25 / 65
第25話
しおりを挟む
「……フレッド?」
「アラン! 無事なようだな。良かった……」
突然この場に現れたフレッドに、アランは不思議そうな顔をしていた。フレッドは手を伸ばして肩を叩き声をかけて親友の安全を喜んでいる。
「どうしてフレッドが?」
「そんなのアランが心配だったからに決まっているだろう?」
相棒おかしなことを聞くなよ? フレッドはそのような表情をして微笑みかけるとアランも微笑みを返した。
「うぅ、うう……フレッド凄く嬉しいよ」
「泣くことないだろ?」
「だって……」
「アランに怪我がなくて安心した」
「フレッド愛してくれて……ありがとう」
次の瞬間アランは胸が熱くなり、涙が目に溢れてくる。そんな親友にフレッドは肩を抱いて引き寄せました。そして互いに慰めのような言葉かけ合うのです。
「――お主は誰だ?」
そのまましばらく二人は、イチャイチャしているようにしか見えない感じだった。竜が気まずい沈黙を破るために話し始める。
「大変失礼いたしました。私はヴァレンティノ王国の王子フレッドと申します!」
アランと抱擁していたフレッドが、思わずはっと我に返ると竜に顔を向けて簡単な自己紹介を行った。
「この国の王子が何用だ?」
「私の大切な親友であるアランが戻ってくるのが遅いので、心のゆとりがなくなって参上いたしました」
「……そうか……」
王子がこの場に何をしにきたのだ? 竜の問いかけにフレッドは親友のアランが、いつまで経っても戻ってこないので心配で胸を痛めていたと語る。竜は短い返事に呆れがこもっているようであった。
「アランそれで交渉はどうなったんだ?」
ふと何より気がかりなことを思い出したらしくフレッドはアランに尋ねました。今は魔物の軍勢が国に迫っている絶望的な状況である。そして城の上空に突然姿を見せた竜に、魔物を倒すのに協力してもらえないか? とアランは考えて竜に話しかけた。フレッドはその役目を任せて憂わしげな表情で送り出したのだ。
「ああ、それなら大丈夫だ。ドラゴン様が魔物の軍勢を倒すことに引き受けていただき、私たちを守ってくださると言われた」
「本当か! アランよくやってくれた。ドラゴン様ありがとうございます。この国の王子として御助力をいただけたことに深く感謝いたします!!」
竜が魔物を蹴散らせてくれることが決まった。アランは感無量な面持ちで伝えると、フレッドは急に嬉しそうに顔をほころばせる。いかにもありがたそうな口調で竜に感謝の言葉を言うフレッドは、どんなに感謝しても感謝し足りないと思った。
「そんなに畏まることはないぞ。ここはセリーヌ様の故郷だから守るのは当然であるからな」
「セリーヌ様……? いったい何が……?」
「アラン! 無事なようだな。良かった……」
突然この場に現れたフレッドに、アランは不思議そうな顔をしていた。フレッドは手を伸ばして肩を叩き声をかけて親友の安全を喜んでいる。
「どうしてフレッドが?」
「そんなのアランが心配だったからに決まっているだろう?」
相棒おかしなことを聞くなよ? フレッドはそのような表情をして微笑みかけるとアランも微笑みを返した。
「うぅ、うう……フレッド凄く嬉しいよ」
「泣くことないだろ?」
「だって……」
「アランに怪我がなくて安心した」
「フレッド愛してくれて……ありがとう」
次の瞬間アランは胸が熱くなり、涙が目に溢れてくる。そんな親友にフレッドは肩を抱いて引き寄せました。そして互いに慰めのような言葉かけ合うのです。
「――お主は誰だ?」
そのまましばらく二人は、イチャイチャしているようにしか見えない感じだった。竜が気まずい沈黙を破るために話し始める。
「大変失礼いたしました。私はヴァレンティノ王国の王子フレッドと申します!」
アランと抱擁していたフレッドが、思わずはっと我に返ると竜に顔を向けて簡単な自己紹介を行った。
「この国の王子が何用だ?」
「私の大切な親友であるアランが戻ってくるのが遅いので、心のゆとりがなくなって参上いたしました」
「……そうか……」
