。」
秋也「産むなら・・・帝王切開しか道はない。」
千冬「うん。・・・・・うん?」
秋也「俺は・・・千冬が妊娠して嬉しかったよ・・・?」
屈託のない笑顔でいう秋也さん。
その笑顔からは『嘘』がないことがすぐに分かった。
秋也「でもな、『産む』のは正直無理だと思った。」
千冬「え?」
秋也「珍しい血液型で輸血はできない。さらに自分で血液も作れない。手術自体が不可能だろ?」
千冬「まぁ・・・。」
自分の体のことはよくわかってるつもりだ。
秋也「『医者』としては中絶を勧める。でも・・・『婚約者』としては・・・産んで欲しい。」
千冬「!!」
秋也「勝手だよな。命賭けるのは千冬なのに・・・。」
秋也さんの言葉に、私の視界が潤んでいく。
千冬「う・・産んで・・いいの・・?」
秋也「『産める』かどうかは分からない。22週までは切迫流産の危険がある。そのあとも切迫早産になるかもしれない。無事に37週までいけるかどうかもわからない。」
千冬「うん・・・。」
秋也「千冬が命をかけてお腹の中で育てる子供だ。生まれてからは俺が命をかけて二人を守るよ。」
私の目から大粒の涙が溢れ出た。
秋也「ちょ・・・泣くなよ。お腹の子がびっくりする。」
千冬「あり・・ありがと・・・。秋也さんー・・・。」
秋也「ははっ。・・・早く泣き止まないと『これ』渡さないからな?」
千冬「?」
秋也さんは手帳のようなものを取り出した。
私の前にそれを置く。
千冬「これ・・・・。」
手帳の表紙には大きな文字で『母子手帳』と書かれていた。
秋也「さっき役場に行ってもらってきた。『出生届』は二人で出しにいこうな。」
千冬「!・・・うんっ。」
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