シンデレラストーリーだけじゃ終われない!?

すずなり。

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本当の家族。

忘れた時間。

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「・・・ほんとに同じ曲だ・・。」


姫宮さんが奏でる曲はさっきカウンターで聞いた曲そのものだった。

まだ1曲丸々は覚えれてないけど、さっき聞いた部分くらいは覚えていた。


「どうアレンジする?もうちょっと手数減らす?」

「え・・・そんなことできるんですか!?」

「できるよー、・・こんな感じはどう?」


そう言って姫宮さんは弾き方を変えた。

手数が少し減り、代わりに鍵盤の幅を大きく使い始めた。

減った音の数は音域でカバーされてる。


「すごい・・・。」

「ふふ、・・・あ、これね、私が採譜したやつだから。好きに変えれるよー?」


姫宮さんは、今度は手数をぐっと増やした。

あまりの音の多さに圧倒されつつも、メインメロディは際立っていた。


「姫宮さんの曲・・・。」

「原曲は私じゃないけどね(笑)・・・さて、どういう風に弾くか一緒に考えようか。おいで。」


私は姫宮さんの隣に座り、弾き方を教わった。

明日弾かないといけないことを伝えると、姫宮さんは曲と曲との繋げ方を教えてくれたり、時間を稼ぎたいときはループさせることとかを教えてくれた。

その話はどれもこれも私にとって初めて知ることで、姫宮さんとの話が面白くて仕方がない。


「・・・っと、このくらいで弾けるようになりそうかな?」

「はいっ!ありがとうございます!」


教えてもらいながら話を聞かせてもらった私は、教えてもらってる間に曲を覚えてしまっていた。

全部姫宮さんのおかげだ。


「ところで・・・結構遅い時間になってるけどお家の方は心配してない?」

「・・・あ!!」


私は慌てて自分の腕時計を見た。

今の時間は夜の8時。

・・・怒られる時間だ。


「!!・・・すみません!帰ります!!」

「ふふ、気をつけてねー?」

「はい!ありがとうございました!!」


私は慌てて荷物を持ち、階段を駆け下りた。

カウンターにいる店員さんにお礼を言いながらすり抜けていく。


「あの!ありがとうございました!また来ます!!」

「気をつけてねー。」

「はーい!!」


お店を出てすぐにケータイを開くと、恐ろしい数の着信が目に入った。

施設をでて・・・最大のピンチだ。


(せっっっったいに怒られる・・!)


そう確信したとき、ケータイに着信が入った。

相手は・・・『恭介お兄ちゃん』だ。


(出ないと更に怒られるよね・・・!?)


私は意を決して通話ボタンを押した。


ピッ・・・


「も・・もしもし・・・・」



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