「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった

佐藤 美奈

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第41話

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「――セリーヌなのか!?」

アランは崩壊した公爵邸の跡地で、親友のセリーヌに涙を流して詫びていた。そしたら背後から足跡が聞こえて人の気配を感じた。その場に膝をつき両手をついた状態から素早く立ち上がった。

誰だ? 険しい顔で最初はそんな気持ちで振り返って確かめた。嘘だろう? 見た瞬間に驚異の目を見張って心は震えるほど驚いていた。ずっと会いたくて謝りたかった女性が視界に飛び込んできたのだ。

「アラン久しぶりね」
「本当にセリーヌなのか?」
「そうですけど?」

セリーヌの心は水が澄んだように平静で落ち着いた声で話しかけた。アランは信じられないような顔で寄って来る。セリーヌはぼんやりと見つめて、不思議な気がして仕方がなかった。

アランは締まりのない笑顔で言葉を続ける。先ほどまでセリーヌを追放したことを懺悔ざんげして泣いていたのに、今は嬉しくて涙がにじんで視界が揺れるような感覚がする。

「生きていて良かった……」
「涙もろくなりましたね。昔は女性の前で泣く騎士は『意気地がない』とおっしゃっていたのに」
「セリーヌすまない。セリーヌに許されない事をしてしまって何度も後悔していた」
「生まれ育った国が、このようになってから頭を下げられても困ります」

アランはセリーヌが生きていてくれて、心底嬉しく情のこもった言葉をかけた。止まることなく目頭に熱い涙が湧いて謝罪の気持ちを表した。

国がこんな悲惨な状態になっていては、どんなに謝罪したところで受けいれてもらえない事はアランもわかっている。ただセリーヌに会うことができたら、まずは謝ろうと決めていた。

「セリーヌーーーーー!!」
「いきなり抱きついてくるのは御遠慮ください」
「な、なんで? どうして君をさわれないんだ!?」

正面から向き合って少し話すとアランは何を思ったのか? セリーヌをふいに引き寄せようとして強く抱きしめようとした。だが、セリーヌの身体に手で触れることは許されなかった。

「魔法では跳ね返してるだけです」
「親友だった男が危険だというのか?」
「それは昔の事でしょう? 私を追放宣言した時のフレッド殿下とアランの顔は、途方もなく怖かったです」

セリーヌの身体の周りは光の壁で覆われていた。この能力も竜に与えられたもので、防御手段の一つとして利用している。もう平和な日々を過ごせた場所ではなくなっているので、セリーヌも気をひきしめて用心ぶかく事前に自分を守るために備えていた。

道を歩いていても、いつ誰に危害を加えられるか分からないし、最悪の場合は命を落とすかもしれない。ところがアランは身の危険を感じる男と言われて、歯をくいしばって悔し涙をこぼした。
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