王子がこの場に何をしにきたのだ? 竜の問いかけにフレッドは親友のアランが、いつまで経っても戻ってこないので心配で胸を痛めていたと語る。竜は短い返事に呆れがこもっているようであった。
「アランそれで交渉はどうなったんだ?」
ふと何より気がかりなことを思い出したらしくフレッドはアランに尋ねました。今は魔物の軍勢が国に迫っている絶望的な状況である。そして城の上空に突然姿を見せた竜に、魔物を倒すのに協力してもらえないか? とアランは考えて竜に話しかけた。フレッドはその役目を任せて憂わしげな表情で送り出したのだ。
「ああ、それなら大丈夫だ。ドラゴン様が魔物の軍勢を倒すことに引き受けていただき、私たちを守ってくださると言われた」
「本当か! アランよくやってくれた。ドラゴン様ありがとうございます。この国の王子として御助力をいただけたことに深く感謝いたします!!」
竜が魔物を蹴散らせてくれることが決まった。アランは感無量な面持ちで伝えると、フレッドは急に嬉しそうに顔をほころばせる。いかにもありがたそうな口調で竜に感謝の言葉を言うフレッドは、どんなに感謝しても感謝し足りないと思った。
「そんなに畏まることはないぞ。ここはセリーヌ様の故郷だから守るのは当然であるからな」
「セリーヌ様……? いったい何が……?」
54
あなたにおすすめの小説
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
婚約破棄されましたが、おかげで聖女になりました
瀬崎由美
恋愛
「アイラ・ロックウェル、君との婚約は無かったことにしよう」そう婚約者のセドリックから言い放たれたのは、通っていた学園の卒業パーティー。婚約破棄の理由には身に覚えはなかったけれど、世間体を気にした両親からはほとぼりが冷めるまでの聖地巡礼——世界樹の参拝を言い渡され……。仕方なく朝夕の参拝を真面目に行っていたら、落ちてきた世界樹の実に頭を直撃。気を失って目が覚めた時、私は神官達に囲まれ、横たえていた胸の上には実から生まれたという聖獣が乗っかっていた。どうやら私は聖獣に見初められた聖女らしい。
そして、その場に偶然居合わせていた第三王子から求婚される。問題児だという噂の第三王子、パトリック。聖女と婚約すれば神殿からの後ろ盾が得られると明け透けに語る王子に、私は逆に清々しさを覚えた。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2025年10月25日、外編全17話投稿済み。第二部準備中です。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
聖女になる道を選んだので 自分で幸せを見つけますね[完]
風龍佳乃
恋愛
公爵令嬢リディアは政略結婚で
ハワードと一緒になったのだが
恋人であるケイティを優先させて
リディアに屈辱的な態度を取っていた
ハワードの子を宿したリディアだったが
彼の態度は相変わらずだ
そして苦しんだリディアは決意する
リディアは自ら薬を飲み
黄泉の世界で女神に出会った
神力を持っていた母そして
アーリの神力を受け取り
リディアは現聖女サーシャの助けを
借りながら新聖女として生きていく
のだった
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
【完結】金で買われた婚約者と壊れた魔力の器
miniko
恋愛
子爵家の令嬢であるメリッサは、公爵家嫡男のサミュエルと婚約している。
2人はお互いに一目惚れし、その仲を公爵家が認めて婚約が成立。
本当にあったシンデレラストーリーと噂されていた。
ところが、結婚を目前に控えたある日、サミュエルが隣国の聖女と恋に落ち、メリッサは捨てられてしまう。
社交界で嘲笑の対象となるメリッサだが、実はこの婚約には裏があって・・・
※全体的に設定に緩い部分が有りますが「仕方ないな」と広い心で許して頂けると有り難いです。
※恋が動き始めるまで、少々時間がかかります。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる