溺愛×甘彼は最強!?初めての彼氏はレスキュー隊!

すずなり。

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パソコン。

「連絡先…ですか?」
「うん。何かあったら連絡くれたらいいし、ほら、本の情報も交換しやすくなるし?」

そう言われ、私は彼らを見た。

(たしかに、何もないとは言い切れない。)

仲のいい人が近くにいるわけでもないことから、私はスマホを取り出した。

「よろしく…お願いします?」
「ははっ。こちらこそ。」

こうして私は黒崎さんと連絡先を交換した。
ついで・・ではないけど、その場にいた全員とも交換が完了。

これで私は黒崎さんたちとの接点が増えることになるんだけど…。
この時の私はまだ、あんなことになるなんて思ってもみないのだった。




ーーー



――それから、数日後。

翻訳の納品日が近づき、私は完成させた手書きの原稿を大きな封筒に詰めていつものカフェへと足を運んでいた。
そして、いつもの席でいつもの担当さんを待っていたのだが…

「初めまして。担当を引き継いだ三谷と申します。よろしくお願いします。」

やってきたのは全く知らない男の人だった。

「え…担当を引き継いだ…?」
「はい。前の担当である近藤は、転勤となりましたので。」
「あ…そうなんですか…」

淡々と話す物言いに、少し緊張しながらもカバンから原稿用紙を取り出した。
そしてテーブルの上に置いて差し出すと、この新しい担当、三谷さんは眉をぐっと寄せたのだ。

「…今時手書きですか?」
「え…?」
「この時代、デジタルが主流だというのに…。原稿の受け渡しにカフェが指定されていた理由がわかりましたよ。」
「あ…すみません。パソコンは無いうえに慣れてもいないので…」

タイピングなんて、すぐには慣れないだろう。
だったら、紙に書く方が何倍も速く作業が進む。

「努力ってものをしてるんですか?…はー…まぁいいです。近藤からこのカフェで原稿をもらうように言われてたんで。じゃあ次の仕事はこの本でお願いします。」
「はい…。」

苦手意識を持ちながら、私は新しい本を受け取った。
そしてタイトルを見ているときに三谷さんは新しい契約書を取り出し…

「えっ…?こんなに高い翻訳料をもらってるんですか?」
「えと…一文字の金額は結構いただいてますけど…でも多言語翻訳できますし…」
「いやいやいや、高過ぎでしょ!上はいったい何を考えてんだか…」
「……」
「まぁいいです。さっさとサインしてください。」
「はい…。」

雇われている身としては、反論はしにくい。
少し納得がいかないものの、単価は上がっていたしこの仕事が合っていることから私はサインをした。

「じゃあ次はデータでくださいね。この名刺のアドレスに送ってもらえたらいいんで」
「……。」
「聞いてます?」
「あ…聞いて…ます。でもたぶん、すぐにはできないかと…」
「なら早急にできるようになってください。俺の仕事を増やさないでください。わかりましたか?」
「は…い……」
「ったく…。」

そういうと三谷さんは原稿をカバンにしまい、立ち上がった。
そして…

「ここの支払い、お願いしますね」

そう言い捨ててカフェから出て行ってしまったのだ。

(えぇぇ…いつもの担当さんは払って帰ってくれていたのに…)

コーヒー2杯分の支払いくらい、どうってことはない。
でも、翻訳家である私が気持ちよく仕事ができるようにと言って、いつも払ってくれていたのだ。
それは経費で落としているかもしれないけど、この時間…少しの雑談なんかも楽しくて、私はこの仕事が好きだったのに…。

「はぁー…」

まだカップに半分ほど残っているカフェオレを横目に、私も席を立った。
そして、そのまま会計を済ませ、電気屋に向かったのだった。

ーーー

「わあ……どれを選べばいいのか、わからない……」

パソコンを見に来た私は、ノート型やタブレット型、スペックの数字もまるで暗号のように並んでいる光景に、途方に暮れていた。
どれが自分の生活に合っているのかすら見当がつかず、店員を呼んだところで説明もわからないだろう。

「どうしよう…とりあえず買って見て、そっから考える?」

手に取りやすいのは10万円代くらいのもの。
でも、高いもののほうが使いやすいのかもしれない。
そう考えると、手が出てはひっこめるを繰り返して仕方ない。

「うぅぅ…」

そんなとき――

「……成海さん?」

背後から聞き覚えのある声がして、私は振り返った。
すると、そこには黒崎さんと同僚の消防士の方が立っていたのだ。

仕事はお休みのようで、ラフなシャツ姿の彼は私を見ると小さく手を振った。

「黒崎さん…お買い物ですか?」
「うん。いや、俺たちはこのあと同期の家でバーベキューやる予定で、食材を買いに来たついでにちょっと見に来ただけ。……成海さんは?」

「あ、えっと……パソコンを買おうと思って。でも、よくわからなくて……」
「パソコン?持ってないの?」
「そうなんですー…。とくに必要性も感じてなかったんですけど、ちょっと必要になりつつありまして…」

そんな話をしていると、黒崎さんの背後からひょこっと顔を出した人がいた。
この人は、連絡先を交換した一人で、確か…

「伊藤さん?」
「覚えててくれたの?ありがとう。…で、パソコンだったら俺がちょっと詳しいと思うけど…」
「!!…お…教えてください…!どれを買ったらいいのかわからなくて……」
「オーケー。成海さんは何に使うためにパソコン買うの?」

私は伊藤さんに、今日のことを話した。
もちろん、三谷さんの態度がうんぬんは置いておいて、『データで欲しい』と言われたことがきっかけなことを。

「なるほど…ちなみにさ、そのデータを送信するためにはインターネットの契約が必要になるけど、その辺りは?」
「あ…うちのアパート、インターネット契約あるんです。もう入居したときに必須だったというか…」
「じゃあ普段はスマホで利用してる感じ?」
「はいっ。」

いろいろ話しながら、伊藤さんは店内を見て回り始めた。
それについていくと、彼は1台のパソコンの前で足を止めた。

「うん、これがいいと思うよ?余分な機能は必要ないみたいだし、ウイルス対策もばっちり。」
「ありがとうございますっ」
「あとは店員を呼んで、これくださいって言えば買うことはできるけど…」
「?」
「『初期設定』って…成海さん、できる?」
「初期…設定…?」

電源を入れればもう使えると思っていた私は、首を傾げた。
すると、伊藤さんをはじめ、黒崎さんたちは困ったような顔を見せたのだ。

「え…その初期設定って、すごく大事…というか、私では無理そうな感じ…ですか?」
「うーん…。たぶん無理かなー…?」
「うっ…」

買うことはできても、その設定ができないと使うことはできないという伊藤さん。
一難去ってまた一難とはこのことかと思っていると、伊藤さんが私を覗き込むような仕草を見せた。

「俺でよければ初期設定まで済ませるよ?」
「本当ですか!?」
「うん。ネットが使えるなら大抵のことはできると思うし。」

自分一人ではどうもできないのは明らかだ。
だったら…

「よ…よろしくお願いしますっ…!」
「オーケー。じゃあ次の休みの日をあとで連絡するから、都合会う日をメールしてくれる?」
「はいっ…!」

このあと私はパソコンを買い、伊藤さんたちはバーベキューに向かった。
パソコン本体だけでなく、周辺機器?も必要らしく、私は最低限必要だといわれるものだけを買い、帰路についたのだった。

そして伊藤さんと予定をすり合わせ、5日後…

「お邪魔しますー。」
「お邪魔しますー。」
「え…?黒崎さん?」

なんと、伊藤さんと一緒に黒崎さんもうちにやってきたのだった。






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